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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

「ミュラー夫人」
「あら、皇妃殿下。どうしたのですか?」
「フロラインに会いに来たの」
「まぁ陛下まで?」
「ミュラー夫人!赤ちゃんはどこ?」
「今寝ているところです。あちらの籠に」
「寝てるの?」
「ええ。だからお静かに」


やんちゃな陛下が静かに動いているのが面白い。籠にいる娘をじっと見ている様など侍女泣かせで通っている陛下にはありえない姿である。皇妃殿下と顔を見合わせて笑っている。可愛いわねと言って椅子に座る皇妃殿下を無視してじっと見ているのだからすごい。


「ミュラー提督に似てるわ」
「私に似るよりそちらのほうがいいわ」
「そう?」
「父親似の方が幸せになれるって」
「そう?」
「溺愛してますよ」
「確かに可愛い。女の子はいいわね。」
「陛下はアクティブなご両親の血を受け継いだのね」
「否定できないわ」
「お茶は如何?」
「ええ。」
「陛下は」
「…」



無視である。珍しいなと思いながら椅子を出していると無言で座る。
どうしたのだろうか?


「ミュラー夫人」
「はい?」
「…」
「陛下。ケーキは如何?」
「ユリアパウラを妃に欲しい」
「…」
「…」
「まるで天使だ」




うっとりとした顔でみる。いや、幾つだ?5歳?



「まだ早うございます」
「許嫁だ」
「まだ話したこともないのですよ。性格が合わないと如何するのですか?」
「天使なのだから心配ない」
「陛下、」
「母上も良いですよね」
「良くありません!」
「如何してですか!」
「貴方が王としてしっかりしてからの話でしょう」


そう言うとぐっと言葉を詰まらせる。お可愛い。


「夫人」
「大きくなりまして口説き落としたら良いのです。」
「ちょっ」
「良き皇帝になれば良いのだな」
「それも一つの要因です。後は」
「?」
「誠実に好意を伝えたら」
「良いの?」


今は良いんじゃないかしらと言えば苦笑される。


「あ」
「あら」
「…強ち」
「ええ」


目を覚ましたユリアパウラを見て真っ赤になる陛下とキラースマイルを浮かべている彼女。ああ、ナイトハルトさんが泣くなと思いながら苦笑するのだ。




キラースマイル

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銀英伝

閣下のご帰還ですと言われたのはユリアパウラを生んで、2週間だった日だった。急な遠征で出産に立ち会えなかったナイトハルトさんは映像ですら彼女の顔を見ていない。会戦の真っ只中なの為、勝利報告の際皇妃殿下に伝えて頂いたのみなのだから。忙しかったのだろう。メールも断片的だ。焦らずおかえりした時にお話ししましょうねと連絡したのが最後だったはず。多分部下の人から連絡は言っているとおもうけど

「ファータがお帰りになったわよ」と愛娘を抱きかかえる。少しむずがっているところを見るとお腹がへったらしい。そろそろ母乳の時間かと思いながら侍女にその旨を伝える。飲み始めた瞬間、バタバタと言う足音が聞こえてくる。侍女が困ったような顔をして私を見てどうすればという。タイミングの悪い人だわ、と溜息をついて外にいる憲兵の騎士にお任せしましょうと言う。


「マインシャッツ!」
「…お帰りなさい。取り敢えず落ち着いて」
「嗚呼!無事で良かった!!!」
「それはこちらの台詞です。」
「私たちのベービは?」
「今、おっぱい飲んでるわ」
「…」
「ナイトハルトさん」


ジーと見ていたのでどうしたのと尋ねると小さいと言われる。最初の台詞としては不合格といえばキラキラした顔でそばに行ってもいいですかと尋ねられるので笑ってしまう。
遠足か旅行か。とびきり楽しいことのある子供の顔のようねといえばその様なものですと返される。そうか。それはそれで嬉しいなぁ。


「髪は私似ですね。」
「目は黒いんですよ」
「見たいけど今は無理そうだ。」
「もう少ししたら大丈夫」
「ファータですよ。覚えてください」
「ふふふ」
「天使だ」
「ナイトハルトさん」
「んー?」
「本当にいい父親になれそうですね」
「そうですか?」
「ええ。」
「貴方との子供ですから」
「ふふふ」


げっぷをさせると抱いて見ますというと軍服を脱ぐ。金具とかで怪我をさせたら一大事というと。成る程。やっぱり良い父親になれそうだ。

「軽い。壊しそうだ」
「優しく」
「分かっているが、嗚呼。美人だ」
「貴方に似て優しい顔をしているわ」
「そうかな、君に似て上品な顔をしていると思うけど。」
「あらお上手ね」
「事実だよ」
「ナイトハルトさん」
「ん?」
「ありがとう」
「それはこちらの台詞です。ありがとう」


そう言いながらキスをくれるだった。




家族が増えました

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銀英伝

我が娘、ユリアパウラ・ミュラーが生まれて、7日。王宮で産気づいたものだから未だ王宮に留まっているものの早く家に帰りたいと思う。ナイトハルトさんの部下からパウルさんの元部下たちが四六時中やって来るのだから面倒臭い。フェルナーさん曰く仕方がないという事。どこのどの辺りが仕方がないのだと思いつつもやって来る憲兵の人たちを見ていたら言う気が失せた。良く夫と共にいた人ばかりだ。本当に将校には嫌われた人だったけど部下にはそれなりに好かれた人だった。あの、憲兵が花やケーキや産後に良いとされる食べ物を手に入れては日参し遠巻きに見るのだから面白いものだ。ケーキを食べてそう言うと、毒が入っているなんてこれっぽっちも頭に過ぎらない奥様だから未だに皆、慕っているのですよと言われ、納得する。成る程考えつかなかった!


「昔から閣下が心配されたままの貴方で感無量です」
「だって」
「…」
「今も皆さんが見張っていてくれているでしょ?夫がいない時とか。特に食事なんか」
「気づいていたのですか?」
「まぁ、それなりに」
「…だから未だに差し入れに来るのですね。」
「死んでもなお、守られているわね、私」


ええと言ったあとフェルナーさんがユリアパウラを見る。砂色の髪と黒い瞳。ニコリとこの人でも笑えるものかと思いながら、それを指摘すると昔からよく笑ってましたよと言い返される。そう言えばそうだった。

「奥様」
「ん?」
「愛らしい」
「うん」
「よく、ユリアパウラとつけましたね。」
「夫が」
「提督がですか?」
「物凄く強運で守られそうだからと。」
「あー」
「多分この子にロクでもない事をしたらミュラー提督に殺されて、あちらでオーベンシュタインに殺されるわね。」
「…」
「考えただけで恐ろしいわ。」
「ええ」


すやすやと眠るこの子は知らない事ですけどと言えば頷かれる。


「私は」
「?」
「閣下と奥様を見るのが好きでした」
「初耳ね。」
「あの閣下が優しくなられる瞬間は貴方の前だけだからです。」
「そう?」
「ええ」
「誇らしい事だわ」
「実は」
「?」
「閣下が生きていらっしゃた間から今まで貴方をお守りするのは閣下の命ではないのですよ」
「やっぱり」
「え?」
「あの人が私心で護衛をつけるとは思わなかったから。…何かあったのかしら?」
「いえ」
「?」
「我々の自主的な護衛なのです」
「…は?」
「休日返上ですから」
「待って!休み返上なの?休めてる???」
「ええ。大丈夫ですよ。」
「でも、如何して?」
「憲兵の女神ですから」
「…」


すごい顔だと言って笑われる。プクーと頬を膨らますとケラケラ笑って、一息ついて膝をおられる。


「忠信を」
「フェルナーさん?」
「貴方と、愛らしいユリアパウラ様に」
「待って」
「良いですね」
「良くないわ!」
「護衛しますから」
「貴方は…昔から!いいわ。但し!」
「?」
「大切な友人としてよ。」
「…」
「何?」
「貴方らしい」
「なんとでも言って」
「では奥様」
「ん?」
「憲兵の騎士としての忠信と友情を捧げます」



ありがとうと言うと締まらないなぁとぼやかれた。



忠信と友情

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銀英伝

「マインシャッツ」
「んー?」
「聞きたいのですが」
「何?」
「そんなに動いて平気ですか?」
「?」
「いえ、皇妃殿下は」


そう言って心配そうにこちらを見るから思わず、笑ってしまう。ただ歩いているだけなのに、と言えばそうですけど。と帰ってくるからますます持って笑ってしまう。

「動かないと。難産になるって言いません?」
「知りません」
「御兄弟皆様男性ですものね。しかも半分が軍人。」
「そうですが。」
「私は姉妹でしたし、女ばかりで暮らしてたから。皆そう言ってましたよ。」
「そういうものですか」
「そういうものです。」


くつくつ言いながら私は笑う。わからないし、聞くこともできないから不安がいっぱいなのだろう。良々とお腹を撫でる手は堂に行っているから、抱っこは大丈夫?と尋ねると真っ青な顔になる。彼奴らと我が子は違うとのこと。皆、優しげな人でしたけど言いつつも、子供の時分は凄かっただろう。お会いした時にそんなことを言っていたはずだ。


「抱っこというより持ち上げたの方が正しい」
「お母様、よく怒りませんでしたね。」
「穏やかな人ですから。一番上の兄に怒られていました。」
「ああ。」
「この子はきちんと抱かないと」
「ビッテンヘルト提督は要注意ね。」
「そうです。」
「陛下とアレックス君の3歳下か。男の子ならいい弟分ね。」
「皇妃殿下も子供ができたら是非と言っていました。」
「ええ。」

そう言うとお腹がけられる。動きましたという声に反応してもう一度。すごく不思議だと思う。


「マインシャッツ?」
「すごく幸せ。」
「はい」


そう言うと頬にキスをくれる。男の子かなぁ。女の子かな。
どちらでもいいですよと言いながら笑うナイトハルトさんにそうねと私も微笑むのだった



10ヶ月の尊さ

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銀英伝

「夫人の容体は?」
「新しいメイドを手に入れたと喜んでいましだよ。」
「…」
「はぁ」
「お前さんも大変だな」
「いや、そちらは良いのです。そちらは」
「?」
「実は検査に引っかかりました」
「誰が」
「妻が」
「あの毒を飲ませても死ななさそうな夫人がか?!」
「…」
「いやすまない。失言だった」
「…」
「すいませんでした。」
「いえいいんです。」
「重症だな」
「ミッターマイヤー閣下」
「件の夫人が医務室から脱走したぞ。」
「「はぁ?!」」
「一瞬の隙をついて。ありゃ下手な将校より動きがいい」
「で」
「捕獲しようとしたが卿を探していたみたいだからな。」



いたっ!と叫ぶとミッターマイヤー閣下とビッテンヘルト提督が私の方を指差す。どんな話をしていたなんか知らないから、退いてと叫びながらナイトハルトさんにタックルばりに抱きつきに行く。凄く痛かったとだろう。静かに起こっている。


「う」
「…」
「痛かった?」
「いえ」
「な、んか怒ってる?!」
「夫人が脱走などするからだ。」
「ミッターマイヤー閣下?なんで知ってるの?」
「医師達が探していたぞ。」
「あー」
「まぁ座れ。」
「如何したんです?フェミニストの欠片もないビッテンヘルト提督が!?」




そうすると無言で指を指される。そりゃそうか。ナイトハルトさんは凄く怒ると叫ぶのをやめて絶対零度の笑顔になるものね。そう思いながらナイトハルトさんの方を見る。怒っているのだろうけど、ごめんなさい。頬が緩む。彼が片眉を吊り上げ睨んできたとしても頬が緩む。えへへと笑って両手で頬を抑えると名前を呼ばれられた。


「うん」
「聞いてます?」
「無理」
「…皆が心配していますから続きはあとにしましょう。それより」
「?」
「今日の特別な検査は如何でしたか?」
「!」
「まさか?!」
「えへへへへ」


ぎゅうぎゅうと抱きしめてファーター!といえばキョトンとされる。ミッターマイヤー提督だけわかったらしくおい、やったななどとっているが2人はわかってないらしい。焦れったい!


「家族が出来るの!」
「…え?」
「だから特別!」
「そう!ビッテンヘルト提督の当たり!」
「いつ頃だ?」
「あれ?いつ頃だろ?聞く前に嬉しくて言いに来たの!」
「夫人らしい…ミュラー?」
「ナイトハルトさん?」
「私にベービ?」
「ええ」
「あなたと、私の子ども」
「…えーと」
「…」
「もしかして嫌でした?」
「は?」
「ごめんなさい。私だけ浮かれて」
「待てって。ミュラー提督も頭が付いて行ってない…ミュラー?!」



硬直していたナイトハルトさんかろ動いて一番最初にした事はやった!の雄叫びだった。次にぎゅーっと抱きしめようとして2人に止められていた。ど、如何しただろうとおずおずと顔をみると絶対零度の笑顔から満面の笑みにチェンジしていた。


「ナイトハルトさん」
「何時ですか?」
「いや。わかりませんけど…?」
「?」
「産んでもいい?」
「…はぁ?!」
「ミュラーがはぁ?!って言ったの初めて見たな。」
「産まないつもりですか?!」
「だってぇ!何話しても返ってこないし。表情筋死滅してたし!」
「ですが」
「駄目なのかと思うでしょ!」
「そうだなぁ。あれならなぁ」
「…ね!」


すいませんと言ってシュンとする。可愛いけど!じとっとみると額にキスを落としてくれる。


「すごく」
「すごく?」
「嬉しいです」
「…」
「体を労って下さい。何かあったら…」
「ナイトハルトさん?」
「何で脱走なんてしたんですか!!?!?!」
「「そっちか」」


何故か怒られたのでムッとしたまま貴方に伝えるためですよと言えば怒るに怒れなくなったらしい。ふふと笑って困ったお父さんねといい、悶えるナイトハルトさんを微笑ましく見つめるのだった




キャベツ畑

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