忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

銀英伝

「マインシャッツ」
「はい、ナイトハルトさん」
「加減は如何だい?」
「貴方がいてくれるから大丈夫よ」


そういって微笑むとナイトハルトさんが頬にキスをくれる。
めっきりと体が弱ってきたのはこの秋だったか。頭の隅でそう思うと自分に残された時間が思いの外短いことに気がつく。孫も見れた。ヘンリエッタの婚約も済んだ。ドミニクのお嫁さんはしっかり者だから安心しているものの独身のクリストフルが心配だわ。ただ2人とも立派な軍人だもの。大丈夫よね。と自問しているとナイトハルトさんに名前を呼ばれる。


「?」
「何を考えているの?」
「未来」
「そう」
「ナイトハルトさん」
「ん?」
「ありがとう」
「…」
「貴方が私を慈しんでくれたから、幸せだったわ」
「過去形?」
「進行形」
「ずっと続くよ。」
「そうね。」
「珍しく弱気だ。」
「ええ」
「君は僕が退役したら一緒に旅に出るのだろ?」
「ええ。でも」
「ん?」



大切なことを言えずにいるのはこれ以上にない不幸よといえば難しい顔をされる。私以上にこの人ほうが分かっているのだろう。共に居られる時間の短さに。



「大体、終身でしょ?」
「そうだね。」
「ずっと待っててあげたかったけど」
「待っててくれ無いの?」
「待ってるから。ゆっくり、ひ孫まで見てきてね」
「酷い人だ」
「本当に。でも、悔いはないわ。私」
「うん」
「貴方と共に生きてこれたもの。憂いもなく、貴方は私を幸せにしてくれた。本当にありがとうございます」
「君も」
「?」
「私を幸せにしてくれた。この世で一番幸せな男だよ。何もかも君のお陰だ」
「本当に?」
「ああ」
「ナイトハルトさん」
「何?」
「ナイトハルトさん」
「マインシャッツ」
「愛しているわ」
「うん」
「子供達んお願い」
「うん」
「貴方もいい人がいたら私に気兼ねなく再婚してね」
「君以上にいい女なんてい無いよ。」
「ふふ。」
「だから」
「ごめんね」
「っ」
「ああ、後悔はないけど。貴方と離れるのは辛いわ」
「私もだ」
「ナイトハルトさん」
「如何したの?」
「手を」
「ああ」
「繋いでもいい?」
「勿論だよ」




別れの日





「あら」
「如何した?」
「パウラさん」
「?」
「迎えに来てくれたの?」
「…迷いそうだったからな」
「ええ、でももう大丈夫よ」
「そうか」
「今からどこへ行くの?」
「ヴァルハラとやらだ。」
「みんないる?」
「ああ」
「ナイトハルトさん来るまで私を独り占めね。」
「静かな日々が終わるな。」
「結構好きでしょ?」
「…」
「さぁいきましょ。体も軽いし。御誂え向きに若返ったし!」
「はぁ」






拍手

PR

銀英伝

「孫ができる歳になってしまったのね。」
「あら出来なければ出来ないで頭を抱えるものよ。」
「まぁそうね。」


そういって茶会が始まる。皇妃となった娘に子供が出来たのが分かったのが昨日でただいま皇太后殿下とその話題で持ちきりだ。太公家に久しぶりの子供なのだから当たり前といえば当たり前か。ただ、我が子の分頭を抱えているのだ。何せ粗相があってはならないから。



「準備は大丈夫よ。」
「本当に?」
「以外と心配性ね。」
「娘のことを思うとね。」
「陛下も私もあの子が生まれてからの付き合いだもの。何かあったら言える間柄よ。」
「そうね。にしても」
「ん?」
「有言実行だったわね。」
「ええ」




生まれたばかりのユリアパウラを見て皇妃にと欲して20年弱。結婚して子供を成して。公務も滞りなく、ラインハルト陛下を思い出すわと言えば最近本当に似ているのよねと笑われる。

初めて出会った歳と同じですもの。

そう思えば早いような長いような。波あり谷ありの人生だったわ。そういって2人で笑う。老域の年齢になってもこの関係が変わらなかったことはありがたい。貴族に列席しようとする彼らを夫と息子たちが固辞して「武勲によって正当に評価されたい」と言ったのは正解だったかもしれない。お陰で今もこうして穏やかな気持ちで居られる。


「如何したの?」
「色々思い出してきただけ。」
「そんな歳でも無いでしょ?」
「そうね。」
「ミュラー夫人?」
「オーベルシュタインが亡くなった時は死にたかったのに。人とは不思議なものだわ。よぼよぼになるまで生きたいものね」
「ええ」
「皇太后陛下」
「何?」
「義理の親として。何より、友人として。ユリアパウラのことお願いします。」
「本当にどうしたの?」
「一応ね。」
「貴方が陛下を我が子のように扱ってくれてどれだけ私たちが救われたか。ユリアパウラのことも。貴方の子供は私の子供でもあるのよ。だから」
「皇太后陛下?」




そんな恐ろしいことを言わ無いで。そういって私を見る。私はふふふと笑ってお茶を一口含む。
いつもより少し苦い味がした





2人の話

拍手

銀英伝

「面倒だわ」
そう言うとナイトハルトさんが困ったように笑うので私はむすっと前を見る。今日は建国記念日。毎年のことながら祝賀会があって私まで出て行かないといけない。いや、何より。家族全員なのだから面倒くささに拍車をかける。


「の割りには」
「?」
「ユリアパウラとヘンリエッタのドレスは気合が入っているな」
「当たり前です。今日為に」
「誂えた?」
「いいえ、作り直したの」
「刺繍とビーズを?」
「ええ。去年の2人が気に入ってたから。もうあまり体型が変わらないし。」
「君らしい」
「貧乏性って思ってます?」
「毎回軍服で出席する私が言うと思うかい?」
「あら、それは必然でしょ?」
「いや、面倒なだけだ」
「以外と今の幕僚の方はそのタイプ多いものね。」
「ミッターマイヤー元帥のお陰だ」


私もドレスじゃなくて軍服にしようかしらと言えばダメと可愛らしく言われる。幾つになってもこの顔には弱い。


「あらダメ?」
「あの時みたいに止まらなくなる。」
「あらドレスでも変わらないんじゃなくて?」
「痛いところをつかれたな」



そう言って笑われるので私も笑う。ナイトハルトさんは満足したようにグラスを傾けて私の名前を呼ぶものだから私は子供達の方に向けた視線を彼の方に向け直す。


「計算外だった」
「何がです?」
「ドレス」
「?」
「似合いすぎているな」
「あなたからの贈り物よ」
「去年のね」
「もったい無いじゃ無い。それに気がつか無いでしょ?」
「そうだね。去年はもっと慎ましやかだった」
「レースの部分は娘のドレスに。」
「横から見たら胸が見えるな」
「あらダメ?」
「ここに来てその顔はずるい。」
「だって昨日は絶賛してたでしょ?」
「今も絶賛だよ」


凄く美しくてまるでミューズだと言って頬にキスを一つくれる。酔ってらっしゃるでしょ?と言えばそれなりにと返ってくるところを見ると合流するまでに強か飲まれたのだろう。奥で控えている部下の人に目をやると肩をすくめられた。2本3本で終わる話ではないらしい。なるほどビッテンヘルト閣下も賑やかだ。建国25周年で羽目を外したらしい。奥方が大変そうだわ



「マインシャッツ」
「はい?」
「綺麗だ」
「酔った貴方もセクシーよ」
「そう?」
「ええ。」
「キスしたいな」
「大人しくしていたらね。」
「ご褒美はそれだけ?」
「ほかに欲しいものでもあるの?」
「君」
「あげているじゃない」
「そっか」
「ふふ。可愛い人ね。」
「君も」



そう言うと唇を塞がれる。一瞬と雖も口紅が付いてしまっただろうとぼんやり見ればペロリと唇を舐められた。
いやそれより。


「酔って無い」
「誰も酔っただなんて言って無いよ」
「呆れた人」
「君が綺麗すぎるからいけないんだよ」
「…」
「部下を責めないでおくれよ」
「覚えてらっしゃいと伝えておいて」
「ミュラー夫人がお怒りだ」
「貴方」
「なっん!!!」


お返しよと言って離れる。ルージュはお返しするものですからと言って笑う。やれやれと言わんばかりに首を竦めるのが私は以外と好きである。




夫婦の会話




「フロイライン ユリアパウラ」
「はい、陛下」
「あいも変わらず仲睦まじいな。おば様方は」
「はい。」
「羨ましいものだ」
「父と母は私の理想の夫婦の像ですわ」
「…」
「陛下?」
「フロイライン」
「はい?」
「それを私と共に叶える気はないか?」
「!」
「いや、すまない。急に…」
「陛下?」
「だが其方を初めて見た時より考えていた。真剣に考えて欲しい。」
「…はい」
「其方が来てくれるのなら亡き父上同様側女も要らぬし。なによ…フロイライン」
「私も貴方様を微力ながら支えていきとうございます。」
「っ」

拍手

銀英伝

「お父様」
「ん?如何しました?」
「お母様は何時もどちらに行ってらっしゃるのですか?」
「ああ。お母様はね大切な方のところへ行ってらっしゃるのですよ」
「私やドミニクとクリフトフルやヘンリエッタよりも?」
「君達も大切だから安心して。」
「父上よりもですか?」
「ドミニク?」
「姉上もそれを心配しておいでなのです」
「?」
「先日同級生の…」
「ああ。駆け落ちですね。」
「母上は?」
「違いますよ。貴方たちを捨てていく筈がないでしょう。」
「なら」
「それに相手は随分前にお亡くなりになっているのですから」





あいも変わらず、静かな場所ねと私は花を捧げる。赤い薔薇はやっぱり貴方には似合わないわねと言いながら座り込む。


「パウルさんより年上になってしまったわ」


恐ろしいわねと言ってくすくす笑う。随分と年上のように思っていたのにね。そちらは如何なのかしら?歳は取るの?取って頂かないと会った時に困るわね。じゃないと、貴方はこんなおばちゃん嫌になってしまっているでしょう?


「ヘンリエッタが小等部に入ったの。可愛いのよ。有難いかな私に似なくて二人とも温厚よ。ナイトハルトさんに似たのね。ドミニクとクリフトフルももの静かだけど…軍人になってしまったわ。ラーベナイト夫人が泣いてしまったのよ。凛々しくなったって。私にはいつまでたっても可愛い息子でいて欲しかったのですけど。今となっては頼もしい子達ね。あの人が居なくとも守ってくれる、立派な騎士になったわ」



ナイトハルトさんが喜んでいたのよと言って私は彫られた名前に指を這わす。質素で名前しか書いていないそれは彼が生前に用意したもので相変わらず準備万全で嫌になる。「最愛なる吾が夫」と書いてやったのにと言えばラーベナイトさんが苦笑したな。これを阻止したかったの?


吾が最愛なる夫。

あの時死ぬなと言ってくれた貴方だから、私の定期連絡を苦虫を潰した顔をしながら聞いてくださっているのだろう。愛している。あの時よりずっと。

でも



「貴方と同じくらい愛している人ができた私を許してくれていますか?いつも聞いてるからいい加減嫌になってきているでしょうけど。ナイトハルトさんと共に生きて子供たちを育てて。私幸せよ。貴方と共に生きて入られたらと考えなくも無いけど…。」



馬鹿なのだから考えるなという貴方の声が聞こえそうね。きっとそう言っているのでしょ?やっぱり貴方の思い出を何も忘れられなかったわ。



「貴方。お願いよ。私の愛する息子たちを守ってください。私の愛する娘たちに幸せを。何より、」




砂色の人。貴方と違う愛で慈しんでくれる最愛の人。



「どうか、ナイトハルトさんとこの髪が白くなるまで共にいさせてね。私の最愛なる人たちを守って頂戴。誰でも無い、貴方だから安心して頼めるの。お願いよ」



なんて言っているかしら。返事くらいしてくれてもいいでしょうと言いながら私は立ち上がる。貴方の育てた憲兵さんが未だに助けてくれるのよ。とくすくす笑いながらまた来るわと踵を返す。



「あら、ナイトハルトさん」
「閣下はなんて?」
「馬鹿なのだから考えるなと言っているわ」
「彼らしいな」
「如何したの?今日は」
「うん。私ではなくて」
「?」
「子供達が」
「パウルさんの苦笑が眼に浮かぶわ」



そう言って車の方へ行く。距離をとって見守ってくれた憲兵さんも苦笑いだ。ああ、そう言えば駆け落ちした貴婦人がいたなぁ。それとたぶらせてしまったのかしら?と言えばそうみたいですと返事が返ってくる。


「あれは無理矢理だったからでしょう?」
「君は?」
「あら、まだ私の貞心をお疑い?」
「いや」
「いいわ。あちらに帰ってお話ししましょう」
「オーベルシュタイン閣下に殺されてしまうよ。」
「うふふ。」
「マインシャッツ」
「はい?」
「いや」
「もう。ナイトハルトさん」
「ん?」
「言わせる気?」
「出来れば」
「愛しているわ」
「オーベルシュタイン閣下と近付けたかな?」
「同じくらい好きよ。」
「…」
「ナイトハルトさん?」
「本当に?」
「…随分と前から。貴方もしかしてずっと」
「オーベルシュタイン閣下の足元くらいかと」
「呆れた。」
「君達の睦まじさを知っていたからね。」
「貴方が言った通り、私には唯一が一つでは無いわ。子供たちはもちろん最愛だしパウルさんも。」
「うん」
「勿論あなたも、私の最愛なる人よ。」
「マインシャッツ」
「知っているかと思ってた」
「お情けでして貰ってもらった様な物だからね。」
「怒るわよ!」
「すまない。」
「貴方こそ。引く手数多だったに」
「君に心を奪われてしまったからね。」
「いつ居なくなるかはらはらしてたのよ」
「そんな生易しい気持ちであのオーベルシュタイン閣下夫人に懸想しないよ」
「ふーん」
「結婚して何年?」
「17年」
「そんなに」
「あっという間でしたね」
「ええ」
「ナイトハルトさん」
「ん?」
「退役まで長生きしてよ」
「…」
「貴方が思っている以上に貴方が好きですから」
「うん」



きっと大丈夫だろうと思いながら手を繋ぐのだった






大切な人

拍手

銀英伝

「マインシャッツ」
「ん?」
「子供たちは?」
「寝ましたよ。」
「子供部屋を覗いたら見てはいけないお方がいたが?」
「ああ。アレクとフェリックスとハインリッヒはドミニクとクリストフルと遊んで疲れたのでしょう。其の儘。」
「如何言えば良いのか…君の強い心臓に尊敬します。」
「顔色変えずにそう言うミュラー提督にお言葉を返します。」



そう言うと窓の外を見る。今ここは帝国で一番セキュリティーの凄い場所ねといえば笑われる。笑って抱きしめてくるので私は頬にキスを落とす。


「娘と同室はいただけない?」
「いや。」
「諦めついた?」
「…言わないで」
「ふふふ」
「マインシャッツ、ただいま」
「お帰りなさい」
「痩せた?」
「少し。」
「病気?」
「胃をやられてて。夏バテね」
「少し休むと良い。皇妃殿下に伝えておくから」
「ん」


そう言うと心配そうに顔を覗き込む。本当に。心配性ねと言いながら診断書を渡す。眉間に皺を寄せながら読んでいくと段々ホッとした顔になるのだから。愛おしい。



「本当に」
「ん?」
「ただの夏風邪でしょ?」
「みたいだけどね。」
「?」
「君のことだから心配なんだよ」
「うん」
「寂しくはない?」
「貴方が居ないから。その分さみしいわ」
「ふふふ」
「良い妻なら、寂しくないというところだけど」
「いや、嬉しいよ」


貴方の代わりなどいないものと言って私は抱きつく。如何したのと言って髪を撫でるこの人が好き。



「凄く」
「ん?」
「貴方のことが好き」
「…残念だ」
「え?」
「お忍びがなければ続きはベッドにって出来たのに」
「もう!」
「可愛いマインシャッツ。」
「酷い人。」
「膨れた顔も可愛いな」
「ナイトハルトさん。」



そう言うと眉間にキスを落とすのだ。 お返しとばかり私も。


「今日は」
「子供部屋で寝ます?」
「いや、夫婦の寝室だね」
「…」
「抱きしめて寝るだけ」
「もう」







愛おしい

拍手