忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

元就短編の10年後 元親と幼女

おじさんだあれ?とあどけなく聞くその姿は、懐かしい彼女のそれではなく、憎々しいまで涼しい顔をしたあの男にそっくりで苦々しいことこの上ない。只目元が彼女に似ていて憎むに憎めない自分に笑ってしまう。
遠い昔に手を離してしまった女。いや、差し伸べられた手を見て見ぬ振りをして好き勝手した代償だ。誰でもなく自分が悪いのだ。

「真っ白ね」
「ん?ああ」
「私は黒いの」
「綺麗な髪だ」
「父様にも言われる」
「親父さんの事好きか?」
「勿論!」
「怖いって噂だぜ」
「家族にはすごく優しいの。悪い事したら怖いのよ。でも母様の方が怖いわ。」
「本当かよ」
「本当よ。」
「なら」
「母様も好きよ。悪い事する私が一番いけないのよ。」
「そうか。」

そう言うと黒曜石の瞳がキラキラとこちらを見る。無垢で優しい瞳だ。男ばかりの息子たちと違って可愛らしいと頬を緩ます。
釣りをしてたんだよと言えば納得がいったのかまた笑うのだ。

「良いのかよ。」
「いいの」
「親父さんに叱られるぜ」
「私、会いに来たんだもの」
「何に?」
「貴方」


は?と息を飲めばくすくす笑うこの娘の血が侮れない事を思い出して頭を抱える。

「いつ気がついた?俺が西海の鬼だって」
「私は名乗っていないのに父様と母様を知っていたでしょ?」
「餓鬼だとおもってたら。やっぱりあの野郎の餓鬼だ」
「甘いから母様を父様にとられてしまうのよ。」
「ぐ」
「まぁ。そっちの方が母様も幸せだろうけど。」
「クソ餓鬼」
「父様曰く白髪の大男で釣りをしていたら、大空けだ」
「あの野郎」
「バカが移るから近づくなって」
「…」
「嫌われてるね」
「あんな奴に好かれたくねぇよ!」
「母様も」
「あいつまで?!」


そういうと可愛い餓鬼改クソ餓鬼はすくりと立てって駆け出す。


「おいっ」
「母様ねー!」
「ああ?!」
「いい人だから子供に意地悪しないわって!本当ね!」
「…」
「会ったらありがとうってー!」
「はぁ?」
「伝えたよー」
「おいっクソ餓鬼!」
「なーにー!!!」
「あいつにあったら言ってくれ!!」



愛してるって!そのうちクソ餓鬼共々さらいにってやる!


そう叫ぶとクソ餓鬼は彼女の様に笑うのだった。



積み木崩し

拍手

PR

三成 続き 過去

綺麗ねと言えば三成さんは驚いたような顔をして私を見る。手にはキラキラとした紅い石を持っていてポロリと落としてしまうものだから私は急いでそれを拾う。
三成さんは伯父上の侍童で私より幾つか年上なものの大人ばかりの城の中では唯一の子供なのだ。只何時も話しかけようとしたら逃げられるし遊ぶどころか話した事もなかった。だから私は舞い上がっていたのだろう。おずおずと差し出した手の上に乗ったそれを受け取ってもらえた時、嬉しくて微笑んでしまい名前を呼んでしまったのだ。

「っ」
「三成さんは剣術がお強いと聞きました」
「その様な」
「あと筆も」
「姫」

声に反応して頭を上げると困ったような顔をしてじっと見つめてくるので私は思わず息を飲む。

「姫」
「はい」
「私の様に身分低い者に親しげになさらないでください。」
「え?」
「私は侍童です」
「私」
「秀吉様に迷惑が」
「あ…」
「姫?」
「御免なさい」
「姫っ?!」
「貴方に迷惑をお掛けいたしました」
「泣かないでくださいっ」
「っ」

溢れる涙を拭っていると三成さんはこの世の終わりの様な顔をしてじっとしている。
益々居た堪れなくなって泣いていると獣の様に彼が唸る。

「御免なさい。私如きが貴方を煩わせてしまって」
「違うっ!!!」
「ひっ」
「あ…」
「御免なさい」
「申し訳ありません。違うのです。」
「三成さん?」
「刑部にも言われました。私は言葉が足りないので、貴方を御不快にさせてしまうと。」
「吉継さんがですか?」
「はい。ですから余り親しくしてしまうとこの様に姫を怖がらせてしまいます。」
「私は」
「?」
「貴方と話したかったのです」
「…は?」
「嫌われてしまったのかと。父や母の様に。私はなにもしていないつもりでも貴方の気に触ることをしてしまったのかと。そう思うと辛くて…」
「っ!違います!!!」
「三成さんは私が嫌いですか?」
「貴方は秀吉様の養女で姪御様でございます。嫌う事など!」
「…」
「姫」
「貴方も大人たちと同じ事を仰るのね」
「あ…っ」
「…」
「姫」
「…」
「私に許可を」
「?」
「私は貴方が恐れ多くも秀吉様の姪御様でございますが、」
「三成さん?」
「仮にそうではなくとも、好ましい方と思っておりました。」
「⁈」
「貴方の様な女子になんと申せばいいのか。私はこの様な性格ですし。刑部に尋ねると先程の様に言います故。御不快申し上げませぬ様していたのですが。申し訳ございません!斯くなる上はこの腹」
「えっ?!待って!嫌です三成さん」
「姫?」


私もっと沢山貴方と話したいですと言えば色白の肌が真っ赤に染まっていく。
きっと私もだろう。ここに来てこんな優しさに触れたのが初めてだったのだから。


「三成さんは優しいです」
「は?」
「またお話ししても良いですか?」
「しかし」
「貴方の時間がある間でいいですから」
「ならば、私の事は三成と。敬語もなりません」
「ですが…」
「私の様なものにその様なお優しいお言葉をお掛けいただくと姫が侮られます」
「…わかった」


そう言うと三成さんは静かに笑い、私に手を出す様にと促す。

ころりと手に乗ったのは先程の紅い石で。私はそれと彼の顔を交互にみてしまう。くつりと笑われて差し上げますると言うものだからこの様な高価なものは頂けないと首を横に振る。

「良いのです」
「ですが」
「差し上げるつもりで買ったものですから」
「…」
「では私は」


そう言って去っていく三成さんの後ろ姿を見て嬉しいのに心の奥がチリリと痛む理由がわからなくて。静かにそれを握りしめた


幼子の恋

拍手

5.28三成 続き

「初めて聞いたんだけど」
「今初めて言いましたから」

目の前の麗人はそう言うと湯呑みを持ったまま私を見る。ここに来て初めて見た。この人もこんなことができるのかと内心驚きながら私もお茶を啜る。

「三成君と君?」
「御心配なさらずに。何の間違いもありません」
「君ね」
「で、私は何処の男に売られるのですか?」

ニコリと笑って半兵衛を見ると女の子がそう言う事言うものじゃないよと返ってくる。

「嫁ぐといいなよ」
「好きでもない男の子を産みに行くという事実を私なりに秘匿していったつもりですが…」
「三成君も君の何処が良いのかな?僕には理解できないよ」
「さあ?」
「彼にはまだ早いと思っていたんだけどね。」

そう言ってため息をつく半兵衛に私は冷笑して、反対?と尋ねる。

「なら、三成に言って下さい」
「どういう事かな?」
「あれはならんと。」
「…」
「私は三成が好き。嫁ぐのも子を成すのも三成がいい。だが私は伯父上の養女です。あれは知っているのか否か…どちらでもいいけれども。役割を果たして死ななければならないこと位、子供でもわかる。」
「君はそれでもいいのかな」
「良くはないわ。だからといって貴方達が私の願いを叶えてくれた事があったかしら?」
「それは…そうだけれども。」
「まだ半兵衛には言えるけど、伯父上には言えません。頭を垂れてはいというだけ。あの人には私など駒の一つでしょ?あゝ。これは貴方にも言えるか」
「…」
「沈黙は肯定とおっしゃたのも貴方だわ。」
「君は」
「ん?」
「子供の頃からそうだ。聡明で聞き分けがいい。器量も良い。僕と三成君、吉継君の前以外では礼儀も弁えている。其れなのに何も欲しがらない。何時も何処か諦めている。」
「ふふふ」
「今回もの程度?」
「いいえ」


違う。そういえば半兵衛は片眉を上げて私を見る。
幼い時分より何も求めていなかった訳ではない。欲しいものもやりたい事もあった。母を恋しがり父に会いたいと泣いた事もあった。ただかなった事があっただろうか?母を恋しがった次の日母は城を出た。父に至っては実の子ではもうないと拒絶された。私の侍女は私が怪我をした次の日死んでしまった。そこまで言って半兵衛をみる。
バツが悪いのだろう苦虫を噛み潰した顔をして視線を逸らす。

「だからだよ。半兵衛」
「…」
「三成には手を出させない。」
「ああ」
「その代わりどんな男の慰み者にもなってやるわ。私にだって覚悟はあるの」
「そうかい」


言って半兵衛は席を立つ。早のおかえりだと笑うと名前を呼ばれる。顔を上げると悲しそうな半兵衛がいて思わず笑う。


「何処へ行けばいいか決まったら教えて。何処でも行く。」
「君ね」
「その代わり三成に何かしてみろ。直ぐに死んでやる。」


冗談に聞こえないよといって半兵衛は出て行った。冗談な事あるかと言う私の台詞は誰にも聞かれず空に消えたのだ。


万華鏡の悲鳴

拍手

ダリューン 奪還前

微睡む意識を浮上させて目を開く。視界が歪だ。まだ熱が下がっていないのだろう。何故こんな忙しい時分に寝込んでしまったのかと嫌気がさす。

にしても…。天井が高い。見慣れた風景の筈なのにまったく別の場所のようだ。無性に悲しくなる。病を得ると物悲しくなるというのは本当だなと枕に顔を埋める。


「起きているか?」
「?」
「泣いているのか?」
「ダリューン様」
「辛いか?」

遠慮がちに撫でられるそれに気がついて顔を上げるとダリューン様がいて思わず泣いてしまう。それを見てギョッとされて名前を呼んでくださるものの返事すら出来ないほど私は泣いてしまった。

「な、泣かないでくれ」
「ダ、」
「貴方に泣かれると、如何すればいいかわからなくなる」
「御免なさい」
「辛いか?」
「いいえ」
「では?」
「寂しかった」
「は?」


寂しかったのと言う。涙越しに見えるダリューン様の顔はよく分からなかったものの何時の間にか取っていた彼の手に縋っていると柔らかい声で名前を呼ばれる。

「手が熱いな」
「ん」
「寂しかったのか」
「うん」
「貴方が甘えるのは初めてかもしれないな」
「御免なさい」
「謝ることではないさ」
「ダリューン様」
「ん?」
「忙しいですか?」
「如何した?」
「ここにいて」
「…」



忙しい時分であることを失念した私が言うと、ダリューン様は困った様に笑うのだ。

「わかった」
「ほんと?」
「ああ」
「いなくなったらやだ」
「もちろんだ」
「うん」
「だからもう少し寝なさい」
「ダリューン様」
「?」
「大好き」
「…」


そう言って私は瞳を閉じるのだった。



微睡む意識

拍手

キラー

「色々だ。」
「は?」
「色々考えたのだがな」
「キラーさん?」

誕生日は何時なのだと尋ねるので私は顔を上げる。右手の包丁も止まったままだからかなり滑稽な姿だろう。
あれ以来、何が考えているのだろうとは思っていたのだが。くつりと笑うと少し怒った声で私を見て笑うなという。
存外かわいい人なのだ。


「まだ気にしていたのですか?」
「当たり前だ」
「私、自分の誕生日なんて知らないんですよ。」
「聞いた。だがそれでは困る。」
「なら昨日で」
「お前な」
「だって歳なんて取りたくないし、知らなくても困らないでしょ」
「俺が困る」

そう言って私の左手を取る。観念して包丁を置いて恨めしげに見つめると困った顔で見返してくるのだからタチが悪い。

「ごはん」
「旨そうだ」
「冷えちゃう」
「それは頂けない」
「なら」
「なぁ」
「ん?」


ずっとお前の飯が食いたい。

そう言って銀色の輪っかが薬指に通される。それをみてキラーさんを見上げると悪い顔をして左手を上げられた

「プロポーズですか?」
「違いない」
「なら答えなんて決まってます」


他の誰がいようと気になんてしていられない。
そう思いながら銀色に光る手を彼の背中に回すのだった。





beautflu days

拍手