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変換なしの雑食夢

ran

三成 続き 過去

綺麗ねと言えば三成さんは驚いたような顔をして私を見る。手にはキラキラとした紅い石を持っていてポロリと落としてしまうものだから私は急いでそれを拾う。
三成さんは伯父上の侍童で私より幾つか年上なものの大人ばかりの城の中では唯一の子供なのだ。只何時も話しかけようとしたら逃げられるし遊ぶどころか話した事もなかった。だから私は舞い上がっていたのだろう。おずおずと差し出した手の上に乗ったそれを受け取ってもらえた時、嬉しくて微笑んでしまい名前を呼んでしまったのだ。

「っ」
「三成さんは剣術がお強いと聞きました」
「その様な」
「あと筆も」
「姫」

声に反応して頭を上げると困ったような顔をしてじっと見つめてくるので私は思わず息を飲む。

「姫」
「はい」
「私の様に身分低い者に親しげになさらないでください。」
「え?」
「私は侍童です」
「私」
「秀吉様に迷惑が」
「あ…」
「姫?」
「御免なさい」
「姫っ?!」
「貴方に迷惑をお掛けいたしました」
「泣かないでくださいっ」
「っ」

溢れる涙を拭っていると三成さんはこの世の終わりの様な顔をしてじっとしている。
益々居た堪れなくなって泣いていると獣の様に彼が唸る。

「御免なさい。私如きが貴方を煩わせてしまって」
「違うっ!!!」
「ひっ」
「あ…」
「御免なさい」
「申し訳ありません。違うのです。」
「三成さん?」
「刑部にも言われました。私は言葉が足りないので、貴方を御不快にさせてしまうと。」
「吉継さんがですか?」
「はい。ですから余り親しくしてしまうとこの様に姫を怖がらせてしまいます。」
「私は」
「?」
「貴方と話したかったのです」
「…は?」
「嫌われてしまったのかと。父や母の様に。私はなにもしていないつもりでも貴方の気に触ることをしてしまったのかと。そう思うと辛くて…」
「っ!違います!!!」
「三成さんは私が嫌いですか?」
「貴方は秀吉様の養女で姪御様でございます。嫌う事など!」
「…」
「姫」
「貴方も大人たちと同じ事を仰るのね」
「あ…っ」
「…」
「姫」
「…」
「私に許可を」
「?」
「私は貴方が恐れ多くも秀吉様の姪御様でございますが、」
「三成さん?」
「仮にそうではなくとも、好ましい方と思っておりました。」
「⁈」
「貴方の様な女子になんと申せばいいのか。私はこの様な性格ですし。刑部に尋ねると先程の様に言います故。御不快申し上げませぬ様していたのですが。申し訳ございません!斯くなる上はこの腹」
「えっ?!待って!嫌です三成さん」
「姫?」


私もっと沢山貴方と話したいですと言えば色白の肌が真っ赤に染まっていく。
きっと私もだろう。ここに来てこんな優しさに触れたのが初めてだったのだから。


「三成さんは優しいです」
「は?」
「またお話ししても良いですか?」
「しかし」
「貴方の時間がある間でいいですから」
「ならば、私の事は三成と。敬語もなりません」
「ですが…」
「私の様なものにその様なお優しいお言葉をお掛けいただくと姫が侮られます」
「…わかった」


そう言うと三成さんは静かに笑い、私に手を出す様にと促す。

ころりと手に乗ったのは先程の紅い石で。私はそれと彼の顔を交互にみてしまう。くつりと笑われて差し上げますると言うものだからこの様な高価なものは頂けないと首を横に振る。

「良いのです」
「ですが」
「差し上げるつもりで買ったものですから」
「…」
「では私は」


そう言って去っていく三成さんの後ろ姿を見て嬉しいのに心の奥がチリリと痛む理由がわからなくて。静かにそれを握りしめた


幼子の恋

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