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変換なしの雑食夢

ran

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十二国

「相当信用が無いな」
「?なんの話だ」
「これをやる」
「…?」
「お前の愛妾…早々に破るな」
「下らぬ事を」
「王妃殿下のお願いだったからな」
「はぁ」
「まぁ数百年の実績と言うものだな」
「言うな」
「わしとしては真っ当な王となってくれてありがたいがな」
「お前な」
「ん?」
「夫婦の危機を笑うな」
「今までが奇跡に近いだけだろう」
「…優しい臣下に恵まれて俺は嬉しいよ」
「そりゃあ良かった」
「で」
「ん?」
「どうだあいつの状態は」
「まだ顔色が悪いな。玉雪からは?」
「根が深い分しばらくかかるとは聞いた」
「そうか。お前」
「なんだ?」
「見舞いに行ってやって無いのか?」
「…」
「寝ている間に行って直ぐ帰ってきてる」
「成笙」
「馬鹿だな」
「…」
「寂しがっていたぞ。これ以上拗らすな」
「だがな」
「後宮の一室でいいるあいつの事を考えてやれ」
「少し出てくる」





先ほどから庭に出ていると散っていく花々が顔の上に降り注ぐのがわかる。眠たい。暖かい日差しの中微睡んでいると視界が暗くなる。誰か来たのだろうか?


「おいっ!」
「え?」
「…寝ていただけか?」
「主上…?」
「すまん。何かあったのかと」
「大丈夫ですか?」
「っ」
「主上?」



急に揺さぶられて目を開けるとなぜかお辛そうな主上がいて逆に驚いてしまう。主上?と声をかけても花びらを取ってじっとこちらを見つめる。少し視線が痛いのだ。

「如何致しましたか?」
「お前が儚くなったのかと思ったのだ」
「まぁ」
「体はどうだ?」
「元気ですわ」
「強がるな。顔色が悪いな」
「擽ったい」
「動くな」
「しかし」
「うん」
「?」
「愛している」
「…」
「どうかしたのか」
「いえ。本当にどうしたのですか?」
「どういう意味だ」
「半年もここに留まっておいでですから」
「ここは俺の家だ」
「それは」
「今はここでいたいからな。あと」
「難民でございますか?」
「ああ。増えそうだ」

そうと言った瞬間抱きかかえられるのだから小さな悲鳴が上がる。
主上は素知らぬ顔だが私にとっては恐ろしい

「如何した。珍しく縋ってくるな」
「視線が高くて。恐ろしいのです」
「ははは。お前は小さいからな」
「主上が偉丈夫なだけで御座いましょう」
「褒めるな」
「真実を申した迄です」
「おまえなぁ」


そういうと六太の様に抱きかかえられる。益々持って視線が高くなるものだから主上頭にしがみついてしまう。
クククと笑うものの仕方が無い。


「いい加減下ろしてくださいませ。」
「いや、まて…。あそこなら良いな」
「ああっ!こんな高いところに置かれては私降りられませぬ」
「いやいい。あとで降ろす」


そう言いながら庭木の一番高い枝に座らされる。視線が高くて主上と同じなのだから何か縋るものを探す。結局はなくて、主上の肩にすがらせていただくのだが自分でもわかる。かなり泣きそうな顔をしている事だろう。

「ここなら逃げられまい」
「主上」
「お前は俺が嫌いか?」
「は?」
「夫婦としてやっていけぬか?」
「一体?」
「答えろ」
「私が一番愛しい方は貴方様だけで御座いますよ」
「嘘偽りないな」
「はぁ」
「…なら何故褥滑りなどいう?」
「!」
「答えよ」
「いえ、それは」
「ではずっとこのままだ」
「っ!」
「言えぬか?」
「…偲んで」
「ん?」
「恥を忍んで申し上げます」
「許す」
「あの、ですね。」
「…」
「その」
「…なんだ?」
「主上がご満足できる様なお相手は私には無理で御座います」
「…は?」
「いえ、覗き見した訳では有りませぬが、その私の様な。貧相な、体では」
「見たのだな」
「っ」
「クククッ。初々しいな」
「おからかい遊ばさ無いでくださいませ。私は貴方様しか知りませぬゆえ」
「知っている」
「あの様な和合などとても…」



そう言って顔を主上の肩口に沈める。死ぬほど恥ずかしいのだ。
すると再び抱きかかえられる。でも絶対に顔などあげられるはずがない。クククという笑い声を聞きながら羞恥に染まっていく


「お前には求めておらんよ」
「…」
「だがな。お前の目てどう映るか知らぬが一番抱いて満足するのはお前だ」
「嘘!」
「おっ茹で蛸だな」
「お戯れを」
「まぁ嫌いではないがな。あれも」
「…」
「だが、いつもお前を抱いているつもりで抱いていた」
「…」
「一度情事の時にお前の名を呼んで大変だったことがある」
「…」
「そう膨れるな」
「嘘つき」
「嘘をついてどうする」
「だって」
「では試してみるか?」
「は?」
「確かにお前を壊さぬ様に力を抑えていたからな。いつもより相手をしてもらうぞ」
「いえ、私」
「お前がいるのに他の女を抱きながらお前を思えというのか?」
「ですが」
「手取り足取り教えてやる」
「っ」


今の今まで抑えていた嬌声が抑えられると思うなよとそう言った瞬間とんでもない方を愛してしまったのでたないかと眩暈を覚えながら。
それでもしっかりとかの人の首に腕を回すのだった



驚く野薔薇

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十二国

あれからは半年。私の周りで劇的な変化があった。一つは玉雪先生が市街の医師から王宮医師になられたこと。絶対仙にはならぬと固辞していたのを説き伏せたのは、あの大宗伯様で。その上意気投合して結婚までしてしまったのだ。毒舌家と毒舌家の夫婦かと太宰様がたじろいでいたのが記憶に新しい。
そして何故か主上が出奔せずに真面目に執務にあたられているのだ。


「当たり前の話だろうに」
「私からすればあの2人の結婚以上に青天の霹靂です」
「まぁわしもそうだがな」
「何か悪い病気でしょうか?」
「真面目に執務をすることがか?」
「…」
「普通のことなのになぁ」
「普通のことですのにね」

太宰様に書簡を渡しながら私たちはため息をつく。
実際だ通常の王が行うことを半年されただけなのだがと苦笑すると気づいた太宰様がお互い大変だというのだから延という国は不思議なところだとおもう。

「でだ」
「はい」
「体の調子は如何だ」
「平気でございますよ」
「わしにまで強がらなくていい。きちんと言ってくれた方が内々で済ませてやれるから皆助かる」
「…」
「如何した?」
「いえ」
「気味悪がるな。今までの行いが身に染みる。」
「そう言うわけでは」
「今までが異常だ。皇妃に対する対応も何もない。済まなかった」
「…」
「次は絶句か」
「本当に皆様如何致しましたのでしょうか?」
「まぁ改心だ」
「はぁ」
「で」
「体調は以前よりは」
「そうか」
「鳩尾近くにある臓がいけないのだろうと。其処が爛れると他と臓を傷付けて死に至るそうです。仙故になまじ死なずと仰っておいででした。申し訳ありませぬ」
「何がだ」
「何の手伝いもできず。後宮で寝ているばかりで」
「今は病を治すのが先だろう。大体今までの仕事の大半は彼奴がやるべき仕事だろう?何もお前さんが気に病むことではないな」
「はい」
「元気になれば慰安はしてもらいたい。現場からの要請が凄いからな」
「手紙を書きます。」
「そうしてくれると助かる」


そういって私は硯箱を取る。そして言うか言うまいか思案してじっと太宰様を見る


「…」
「如何した」
「主上は如何お過ごしで越しでございますか?」
「あの馬鹿か?内殿と正寝を往復しているな。時折此処に?」
「いえ。あまり。」
「そうか?てっきり」
「太宰様」
「ん?」
「よき人が居るでしょうか?」
「そりゃあお前のことだろう」
「いえ、そうで、はなく」
「なんだ。歯切れの悪い」
「その、お相手を」
「相手?」
「伽の」
「あ?」
「あの主上が禁欲な生活ができましょうか」
「…」
「恥を忍んで申し上げますがあの様な事とても私には…ですから」
「まぁ、なぁ。いや、そんな事よりもだ」
「?」
「お前さん、あれの何処が良くて結婚したんだ?わしには其れが最大の謎だ」
「私が御慕い申しているだけです」
「其れがわからん」
「不誠実な男だぞ」
「目的の為にやむ終えないのは理解しておいででしょ?ご自身の賄える範疇の行為を怒る事は出来ませぬ。」
「だがな」
「彼の方は私に約束をして下さいました。他に後宮に女は入れぬと。其れを違えずお守り遊ばしてくださるだけで私には十分でございます」
「本当にお前さんは」
「?」
「致命的に甘えるのが下手だな」


そういうと呆れたような顔をして太宰様が笑う。下手なのではなくわからないのですと言えば無欲だからなと付け加えられる。決して無欲ではないのだ。失った寵愛を如何にして戻せるのだろうかと何度も思案して無理だと知っただけですと言えば否定も肯定もなくただ有るのはため息だけだった



野薔薇の吐露

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十二国

「まぁ、彼女が貴方に愛想尽かさないほうが奇跡に近いですからね」
「お前、自分の主に言う台詞か?」
「有体で申せば反省せずに同じ轍を踏む馬鹿と申しましょうか」
「…」
「御反論でも?」
「言えぬから悔しいのだ」
「今回は何を申されたのです?五十年前は出て行くとおっしゃりましたが今回は?」
「…すべりだ」
「はっきり申しませ」
「褥すべりだ!!!」
「…」
「なんだその顔」
「其れに近しい状態ではありませんか。何を今更」
「…どういう意味だ」
「其の儘ですよ。良くて一月悪くて半年。帰ってきて溜まった執務で忙しいですからね。同衾などしておらんでしょう。」
「誰のせいだ!帰ってきた早々括り付けられて執務させられるのだぞ、お前に!」
「ご自身の出奔癖を呪いなさい。」
「…」
「貴方の出奔癖は只の悪癖ではなく万民皆健やかであるのを知りたい為だからお許しいたしましょう」
「あいつか」
「如何にも。六官以下皆王は彼女のほうだと思いましたよ。」
「…」
「貴方がいない間官位のない彼女がいかに大変か。人格と品位のみで百官と渡り合っているのですから。その上、出奔後の貴方達の心配及び采配までしているのですから頭が上がりませんよ、実際」
「解っているがな」
「無冠無給で労しい限りですね」

ことりと置かれたお茶を忌々しく見る。仕事の合間の小言の中では過去に例を見ぬ手厳しさだと。

「それと」
「ん?」
「貴方が女を抱く粗さは如何なものか。彼女の様な華奢な女性には実際相手は不可能で御座いましょう」
「馬鹿かお前は」
「あれは俺の唯一の女だ。他のものと同じ様に扱うわけなかろう」
「はぁ?」
「食い散らかせるか?あれを」
「…」
「如何した?」
「貴方が大うつけ者と言うことを忘れておりました。」



如何いう意味だと尋ねると嫌な笑みを浮かべられる。


「自分を抱かずに他の女ばかり抱いていたら誰だって飽きられなのだろうと思うでしょう」
「?」
「時折彼女も聞いているはずですよ」
「何をだ」
「貴方が女を如何にして抱くのかを」
「…」
「風漢殿は些か女受けがよろしい上金払いが良いから女将は横の部屋に通すのですよ」
「それは…だが」
「何より」
「?」
「致命的に下手なのですよ彼女」
「何がだ」
「人に甘えることが」
「!」
「今回も思案してのことでしょうけど」


名を呼ぶと今日だけですよと返ってくる。彼女がいなくなると官が困るのですという言葉を聞いて走り出す。
きっと彼女は部屋にいるのだろう。そう思いながらかけていくのだった


寄り添いたい風

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十二国

「…」
「ん?」
「主上?」
「夢ではないぞ」
「の、様でございます」


目を覚ましたら主上がいて思わず固まってしまった。すると面白い玩具を手にした赤子の様に屈託無く笑うものだからこちらが困ってしまう。

「何を驚く」
「いえ」
「昨晩帰ってきたら寝ぼけていたな」
「お恥ずかしい限りです」
「ん?」
「急な御帰還如何致しました?」
「当分玉座を温める」
「…」
「なんだ?」
「いえ」
「如何やらお前の俺に対する信用は地の底らしいな」
「そう言うわけではありませんが」


そう言って寝台から抜け出そうとすると腕を掴まれる。どきりとする。この方の体温自体を感じるのすら久し振りなのだから

「また痩せたか?」
「?」
「手首が細いな」
「貴方様に比べたら」
「いや…」
「誰とお比べですの?」
「…昔のお前だ」
「…」



痩せたなと小さな声で言われるものだから居た堪れない。


「もう少し食べろ」
「余り食べたくないのです」
「幾ら死なぬと雖も動けなくなる」
「私のことよりも」
「今はお前の話だ」
「主上」
「延王としてお前を筆頭とするわけにはいかぬが俺個人としてはお前が一番大切だ。」
「…」
「何故額に手をやる?」
「いえ、お熱があるのかと」
「お前なあ」
「無理をなさらずともよろしいのでございますよ」
「無理なことあるか」
「主上」
「俺は」
「?」
「お前を娶ってよりどれだけ無理をさせてしまったのだろうな」
「…」
「此処まで痩せるのに気が付かなかった自分に愛想が尽きる」
「主上」
「なんだ?」
「お褥を」
「ん?」
「下がらせてくださいませ」
「…」
「愛妾をおつくりくださいませ。私には」
「それ以上言うな」
「貴方のお相手が出来かねまする」
「言うな!!!」
「っ」
「…すまぬ」
「いえ」




そういって主上がベットから抜け出す。そして少し悲しそうな顔をして名を呼ばれる


「朝議の時間だ」
「主上?」
「少し休め」
「…」


また後でくる。そういって立ち去られるのだ



孤独な野薔薇

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十二国

「初めまして」
「初めまして。この様な姿で申し訳ありませぬ。泰王陛下、泰台輔。」
「その呼び名は。貴方様にいわれると」
「ふふふ。ですがもう王で御座いましょう?」
「…」
「驍宗様。お顔が怖いですわ」
「からかわないで下さい。延王妃殿下」

ふふふと笑って泰台輔と景台輔をみる。困った様な顔をしてこちらを見るものだから苦笑しか出ない。首尾は?と尋ねることはないだろう。六太と声をかければにたりと笑うところを見ると成功したものの無茶をなさったのだろう


「主上」
「言うな」
「言わせないで下さいませ。何をしたのです?」
「叩頭礼を」
「しかも無理やりだぜ」
「主上!」
「だがよくわかっただろう?」
「ですがあの様な真似を!」
「景台輔。僕は大丈夫です」
「だけどよ」
「主上、あれ程無体はなりませぬと。」
「だがな」
「貴方様の才覚も性分も知っておりますが…それについて行けるのも延の者だけなのですよ」
「わかっている。まぁ落ち着け」
「延王妃殿下。私がお願いしたことです。落ち着いて」
「泰台輔?気分は大丈夫ですか?お苦しい所などありませぬか?」
「はい。」
「泰の白様も申し訳ありませぬ」
『いえ』
「もういいだろう。休め。」
「主上」
「無事に収まった。特に泰はお前が気に掛けていたからな。」
「はい」
「無理が祟らぬ間に少し休め。出ないと本当に大変なことになるぞ」
「…」
「わかったな」
「はい」



そう言って私は寝台に身を沈める。すると泰台輔が優しく手を握ってくださるので私はびっくりしながら泰台輔とよぶ。あどけない笑みを浮かべてこちらを見る。

「昔」
「はい」
「熱が出ていたとき寂しかったのです」
「はい」
「寝るまで手を繋いでいてよろしいでしょうか?」
「泰台輔が大変ではありませんか?」
「はい。延王妃殿下は?」
「私は嬉しく思いますよ」
「嵩里」
「驍宗様?」
「よろしいのですか?」
「貴方様が良いと仰って頂けるのなら」
「それは無論」
「本当に慈悲に満ちた良いお子です。泰も良い麒麟を迎えられましたな」
「んなこと言うなよ。俺だって」
「六太」
「あのな。チビ。こいつは俺の母ちゃんなんだからな」
「六太」
「…なんだよ」
「私の左手が寂しがっているわ」
「!!!」
「仲良くなさい。貴方は私の可愛い悪さなのですから」


そう言うといつの間にか左手をとって歌を歌っている。景台輔は微笑んでいる。

「この人たらしが」
「あら酷いわ」
「何が酷い者か。夫を差し置いて」
「可愛いお子に囲まれて私は幸せですわ」
「の様だな」
「主上?」
「泰王と話がある。」
「あちらに部屋を用意しています」
「すまぬな。…寝ていろ」
「はい。っ。主上?!」
「接吻は夫の特権だ」
「…破廉恥なことをなさいますな」
「可愛いことを言うな。では」
「良いお話し合いになります様に」
「はい」


そう言って背中を見届けるとふにゃふにゃと溶けていく意思を感じるた。不意に見た泰台輔がお優しく笑われているのを見て一安心をして私は意識を手放すのだ



微睡みと接吻

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