5.28三成 続き 小ネタ 健全 2015年05月29日 「初めて聞いたんだけど」「今初めて言いましたから」目の前の麗人はそう言うと湯呑みを持ったまま私を見る。ここに来て初めて見た。この人もこんなことができるのかと内心驚きながら私もお茶を啜る。「三成君と君?」「御心配なさらずに。何の間違いもありません」「君ね」「で、私は何処の男に売られるのですか?」ニコリと笑って半兵衛を見ると女の子がそう言う事言うものじゃないよと返ってくる。「嫁ぐといいなよ」「好きでもない男の子を産みに行くという事実を私なりに秘匿していったつもりですが…」「三成君も君の何処が良いのかな?僕には理解できないよ」「さあ?」「彼にはまだ早いと思っていたんだけどね。」そう言ってため息をつく半兵衛に私は冷笑して、反対?と尋ねる。「なら、三成に言って下さい」「どういう事かな?」「あれはならんと。」「…」「私は三成が好き。嫁ぐのも子を成すのも三成がいい。だが私は伯父上の養女です。あれは知っているのか否か…どちらでもいいけれども。役割を果たして死ななければならないこと位、子供でもわかる。」「君はそれでもいいのかな」「良くはないわ。だからといって貴方達が私の願いを叶えてくれた事があったかしら?」「それは…そうだけれども。」「まだ半兵衛には言えるけど、伯父上には言えません。頭を垂れてはいというだけ。あの人には私など駒の一つでしょ?あゝ。これは貴方にも言えるか」「…」「沈黙は肯定とおっしゃたのも貴方だわ。」「君は」「ん?」「子供の頃からそうだ。聡明で聞き分けがいい。器量も良い。僕と三成君、吉継君の前以外では礼儀も弁えている。其れなのに何も欲しがらない。何時も何処か諦めている。」「ふふふ」「今回もの程度?」「いいえ」違う。そういえば半兵衛は片眉を上げて私を見る。幼い時分より何も求めていなかった訳ではない。欲しいものもやりたい事もあった。母を恋しがり父に会いたいと泣いた事もあった。ただかなった事があっただろうか?母を恋しがった次の日母は城を出た。父に至っては実の子ではもうないと拒絶された。私の侍女は私が怪我をした次の日死んでしまった。そこまで言って半兵衛をみる。バツが悪いのだろう苦虫を噛み潰した顔をして視線を逸らす。「だからだよ。半兵衛」「…」「三成には手を出させない。」「ああ」「その代わりどんな男の慰み者にもなってやるわ。私にだって覚悟はあるの」「そうかい」言って半兵衛は席を立つ。早のおかえりだと笑うと名前を呼ばれる。顔を上げると悲しそうな半兵衛がいて思わず笑う。「何処へ行けばいいか決まったら教えて。何処でも行く。」「君ね」「その代わり三成に何かしてみろ。直ぐに死んでやる。」冗談に聞こえないよといって半兵衛は出て行った。冗談な事あるかと言う私の台詞は誰にも聞かれず空に消えたのだ。万華鏡の悲鳴 PR