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変換なしの雑食夢

ran

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bsr 三成

三成は美しいなと言えば、困った顔をして姫と言う。何が姫だと冷笑すれば益々美しい顔を歪ます。私はこの顔が嫌いだった。

「三成」
「は」
「笑えとは言わんがその顔はやめてくれ」
「は?」
「怒ってても良いが困惑は嫌いだ。」
「あ…」
「その顔は私にしかせぬからな」
「っ」


下がってくれと言えば三成は何も言わずに下がって行く。当たり前だ。伯父上に言われて渋々来ているのだから、あの男は。惚れた腫れたの機微がわかる奴ではあるまいに。解っている。解っているのだが、求めてしまうのだ。あの愚直な迄に純粋で無垢な美しい男を

「不毛よな」
「言うな吉継」
「あれは太閤しか見えぬ男よ」
「知っている」
「ヒヒヒ。姫も不幸よな」
「ある程度に」


茶室で吉継に言えば案の定、不幸よなで終いがついた。ずずっと小気味よい音を立てて吉継は茶を飲むとそういえばと言い始める。


「何だ」
「姫の輿入れが決まったらしい」
「そうか」
「興味がないか?」
「知らぬ男に孕まされに行くのだろう?期間は死ぬまで。たかが知れている。」
「冷めておるか」
「この世はな。私にとって醒めぬ悪夢だ」
「ヒヒヒ」
「何一つ思い通りにならんな。着物の柄一つとってもだ」
「時に」
「?」
「三成とあわしゃれ」
「なぜ」
「あの後より飯も食わずよ」
「食えと言えばいいだろう?」
「暴れて困った。コマッタ。」
「伯父上に言えばいい」
「聞かぬキカヌ」


太閤直々の命よな。と言われれば動かぬわけにはいかない。侍女を呼んで連れてくる様にと言えば吉継がすいっと横に並ぶ。


「あれは惚れた腫れたの機微がわかる奴ではあるまいに」
「知っている」
「だから己の気持ちがわからぬのよ。」


如何いう意味だと尋ねる前に声が聞こえる。入れと言えば銀色の髪がみえる。一月ぶりに見た顔は思いの外痩せている。

「誰か膳を」
「姫」
「吉継から聞いた。また食べていないらしいな」
「…」
「食べなさい」
「…」
「如何した?」
「婚儀が」
「あ、ああ。決まったらしい」
「誰ですか」
「なぜ聞く?」
「姫に相応しいか否か」
「それは伯父上と半兵衛が決める事であって私が決める事ではない」
「しかしっ」
「お前がそんな事を考えるべきではない。」
「っ」
「…そのような顔をするな」
「姫」

お前は私の前では困った顔しかせぬなと言えば益々苦渋に満ちた顔になる。


「そうか。私と共にいると困るか」
「そんなっ!!!」
「良い。無理をさせた。伯父上には私から言っておく。」
「姫」
「もう会う事もあるまいが達者で」

婚儀までの辛抱だというか否かの刹那、手を握られる。指先を包むように握るその男の口からは許可を求めるそれが紡がれる。

「私は今まで秀吉様と半兵衛様があればいいと」
「手を」
「ですが…貴方様にお逢いした時から…」
「離してくれ」
「貴方を守りたいと」
「三成」
「姫に」
「言うな」
「懸想してしまったのです」
「言わないでくれ」
「どうか」
「…」
「貴方を思う許可を」



困惑でも苦渋でもない双眸がこちらを見る。
贖わなければならない。私は嫁ぐ身なのだから。だが贖う事など出来ない。

「三成」
「は」
「私を」
「姫」
「愛して」
「誰よりも愛しています」




絞り出された懇願
縋るように身を寄せる。


これでいい。どの様になったとしても悔いはないと私は瞳を閉じて身を任すのだった




薄氷の契

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