忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

嫌われるダリューン 3

「サクラ」
「はい、殿下」
「ダリューンの怪我の具合は?」
「大事ありませんよ。打撲で裂けましたから日和はいりますが。」
「そうか」
「殿下?」
「サクラに聞きたいのだが」
「はい」
「ダリューンの事が死んで欲しいと思うほど嫌いなのか?」
「は?」
「試合中、皆が心配していたがサクラだけは平静だった」
「あ、ああ」
「二人の間に何があるか知らないが」
「殿下」
「?」
「私は知っていただけで御座います」
「は?」
「それこそ。私は彼の方が小さい折から知っております。大将軍様の妻は私の父の姉で御座いますから。気に食いませんが幼馴染で御座います」
「気に、食わないのか?」
「今はもう。昔は誇らしかったのですが…まぁその時分から彼の方は腕力だけの大人に負けた事はありません。というよりも大将軍閣下以外に負けた所を見た事はございません」
「そうなのか?!」
「生まれついての武人なのでしょう。その上貴方様の命とあれば負ける事はパルスの…いえ貴方様の汚点になりますので…必ず勝つのが彼の方なのです。その為に血のにじむ鍛錬をしているのですから」
「そう、か」
「ですから。私は彼の方が負けるとは思いませんでした。昔からそのような方なので御座います。心配したらよく困っておいででした。普通、困るところではないですがね。心配しても無駄なのでございます」
「信頼しているのだな」
「昔は。」
「…サクラ」
「今となってはそれがまた腹立たしいので御座います。彼方は化け物なのでございますよ?それを知ってか知らずか力量の差を見せつけて私に退役しろとばかり。今回のように強きものと戦って少し怪我をするくらい良い気味なのです」
「ふふふ」
「?」
「サクラは我々の誰よりもダリューンを理解して信頼しきっていたから恐ろしくはなかったのだな」
「腹ただしい事が多い御仁ですが死ねと願うのとはまた別の話で御座います。私も鬼ではありませんし、それほど嫌なら怪我の手当てなどいたしません。大体何度も申しますが私より向こうが嫌いなのです。」
「そうではないが…安心した」
「殿下」
「それにしてもサクラは幾つなのだ?」
「年ですか?21になります」
「?!」
「あからさまに驚かないでくださいませ。『体型のせいか』などと言ってギーヴ殿は大笑いしたのですから」
「いや、もっと若いと思ったのだ…私より1つか2つ上かと」
「腐っても千騎長を襲名しております。…数ヶ月の任期でございましたが」
「それはナルサスが気の知れた其方を部下にしたいと申した故で実力は遜色ないと知っている」
「ありがとうございます」
「なれば早く結婚せねばな」
「…心配無用でございます」
「…」
「心配無用でございます」
「…わかった」
「それより殿下。少しお休みください。つか、れ、が」
「サクラ?!おい!誰か!!!」





サクラが倒れた。心労でございますと医師は言う。あの平静な顔の下は我々が思っている以上に心配していたのだなと誰かが言った。昔から優しい娘だった。戦い事も本来向いていない優しい情の厚い美しい少女だった。



「寝ていたら治ります。」
「そう、か」
「それでは我々は失礼いたします」
「…」
「殿下。我が弟子をありがとうございます」
「いや、私のせいだ」
「?」
「サクラの心中まで測れずに酷いことを尋ねてしまった」
「殿下」
「これはそんな柔な娘ではありません。口では言いませんが態度に出ますゆえ」
「まぁ…それがサクラのいいところだと」
「そうでございます。真面目で手を抜くと言うことを知らない可愛い弟子でございます」
「そうだな」
「昔からそうなのでございます。ナルサスには釘を刺していましたが…自己犠牲が過ぎるところがあって知らぬうちに熱を出して寝込んでおりました」
「昔からか?」
「そう言っただろう。…無理をさせて」
「すまない」
「ふふふ」
「殿下?」
「流石ダリューンだな」
「?」
「幼馴染と聞いた。」
「はい」
「筒井筒の仲なら…娶らないのか?」
「?!」
「サクラは勘違いしているみたいだ。私でもわかる程度にダリューンに思われているのにな」
「くくく」
「ナルサス?」
「その、話はありましたがサクラ自身が。とても嫌がりまして…」
「そうなのか?」
「最終は家出までしたそうだな」
「ああ」
「…家出」
「聞いたら、屋敷の奥にいるのは出来ないと。そんな事するなら死んでやるとまで」
「サクラらしい」
「それからは頑なで…無理を重ねていましたからその。」
「ついついか」
「嫌われてしまいました」
「そうか」
「殿下?」
「私は似合いだと思うがな。本人が嫌なら仕方がない…ん?」
「…ん」
「サクラ?気がついたか」
「殿下…此方へ」
「どうしたナルサス。早く医師を」
「離れてください。…面白いものが見れます」
「?」






「兄にぃ」
(?!)
「サクラ?大事ないか?」
「ん」
「…」
「怖い夢、見たの。兄にぃが化け物と戦って、怪我、するの」
「そうか」
「兄にぃ」
「泣くな。安心しろ。起きるまでそばにいてやるから」
「ん」
「サクラ」
「兄にぃ、大好き」


嫌われる?ダリューン






(何だあれは)
(熱が出ると必ずダリューンに甘えるんです。そのせいでダリューンも諦めきれずに今に至るわけです)
(難儀な話だな)




拍手

PR

嫌われるダリューン 2

「これをダリューンのところに持って行ってくれ」
「御意」
「…」
「如何致しましたか?」
「いや、嫌がるかと」
「大義に私情を挟みません。しかしながらエラムに頼んでいただければあちらはよろしいかと」
「本当に嫌うな」
「あちらがで御座います。戦さ場でたまたま拾った命でございますし、その上殿下の元、我が師とこうして共に居れること嬉しくは思いますが…なんとまぁ。姑のように」
「まだ嫁いだこともないだろう」
「何が嬉しくて不自由な世界に飛び込まなくてはいけないのですか。私にとっては理解不能としか言えません。」
「お前らしい」
「私は忠節さえあればいいのでございます。武人に貞淑さや母性のどちらもいりますまい」
「お母上が嘆いておろうな」
「私を跡取りとして育てたのですから覚悟の上でございましょう。一般的というのは私の家では常備しておりません」
「お前に一般な事は望んでいないだろう?」
「なれば尚更。私に女子であるなど求めて欲しくはありませんね」
「…怒っているのか?」
「ある程度には」
「…エラムにお願いするよ」
「平和的でよろしいかと」
「時にサクラ」
「はい」
「家裁は出来るのか?」
「戦さ場に出ているからと言われるのは好ましくありませんから一通り。…時折エラムの代わりもしております」
「隙がないな」
「そうでございますか」
「?」
「間者として嫁がせるのならめ命じてください」
「そんな恐ろしい事はしない。大体お前の二つ名は他国でも浸透しているなろう」
「まさか父上の餓狼将軍から雌狼と格下げになるとは」
「そのうち同じ名になるだろう。」
「前線に出ません故。鍛錬を重ねていくのみでございます」
「そういう意味では…まぁ良い。例の薬。頼んだぞ」
「はい」






陣幕を出て私は空を見る。星は出ていて少し寒い。

戦いの前。


この空気が私は好きで嫌いだ。人を殺すのを躊躇するほど若くはない。この手で大切な方を守れるのに疲れるほど歳を食ってもない。
前線に行けない自分が歯がゆいものの自分にしかできないこれを我が師の元行える事は誇りに思うだ。静寂と興奮。





「サクラ殿」
「?!」
「何故」
「居るのは書類をお渡しに来たからです」
「っ」
「失礼いたします」
「待ってくれ」
「?」
「今まで」
「暗きに隠れておりました。私がいると目障りでございましょう?」
「そんな事はない」
「…ダリューン殿?」
「今日は冷える。暖かくして寝なさい」
「!」
「?」
「急にどうしたのですか?」
「???」
「昔のように…いえ。申し訳ございません。ダリューン殿も明日は開戦。よくお休みください」
「…本当に」
「?」
「明日、参戦するのですか?」
「は?」
「やはり」
「…」
「怪我などしてはいけないのだから…サクラ殿?」
「いいえ…おやすみなさいませ」








嫌われるダリューン







「最後のは蛇足だ」
「何がだ」
「怪我のくだり」
「致し方ないだろう。怪我などしては」
「心配か?」
「…ああ」
「あれでも強い武人だ。過保護ではなく軽んじていると思われてしまうと嫌われるぞ」
「わかっているが」
「どうたかな」


拍手

嫌われるダリューン 1

「何故」
「?」
「ここに居られる?」
「え?従軍命令に従っているだけで御座いますが」
「い、や。それはそうだが」
「ダリューン殿は本当に私の事お嫌いですね」
「は?!ち、違います!」
「これでも貴方様のような万騎長殿達の実力はありませんがそこそこの力はございますし。いざとなれば殿下の盾の一つになる覚悟はございます」
「おい。ま、待ってくれ」
「何より我が師の帰還を無視出来る不義理ものではございません。居られましたか。我が師。言われておりました書類をお持ちしました」
「サクラ殿!」
「なんだ、また喧嘩か?」
「いえ。後こちらの生薬ですが」
「ナルサス!」
「無理だぞ」
「まだ何も言ってはいない!」
「サクラの言語学と薬学の知識は私を凌ぐ。妥協案だ。散々話しただろう。一兵士としてではなく侍童として連れて行く。」
「だが」
「剣の腕も弓の腕も千騎長のそれと遜色ない」
「私が至らない為、何より女である為。末座でもご納得されませんでしょう。いざとなれば辱めを受ける前に自刃しますと申し上げても首を縦に振ってはくれません。」
「サクラ」
「我が師。私の至らなさでお手数をおかけして申し訳ございません。ファランギース殿に呼ばれおります故。また後ほど参ります」





失礼しますと一礼としてファランギース殿を探す。さすがに着いてこないらしいと一瞥して殿下と居られるファランギース殿に一礼して居ると我が師といつもの調子で口論するダリューン殿の喧騒が聞こえておもわず顔をしかめてしまう。ファランギース殿に笑われるものの許していただきたいと言って薬瓶を渡しする。




「助かる」
「なんだ?それは?」
「毒薬でございます」
「は?」
「先達てのならず者に一矢報いましたが…断つことはできませんでしたので」
「毒薬と申しましても死に至るものというよりも動きを止めるを目的にしたものでございます。口を割らすのは我が師の役目でございますから無意味な殺生は禁じられております。目下」
「サクラ?」
「あそこの偉丈夫に盛れればその効果を披露できますものを」
「ダリューン殿にか?」
「サクラとダリューンは仲が悪いのか?」
「あちらが私を嫌っておりますから。以前はそのようなことありませんでしたが…最近ひどいのでございます」
「ふふふ。心配なのだろう」
「おかげで千騎長は剥奪され前線から外されました。今は我が師の侍童でございます。殿下」
「なんだ?」
「私はそんなに頼りないでしょうか?」
「そんなことはない。サクラのおかげで助かる面も多い。ナルサスに言われただろう。千騎長としての働きではなく違う動きを期待して居ると」
「…はい」
「だが、あれでは主が心配するのも致し方ないか」
「ファランギース」
「過保護もよろしくないのでございます。我々は守られる女子ではございません」
「それはよく理解している。」
「大体私は殿方など嫌いでございます」
「そうなのか?」
「はい。あ!殿下と我が師。あとエラムは別でございますが。男というものは粗野で我儘で…何を考えているかわかりません。色々と思い出すと腹が立ちます」
「そうか?」
「ええ。特に私は己より弱い男は嫌いでございます」
「なれば万騎長くらいかのぅ。ふふふ。確かに高齢を除けば粗野で我儘か」
「己は夢や忠信には貪欲なのに女には貞淑を求めます。良き母は奥でしか生まれぬとでも思っておるのでしょう。私は真っ平で御座います。」
「サクラは自由が似合うからな」
「!」
「キシュワードが言っていた。アズライールより自由だと」
「人は元来自由なもので御座います。社会通念によってそれを制限されるのでございます。私は願わくば…」
「サクラ殿!」
「…っち」
「こういうところが自由なのだな」
「ふふふ。」
「殿下失礼いたします」
「待たれよ!話が」
「私はありません。目障りで御座いましょうから自室にて控えております」
「サクラ殿!」



「あれではいけないなぁ」
「ナルサス殿」
「ダリューンの思いは通じなさそうだな。」
「逆に拒絶されておりますれば…道のりは長いでしょうな」








拒絶されるダリューン









「…」
「あの」
「なんで御座いますが」
「お、怒らずだ。聞いてほしい」
「何か?」
「やはり出陣は控えた方が」
「あなた様一族やキシュワード様の一族と同じ我が一族も武門の一族。戦に恐れて帰ったとなれば先祖に申し訳がたちませぬ」
「我々は男であなたは女だ。もとより我が従兄弟が養子に入られて武門の名は保っている。あなたがわざわざ前線に立つ必要はなくなっている」
「…」
「だからやはりペシャワールにもどってキシュワード殿の手伝いを」
「…確かに今ここで闘いましても私はあなた様に勝つことは叶いますまい」
「は?」
「大将軍殿と我が父の約定に従い義兄上が参りました故、私は用無しということもよくよくわかっております」
「サクラ、殿」
「家か我が師か殿下の名がございましたらすぐに立ち去ります故」
「な、泣かないでくれ」
「ダリューン殿の目障りにならぬよう控えておりますから」
「な?!そういう意味では」
「それでは」







「ありゃー…」
「嫌われても仕方ないな」
「許可するの?」
「しない。雌狼を敵にしたくはないからな」
「雌狼?」
「あれの別名だ。集団戦法を得意とする家でな。あれの頭の中にはそれの全てが入っている」
「へー。」
「我が師」
「サクラ」
「私は暗に消えますのでご用の際は」
「わかった」

拍手

純白の悪女 次元

「寝てるのか?」




寝息も立てず、微動だにせず。ソファに転がっているこいつを見て一瞬息を飲んだ。死体は見慣れているはずなのに…と苦笑しつつも息をしているか否かを確認してしまう。




「ん…」
「わりぃな。起こしたか?」
「?」
「寝てたぞ」
「えー…ああ。みたい」
「?」
「寝落ち久しぶりだもの。でも、縫製すんだよってルパンさんに言っておいて」
「ああ。」
「次元さん」
「ん?」
「また銃撃戦?」
「わかるか?」
「硝煙の匂い。」
「ああ」
「あなたの匂いは硝煙と煙草とアルコールね」
「酷えな」
「?」
「バーボンにかえてくれ」
「ふふふ」
「起きるのか?」
「ええ」
「寝てていいぞ」
「嫌」
「可愛くねぇな」
「可愛い人も居るでしょ?」
「あ?」




さてとと言いながら立ち上がるのを制してソファに戻す。少し困ったような顔をするのを無視して髪を梳くとはにかみながら、少し遠慮しながら笑うものだからついつい俺も笑ってしまう




「コーヒー淹れようかと思ったのよ」
「しらね」
「酷くわがままな人」
「知らなかったか?」
「知ってた」
「でだ」
「?」
「可愛い人って誰だぁ?」
「え?ああ。…そこ?」
「そこって言っても重要だろ?」
「そうかなぁ」
「当たり前だ」
「次元さん?」
「もうちっと。わかりやすく嫉妬してくれりゃ俺も揶揄いがいがあるんだけどもな」
「ふふ」
「此処で笑うか?」
「だって」
「おい」
「次元さん。私の名前知らない癖に」
「知ってるよ」
「嘘」
「もう3年だ。覚えてねぇ方がおかしいだろ?」
「おかしくないよ」
「…此処までくりゃ可愛いのを通り越して腹立ってくるな」
「?」
「聞いてるか?」
「だって、あなたが言ったのよ?本気じゃない。本気になるなって」
「…言ったか?」
「言った」
「…で、それを鵜呑みにしたのか」
「素直だもの」
「女の嘘はアクセサリーだぜ。振り回してなんぼだろ?」
「それは不二子さん担当。私には無理」
「ちげぇねぇ」
「次元さん?」
「凛」
「…」
「(絶句してやがる)おい」
「え?あ!」
「…」
「離して!」
「く、くくく」
「笑わないで!もう!!!不意に来るから」
「可愛い奴」
「次元さん?!」
「散々振り回したんだ。覚悟しろ」
「え?!まっ!」
「悪い女だ」









純白の悪女

拍手

11本の紅赤の薔薇

「花?」
「ん?」
「なんだ?ありゃ」
「え?ああ。街に行った帰りに摘んできたの。ルパンさんにも聞いたらいいって」
「ふーん」
「はい、次元さん」
「お、すまねぇな」
「いーえ」
「にしても」
「?」
「見慣れねぇな」
「何が?」
「花」
「気に入らない?…部屋に持って行こうかな」
「いや…気にいらねぇわけじゃ無いさ。ただ、見慣れないだけだ。」
「花くらい贈る相手もいるでしょ?」
「あ?」
「ん?」
「如何いうことだよ」
「え?」
「贈るったぁ。…貰ったのか?」
「私が?違うよ。」
「?」
「昨日ルパンさんが不二子さんにこぉーんな大きな花束渡してて。さすがフランス人の血がどっかに入っているよなぁって」
「そういう事か」
「ん?」
「いや、なんでもねぇ。」
「でも良いよねぇ」
「ん?」
「私なんて花贈って貰った事無いから少し羨ましいなって」
「そうかよ」
「でも…ってあれ?どこ行くの?」
「煙草」
「あらら。お昼は?」
「食う」
「わかった」
「そういや。五右衛門が今日着くっていってたぜ」
「お昼いるかな?」
「さぁな」
「鍵」
「ん」
「ルパンさんはあれっきり帰ってこないし。戸締りするから…出来れば早く帰ってきて」
「???」
「銭形さんこないこと祈ってて」
「とっつぁんか?」
「前説教されたの。すっごい心配してくれて再就職先まで見つけてくれるって」
「あ?」
「自分の身も守れない素人だもの。仕方ないよ」
「…すぐ帰る」
「ん?」
「お前さんの帰る家は此処だけだからな。無駄なこと考えるなよ」
「ふふふ」
「?」
「ありがとう」
「ん」






街に出て煙草を買う。それにしても必死な顔で早く帰ってこいっていうかね。あいつはしがねぇ修復士だからなと喉で笑うとタバコ屋の婆さんに不審な目で見られちまうのは頂けねぇ。帽子をかぶりなおして踵を返す。


「ん?」




寂れたとも寂れていないとも言い難い花屋に目が止まる。色とりどりとは言いがたいもののあいつが摘んだ花より高そうな花が売られている。


「珍しいな。贈り物かい?」
「ん?そう見えるか?」
「墓場にだろう?昔泣かせた女にか?」
「あん?」
「あんたの相方は良い鴨なんだけどよ」
「ちげぇねぇ」
「お嬢ちゃんもかわねぇな。まぁ。女は貰ってなんぼか」
「女客敵に回すぞ」
「ははは!ちげぇねぇ。」
「笑うところかよ」
「でなんにする?」
「あー…」
「良い薔薇がはいってるぞ。昔泣かせた女にぴったりだ」
「昔には用がねぇな」
「あ?」










11本の紅赤の薔薇







結局、お昼には誰も帰って来なかった。仕事も無いし洗濯とかも終わったしでやることの無い私はソファで本を読んでそのまま寝ていたらしい。「絢殿。風邪をひいてしまう」という声と揺さぶる振動で私は目が覚めたのだ

「ごえ、もんさん?」
「起きたか。風邪をひく」
「ん…寝ちゃたみたい。」
「のようだが。」
「?」
「それは如何したのでござる?」
「え?」



がさりと音がする。何だろうと思ったら見慣れたジャケットと無造作にリボンで縛られた赤い薔薇の花。
頭がついてこない。何?如何いうことだと思ってフリーズしていると合点の入ったように五右衛門さんが笑う




「通りで次元の奴、上を着ていなかったはずだ」
「え?!あ、の」
「たっだいまー…ってあれ?絢ちゃんどしたの?薔薇の花束なんて抱きしめて」
「次元からのようだ」
「けっ!顔に似合わず気障なことで」
「…」
「で、当の本人フリーズしちまってるけれども?」
「返してくる!」
「は?」
「どど如何したの?!」
「だって!間違えておいたのなら返さないと!」
「…報われぬでござるな」
「絢ちゃん天然だからなぁ。なぁ。その花束の意味知ってるか?」
「…?」
「次元はロマンチストだからよ。…死ぬ程恋い焦がれる最愛を間違えるはずねぇよ」
「は?!え!!?」
「ぬふふふふ。真っ赤になって可愛いーんだから。」
「ルパン」
「あぶねー。あぶねー。…ほら行っておいで」
「はい」




「ぬふふふ。あんなに急いで」
「鉛玉を撃ち込まれるぞ」
「意外と嫉妬深いからな。次元の奴」
「お主のように軽薄では無いだけだ」

拍手