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変換なしの雑食夢

ran

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風闇光

血まみれだ。私も家康も。婚礼道具や白無垢はもうボロボロだ。父母のいない私に代わりとして幼い折より半兵衛様が用意してくださった品々。君が嫁ぐ折と思っていたけど相手が三成くんだからより、嬉しいよと笑ってくださったのに。なににも変えがたい品々だったのに!
このやろうと思いつつも上がらない腕に辟易する。本当に嫌になるわと独白すると顔を掴まれて持ち上げられる。けっ!それしていいのは秀吉様だけだろうが!



「おい」
「痛いだろう。考えていた以上ひどくなった」
「誰のせいだよ」
「わしのせいだな」
「当たり前よ。私明日で武士辞めるはずだったのよ!」
「それは無理だな」
「あん?!」
「お前は三成の側から離れられんよ」
「あは」
「だからだな」
「あのさ」
「ん?」
「頭痛い!」
「すまんな」





いつも通りすぎて恐ろしい。
だからこいつ嫌いなのよ。笑ってても笑わない男。三成みたいなまっすぐではないぐちゃぐちゃに絡まった男。ほんと嫌な男に好かれたもんだわ。溜息をつくとくくっとわられる。んとうに。

家康が謀反を企てるのは三成以外皆知って居た。ただ。今日するかよ。嫌な男だ。明日、三成のもとに嫁ぐはずだったのになぁ。
三成の女に。たった一人の正室になるはずだったのに。最後の最後で邪魔しやがって。
三成も吉継も秀吉様も半兵衛様も大坂城にいるからここまで来るにはまだかかりそうだし。きっと本田が邪魔してんだろうし。多方からの攻撃ならば私は無理っぽいな。間に合わない


三成。



「また、三成のことを考えて居たのか?」
「そうね」
「…」
「旦那様と呼べなくて辛いわ」
「そうか…では」
「?」
「わしのこと呼んでみるか?」
「やだ」
「つれないな」
「私あなたのこと嫌いだもの」
「そうか?三成と対だと言って居ただろう?」
「面は光で中が闇。三成はその逆。私の最愛と最悪。」
「好きも嫌いもというからな」
「バカ言わないで」
「…さて、と」
「?」
「愛している」
「?!」
「これからはずっと一緒だ」
「絶対に嫌」
「そういうお前が愛おしいな」
「私は大っ嫌い」



三成


ごめんね。



『明日ー…』



明日は来ないみたい。あなたに手を取ってもらって貴方の側で笑えるって。夢見すぎたみたい。
こんな人殺しが人様以上に幸せになろうと欲を出したせいだね。ごめんね。本当にごめん。



泣かないでね。
私以上に貴方を愛している…あ、嘘。ごめん。貴方の横で他の女が笑ってたら呪うかも。最後の最後まで我儘だわ、私。

でもさ、貴方に幸せになってほしい。誰よりもずっと。





まっすぐで
真っ白で



意地悪で
優しくて




愛しい貴方だから











(み つ な り)







「?!!!!」








愛してる






風闇光




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光風闇

「家康はいいね」
「?」
「光に変わったじゃない」
「あ、ああ。」
「いいなぁ」
「変わったことがか?案外大変だぞ」
「そう?でも」
「!」
「羨ましい」
「…そうか」




そういうと彼女はにこりと笑う。いつものことながら美しく笑っているのに心底笑っていない。
目が笑って居ないとかういう話ではなくて、現に目も何もかも笑っているのに。のに中身はちっとも笑っていない彼女をわしは愛している。羨ましいとどろりとした感情がまとわりつく。それを表に出さないのは彼女が腹に隠すせいではない。隠すのならばもっと可愛い感情を生むだろう。嫉妬とか単純でかつ面倒な感情表現を彼女はしない。もっと不可解で純度の高いそれをわしは絆と呼ぶのだと知った時それが欲しくて仕方なくなった。
彼女とわしの絆。ありしないそれ。わしが愛した彼女は三成を愛している。

風のようにわしの手では掴めない彼女は三成のもので。なにより彼女の行動原理は三成なのだ。だから私の光が羨ましいとそういうだろう。表裏一体で対たるわしの光が。





「だか大谷殿には言わないな」
「刑部?」
「同じ闇だろ?」
「ふふふ」
「?」
「刑部には敵わないわよ。一対ではなくて一体だもの。本体を羨ましがってって笑われるのがオチだわ」
「そうか?」
「この間なんてお守りが増えるって」
「言いそうだ」
「嬉しいくせにね」
「ああ」




婚礼まであと僅か。乙女心を理解できぬ三成と三成さえあればあとはどうでもいい彼女。それに振り回されて喜ぶ大谷殿。この絆はそう簡単には綻びはしない。きっと誰かが欠けたとしてもだ。それほど強固な絆を羨ましがるのは他でもない。わし自身。





「家康?」
「ん?」
「どうしたの?」
「どうもしないさ」
「ならいいわ。にしても三成とあなたは一対のようで羨ましいわ」
「え?」
「秀吉様と半兵衛様のよう。」
「そう、か」
「妻で一対なら良かったのに」
「わしに言われてもだ…」
「いいな」
「おい」
「私も獲物変えようかしら」
「暗器の達人だろう」
「光になればいいのに」
「私が特別変わっているだけで、普通はもって生まれたものだ。」
「まあ私は光にはなれそうにないけどさ。ならせめて闇なら良かったのに」
「?」
「ならどっぷり三成に浸かれて離れることないでしょ?」
「言っていることが怖い」
「あら?そう?」
「だがわからなくもない」





手に入らない彼女
もうすぐ他の男のものになってしまう彼女



このまま閉じ込めてわしのものにしてしまいたい。どっぷりと依存させて奥の奥に閉じ込めてわしが居なければ生きて行けなくなればいい。三成に向ける蕩けるような笑みを浮かべてわしだけを見ればいい。わしだけと話してわしの手からしか食さずわしの腕以外で寝なければいい。
今の彼女と三成のように

それが無理なら一層のこと。たとえその頭だけでもいい。わしのものになればいい。





「家康?」
「ん?」
「ふふふ」
「どうした?」


三成とお前が番うその日。わしは豊臣に反旗をひるがえす



「やっぱり羨ましい」




嗚呼、あいつが羨ましい







光風闇



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嫌われるダリューン 5

「ジャスワント殿」
「サクラ殿。どうした?」
「今宵も殿下の身辺警護に?」
「ああ」
「なればこれを」
「?」
「ここの寒さは私でも堪える。私のもので申し訳ないが厚手の掛け布と温かい飲み物です」
「…」
「私がいれたものです。安心して下さい」
「ありがとう」
「いえ」
「…」
「?」
「貴女は私を疑っておいでか?」
「え?」
「毎日この様にして頂くゆわれはない…何か言いたいことがあればはっきりと言って下さい」
「…疑っておりませんよ。」
「…」
「確かに中にはその様なものがおります。が、全員では有りません。」
「古参の方は俺を嫌っている」
「ふふ」
「?」
「私は大層嫌われております」
「…は?」
「確かに我が家は武家の名門。父は死ぬ前年まで餓狼将軍として万騎長でした。母の家からも多数の千騎長はじめ2人の万騎長を輩出してます」
「ならなぜ嫌われる必要がある?」
「私が女であるからです」
「!」
「お忘れでしたでしょ?」
「…すまない。あまりにも堂々とした武人ぶりだったから」
「私はそちらの方が嬉しい。多くの者は私が女で千騎長にあるのは手練手管のせいだと思っておりましたから」
「そうか」
「私には兄がいましたが生まれて間もなく病死しています。他の兄弟もなくて跡取りとして養子を迎える話もあったのですが子飼いの家臣がそれを許しませんでした」
「何故」
「御家芸を失う可能性を孕んでおりましたから。ですから私にみっちりその技を叩き込んで男の子を産ませてととんでもない話で王に許しを得ていたそうです。その本人は早々と病に倒れ結果といいますか成り行きして私が当主となりました。」
「無茶苦茶だな」
「そうです。そのせいで大変でしたが今となっては良かったかなと何より姉が子を産んで教育すればお役御免ですね」
「そうか」
「ですから嫌われ者があなたに何かするということは有りません。食料を無駄にするくらいなら一対多数で首をとります」
「…」
「夕餉どころかまともに食事していないでしょう」
「それは…」
「我が家臣団と共にとって下さい。なれば当たりも緩やかになりましょう。食べている間は私が交代しますから」
「すまない」
「!」
「?」
「断られたらどうしようと思っていたから…良かったです」
「…」
「目下夜食です。しっかり食べて下さい」








嫌われるダリューン







「すまない」
「ジャスワント様」
「サクラ殿に」
「聞いてます。またうちの姫さんが世話を焼いたと言って皆笑っていたところですよ。おい!食事を持って来させろ」
「姫さん?」
「こういうと殴られるんですけどね。私らは赤ん坊の時から見てますから。王室に入ってもおかしくない身分だったんですけど」
「変わり者なんっす」
「…そうか」
「俺たちの姫さんはこれだから良いんっすけどね」
「?」
「先代様に輪をかけた平等主義なんです。あなた様のこと気にかけていましたから…まさか食事に誘うとは」
「良いのか?」
「姫さんが良いっていうのに俺らがダメとは言えないっす!それに此処のやつら半分はあんた同じっいてー!!」
「この馬鹿。姫に馴れ馴れしくするな、丁寧に扱えと言い聞かされていただろう。すみません。礼儀のない者で」
「いや」
「私は姫の守役です。これからは慣れるまで此方で食べて下さい」
「ああ」
「…」
「…」
「姫さんに手をだしちゃだめっす!」
「ー!!!」
「こいつ!」
「すいません」
「いや…すまない。」
「?」
「俺は女性が苦手だ、から。心配しないでくれ」
「そっすか!」
「…あとで仕置だ。」
「げ!あ!姫さんとダリューン様」
「…」
「何故サクラ殿はダリューン殿を嫌うのだろう?」
「狼と虎では番になりません」
「っていうか!ダリューン様がめんどくさいこと言うから姫さんが頑なになるんっす!」
「まー天下第一の意地っ張りだからなぁ」
「…そうか」

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嫌われるダリューン 4

「またやってしまった」
「別に構わないだろう。」
「姉者は熱を出すとすぐあれですから。いないと泣くしナルサス様ではダメでダリューン様呼ぶんですから」
「知らない…本当に頭が痛い」
「熱を出さないようにすればいいんですよ。適度な休憩と食事を心がけてください」
「そうなんだけど…」
「まぁ、ダリューンも手馴れたものだったし」
「そ、れ、が。困るのです」
「…ここまで砕けたサクラは珍しいな」
「…姉者の反省会はいつもこんなものでございます」




ベッドの上で頭を抱えていると殿下に笑われる。が、今は致し方ないと思いたい。また、やってしまった。私がダリューン殿を兄にぃと呼び妹のように可愛がられていたという暗黒時代を彷彿とさせてしまう行いをまた、やってしまった。




「兄にぃか」
「殿下」
「ぶっ!」
「笑わないでくださいませ。かなり悩んでおりますのに」
「いや、いつも冷静なサクラがこうも狼狽えるとは…すまない。つい、な」
「鉄仮面との落差が酷いのですよ。姉者は」
「エラム〜」
「姉者が寝込むたびにこのやり取りです。いい加減成長して下さい」
「そう言っても聞いてくれるエラムが私は好きよ」
「はいはい」
「仲が良いな」
「姉者は集団戦法の師でもありますから…付き合いは長いのです」
「サクラは集団戦法の達人と聞いた」
「達人ではありません。ただ、我が家は悲しいかな単騎で攻めきれる猛者が生まれにくくて、生き延びる為に研鑽を重ねて来ました。父は餓狼将軍と呼ばれましたが万騎長の中では一番単騎としての実力が乏しい人でもありました」
「そうなのか?父君は多くの首を挙げた英雄と聞いていたが」
「全員がダリューン殿の様に怪物ではないのでございます。ですが戦さ場ではその怪物と戦い、勝ちを収めなければなりません。私の行うものはその被害をなるべく減らし、収める。それを特化させたので御座います。強弓がないのなら正確無比な集団の矢を射る。剣が届かなければ最小被害かつ最大の効力を持って我らの剣を届かす。それを日々研鑽しております」
「成る程。…絶対的に被害が出るのも考慮してか?」
「相手によります。ただ、一人として無駄死にはさせませんし手柄は皆のもので御座います。研鑽を怠れば自然と淘汰されてしまいますし集団戦法は連携が要なので処断することもあります。本来なら兵が皆万騎長の実力であれば私の行うものは必要ありませんし我が師が計画を立てるのもやりやすいと思います。が、現実としてそれは不可能で御座います。殿下」
「?」
「良き統治者は最小被害で最大の効果を出し続けなくてはなりません。そうしなければ民は疲弊してしまいます。然し乍ら、被害なく統治することは絶対にできません。我々は勿論。殿下ももうその恩恵を得ております。少しの命を惜しみ多大な被害を出す統治者は慈悲に満ちておりません。ただの無能です。被害と利益のバランス。その見極めができる様になって下さいませ」
「そこの見極めはわかるものなのだろうか」
「きっと。研鑽を重ね良き王であろうとすれば自ずと見えてくるものでございます。現に今の戦いはそれそのもので御座います。我が師は頭の良い人でございますが、人の上に立つ器ではございません」
「姉者」
「彼の方は根っからの策士ですから。王としてはいくつか欠ける。ダリューン殿もそうです。王は頭が良ければいい強ければいいというものではありません。器の大きさです」
「器?」
「他人の才を妬まず受け入れ適材適所に配置する。まずこれができる人は少ないのですよ?王が強ければ強いほど賢ければ賢いほど妬み退けようとするものです。現にあの二人は憂き目にあっております」
「…すまない」
「ああ。違います。批判ではなく…そうですね。ああ」
「サクラ?」
「使うのではなく、遊ばすのですよ。好きなことをするのは一番楽しいですから。殿下の器の中で皆遊ばせてやれば良いのです。居心地が良いほど皆守ろうと思います。集団戦法もその様なところがあります。私のひいお爺様は部下に殺されました」
「?!」
「集団戦法の戦勝を独り占めしたからです。居心地の悪い器は壊されてしまうのです。優秀であればあるほど頭を垂れる相手を値踏みいたします。妬まず、褒め時に叱咤し正当に評価する。殿下はその器がここにいる誰よりも大きいので御座います。…嫌いでございますがラジェンドラ陛下も」
「あれがですが?」
「まぁ嫌いですからね。私も。ですが彼ほど自分を高く売り込む者も少ないでしょうね。彼の方が売り込む相手は自国の民です。ですから信じてはなりませぬよ」
「サクラ」
「はい?」
「体調が戻ってからでいい。そなたの知る集団戦法を教えてはくれないか?」
「殿下がお望みであれば」
「ありがとう」
「熱を出さない様にして下さいよ」
「エラム!」
「まぁ、あれはあれで」
「絶対嫌です!」
「そうか?仲睦まじくて良いと」
「…私にも意地がございます。一兵士として立った時よりダリューン様には甘えないと心に決めております」
「頑なだなぁ」
「『強い妹を持って誇らしい』と褒められた次の日に『弱い女が戦さ場に出るのは目障りだ』と言われたからといって根に持っているのです」
「エラム」
「その話延長線上に婚約を持ってこられて以来ずっとこれです。…姉者もそろそろお許しなさい」
「嫌です!」
「器の小さい」
「私の器は極小です!」
「サクラ…先ほどと言っていることが」
「良いのです!私は狼の群れの中の器であれば。それ以外を入れるつもりはありません!何より!」
「何より?」
「私は軽い男と同じぐらい自分の言に責任を持たない男は嫌いです」
「そうか」
「ナルサス様も?」
「師のしては尊敬しますが男として最低の部類です。アルフリード殿にも言ったのですが…ギーヴ殿やクバート殿のうに分かりやすいとそれはそれで良いんですが」
「良いのか?」
「無視すれば良いだけなので」
「そうか」
「姉者嫁入りはまだ先の様ですね」







嫌われるダリューン







「…」
「…」
「立ち直って下さい」
「ナルサスとダリューンをここまで落ち込ませるのはなかなかできないな」
「二人して大層可愛がったと聞いてますから。」
「そうか」
「師としてナルサス様に妻としてダリューン様にという計画は失敗になりそうですね」

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