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変換なしの雑食夢

ran

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十二国

あれからは半年。私の周りで劇的な変化があった。一つは玉雪先生が市街の医師から王宮医師になられたこと。絶対仙にはならぬと固辞していたのを説き伏せたのは、あの大宗伯様で。その上意気投合して結婚までしてしまったのだ。毒舌家と毒舌家の夫婦かと太宰様がたじろいでいたのが記憶に新しい。
そして何故か主上が出奔せずに真面目に執務にあたられているのだ。


「当たり前の話だろうに」
「私からすればあの2人の結婚以上に青天の霹靂です」
「まぁわしもそうだがな」
「何か悪い病気でしょうか?」
「真面目に執務をすることがか?」
「…」
「普通のことなのになぁ」
「普通のことですのにね」

太宰様に書簡を渡しながら私たちはため息をつく。
実際だ通常の王が行うことを半年されただけなのだがと苦笑すると気づいた太宰様がお互い大変だというのだから延という国は不思議なところだとおもう。

「でだ」
「はい」
「体の調子は如何だ」
「平気でございますよ」
「わしにまで強がらなくていい。きちんと言ってくれた方が内々で済ませてやれるから皆助かる」
「…」
「如何した?」
「いえ」
「気味悪がるな。今までの行いが身に染みる。」
「そう言うわけでは」
「今までが異常だ。皇妃に対する対応も何もない。済まなかった」
「…」
「次は絶句か」
「本当に皆様如何致しましたのでしょうか?」
「まぁ改心だ」
「はぁ」
「で」
「体調は以前よりは」
「そうか」
「鳩尾近くにある臓がいけないのだろうと。其処が爛れると他と臓を傷付けて死に至るそうです。仙故になまじ死なずと仰っておいででした。申し訳ありませぬ」
「何がだ」
「何の手伝いもできず。後宮で寝ているばかりで」
「今は病を治すのが先だろう。大体今までの仕事の大半は彼奴がやるべき仕事だろう?何もお前さんが気に病むことではないな」
「はい」
「元気になれば慰安はしてもらいたい。現場からの要請が凄いからな」
「手紙を書きます。」
「そうしてくれると助かる」


そういって私は硯箱を取る。そして言うか言うまいか思案してじっと太宰様を見る


「…」
「如何した」
「主上は如何お過ごしで越しでございますか?」
「あの馬鹿か?内殿と正寝を往復しているな。時折此処に?」
「いえ。あまり。」
「そうか?てっきり」
「太宰様」
「ん?」
「よき人が居るでしょうか?」
「そりゃあお前のことだろう」
「いえ、そうで、はなく」
「なんだ。歯切れの悪い」
「その、お相手を」
「相手?」
「伽の」
「あ?」
「あの主上が禁欲な生活ができましょうか」
「…」
「恥を忍んで申し上げますがあの様な事とても私には…ですから」
「まぁ、なぁ。いや、そんな事よりもだ」
「?」
「お前さん、あれの何処が良くて結婚したんだ?わしには其れが最大の謎だ」
「私が御慕い申しているだけです」
「其れがわからん」
「不誠実な男だぞ」
「目的の為にやむ終えないのは理解しておいででしょ?ご自身の賄える範疇の行為を怒る事は出来ませぬ。」
「だがな」
「彼の方は私に約束をして下さいました。他に後宮に女は入れぬと。其れを違えずお守り遊ばしてくださるだけで私には十分でございます」
「本当にお前さんは」
「?」
「致命的に甘えるのが下手だな」


そういうと呆れたような顔をして太宰様が笑う。下手なのではなくわからないのですと言えば無欲だからなと付け加えられる。決して無欲ではないのだ。失った寵愛を如何にして戻せるのだろうかと何度も思案して無理だと知っただけですと言えば否定も肯定もなくただ有るのはため息だけだった



野薔薇の吐露

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