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変換なしの雑食夢

ran

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27

「初めての女子が…」
「言いたい事は書状に」
「この様な事書けるわけなかろう」
「ふふふ、内大臣が獣の様に交わるとかか?ははは。書けぬわなぁ」
「姫、笑い事ではないぞ」
「ん?」
「軍師殿も頭を抱えている。少しは考えよ」
「あれの今までは酷かったらしいからな」
「ぬ…」
「にしても騒がしいなぁ」
「武田の虎が来ておる。」
「そうか」
「知らなかったのか?」
「昨日の夜があったからだろう。もう半月続いているからなぁ。服を改めて私も参ると父上にお伝えしてくれ。」
「またしゃれ。話はまだ」
「さてさて。刑部殿用意をするからな。」
「冷やかすでないわ。きちんと聞け」
「はいはい。」
「姫様」
「三成」
「刑部もここか」
「やれ…どうした凄い顔ぞ」
「何がだ」
「寝ていろ。さて行くぞ」
「私も行きます!」
「顔が酷いが、父上の命か」
「は」
「…やれ、姫。」
「ならば私が兎も角言うべきでは有るまいな」
「…」
「拗らしよって」






上座に座ると遠くに見える佐助殿に手を振ると木から落ちたので笑ってしまう。父上に頭を下げて客人に遅参を詫びると豪快に笑われた。これが甲斐の虎か。父上で見慣れているがなかなか持っての武者だなと思う。刑部に数珠で突かれると凄い顔をした若者が控えていて思わず目を丸くする。これが噂の若虎か。





「戦さ場でお会いしていないのを幸運と思わなくてはなりませんなぁ。信玄公。」
「豊臣の内大臣が如何なものかと佐助から聞いておったが。噂通りの御仁らしい。のう幸村」
「はっ。」
「佐助殿は木からお落ちになりましたけど」
「大事なかろう」
「宴席では参じて下さいますようにお取り計らいを」
「ん?」
「一度聞きたい事がありましてな」
「何をじゃ?」
「団子の作り方です。今後好があるのなら、信玄公には銘酒を。真田殿には菓子をと思っておりましたので。」
「は?」
「菓子がお好きとか。」
「某、」
「一度、佐助殿に馳走になりましたがあれは確かにうまい。」
「そうであろう!佐助は料理も天下一品。」
「なればいろいろ聞かなくてはなりませぬなぁ。信玄公、真田殿」
「ん?」
「この豊臣と甲斐の関係。戦国の乱世といえども千代万代まで蜜であらんことを」
「そうよな」
「仲良くいたしましょうな、真田殿」
「は。某、佐助より内大臣殿は女子と聞き及んでおりましたが…中々の傑物で安心致しました。」
「…」
「やれ、三成。落ち着きゃれ。」
「徒手法に棒術と長けた方と聞き及んでおります。某とお相手いただけたら」
「幸村」
「父上」
「うむ。」





何がどうしてどうなったか。佐助殿は必死にこちらへ向かっていることだろう。父の横に石田殿をつけたから暴走はしないだろうが。さてと。籠手をつけて眼前の男を見据える。




「怪我なき様に」
「はい」
「では内大臣殿!真田源二郎幸村、参る!」





槍使いと聞いていたが確かに。
二の太刀、三の太刀が早い。し、良く訓練されている。これは困ったなと思って少し引くと、追いかけてくる。成る程。猪武者か。




「っ」
「ぐはぁぁぁぁ!」





顔をかすっただけで少し裂けたらしい。が、首を片手で締めると雌雄は決した。にこりと笑って父上と信玄公を見るともう良いということ。
ありがとうござい申したという真田殿にお強いですなぁといいながら頬の傷を拭う。これは困ったな。禍々しいまでの空気を察するに石田殿が怒っているようだ。さもあらん。無傷で勝てと言いたいのだろう。



「首」
「は?」
「大事ありませぬか?ああ、痣ができてしまった。信玄公の大切な御仁。辱い」
「それを言うなら、秀吉公。済まぬ。大事な才女を」
「かまわん。あれも戦さ場をかける身ゆえ気になさるな」
「さい、じょ!?」
「もー!!!旦那!何してんの?!姫さんの顔!!!ごめんね。この人加減を知らないから!」
「姫?」
「いったでしょ?豊臣の姫様」
「しかしあれは!髪も」
「良い、良い。私を見て女子とわかる方が少ない。」
「は?!」
「うふふ。面白い顔になっていますぞ」
「本当に申し訳ない!この責任は必ず!!!」
「良いと言っているだろう?…真田殿?」
「…」
「あらら。壊れた」
「内大臣殿!!!」
「ん?」
「某と夫婦に!!!」
「…やれ、徳川。三成を抑えよ」
「おお!」
「秀吉。」
「三成、動くでないぞ」
「!!!!」
「女人の顔に傷をつけて」
「あはははは。今父上の申した通り。私は女伊達らに戦さ場をかけるのでな。気になさいますな」
「ですが」
「身体中も傷だらけですので。」
「は?」
「興味がおありなら寝所にてもお相手致しますが?」
「しん、じょ?破廉恥ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「姫さん。笑いすぎ」
「噂通りの御仁でな。すまない。夕宴にまたな」
「もー。優しいんだから。あ、ちょっと旦那!壊さないデェェェェェ」





からんころん





「姫」
「父上と竹中殿は信玄公とお話か。皆喧嘩せぬようにな」
「姫よ」
「避けられんかった」
「血は止まっておるな」
「大事ない」
「姫様!!!」
「なんだ」
「なぜあの様な」
「あの場を納めるためだ。其方は私に意見するか?」
「…」
「姫」
「傷の手当てをする。刻限まで誰も来るな。」
「…」
「…」
「久し振りにあの様に笑う姫を見たわ」
「…」



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25

「姫様」
「何か」
「…お体に障ります」
「捨て置いてくれ。あと、人払いをしたはずだ」
「知っております」
「余程私は軽んじられているらしいな。」
「そのようなわけではございません!」
「ああ、そうか。そうだ、石田殿」
「何でございますか?」
「内々の沙汰があった。私の相手は其方らしい。」
「…」
「そう嫌な顔をするな。嫌なのはお互い様よ。ただ、父上の為豊臣の御代の為だ諦めろ」
「その様なわけではありません。私は」
「不寝番は竹中殿がつくそうだ。趣味の悪い。」
「姫様」
「ああ、すまぬな。主は讒言が好かなんだな。許せ」
「その様な意味では」
「明日の夜半。父からは沙汰があるだろう」
「よろしいのですか?」
「父の為、豊臣の為。何を厭う。道具として使われるのが宿命なら仕方あるまい」
「姫様!秀吉様も半兵衛様も貴方様を慈しみ、養育されて参りました。貴方様を道具としていたわけではございません。ご撤回を!!!」
「そうか。すまんな」
「…いえ。私こそ」
「ふふふ。ほんに石田殿は父上と竹中殿が好きだな」
「…尊敬をしています」
「そうか」
「姫様」
「人払い中だ。それを押してまできた理由は?」
「先ほどお休み中でしたので…その」
「夜這いは日が暮れてからにしろ。」
「そっ?!その様な気は!!!」
「冗談だ。」
「そのですね。」
「これを父上に。これは竹中殿。これは刑部に」
「私の名を昔に」
「無理と言っただろう。刑部は義弟だ。」
「しかし」
「愛妻家いうことは聞かなくてはな。妻にしか名を呼ばさんと言われれば従うしかあるまい。私の愛する妹ならば尚更」
「!!!」
「歯ぎしりが不愉快だ。下がれ」
「ですが」
「下がれ。用がないどころか邪魔だ」






からんころん







「…」
「やれ、三成。そう睨むでないわ」
「私も」
「ん?」
「妹君と婚姻を結んいれば」
「…迷走しておるなぁ」
「刑部。私の何がいけない!」
「やれ、三成よ」
「なんだ?」
「我はな、結婚なんてするつもりもなければ、子を成す気もさらさらなくてなぁ」
「の割には愛妻家と言われていたぞ。」
「当たり前よ。あれと共に生きるのは我の唯一の望みであったからなぁ。」
「豊臣の為ではないのか!!!」
「ひひひ。それとこれは別よ、べつ。あれが太閤の親戚で姫の同母同父の唯一の妹と聞いた瞬間これは困ったと思ったものよ。姫に迷惑をかけるなと。あれもそう言ってな。丁度どこぞの国との縁談が出てきたのでな。そんな時に姫があれを連れてきてどうするかというので我は共にありたいと言ったのだ。この呪われた体がなければと言ったら姫に殴られた。その時姫はなんて言ったと思う?」
「知らん」
「どこぞの狒々爺にくれる位なら信のおける友に大切な妹を預けたい。弱気を吐く間があるのなら妹を幸せにする算段を立てよとな。あとは任せと。」
「そう言えば、姫が珍しく…」
「四方に手を尽くし、我と夫婦にしてくれた。相当頭を下げただろうしそれ以上の事をしてくれた。だから我も姫を裏切れんだよ。ヌシと我とが友ならば姫は大恩の主。それを歯牙にかけず純粋に笑ってくれる姫故に我も大恩に報いたいと本に思う」
「…」
「のう三成。」
「なんだ」
「主は姫が豊臣の後継ではなかったら主はどうする。」
「は?」
「もし、男の子が生まれたら廃嫡は有り得る話ぞ。故に姫の地位は危うい。軍師殿の手紙を見たが道具としてという姫の気持ちも本にわかる。親心ではなく。豊臣の為に子を成す道具になれと言っている様なものよ。人柱になれとな。」
「有り得ん!秀吉様に限って」
「強いものが立つのが豊臣の慣わしよ。やれ、三成。」
「刑部。」
「しかと考えよ。主も姫もこのままでは余りにも不憫よ」

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24

薄墨色の上衣と袴に替えて仕事をしている様は昔と変わらないもののと柔和さがなくなったなぁ。と言われるので思いっきり筆を投げてやる。壁に刺さったらしい。が、知らぬ顔をして新しい筆を取る。
家康ははははと笑いながら縁側に座るものだからお茶を淹れてやる。


「おお、ありがとう」
「出涸らしだ」
「んー色薄いなぁ」
「ははは。文句があるのなら入れ直せ。」
「いやいいよ。」
「で、どうした」
「いやなぁ。半兵衛殿が困っていたよ。」
「思春期の娘を持つ父親と母親のようだな。」
「そりゃあなぁ。家畜でももっと穏やかだぞ」
「では私は家畜以下だな。種付けが決まらんでなぁ。昨日、お会いした時に何なら竹中殿でもいいと言っただけだ。」
「…そりゃあ。頭を抱えるなぁ。」
「何なら徳川殿が相手になるか?」
「ははは。わしにも妻がいるからな」
「そりゃ残念だ。」
「取り敢えず邪魔だな、徳川殿。部屋の入り口で立たないでくれ。」
「ん?」
「光が入らん。見にくい」
「お、おお。」
「仕事が溜まっててな。」
「2年だもんなぁ。」
「結構楽しかったがな。」
「そうか」
「小太郎にな、教えてもらった。自然は美しい。」
「風魔殿とは」
「時折な。北条の再建を手伝っているからな。あれはあれで優しい男だ」
「…」
「如何した?」
「いや、な」
「姫様…家康貴様何の用だ!!!」
「いやぁ。ははは」
「貴様ぁぁぁぁぁ!!!!!」
「煩い。何の用だ」
「いえ、あの」
「…」
「秀吉様から」
「ああ、また増えたな」
「御手伝い致します。」
「いい」
「しかしお顔が」
「もとより変わらん。石田殿こそ。ああ、徳川殿。貴公も邪魔だな。2人とも退出せよ」
「あ、ああ」
「…」
(明らさまにシュンとしてるなあ)
「何だ」
「変わったな思ってな」
「何時までも子供でいられん。女は女の道具は道具の誇りがあってな。」
「姫様」
「うるさい」
「ですが」
「これを父上に。これより先は侍童を使ってくれ。私もそうする。あとは人払いをする。急を要するもの以外この部屋に誰も近づくな」
「如何した急に?姫らしくない」
「仕事を終わらすためだ。」
「…」
「何だ」
「いえ、あの」
「貴公は其ればかりだな」
「は?」
「安心しろ。豊臣の御代の影にならぬ様に努力するといえば良いか?」
「貴方様がいらっしゃるのに影など」
「…」
「姫様」
「目障りだ。下がれ!」
「っ!?」
「お、おい」
「何だ?」
「いえ。失礼いたします」
「…」
「…」
「…」
「本当に変わったなぁ」
「何がだ。ほれ。」
「?」
「私からと言うな。あの馬鹿者。また食しておらんな」
「…さっき渡せば良いだろ?」
「愛憎の意味すら知らん男に恋慕して絶望するのはたくさんだ。」
「?」
「大嫌いと言えば言うだけ思いは深まるということだな」
「???」
「刑部曰く、拗らせた」
「ああ!そういう事か」
「ただ、あれはどこまでいっても父上のために生きるからな。私はおまけ…っ」
「如何した?」
「眠い。少しだけ休む。」
「ああ、ではわしも退室する。」
「なぁ徳川殿」
「ん?」
「なぜ私は普通の女子の様に生きられぬのだろうな」
「…」
「無理なのは私自身がわかっているがな。誰かの、」
「姫?」
「一番大切なものになってみたかったな」
「…」





からんころん






「姫様は?」
「お休みになっ…三成」
「あの方は存外寒がりだ。この様な季節の変わり目は気をつけておらねばならん」
「お前なぁ」
「何だ?」
「好きなら好きと言ったら如何だ」
「言った。が、姫様は私では気に入られないらしい」
「そんなことないだろう」
「五月蝿い」
「だがな」
「何だ」
「このままでは他の男のものになるぞ」
「…」
「寝所の前で不寝番をする気か?」
「っ」
「秀吉公よりも最愛であると言って差し上げないと」
「秀吉様は私の唯一無二だ」
「姫は?」
「その跡取り殿に忠誠を誓うのは当たり前の話だ」
「そうではない。一人の女性してだな慈しまねばあの方が壊れて…」
「その様な柔な方ではない。あの秀吉様のお認めになった」
「違う!三成!!!」
「もう良い」
「「?!」」
「徳川殿も傷口に塩を塗り込むな。善意は時に悪意にもなる。」
「だが」
「姫様?」
「何が懸想だ。一喜一憂している私を見て面白いか?」
「いいえ、そのような」
「お前の本心はわかった。」
「…」
「酷い男だ」

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23

髪が短くなられた。昔から豊かな長い髪だったのにとじっと見ていると薄っすら瞳が開く。日に焼けた肌と髪は昔と変わってしまったが、美しい瞳は昔と一寸も変わらない。



「帰る」
「は?」
「大阪だ」
「…姫様」
「此処で逗留しても致し方がない。腹をくくった。」
「馬をご用意いたします。」
「ありがとう。石田殿」
「…」
「如何致した?」
「いえ」
「何だ?申してみよ。」
「では何故…治部とお呼びくださられませぬか?」
「貴公は石田殿。間違いないだろう?」
「ですが」
「貴公は父上に従う身。長々とご迷惑をおかけした。」
「その様な」
「礼は日を改めて。」
「姫様?」
「?」
「この三成。貴方様の為なら」
「石田殿。」
「は、い」
「それ以上は何も言わなくてよい。さて、参ろう」
「…」
「何、逃げはせぬよ。もう何処にも行く当てなど無いからな」
「その様な。この日の元はお父上であられる秀吉様のもの!跡取りであられる姫様のものでございます」
「父のものは父のものだ。私のものでは無いよ。其れに」
「?」
「跡取りではなく、道具だ」
「道具?」
「…いや、気になさるな。さあ行こう」
「お待ちくださいませ」
「ん?」
「何をお考えでしょうか?この三成ができる事なれば何なりとお申し付けください」
「父の兵に頼むようなど無いよ。」
「は?」
「目下、馬を。はよう帰城しよう。」
「…は」








大阪までは遠い様で近い。昼夜休まず、馬に揺られていると直ぐ着く距離だ。有難いかな。石田殿は休むたちでは無いし、私自身休む気など起きなかった。
城に着くと刑部が童とともに迎えてくれる。噂の甥ごたちかといえばひひひと笑われた。



「やれ、着くのは明日と思っておったが?」
「休んでおらぬからな。父上は?」
「…姫よ」
「何だ刑部?ふふふ。愛らしいなぁ」
「何も言うまいが、三成」
「刑部。先に姫様の支度を。御前に参るには憚られる」
「そうよな。姫」
「あいわかった。石田殿も大儀。」
「…もったい無い、お言葉でございます」
「刑部。部屋は変わらぬか」
「ひひひ。拗らせよるか?」
「知るか。答えは?」
「そのままよ。侍女は我のを一時つけるが、おいおいに」
「すまぬな。…母御は息災か?」
「あい」
「はい、であろう」
「ひめさまはははうえににています」
「上手いことを言う。でもな、覚えておいで。貴方の母御がこの世で一番美しい人なのだから。私の様なものと比べてはならないよ」
「?」
「やれ、姫。」
「覚悟はできた。それだけよ。刑部。恙無く、妹を頼むよ。この童にも災厄が降りかからぬ様に」
「…」
「…おやすみ、愛しい子ら。刑部も休め。体をいとえ。」
「ひひひ」
「…まだいたのか?石田殿」
「は」
「早く下がれ。父上に事の顛末を報告する間に用意する」
「ですが」
「安心しろ。御前に参るのに厭わぬ姿で行く」
「姫」
「ではな」






からんころん







「随分と短くなったな」
「はい」
「2年。息災であったか」
「はい。父上様におかれましてもご健勝の程お慶び申し上げます。」
「…」
「竹中殿もお変わりなく」
「君もね」
「さすれば、豊臣の為となる男を決めて頂きたい。」
「は?」
「子を成すために必要でしょう?」
「ちょっと待って。まさか、そのために?」
「此処に帰る時はそのつもりでしたし、貴方様の文にもそうと」
「…」
「お前は跡取りぞ。ゆくゆくは関白ではないか」
「太閤様の僕でござますれば。どの様にもお好きな様に。例え死地に行けと言われましてもこの首刎ねられましても恨みは申しませぬ故」
「姫?!」
「…あいわかった。長の旅。先ずは休め」
「はい」

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