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変換なしの雑食夢

ran

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07

「姫様?」
「刑部はおるか?」
「刑部が如何致しましたか?」
「呼んでくれ。」


呼んだかえと言いながらふわりとやってきた刑部に書状を見せるとひひひと笑ってさすが軍師殿という。何が流石か。と言いながらさよに硯箱を取る様に言えば何故か治部がそれを奪い取って持ってくる。


「治部」
「ですが」
「すまぬな。さよ」
「いいえ。半分以上は姫様のせいでございますから」
「ひひひひひひ」
「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」
「やれ、治部。止めなさい」
「ですが」
「さよに危害はならぬよ。お母上から預かった大切な娘御だ。」
「…」
「もし何かあれば私の責任だからな」
「………」
「治部」
「はっ」
「やれ、命拾いしたのぅ」
「本にその様でございます」
「でだ。何故治部が私預かりになる?」
「は?」
「まぁ」
「ひひひ。三成は姫がおらぬと食も睡眠も蔑ろにする故。苦肉の策よ」
「の割にいい顔だな」
「私もその間さに帰れますなぁ」
「そうか。失念していた。お母上には私より文と贈り物をせねばなるまいな。」
「そういう意味ではありませんよ」
「?」
「6日の間のみよ。急な戦が始まれば参じるがな。それまでによく食べさせ寝かしてくりゃれ」
「治部も良いのか?石田の軍勢も」
「左近がおります」
「…ああ。あの賑やかな」
「お耳障りと思って平素姫の眼前に出てこぬよう言いつけております。有事の際はご容赦ください」
「いや、別にいい。お前が選んだものだろう?」
「は」
「良き者だろう。大切にしてやりなさい」
「!!!」
「治部」
「此れから6日の間。この三成不眠不休で姫の御身を」
「…」
「…」
「何か?」
「治部」
「やれ三成。姫を見よ。途方に暮れておるぞ」
「何故だ?半兵衛様もその為に私をお側に控えさせたのだろう?」
「違う、チガウ」
「?」
「治部。昨日は寝たか?」
「一睡ほど」
「…食事は?」
「…半膳ほど。」
「治部」
「?」
「刑部よ」
「容赦はいらぬ。」
「私のもとに控えるのなら、3食と一般的な睡眠をしろ。」
「は?」
「出来ぬのなら、さよ」
「はい」
「…」
「なんだ治部。左近の」
「…わかりました」
「ん?」
「………食べて、寝ます」
「そんなに苦渋に満ちて言うな」
「いえ、ですが。」
「?」
「あの娘を重用する位なら」
「くすくすくす」
「やれ、サヨ殿。笑うてやるな。あれで必死だ」
「ええ。刑部様。うちの姫君は鈍感と竹中様もおっしゃておいででしたから。」



からんころん





「なぁ、さよ」
「はい」
「…私はそんなに鈍感か?」
「ええ。恋愛以外は」
「ん?」
「うふふ。20歳も上の私に悋気とはか愛らしい」
「…さよは私より下に見えるのになぁ。秘訣はなんだ?」
「うふふ」
「まぁ態々恐ろしい話を聞かずでも良いな」
「ええ」

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06

眼が覚めると控えている侍女がいない。夜中かと外を見てわかるものの動くまでにはまだ回復していない。白湯が欲しいなと思っても取ることすらままならない。
からりという音がする。そちらを見て苦笑するしかない。



「お起きに?」
「治部はまた寝ておらぬのか?」
「いえ、その」
「仕方がない奴だな」
「っ」


そうして立ち竦む治部を見ながら座ろうとするとままあって急いで近づいてきて背中を支えてくれる。白湯でございますか?の言われるので頷くと取ってくれるので有難く頂く。




「寝ているのか?」
「…」
「刑部には」
「聞いておりますが、その」
「治部らしいな。…済まぬな。」
「は?」
「汗臭かろう。中々思い通りにいかぬでな。…治部?」
「…」
「如何した?何故泣く???辛いことがあったか?体の不調か?無理をせぬとも良い。自室…」
「私は」
「治部?」
「貴女がこの様になって。何より、辛いのです。」
「…で泣いたのか?」
「はい」
「やはりお前は優しいな」
「…」
「自室におかえり。少し休め。」
「嫌です」
「治部?」
「私は、さよという女が憎らしい。貴女の側で貴女の手助けができるのが羨ましい」
「さよは私の侍女頭だからな」
「わかっております。ですからこの様にさもしい心でも。何より貴女に嫌われていても…私は」
「治部や治部。」
「はい」
「私は嫌っておらぬよ」
「ですが」



最近治部は私といても困り顔だからなと言えば、違うのですと言って沈黙される。座るのももう限界だなと言って横になると布団をかけてくれるのだから優しい男だと思ってしまう。



「姫様」
「ん?」
「お労しい」
「ふふふ。大事ないよ。兵は?」
「ぬかりありませぬ。」
「そうか」
「朝まで」
「ん?」
「朝まであなた様の看病をする許可を。」
「いや、然しだな」
「?」
「私を大切にしても何もならんぞ」
「は?」
「刑部はうまく立ち回れるだろうが。廃嫡も考えられる今余り親くするのは…治部?」
「私は今まで出世の為に貴女の側にいたわけではありません」
「そうか」
「如何か許可を」
「なれば、彼方に布団があるから横で寝ろ。」
「は?」
「でないと私がお前の心配で寝れんよ」
「はい」







からんころん









「治部や治部」
「はい」
「ありがとう」
「っ」

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05

「姫様、お加減が」
「いや、何。疲れだ」
「月の物もございます。普通なれば2.3日お休みになるものでございます」
「無理だろなぁ」
「…わかっておりますが」
「仕方がない。父上も軍師殿も男な上ご結婚もまだだからな。知っていても経験がないとな」
「元々姫様は重いたちなのでございますよ。」
「文句を言っても始まらんからな。以前は刑部のところに逃げ込めたが。うーむ。」
「治部相様のところなど」
「なお良くないな…ん」
「…医師を呼んできます。少しでいいのでお休みになられて下さいませ」
「すまぬな。さよ。その前に書類を届けてくれ。」
「はい」
「医師はいらぬよ。少しだけ寝る。白湯を。薬だけ飲んでおく」
「はい」





そう言って薬を飲むと咳き込んでしまう。心配げにやってくるさよの顔色が変わったのは私の意識が飛んだからか血を吐いたからかわからない。

薬が毒薬にすり替えられていて、其の犯人が小姓である男であり、北条に雇われていると判ったのは私が目覚めた時だった。すでに其の男は捕らわれ、処刑されたこと。北条は攻められ領地の半分を献上することで和睦を図ったが、滅ぼされたということ。
一気に情報を流され、頭痛する頭を抑える。




「軍師殿」
「何?」
「あなたがいるということは父上は?」
「秀吉も僕も打って出てないよ。今回は吉継君と三成君が怒り心頭でね。きっと焦土作戦になっているだようね」
「…」
「大丈夫?」
「気分が」
「随分血を吐いたからね。普通なら死んでるだろう。流石血というのかな」
「そう、ですか」


そう言って瞳を閉じると意識が飛んでいく。これはまずい。血が足りぬ。と云えばさよが泣きながら命があっただけと言うのだ。
何時もなら返せる軽口も今は難しい。ふふふと笑って魘され、冷や汗で起きるを繰り返していたあたりで、昼夜がわからなくなってきた。




「ん…」
「起きりゃれたか?」
「刑部?」
「心配した。無事の様には見えんが、良く死なずにいてくれた」
「死んだほうがよかったかもしれんぞ」
「…そういう冗談は好かぬ。大体、われに言った言葉であろう」
「そう、だったか?」
「ひひひ。耄碌するにはまだ早い。早う元気にならしゃれ」
「刑部」
「ん?」
「皆無事か?」
「…」
「私の不注意で兵にいらぬ労をかけた。すまぬと言っておいてくれ。治部にも」
「呼ぼう」
「いや、良い。」
「だか」
「あれは優しい。いらぬ心配をかけては可哀想だ。治部に短慮はならぬと。飯を食み、眠り。恙無く過ごせと伝えてくれ」
「別れのように申すな」



刑部よ、すまんなといえば頭を撫でられる。しっかりしりゃれというので当たり前だと返しつつも本来死ぬほどの毒ぞといえばうなづかれる。
きっと回復するまで幾ヶ月かかかるだろう。それまでに廃嫡もありうるな。そう思って瞳を閉じるのだった





からんころん







「寝られた。」
「…」
「主が控えているのにも気付けぬほどか…聞ておったか?」
「ああ」
「三成」
「…」
「本に不器用な男よ」

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04

「姫様」
「ああ、刑部に治部か。如何した。」
「少し良いか?」
「すまんな。此れから行かねばならぬところがあってな。…急ぎか?」
「…いえ」
「刑部は?」
「後でよい。アトデ」
「ん、なら済まぬが日を改めて欲しい。」
「はっ」





そう言って私は侍女に厩の支度を尋ねる。
此処最近、2人してやってくる事が多い。余り治部にいらぬ気をかけるなと刑部に申したものの改善される気はないらしい。刑部らしい。私の寵愛がなくともお二人に寵愛されているのだから大丈夫だろと笑うと曖昧に笑うだけなのだ。刑部らしくない
城下は思った以上に活気がある。反物屋によって妹に幾つか見繕う。もう程なくして婚儀だ。公の贈り物は買い揃えたものの私的にも幾つか揃えたい。反物、紅。後はと思案して櫛を取る。可愛らしい彼女に似合うだろう。私はこのような物をつけた事ないからよくわからんがと店主に告げると苦笑される。
美しい物。雅やかな物ではなく、唯女である楽しみを捨てて私の今日がある。後悔はしていない、が。寂しくはあるなと思う。店主に一通り見繕ってもらい城へ持ってきて欲しいと願い出て、みせをあとにする。


「ん?」
「姫様如何ですか?」
「菓子か…侍女に買って帰るかな。そこにある物を全て包んでくれ。」
「はい」




今日はこの辺りかと空を見て町を後にする。此の儘帰ったら丁度お八つ時だなと思案して見えてきた門前を凝視すると見覚えのある顔が並んでいて吃驚する。



「刑部に治部?」
「おかえりなさいませ。」
「無事で、上々よ」
「いつから門兵に鞍替えした?ああ治部よ。口取りせずともよい。」
「ですが」
「おさえ。おるか」
「はい、姫様」
「侍女頭のさえだ。おさえ。これを皆で分けなさい。」
「はい」
「いい子だ。刑部、すまぬが避けてくれ」
「あいわかった」


馬上から降りるとひひひと笑う刑部に贈り物を買ってきたと笑うと苦笑した。妹離れ出来ていないのをこの男はよく知っている。



「それだけの為に蔵を立たねばなるまいなあ。」
「それはそれで。ふふふ。息災にしているか?」
「ひひひ」
「なら結構」
「姫様」
「治部が結婚する際も用意してやろうな」
「!!!」
「不服か?」
「い、え」
「三成。」
「わかっている。」
「?」
「これを、と。思いまして」
「???」


飾りという音ともに治部が何かを取り出す。開けてみると蒔絵ののった美しい櫛があって、目を見開き苦笑する。
ふふふと笑って油紙を巻きなおし、治部のてにもどしてやる。



「ひ、め?」
「治部よ。そこまでせぬとも良い。」
「は?」
「こういう物は好いた女子に渡せ。」
「…」
「私は怒ってもおらぬし。安心しろ。」
「姫」
「刑部も刑部だ。治部を困らすな」
「いえ、私は」
「眉間のしわが酷いぞ。ふふふ。治部よ。無理をせぬよう」
「姫」
「大体、私のような物にこれは眩しすぎる。」
「そのような!」
「うふふ。治部にはこれは
「これが似合う者を探そうぞ」




からんころん







「…」
「…」
「如何した刑部」
「何故」
「受け取るいわれが無かろうに。何より私があの様な」
「似合いよるが…好みに合わぬのか?」
「私に合わぬのだよ」
「?」
「女性的に着飾ることなどないからな」
「…そう言えば」
「我が軍師殿も女心は苦手と見える」
「ぬ…」
「後、治部を唆すでないよ。あれは素直すぎて」
「わかっておるよ」
「…生きにくいのう」
「そちでもか?」
「ああ」

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3

「…やれ、姫」
「ん?」
「三成が食わぬし寝ぬ」
「またか!」
「食わしてたもれ。」
「…呼んで来てくれ」



あれからまともに話していないのに、碌でもないことだと唸りながら庭を見る。食が細いというか霞を食べて生きているだろう治部を見兼ねて時々刑部が注進にやってくる。寝ずに食わずに生きられるものはおらぬと言うのにと言ったのは先月か。刑部の事。料理も用意していたらしく、3人分が運ばれる。用意のいい男でと笑ってしまうのは仕方がないだろう。



「失礼します」
「入ってくれ」
「はっ」
「先月いった言葉は覚えているか?」
「…すいません」
「人並み以上に食べて欲しいところだが…最低限位は食べて欲しい」
「ですが」
「やれ食べしゃれ。姫」
「全て食すまではならぬぞ」
「…」
「刑部を見習え。」
「…」
「喋りたくもないか」
「いえっ…ですが」
「治部がここ最近話したのはいえとかはっのみだな。」
「やれ、如何した」




まぁ、元凶は私だがなと言って苦笑する。刑部はまずいとでも思っているだろう。が仕方がない。此処まで避けられるとは思わなかったなと言いながら席を立つ。



「どこへいかしゃる。」
「いや何。此処に私がいても治部がこ困ろう。済まぬが中座する」
「!」
「おちつきゃれ。」
「いや、至極落ち着いているがな。…そうだ治部」
「何でしょうか?」
「父上にお願いしておこう。嫁御をもらえ。食と睡眠を整えてくれるものが必要だろう」
「そのような者!私には」
「いやさ、此の儘私がという訳にももう行かぬしな。」
「そのような」



まぁいい。後で刑部に尋ねるからなと言って部屋を出る。
好かぬ女子などと同衾したのは地獄だろうからなとひとりごちるのだった




からんころん





「やれ、姫よ」
「如何した刑部よ」
「三成がな」
「あれは私を嫌うておろうからな。父上か軍師殿に頼まれよ」
「よいのか?」
「嫌われておるのに堂々としておれんよ。」
「…あれは人の心を読めぬ男よ」
「治部の良いとこはそれ故に裏表のないことだと思う。私の一方的な好意で困らす事も有るまい」
「ぬ…」
「そう言えば」
「如何した?」
「刑部に頼みがある」
「?」
「子が出来たら養子に欲しい」
「…は?」
「昨日な軍師殿に言われたよ。治部以外私と夫婦になりたいと言う輩はおらぬと。然もありなん。私個人としては良いが家としては話は別だ。一番信用している人の子を養子に欲しい。駄目か?」
「…」
「刑部…」
「少し考えさせて欲しい」
「もちろんだ」

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