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変換なしの雑食夢

ran

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23

髪が短くなられた。昔から豊かな長い髪だったのにとじっと見ていると薄っすら瞳が開く。日に焼けた肌と髪は昔と変わってしまったが、美しい瞳は昔と一寸も変わらない。



「帰る」
「は?」
「大阪だ」
「…姫様」
「此処で逗留しても致し方がない。腹をくくった。」
「馬をご用意いたします。」
「ありがとう。石田殿」
「…」
「如何致した?」
「いえ」
「何だ?申してみよ。」
「では何故…治部とお呼びくださられませぬか?」
「貴公は石田殿。間違いないだろう?」
「ですが」
「貴公は父上に従う身。長々とご迷惑をおかけした。」
「その様な」
「礼は日を改めて。」
「姫様?」
「?」
「この三成。貴方様の為なら」
「石田殿。」
「は、い」
「それ以上は何も言わなくてよい。さて、参ろう」
「…」
「何、逃げはせぬよ。もう何処にも行く当てなど無いからな」
「その様な。この日の元はお父上であられる秀吉様のもの!跡取りであられる姫様のものでございます」
「父のものは父のものだ。私のものでは無いよ。其れに」
「?」
「跡取りではなく、道具だ」
「道具?」
「…いや、気になさるな。さあ行こう」
「お待ちくださいませ」
「ん?」
「何をお考えでしょうか?この三成ができる事なれば何なりとお申し付けください」
「父の兵に頼むようなど無いよ。」
「は?」
「目下、馬を。はよう帰城しよう。」
「…は」








大阪までは遠い様で近い。昼夜休まず、馬に揺られていると直ぐ着く距離だ。有難いかな。石田殿は休むたちでは無いし、私自身休む気など起きなかった。
城に着くと刑部が童とともに迎えてくれる。噂の甥ごたちかといえばひひひと笑われた。



「やれ、着くのは明日と思っておったが?」
「休んでおらぬからな。父上は?」
「…姫よ」
「何だ刑部?ふふふ。愛らしいなぁ」
「何も言うまいが、三成」
「刑部。先に姫様の支度を。御前に参るには憚られる」
「そうよな。姫」
「あいわかった。石田殿も大儀。」
「…もったい無い、お言葉でございます」
「刑部。部屋は変わらぬか」
「ひひひ。拗らせよるか?」
「知るか。答えは?」
「そのままよ。侍女は我のを一時つけるが、おいおいに」
「すまぬな。…母御は息災か?」
「あい」
「はい、であろう」
「ひめさまはははうえににています」
「上手いことを言う。でもな、覚えておいで。貴方の母御がこの世で一番美しい人なのだから。私の様なものと比べてはならないよ」
「?」
「やれ、姫。」
「覚悟はできた。それだけよ。刑部。恙無く、妹を頼むよ。この童にも災厄が降りかからぬ様に」
「…」
「…おやすみ、愛しい子ら。刑部も休め。体をいとえ。」
「ひひひ」
「…まだいたのか?石田殿」
「は」
「早く下がれ。父上に事の顛末を報告する間に用意する」
「ですが」
「安心しろ。御前に参るのに厭わぬ姿で行く」
「姫」
「ではな」






からんころん







「随分と短くなったな」
「はい」
「2年。息災であったか」
「はい。父上様におかれましてもご健勝の程お慶び申し上げます。」
「…」
「竹中殿もお変わりなく」
「君もね」
「さすれば、豊臣の為となる男を決めて頂きたい。」
「は?」
「子を成すために必要でしょう?」
「ちょっと待って。まさか、そのために?」
「此処に帰る時はそのつもりでしたし、貴方様の文にもそうと」
「…」
「お前は跡取りぞ。ゆくゆくは関白ではないか」
「太閤様の僕でござますれば。どの様にもお好きな様に。例え死地に行けと言われましてもこの首刎ねられましても恨みは申しませぬ故」
「姫?!」
「…あいわかった。長の旅。先ずは休め」
「はい」

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