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変換なしの雑食夢

ran

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36

「嫌だ」
「子供じゃないんだよ」
「…」
「ほら豊臣が侮られる」
「…おい徳川」
「はは」
「其方、覚えておけよ」
「いやだって!」
「父上」
「う、む」
「刑部」
「ひひひ。姫も不幸よな」



ガラリという音ともに遅参を詫びる声が聞こえる。が、今はそれどころではない。取り敢えずぎりぎりと徳川を睨みつけていると不穏な空気を全く感じず治部が席に着く。この男、こういう時には全く役に立たん。いや、それ以上に今か今かと楽しみにしている妹がいる。取り敢えず刑部も睨んでおく。




「仕方ないだろ?豊臣に風情のわかるものはいないと言われたのだから!」
「だからと言ってなぜ私が。」
「君は琴に舞に歌に名手の域だろう?彼方は副将が笛の名手なのだから」
「ならいつもの格好で」
「正装に決まっているだろ?宴なのだから」
「如何しましたか?」
「琴を弾いて舞えと言われているのだ」
「はぁ」
「いやぁ。先だって伊達政宗殿が上洛する際に宴を催してくれと言われてだな。」
「笛の名手どころか粗雑な豊臣の文化レベルはたかが知れているとな。そういいよる」
「なにっ!?」
「治部や、怒るのなら竹中殿を怒ってくれ。」
「それは」
「まぁ無理であろうな。別段やるのは構わんが打掛は嫌だ。つけ髪してまでやる必要はないだろう」
「豊臣がバカにされても良いの!」
「父上」
「諦めて、半兵衛の言う通りに致せ」
「…」
「三成くんも見たいよね。姫の女装」
「はぁ」
「ほら決まり!」
「女装とはどういう意味か…治部」
「は?」
「恨むぞ!」
「は、お待ちください」
「姉上。お任せください。唐の楊貴妃も色褪せる仕上がりになりましょう」
「はぁ」






という事があって一週間。ムカッ腹たつ日々を過ごしていたが治部はよくわかっていなかったらしい。元来、化粧は嫌いなのだ。窒息しそうになる。掻取も動きづらくていけない。これで奏でて舞うのかと思うとうんざりするがそれも今日まで。仕事を徳川に押し付けたからうさは少し晴れたし、適当な返事をした治部にもあっていない。というより会う暇どころか仕事する暇すらない。時々覗きに来ては門番係の刑部に追い返されていた。文には会いたいと可愛らしいことを書いていたが其方のせいよと送り返しておいて正解だ。




「姉上」
「ん?」
「御美しい」
「ふふふ。いつ振りか。」
「今日は伊達殿以外にも石田様徳川様始め、甲斐武田の若君に小田原の北条、長曾我部に毛利と前田。同盟国皆が集まった宴となっております」
「…そうか」
「ああ口惜しい。此の儘姉上と逃げられましたらどんなに良いか」
「逃げるか?」
「いいえ。殿に禍が有りましたら困りますもの」
「はぁ仲睦まじい話だ。」






出ると言って桧扇を持つ。なんとまぁ派手な姿よなぁと笑うしかなかった。






からんころん






美しいとしか思えなかった。化粧をしている女子は好かんが、これは別だ。周りも同じようで言葉を失っている。




「伊達殿」
「oh!あんまりにも綺麗すぎてな時を忘れたぜ」
「お上手な。片倉殿の笛も舞やすうございました。お上手なことで」
「いえ、それほどでは」
「然しながらこの様な事はもういたしませぬからな」
「ha?んなcoolな姿なら何時でもそのままで良いじゃねぇか?」
「はは。私は武人ですし。何より、」
「ん?」
「私は私に命をかけぬものにしか容りませぬよ」
「a?」
「…刺客列伝です」
「ふふふ。丁度この場が壇上でした良かったですのに」
「…」
「あら、顔色がお悪い。如何致しましたか?」
「…あんたの容つくるものは」
「おりますよ。純朴で素直な方です。間違っても他国の文化レベルをどうこう言う」
「姫!落ち着け。わしが悪かった!独眼竜がふざけているのに便乗してな」
「黙れ徳川。私はかなり腹が立っているのだ。見世物の様にしおって」
「う…」
「女に口喧嘩で勝てると思うか?」
「いや〜姫には腕力でも自信ない」
「なら、この後の宴一切を任せた。」
「え?」
「侍女頭は其方の苦手なおかえよ。」
「げ」
「万事任せたぞ。」
「はい」



そう言って退室される姫様を追って良いかと思案すれば半兵衛様にご機嫌取りは頼んだよと言われ、席を立つ。



「姫様」
「…」
「お待ちください」
「…」
「姫!待て!!!」
「っ?!三成???」
「…」
「何だ、私はっん!!!」
「…っは」
「何を?!紅が」
「美しい」
「は?」
「寝所にいくぞ」
「待て!私は」
「…ここで致すか?」
「違う!怒っているのだぞ!」
「…」
「三成」
「我慢には限りがある。」
「は?」
「如何致す」
「…」
「姫」
「そんな目で見るな。ずるい」
「目の前に旨いものがあれば致し方ないだろう。さあ、こちらへ来い。」
「後で怒るからね。」
「怒る気も失せるほどに抱いてやる」

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35

久し振りに時間ができた。最近は小田原と大阪を行ったり来たりだったからなぁ。書類を竹中殿に出しに行くと治部の機嫌が悪いから見に行きついでに休む事と言われて苦笑する。本当に分かり易い男だ。存外戦好きではない。無ければない方が良いという考えというよりも全員が父上に従う武将になればいいという考えなのだろう。従うのであれば其れでもよし。善悪は竹中殿と刑部が調べ父上が差配し、殲滅の命が下れば其れに従うだけだ。今の世がそうではない上、今の所小康状態だから鬱憤も溜まるのだろうなぁと言えば半分ねと帰ってきた。残りの半分は私が小田原に頻繁に行き、其の上必ず家康をつけて行くことらしい。なぜ私ではないのだと怒っていた事を笑いながら言うので、私は肩を落とす。だから徳川殿が嫌がっていたのか。



「にしても居ない」




徳川殿曰く先ほど絡まれたとの事。自室に帰ったのだろうというの来てみたら居ない。父上も知らんというし刑部も居ない。2人で何処かに行ったのだろう。と縁側に座る。
見事な程に簡素で何もない部屋だ。万年布団が端の方に引かれてあるだけで使っている痕跡のあるものは文机位なものだ。抱かれる時はあれからは私の寝所だったし。ここに来るのは久しぶりだなと大欠伸をしながら布団に向かう。眠たい。会えると思ったのになぁと布団に沈む。袴のままだから怒られるなと思って瞳を閉じた。






「何処に行かれたのか」
「ひひひ。主を探しておった様だがのう」
「半兵衛様は休ませていると言っておられたが」
「はて、入れ違いに城下に…どうした?」
「おられた」
「ひひひ。ほんに気持ち良さげに」
「…」
「さて、我は退散タイサン。主のせいでへそを曲げた妻を愛でてくる故」
「謝っていてくれ」
「ひひひ」
「…」



ガサガサという音に薄っすら瞳を開くと藤色の背中が見える。三成と声を出さずに紡いだのにびっくりした様な顔でこちらを見る。逆に私の頬は緩んでいるだろう。そっと手を伸ばすと頭を撫でられて姫と呼ばれる。鼓膜を震わせるには余りにも甘美だ。



「おかえりなさいませ」
「ん?」
「いなかったから」
「刑部と城下に出ていた」
「寂しかった」
「くくくっ。また寝ぼけているな」
「ん」
「如何した?」
「書類?」
「昼餉までにいつも済ます」
「そうね。三成様」
「…」
「そんな顔しなくとも」
「いや…如何した。本当に」
「小太郎がね」
「…」
「可愛らしい女の子に追いかけられてた」
「そうか」
「困ってたけど」
「知らんが、其れは良い。」
「その子が様をつけて呼んでいたのが新鮮で。早く呼んでみたかったんだけど居なくて」
「怒るな」
「笑ってる。」
「喜んでいる。が」
「が?」
「様は妙だ」
「そう?」
「童の時に戻った気がする。あの弱くて如何しようもない童の時分は好きではない」
「三成」
「…姫」


腕を伸ばして首に抱きつく。好きよと言って頬にキスすると項を触られる。



「ずっと好き」
「そうか」
「私を男女と言って一本取れない時分から」
「…いうな」
「んっやだ」
「もう取れる」
「誰よりも努力家だもの、あん」
「…」
「知らないと思った」
「ああ」
「ふふふ。」
「弱くなりそうだ」
「恋愛して弱くなるというのは言い訳ね。…強くなって」
「姫」
「私は大切なものを守るために何でもできる。いま、豊臣と貴方のためなら鬼にでもなれるわ」
「そうか」
「っ?!」
「愛い」
「三成」
「なら私も貴方を守る鬼となろう」
「んーっ!」







からんころん







「三成」
「ん?」
「抱きしめて」
「ああ」
「暖かいわ」
「姫」
「ん?」
「その、姫?」
「すぅー…」
「寝たか。無理さしたからな」
「…」

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34

「姫様」
「徳川殿。久しいな。どうだった?東国は」
「真田幸村に聞いて伊達政宗殿にあったよ。いい奴だったが、あなたが合うと三成の血管が裂けるな」
「そうか。嗚呼、そなたに会いに長曾我部殿が来ていた。この方もいい御仁だ。治部も珍しく気を許していた。魚の土産は済まない。食べさせていただいたよ」
「構わないよ。にしても」
「ん?」
「三成は?」
「さてな。」
「喧嘩か?」
「飯を食べる約束をだな破りおった。」
「ははは。」
「刑部なら嘯くだろうし其方なら笑って誤魔化せるが」
「三成には無理だな」
「ああ。」
「仲が良い様だ」
「ふふふ」
「やわらかく笑う様になった」
「あまり変わらぬがな。お互い忙しい身だ。特にあれは」
「くくくっ」
「そうさな。徳川殿。これを治部に」
「書類?」
「侍女も侍童も恐ろしがってな」
「帰って早々?!」
「…では共にいくか?」
「?」
「面白いものが見れ様」





にこりと笑って立ち上がる。後ろからついてくる家康にとっては何の話かわからんだろう。如何して刑部の部屋に行くのだといわれてくくくと笑ったあたり気がついたのだろう。




「早く召しあがりください。私は姉上の様に気が長くないのです。殿と共に静かに食したいのです」
「食べている」
「そう大層な口を叩くのならとっとと空になさってください。いつまで見つめ合うつもりですか!!!ああ。面倒くさい」
「ぬぅ」
「大体姉上が食べろと申したのは常人の半分以下。何ですか、殿方が!とっとと食べてしまいなさい!」
「これ、三成を虐めるでないわ」
「ですが殿。米を一粒一粒。ちびちびちびちびと!ああ、不甲斐ない!姉上もこの様な殿方、どこが良かったのでしょう」
「ぐ…」
「主は姫によく似ておるからの。流石の三成も言い返せぬわ。」
「刑部!貴様の細君だろう!どうにかしろ」
「無理よムリ。主も無理よの」
「ぐぐぐぐぐ」
「ははは。流石の三成も妹姫様には言い勝てんな。」
「家康!!!」
「やはりまだ終わらぬか」
「膳とにらめっこよ」
「やれ、ちと手加減してやってくれ。ほんに愛らしい顔をして其方は私より雄々しいな。治部がたじろぐのは其方くらいだ」
「姫様?!」
「姉上!」
「やれ、姫。終わったのか?」
「ん。大概はな。草臥れた」
「嗚呼、着流しで物憂げな姉上はなんて素敵なのでしょう。」
「ふふふ。其方ははんなりとして麗しいのになぁ。治部には手厳しい」
「当たり前です!姉上を煩わせるものは例え石田様でも許しませぬ。大体、姉上は私の姉上でございます。この様な女々しい男には勿体無いくらいの御仁ですもの!」
「貴様っ!」
「治部。」
「う、」
「其方が悪い。久し振りの愛妻家の朝食に邪魔をして。」
「し、しかし」
「しかしも何もない。口を開けよ」
「は」
「ほら。」
「んっぐ」
「ふふふ。たんと噛まれよ」
「姫様わっんぐ」
「ふふふ」
「ひひひ。はじめからそうすれば良いものを」
「致し方ないだろ?小太郎に文を送らないと。」
「なっ!?ぐう」
「飲み込むな。ほら、口の端が」
「尻にひかれてるな。三成。ワシも早く帰りたくなったな」
「父上に許可を得て。ご苦労でありましたな、徳川殿。話は明後日に」
「ああ」
「治部や治部。」
「は」
「食べたか」
「…」
「なら退散しようぞ。これ以上妹夫婦の邪魔は出来ん。」
「姉様」
「刑部、頼みましたよ」
「あいわかった。これは我の細君よ。愛なければのう。」
「殿…」



膳を持って立ち上がると治部が持ってくれる。ありがとうと言えば少しはにかむ様に笑う。


「ちゃんと食べてくれ。」
「…」
「心配だ」
「ですが」
「ん?」
「ご心配には及びません。私は秀吉様半兵衛様貴方様の為に命を捧げる所存でございます」
「心配してはならないか?」
「いえ、その様な」
「其方は清廉で実直だ。だから私の意見など聞き入れぬであろう。」
「その様な」
「だから、心配位しか出来ん。」
「…」
「健やかで。其れが私の望みだ」



そういって膳を受けて歩き始める。顔赤いっすねという声ののち悲鳴が上がっていたが、取り敢えず。無視しておこう。




からんころん




「愛されているのだろうか?」
「そりゃあな。姫がお前の口に飯を入れる様なんて昔の可愛い姫みたいだっ…待て三成。そういう意味ではない」
「…もし姫に何やら不純なことを考えると」
「俺も妻帯者だっ!」
「…はぁ」
「贈り物でしたらどうだ?」
「昔したがいらぬと言われた」
「いっ今なら違うだろう?」
「そうか?」
「ああ」
「刑部に聞く」
「ああ。って待て!今は!!!三成ぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

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33.5

「やれ、竹中殿」
「ど、どうしたの?MIKOSHIになってるよ?!今しがた武田も帰ったことだし。どうみんなで久々に」
「な、らん!」
「え?!」
「姫と三成が」
「ふ、2人がどうしたの?あの不寝番は僕も止めたんだけど、聞かなくて」
「…」
「何またこじらせ」
「三成の部屋で床入りよ」
「?」
「然も。同意の上!!!」
「???!????」
「本当か?」
「ひひひ。遂に孫の顔が拝めれよる。」
「ああ。本当だね。この日をどれだけ楽しみにしていたことか…」
「故に2人の休暇をだな」
「当たり前だよ。今の所2人を招集しなくとも。家康くん達で…赤飯炊かないと!」
「やれ、止めしゃれ。」
「ど、どうしてだい?!こんな目出度い日に!」
「これ以上こじらせたら如何する。そっとして置くのが得策よ。三成には我が言う。2人は暫し待たれよ。」
「う、ん。そうだね。ここは唯一の既婚者に頼むとするよ。ね、秀吉」
「…」
「そうだね。本当に楽しみにしていた婚礼も上げられるかもしれないね。」
「ひひひひひ」


からんころん




「ん」



目を開けると白い夜着が眼前に広がる。
動かしづらい顔を上げてその正体を見ると三成がいてほっとする。
にしても、この男。徹夜明けの私を抱きよってと思いつつ嬉しく思う。刑部ではないものの傷だらけの身体を見られて幻滅されると思っていた。ただでさえ女の匂いの少ない私だ。それをと思って三成の胸に擦り寄る。



「…起きたか?」
「っ」
「離れるな」
「いや、そのだな。寝惚けて!」
「貴方の寝ぼけは酷いからな」
「…いうな」
「腹は?」
「すかぬ。」
「いや違う」
「?」
「痛くないか?」
「は?」
「どうだ?」
「少し」
「そうか」
「…石田殿?」
「…」
「っん!?あふ、れろ」
「言い方を忘れたか?」
「…三成?」
「そうだ。2人の時にそう言え。」
「…」
「おい。泣くな」
「だって」
「?」
「私なんて父上と共にいたら歯牙にも掛けないし。竹中殿の顔を見る方が恋人同士みたいだし。」
「そうか?」
「ご飯作ったら殲滅って」
「言ったか?」
「子供の頃。」
「だからずっと私だけに。あの結び飯は旨かった」
「あれは作れる。」
「他のも食べる」
「左近に見た目がと言われた」
「左近が?」
「ああ」
「腸を」
「待て!?如何してそうなった」
「私すら食べられぬものを」
「違うの!左近は刑部に唆されて」
「…」
「いし、みっ!三成」
「何だ」
「嫌わないでね」
「寝ぼけているみたいだな」
「?!」
「お前は私のものだと言っただろう!」
「本当に…?」
「だから2人の時は昔の様に喋れ。男言葉を無理に使わんでいい」
「うん」
「姫」
「三成?ま、待って?!朝から」
「もう随分待った」
「あ、」
「孕んでもらうぞ!私の子を」
「ん」
「っ」
「え、あのちょっと?!」
「お前のせいだ!諦めろ」

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