忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

45

「おーい。姫」
「ん?暗?」
「これどうにかしてくれ?」
「これ?」
「…ひ、め」
「治部?!如何し…酒臭い」
「いや、な。」
「その逆の方は毛利殿か…そういえば珍しく男で宴が如何したと言っていたが…刑部は?」
「まだ飲んでいる…何だあいつは!!!酒は水か?!」
「あれは笊だからなぁ。諦めろ。刑部に死角はないのだよ。…治部?」
「ひめさま」
「さっきからこればかりでな。いいか?」
「あいわかった。何とかなるだろ?そこに寝かしてやってくれ」
「助かる。」
「毛利殿は?」
「こいつは寝ちまってるから客間に入れておく。そいつは微妙だ」
「ひ、めぇ」
「う…一番厄介だな」
「と言ったって仕方ねぇな。左近の奴は楽しそうに長曾我部と遊んでるしな」
「…はぁ」




そういって治部を置いて出ていく暗の後ろ姿をみる。しかしながら如何したものか。酔っ払いの介抱などしたことないぞと思いながらじっと治部を見る。行き倒れだな。うつ伏せで唸っているな。ゆっくりと揺すってみると名前を呼ばれるので生きているらしい。



「風邪ひくぞ」
「ううう」
「其方も強かろう?如何した?」
「ひ、め?」
「此処に居る。さて、移動するぞ」
「ん」
「少し寝ていろ。水は飲めるか?」
「ふふふ」
「?!」
「美しい」
「…三成よ。そなた本当に如何し…ん!」
「あふ、ん。れろ。…柔らかい」
「そなたは酒臭い」
「もう一度」
「やめっ!っち。力は弱らまらないか!んんっ!」
「あう、ん。れろ。んちゅ。はっ!」
「みつ、な、り」
「いい匂いだ」




そういって人の体を人形のようにギュウギュウと抱きしめるものだから硬直してしまう。私の知っている三成は死んでもこのようなことをする男ではない。ただ。




(随分と柔和に笑う)
「姫」
「何だ三成」
「美しい」
「…」
「愛しい恋しい可愛い愛している。この世の何よりも誰よりも」
「…そ、うか」
「伝わっているか?」
「あ、ああ」
「ならいい」
「ああ」
「抱きしめたい」
「今すでに抱きしめられているからな!」
「…そうか。そうだな」
「う、うん」
「私のだ」
「ん?」
「貴方は私だけのものだ」
「わかった。とりあえず寝ろ。な?」
「…」
「ちょっと待て!なぜ脱がす???!」
「抱きたい」
「ひっ?!」
「愛してる」






からんころん








「ん?」
「…」
「ひ、めさま?っ?!何故このような姿で?」
「…うるさい」
「一体?何か…」
「もういい。寝ろ。こちらとは言いたいことが多々あるが寝てない!寒い!!!」
「はっ!」
「…あと酒は程々にしてくれ。身がもたん」
(何をした私?!)

拍手

PR

44

「姫様!」
「ん?左近か?如何した?嬉しそうだな」
「聞いてくださいよ!今日すっげぇぼろがちだったんっすよ」
「(よくわからん)よかったなぁ」
「はい!」
「そうだ。左近に前から聞きたかったんだが」
「何っすか?」
「鉄火場とはどんなところだ?」
「え?!」
「いつも其方が楽しそうに話すのでな」
「スッゲェ楽しいっスけど」
「?」
「知らないんっスか?」
「ああ。知らんのだ。幼い折から城暮らしでな。あまり知らんのだよ。」
「そうなんっすね」
「だからいまいちわからんのでな。…如何した?」
「今から行きましょうよ!」
「?」
「じゃあ!鬼がいぬ間に」
「左近?わっ待て」










「おい。刑部」
「如何致した?」
「左近を知らんか?」
「いつもの鉄火場では?あれが行くところなどそれくらいよの」
「…いくら言っても」
「やれ行ってみるかえ?」
「…」






鉄火場に近づくと黒山の人だかりで眉間にしわを寄せる三成を抑える。時折聞こえるうつけの声でそこにいるのは間違いないと確信するものの何故か姫様という単語が聞こえる。…事と次第によればこの黒山の人だかりが屍の山に変わりよるなと内心思って三成を見る。





「ひゃっほぉー!また姫様の勝ちだ!」
「ぐう…」
「次は如何する?」
「イカサマだ!」
「左近んんんんんんんんん!!!!!!!!!」
「げ」
「やれ、ぬしは暗よりも愚か愚か。真逆姫を鉄火場に連れてくるとは」
「あっ佐吉!紀之介!」
「「は?」」
「しばし控えろ!今勝負所よ!」
「な、何をおっしゃているのですか?!」
「やれ、姫」
「姫ではない。此処ではかつだ。あと一勝負で此処の権利は私のものだな!」
「姐さん!許しちゃくれねぇか」
「許すわけないだろう!サァ如何する!出来ないのならば有り金全部!雁首そろえて用意しろ!今すぐだ!」
「ひっ?!勘弁してくれ!此処を潰す気か!このペテン師!人でなし!!!」
(死んだな)
「わあああああ!さ、佐吉様!待って下さい。」
「…貴様。姫様に対する悪言の数々!万死に値」
「五月蝿い!」
「っ」
「さて如何する?!此処で全ての証文を出すか。此処の有り金を全部巻き上げられるか!」
「…出すっ!出します!!!」
「ふふふ。では左近」
「ははいっと。」





白い紙をとって確認する。にんまりと笑って確かにと姫は言う。にこやかな顔と裏腹に横の男の短い導火線は無くなる寸前だろう。それをよく理解している姫は佐吉と人誑しの顔でこちらを見る。ただし目は暴れたらわかっているだろうなと言っているところを見ると突然の乱入は気に食わなかったらしい。




「ひ、姫様」
「あ、そうだった。これは左近にやる約束だったな。あとのもうまくやってくれ。ただし温情はこの一度きりよとな」
「はいっ!」
「おい、左近!!!」
「良い。行かせてやってくれ。」




さて行くかと言って席を立つと「ああそうだ」と言って胴元の方に笑いかける。刺客をおくらば強いものにせよ。腕が鈍るようなものならば、ここを焼き払うぞという顔は紛れもなく見慣れた武者の顔だ。行こうという台詞の後禍々しいまでの殺気を放つ三成を引っ張っていくのだから相も変わらず、すごい女子よな。





「姫様」
「あー目と耳が痛い。使い過ぎたな。可笑しくなっていないか?」
「やれ、姫。ヌシほどのものが何故このような場所に」
「左近に連れてきてもらった」
「左近…」
「いや見るだけという約束だったのだがなぁ。左近の想い人がここの借金の方になっていたらしくてな。いくらやっても勝てんというんだ。不憫になってつい」
「姫らしいが…」
「よく働いてくれるし。私からの褒美だ。」
「ですが!」
「負けたら如何するつもりよ」
「あんなので如何やったら負けられる。」
「は?」
「目と耳を使えば負けんだろ?まぁ最初はイカサマしよったから腹たったが」
「…ヌシが常人と違うことをすっかり忘れていたわ」
「それは左近にも言われた」
「…」
「三成」
「はっ」
「疲れた」
「…」
「じゃあ刑部。輿に」
「残念残念。これはあれ以外乗れぬのよ」
「愛妻家め」
「ヌシにもおろう」
「いや、すごい歯ぎしりしか聞こえん」
「ひひひ。他の男と逢いびきするからよ」
「逢いびきも何も。…そういえば三成とどこかに行ったことないな。」
「?!」
「酷い男よの」
「刑部?!」
「愛妻家をもつ妹がうらやましいなぁ…何だ?急に」
「どこに行きたい?」
「さてな」
「刑部」
「あいわかった」
「しっかりつかまっていろ!!!」
「いや!?早い!!!」





からんころん







「お」
「姫様!!!助けて!」
「ああ。竹に括られて。今から居合切りの練習か?治部」
「真っ二つにしてご覧に入れます」
「すいません!!!もうしません!!!!!」
「やれ、諦めの悪い。嬲り殺しにせず、一発で終わるのだから温情よオンジョウ」
「では!」
「治部や治部」
「何か?」
「左近の借財は其方が肩がわるのか?」
「借財?」
「先だっての鉄火場の証文。今は私の手の内だからな」
「…ヌシ。幾ら借財していたのだ?」
「1万両。他のも合わせてな。にしても利息が酷いな」
「…自分で払え」
「え?!助かった。いや、助かってない?!」
「昨日の娘も城内に出仕させる。鐚一文まけんぞ」
「いやぁ…はは」
「やれ、借金取の方が楽だったかもしれんなぁ」
「死ぬまで働け。三成為に」
「…姫様」
「は、い」

拍手

43

「姫様」
「んー?」
「…」
「じーぶー」
「誰だ!姫様に酒を与えたのは?!」
「暗よ」
「キサマァァァ!!」
「ふ、不可抗力だ!」
「じーぶー?」
「…」
「やれ顔が赤いぞ」
「んふふふふ」
「姫様」
「お酒が飲みたい」
「駄目です。元々、飲むのが苦手でしょ」
「…駄目?」
「う」
「酔わして乱したらどうだ?」
「キサマァァァ!!!!」
「と言いながら抱き上げてるじゃねぇか」
「貴様は!斬滅してやる!!!」
「じぶー。ちゅー」
「やれ三成。キス魔になっておる」
「すげぇな。なかなか見れない光景だぜ」
「じぶ?」
「分かりましたから。少し待ってください。この者を!!!」
「じぶ…」
「うっ」
「如水の方が好き?」
「それはない」
「即答よの」
「わたしは?」
「…好きですよ」
「!」
「…可愛いなぁ。流石姫さん。って恐皇?!」
「貴様…私のひめに不埒な」
「じぶ」
「…」
「ねむい」
「…部屋へお送りいたします」
「うん。じぶ…」
「あとは頼んだぞ。刑部」
「あいわかった」
「すきー」
「分かりましたから。しっかりと捕まってください」
「ん…」





「やれ暗よ」
「何だよ」
「殺されぬと良いがのう」
「なぜじゃ!」
「ひひひ」





からんころん






「ん?」
「姫様」
「じぶ?」
「私の自室だ。人払いもしてある。」
「水」
「加減はどうだ?そんなには飲まなかったのだろう?」
「猪口に一杯だな。如水に盛られたなぁ」
「…」
「知らなかったのだから。あまり叱るなよ。」
「しかし…やはり斬滅する!」
「三成?」
「…すぐ戻るから待っていろ」
「行ってしまうのか?」
「…」
「私は寂しいよ」
「如何した?」
「三成」
「酒で弱るあなたをどうこうしようという気はないが。忍耐を試すようなことはしてくれるな」
「多分そんなことされたら私は死ぬ」
「知っている。ほら」
「わ」
「寝るまで撫でてやる。寝ろ。さすれば少しは楽になる」
「…三成の手は冷たくて気持ちいいなぁ」
「そうか」
「起きて一番は、そなたの、かおが、いい」
「ん」
「ねむ、い…」
「おやすみ…寝たか?寝たな。さて。」
「くー…」
「起きられるまでには帰らなければな。…時間がない。とっとと狩るか」

拍手

42

「…」
「これは、父上に。これは軍師殿に」
「さよ」
「何ですか?」
「ははうえは、やすまぬのか?」
「え?!ああ。忙しくなられてますから。ああ、歯ぎしりをなさいませんように」
「ははうえはおたおれにならないのでしょうか?」
「と、申しておりますが。3つの子に心配されておりますよ!」
「んー?母は平気だ。それより膝に来ぬのか?」
「…じがよめますので」
「佐吉は父上に似ているなぁ。」
「…」
(そんなに嫌そうにせずとも)
「ふふふ。佐吉や佐吉。こちに来なさいな」
「…よいのですか?」
「もう終わったからな。休憩だ。父上のように早ければ良いが。なかなか上手くいかんなぁ」
「ははうえ」
「ふふふ。構ってやれずにすまんなぁ。今度父上と3人で野駆けにでも行こうな」
「はい…ですが」
「佐吉は父上が好かぬのか?」
「ははうえをひとりじめするからです」
「今は佐吉だけの母だ」
「?!」
「ああ。愛しいなぁ。」
「ははうえはわたしがだいすきですか?」
「うん。大好きだよ」
「…」
「ほら、ぎゅー!!!」
「は、ははうえ!」
「そなたは私の大切な息子だ。立場上普通の母であってやれぬ。でも覚えてておくれ。母も父も其方が愛しくて愛しくてたまらん」
「…」
「誰が何と言おうと。それは変わらん!」
「ちちうえは」
「ん?」
「わたしにばかりおこります」
「そうなのか?私もさよも怒るが?」
「ちちうえはおそろしいのです」
「…ああ。今のでわかった。母から言っておこうか?」
「いいえ。わたしがつよくなってちからづくでねじふせます」
「…」
(同族嫌悪ね。)
「姫様…何だその顔は?」
「ちちうえこそ。ははうえはいまわたしとともにいるのです」
「…まぁいい。姫様」
「ん?」
「なにをするのですか?!ははうえからてをはなせ!!!」
「五月蝿い。貴様気付いておらんのか?」
「!?」
「さよ。隣室に床を。」
「…はぁ。また石田様だけでしたな」
「何故わかるかなぁ。治部や治部。教えてくれ」
「お教えしたら、隠すでしょう。言いません。さて」
「!」
「童邪魔だ。下がってろ」
「っ!」
「ああ。佐吉。行ってしまった。小太郎。頼んでいいか?」
「…」
「じじ様と遊ばしてやる?ああ。良い。くれぐれも北条殿に無理をさせぬ様にご配慮…行ってしまった」
「おい。床はまだか?!」
「只今」
「急がんても良い。すまんなぁ、うちの旦那殿は言葉が足りなくていかん」
「姫様」
「治部もうちと素直に言え。喧嘩したくはなかろう?」
「あれは男の子です。私が言ったところで聞きません。」
「まぁそうだろうな」
「本当に童の時の私を見ている様で…」
「愛いだろう」
「姫様」
「さてと夜着に変える。少し寝る」
「さよ。」
「皆に周知しておりますのでゆるりとお休みくださいませ。」
「佐吉は近寄せるな」
「うつってはならんからと付け足して言えというに」
「…好きにしてくれ」





からんころん






「ひひひ。やれ、佐吉」
「ぎょうぶどの!」
「風魔の。ご苦労であった。我がかわる。」
「…」
「何、悪さはせんよ。我の愛い佐吉に何ができよう」
「こしにのっていいですか?」
「よいよい」
「…」
「ふうまどのもぎょうぶどのも。なぜ、わたしのちちうえになってくださらなかったのですか」
「はて、主には父がいたがの」
「…」
「ちちうえにはははうえはもったいない!」
「…そうきよったか」
「どの様な理由で?」
「これ、風魔。童に怒るな。佐吉は勘違いしておるよ」
「?」
「主の母上は父上てなくてはならんのだ」
「ですが」
「「?」」
「ちちうえがぎょうぶどののようにははうえをいたわるところをみたことがありません。」
「主の母上が女扱いするのを極端に嫌いおるからなぁ」
「…ははうえがおかわいそうです。いつもぼろぼろになるまではたらいて」
「それはここの竹中殿に言え。」
「はんべえさまですか」
「あれが仕事を増やすのだから。あれに言え。石田は関係ない」
「…」
「そちの父上は姫と同じ筆跡にするのが得意でなぁ。なぁ、風魔」
「ああ」
「?」
「黙って仕事を半分奪っておる。ひひひ、不器用な男よ」
「!」
「きりゃれ。風魔は如何する?」
「悪い虫が起きてはいけないからな。何かあったら言ってくれ」
「あいわかった」







「あ、刑部様と若様?!まじダメっすよ。三成様に言われてます!!!」
「さこんどの?」
「拗らせては大変なのはこちらも一緒よ。静かにしりゃれ。」
「???」
「責任とってくださいよ」



「…ん」
「苦しいか?」
「少し」
「無理をするな」
「ん」
「寝てろ。秀吉様から許可は頂いている。今晩はここに居る」
「三成」
「とうした?」
「ありがとう」
「あまり、心配させるな」
「あなたもやすんでね」
「…ああ」
「…」
「…」
「…」
「眠ったか。…早く良くなってくれ」
「ん」
「でだ」
「「「!?」」」
「なぜ貴様らがここに居る?!左近!!!」
「ひゃー!すいません」
「ひひひ。のう。佐吉」
「刑部に佐吉?!左近!!!特に寄せるなと言っただろう!貴様と違って罹りやすいのだぞ」
「ほら〜。ありゃ若様」
「やれ、泣くな」
「佐吉」
「ちちうえ。」
「…昔、姫様の風邪をお前がもらった時があった。そうなってはならん。今は刑部のところで休め」
「あい」
「…あまり心配させるな。」
「あい」
「みつなり?」
「すぐ参ります。すまん、刑部。」
「あいわかった」
「おやすみ、佐吉」
「おやすみなさい、ちちうえ」
「!」
「三成様?」
「…おやすみ」
「ひひひ」

拍手

41

「姫様?急に如何致しました?」
「痛い」
「ひ、姫様?!」
「さよ、産婆を。侍童たちはいるか?」
「隣室に控えています。文を私に行かせますよ。ああ。頼む。後、三成。此方へ」
「はっ!」
(気づいていらっしゃったのね)
「父上と竹中殿に書状を」
「ですが」
「良いな、きちんと返事を貰ってきてくれ。いや何。そなたの足ならすぐだ」
「直ぐに戻ります!」
「…良いのですか?あのままなら産婆を殺しかねない気が」
「父上に抑えてもらうようお願いした。書状にはそう書いてある。」
「用意周到で」
「しかしだ」
「?」
「昨日よりしくしくしていたが真逆陣痛とは…」
「昨日?!真逆」
「ははは。あいたたたたた」
「誰か!産婆を早く!!!間隔が短い!!!」
「はいただいま。」
「姫様!!!」
「いや、ははは。いたたたたたたた。」




経験者の刑部ですらこんなに早いわけがなかろうと一言言う。先ほど痛いと言ったばかりであろうと。但し、相手は姫様なのだ。常識というのが欠落しておられる。現に、昨日より痛んでいたらしいといえば何とも言えない顔をされた。




「大谷様!」
「何だ?!」
「綱を!」
「あいわかった。やれ三成」
「な、なんだ。」
「そうそわそわするでないわ。まだ」
「破水してますから早く」
「…」




刑部と入れ替わりに半兵衛様が来られる。どうだいとおっしゃるので事の次第を説明すると一様な顔をされる。
取り敢えず、姫らしいよねと言われるので何とも言えなくなると、凄い音がした。




「な、」
「…やれ、腕の要らぬ男はおらぬか?」
「ど、」
「どういうことだい?」
「いきまれたら天井がのう…」
「姫様はご無事か?!」
「それは心配いらぬがおおそうよ。暗を生贄に綱代わりを」
「…」
「冗談よ。…にしても姫曰く力加減ができぬそうでな。掴むものがなければ辛かろう」
「では私が行く!」
「君なんて一捻りだよ。…秀吉?」
「我が行く。」
「は?」
「だ、だめだよ。君にもしものことがあれば。」
「後継者に腕をへし折られる吾ではないわ。良いか三成」
「は」
「そこで待っていろ。」








「父、上」
「手を出せ」
「力加減が」
「わかっている。今は産むことに集中しろ」
「は、い?!いたぁぁ!!!!痛い!」
「っ?!」
「つぅ…!!まだか?!」
「まだです」
「おのれ!早々と母の前に出てこぬか!」
「…」
「いたいっ!あー!!!いたいわ!!!」
「姫」
「いたー!」
「落ち着け」
「痛い!」
「故にだ。行くぞ」
「??あー!!!」
「今だ。いきめ」
「んー!!!」
「姫様!頭が見えてきましたよ!」
「はっはっはっ。」
「しっかり休め。次が来る。」
「んー!!!!!」
「よし、今だ」
「んー!!!!!」











秀吉様がお出でてからどのくらいの時間が経っただろうか?何の前触れもなく赤子の声が聞こえて慌ただしくなる。



「い、石田様!」
「姫様は?!ご無事か?!!」
「はい!母子ともにご無事でございます!」
「やれ、どちらよ。」
「お世継ぎ様にございます!」
「そうかい!!よくやっ…三成君?」
「ご無事で、良かった」
「やれ泣くでないわ。三成。」
「本当だよ僕だって…」
「軍師殿も」
「…皆様。何を泣いているのですか???」
「姉上」
「姫がお呼びですよ。」
「姫様!」






ばたりと障子を開けると草臥れた顔の秀吉様がいらっしゃって土下座をする。よかったなとおっしゃって姫の方へと促される。




「治部や治部」
「姫様」
「心配かけたなぁ。」
「ありがとうございます。」
「男の子だ」
「はい」
「顔は其方似だが。髪は私だな。ふふふ。不思議だ」
「私の、子?」
「不服か」
「いえ…これ以上の幸福は有りません。」
「三成。…他人行儀はもういい。母と父だ。」
「姫」
「ん?」
「大事ないか?」
「ん」
「良くやった」
「頑張ったよ」
「聡い子になろう」
「ほら、父上ですよ」










からんころん







「ん…。三成?」
「起きなくてもいい。まだ、体を休めておけ。」
「ありがとう。名前は?」
「佐吉がいいとおっしゃっていた」
「懐かしいわ」
「私に似ているそうだ」
「ええ。あまり泣かないところは」
「?」
「赤子なのに。はぁ」
「なぜため息をつく」
「殲滅斬滅言わぬか心配だわ」

拍手