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変換なしの雑食夢

ran

嫌われるダリューン 2

「これをダリューンのところに持って行ってくれ」
「御意」
「…」
「如何致しましたか?」
「いや、嫌がるかと」
「大義に私情を挟みません。しかしながらエラムに頼んでいただければあちらはよろしいかと」
「本当に嫌うな」
「あちらがで御座います。戦さ場でたまたま拾った命でございますし、その上殿下の元、我が師とこうして共に居れること嬉しくは思いますが…なんとまぁ。姑のように」
「まだ嫁いだこともないだろう」
「何が嬉しくて不自由な世界に飛び込まなくてはいけないのですか。私にとっては理解不能としか言えません。」
「お前らしい」
「私は忠節さえあればいいのでございます。武人に貞淑さや母性のどちらもいりますまい」
「お母上が嘆いておろうな」
「私を跡取りとして育てたのですから覚悟の上でございましょう。一般的というのは私の家では常備しておりません」
「お前に一般な事は望んでいないだろう?」
「なれば尚更。私に女子であるなど求めて欲しくはありませんね」
「…怒っているのか?」
「ある程度には」
「…エラムにお願いするよ」
「平和的でよろしいかと」
「時にサクラ」
「はい」
「家裁は出来るのか?」
「戦さ場に出ているからと言われるのは好ましくありませんから一通り。…時折エラムの代わりもしております」
「隙がないな」
「そうでございますか」
「?」
「間者として嫁がせるのならめ命じてください」
「そんな恐ろしい事はしない。大体お前の二つ名は他国でも浸透しているなろう」
「まさか父上の餓狼将軍から雌狼と格下げになるとは」
「そのうち同じ名になるだろう。」
「前線に出ません故。鍛錬を重ねていくのみでございます」
「そういう意味では…まぁ良い。例の薬。頼んだぞ」
「はい」






陣幕を出て私は空を見る。星は出ていて少し寒い。

戦いの前。


この空気が私は好きで嫌いだ。人を殺すのを躊躇するほど若くはない。この手で大切な方を守れるのに疲れるほど歳を食ってもない。
前線に行けない自分が歯がゆいものの自分にしかできないこれを我が師の元行える事は誇りに思うだ。静寂と興奮。





「サクラ殿」
「?!」
「何故」
「居るのは書類をお渡しに来たからです」
「っ」
「失礼いたします」
「待ってくれ」
「?」
「今まで」
「暗きに隠れておりました。私がいると目障りでございましょう?」
「そんな事はない」
「…ダリューン殿?」
「今日は冷える。暖かくして寝なさい」
「!」
「?」
「急にどうしたのですか?」
「???」
「昔のように…いえ。申し訳ございません。ダリューン殿も明日は開戦。よくお休みください」
「…本当に」
「?」
「明日、参戦するのですか?」
「は?」
「やはり」
「…」
「怪我などしてはいけないのだから…サクラ殿?」
「いいえ…おやすみなさいませ」








嫌われるダリューン







「最後のは蛇足だ」
「何がだ」
「怪我のくだり」
「致し方ないだろう。怪我などしては」
「心配か?」
「…ああ」
「あれでも強い武人だ。過保護ではなく軽んじていると思われてしまうと嫌われるぞ」
「わかっているが」
「どうたかな」


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