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変換なしの雑食夢

ran

嫌われるダリューン 3

「サクラ」
「はい、殿下」
「ダリューンの怪我の具合は?」
「大事ありませんよ。打撲で裂けましたから日和はいりますが。」
「そうか」
「殿下?」
「サクラに聞きたいのだが」
「はい」
「ダリューンの事が死んで欲しいと思うほど嫌いなのか?」
「は?」
「試合中、皆が心配していたがサクラだけは平静だった」
「あ、ああ」
「二人の間に何があるか知らないが」
「殿下」
「?」
「私は知っていただけで御座います」
「は?」
「それこそ。私は彼の方が小さい折から知っております。大将軍様の妻は私の父の姉で御座いますから。気に食いませんが幼馴染で御座います」
「気に、食わないのか?」
「今はもう。昔は誇らしかったのですが…まぁその時分から彼の方は腕力だけの大人に負けた事はありません。というよりも大将軍閣下以外に負けた所を見た事はございません」
「そうなのか?!」
「生まれついての武人なのでしょう。その上貴方様の命とあれば負ける事はパルスの…いえ貴方様の汚点になりますので…必ず勝つのが彼の方なのです。その為に血のにじむ鍛錬をしているのですから」
「そう、か」
「ですから。私は彼の方が負けるとは思いませんでした。昔からそのような方なので御座います。心配したらよく困っておいででした。普通、困るところではないですがね。心配しても無駄なのでございます」
「信頼しているのだな」
「昔は。」
「…サクラ」
「今となってはそれがまた腹立たしいので御座います。彼方は化け物なのでございますよ?それを知ってか知らずか力量の差を見せつけて私に退役しろとばかり。今回のように強きものと戦って少し怪我をするくらい良い気味なのです」
「ふふふ」
「?」
「サクラは我々の誰よりもダリューンを理解して信頼しきっていたから恐ろしくはなかったのだな」
「腹ただしい事が多い御仁ですが死ねと願うのとはまた別の話で御座います。私も鬼ではありませんし、それほど嫌なら怪我の手当てなどいたしません。大体何度も申しますが私より向こうが嫌いなのです。」
「そうではないが…安心した」
「殿下」
「それにしてもサクラは幾つなのだ?」
「年ですか?21になります」
「?!」
「あからさまに驚かないでくださいませ。『体型のせいか』などと言ってギーヴ殿は大笑いしたのですから」
「いや、もっと若いと思ったのだ…私より1つか2つ上かと」
「腐っても千騎長を襲名しております。…数ヶ月の任期でございましたが」
「それはナルサスが気の知れた其方を部下にしたいと申した故で実力は遜色ないと知っている」
「ありがとうございます」
「なれば早く結婚せねばな」
「…心配無用でございます」
「…」
「心配無用でございます」
「…わかった」
「それより殿下。少しお休みください。つか、れ、が」
「サクラ?!おい!誰か!!!」





サクラが倒れた。心労でございますと医師は言う。あの平静な顔の下は我々が思っている以上に心配していたのだなと誰かが言った。昔から優しい娘だった。戦い事も本来向いていない優しい情の厚い美しい少女だった。



「寝ていたら治ります。」
「そう、か」
「それでは我々は失礼いたします」
「…」
「殿下。我が弟子をありがとうございます」
「いや、私のせいだ」
「?」
「サクラの心中まで測れずに酷いことを尋ねてしまった」
「殿下」
「これはそんな柔な娘ではありません。口では言いませんが態度に出ますゆえ」
「まぁ…それがサクラのいいところだと」
「そうでございます。真面目で手を抜くと言うことを知らない可愛い弟子でございます」
「そうだな」
「昔からそうなのでございます。ナルサスには釘を刺していましたが…自己犠牲が過ぎるところがあって知らぬうちに熱を出して寝込んでおりました」
「昔からか?」
「そう言っただろう。…無理をさせて」
「すまない」
「ふふふ」
「殿下?」
「流石ダリューンだな」
「?」
「幼馴染と聞いた。」
「はい」
「筒井筒の仲なら…娶らないのか?」
「?!」
「サクラは勘違いしているみたいだ。私でもわかる程度にダリューンに思われているのにな」
「くくく」
「ナルサス?」
「その、話はありましたがサクラ自身が。とても嫌がりまして…」
「そうなのか?」
「最終は家出までしたそうだな」
「ああ」
「…家出」
「聞いたら、屋敷の奥にいるのは出来ないと。そんな事するなら死んでやるとまで」
「サクラらしい」
「それからは頑なで…無理を重ねていましたからその。」
「ついついか」
「嫌われてしまいました」
「そうか」
「殿下?」
「私は似合いだと思うがな。本人が嫌なら仕方がない…ん?」
「…ん」
「サクラ?気がついたか」
「殿下…此方へ」
「どうしたナルサス。早く医師を」
「離れてください。…面白いものが見れます」
「?」






「兄にぃ」
(?!)
「サクラ?大事ないか?」
「ん」
「…」
「怖い夢、見たの。兄にぃが化け物と戦って、怪我、するの」
「そうか」
「兄にぃ」
「泣くな。安心しろ。起きるまでそばにいてやるから」
「ん」
「サクラ」
「兄にぃ、大好き」


嫌われる?ダリューン






(何だあれは)
(熱が出ると必ずダリューンに甘えるんです。そのせいでダリューンも諦めきれずに今に至るわけです)
(難儀な話だな)




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