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変換なしの雑食夢

ran

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すれ違う三成 4

「春」
「?」
「このあと時間はあるか?」
「内容は?」
「その、だ!色々ある」
「色々?個人的な話?」
「ああ」
「そう…」
「…」
「…ごめんなさい。忙しくて」
「?!」
「家としてなら副官をと思ったけど…個人的なら無理ね。」
「少しでいい」
「石田様」
「!」
「また後日」
「待て!!!」
「っ!?」
「す、すまない。その、だ」
「何?」
「夜、なら。如何だろうか?」
「夜は…無理ね」
「な?!」
「ごめんなさい」
「…春」
「…」
「何故私の顔を見ない?何故私と話さない?何故、私の名を呼ばない?!」
「石田様」
「裏切るのか?!お前も!私を捨てて!!!」
「っ?!」
「私を、置いて…春?」
「や…だ。はなし、て」
「す、すまない!」
「っ」
「泣くな。頼む。春」
「…行くわ」
「!」
「春!」
「何?」
「私はお前を失いたくはない!」
「…嘘つき」
「嘘など言わん!」
「…」
「ま、待て!」










書付をしているとかたりという音がする。不意に顔を上げると困った様な顔をした半兵衛様がいて私は笑い返す。こういう顔をしてくる時は決まって個人的な時だ。




「春君」
「何ですか?」
「…」
「三成との事ですね」
「座っても?」
「もう座っていらっしゃるわ」
「そうだね」
「半兵衛様」
「何かな?」
「私は、要らなくなりましたか?」
「…は?!」
「三成と話聞いていらっしゃるのでしょ?…彼方は左腕。私はしがない一兵。どちらを取るだなんて明らかですわ」
「ま、待って!そういう話ではなくてだね」
「?」
「君は僕の妹分だよ?可愛い春を要らないというと思う?」
「はい」
「?!」
「貴方様の全ては秀吉様だもの。」
「其れは…否定しないよ」
「邪魔になれば要らないわ」
「如何したんだい?いつもの君らしくない」
「…」
「三成君と君のとこの部下の話は君の勘違いだよ」
「…ええ」
「知ってたの?!」
「すぐに部下が…」
「なら、如何して」
「…」
「春?」





彼は怒りですものと言えば理解不能と言わんばかりに顔を顰められる。
仕方がない。此ればかりは賢人でもわかりはしないだろう





「説明してくれる?」
「言葉のままですよ」
「理解できないよ」
「あの晩、八橋のところで寝ていたら副官が来ました。そして手紙でですが事の次第を聞きました。ただ感情は簡単に治らないので私はそのまま寝て帰ったら三成から話を聞こうと思っていたのです。…それが」
「うん…話には聞いているよ」
「身体中の青痣も?」
「暴力を?!」
「違いますけど…力加減が出来なかったみたいです。抵抗しても無駄でした。」
「でもそれは」
「…頭ではわかっているのですが…私は三成が恐ろしい」
「…」
「こういうことに男も女もないでしょうけど…今でも男と二人きりは恐ろしいのですよ」
「僕もかい?」
「ほんの少しだけ。…半兵衛様」
「ん?」
「此の儘では本当に足手纏いになってしまいます。ですから」
「…駄目だよ」
「…」
「君はいてくれるだけでいいんだ。僕だけではない秀吉もそう思っているよ。」
「っ」
「泣かないで。」
「ふふふ」
「春?」
「大丈夫ですよ。」
「…」
「なら、もう少しだけ頑張ってみます」








すれ違う三成 4








「春!」
「っ」
「待ってくれ!話を」
「今、急いでいるの」
「待てっ!」
「っ」
「頼むから」
「あ…」





『お前は私のものだ!』





「や、やだ!」
「震えて…」
「…」
「すまない。お前に危害を加えるつもりはない」
「…触らないでください」
「春!どこへ行く?!春!!!」

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すれ違う三成 3

貴様が春の愛敵かと尋ねてきたこの人こそ春様のお相手である石田様なのだろう。成る程。私とは正反対の細くて神経質そうな御仁だ。ひしひし感じる命の危機と嫉妬の渦と…この御仁は聞いていた以上に分かりやすい。
春様が帰った晩。私はこの人の座敷に呼ばれて身受けの申し出と春様のお相手をして欲しいと言われた。横にいる方が願いでは無く決定事項である事を静かに告げる。成る程、年増の女郎を片付けられるのだから一石二鳥なのだろう。ほくほくとしたおとうさんの横面を叩きたくなった




「おい」
「春様は?」
「貴様が春の名を呼ぶな!!!」
「?!」
「三成!」
「はらわたが煮えくり返る!貴様を此処で葬りたい!!!」
「やれ、すまぬなぁ。これは春殿の事になると盲目でなぁ」
「っ」
「愛敵である主が憎いのよ」
「愛敵…」
「しかしふさぐと必ずぬしの元へ参りよる。今の春殿に主が必要よ」
「春様に何が?」
「知らなくて良い!そもそも貴様の力など」
「…石田様」
「!」
「春様はただただ優しい方です。」
「知っている!貴様に言われずとも!!!そんなこと、私が、一番!」
「私の元へ来られるようになったのは私の許嫁があの方の部隊にいて…討ち死にしたことを伝えに来てくださったためです」
「…」
「気落ちした私を元気付けてくださいました。彼の方は本当にお優しい」
「そうよの」
「ですが、彼の方は何もご自身のことを仰いません」
「?」
「悩みも苦しみも弱みも何もかも。…特にお城の方の前では」
「!」
「私はきっと始め知りえた城外の人間。言いやすかったのだと思います」
「…黙れ」
「彼の方が誰よりも女らしいことを存じておられますか?裁縫も食事も何もかも。いつもの様な男装では無く女の様な姿が本に好きであること。」
「黙れ!」
「女の様に誰かに嫁ぎ子を産み育て、愛したものの腕の中で寝ていたかったこと」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!」
「彼の方が私と同じ床に寝るのは貴方のせいで御座います!」
「黙れ!!!」
「三成!」












「八橋が死んだ?」
「…」
「如何してだ!先だってきた折はあんなに」
「…申し訳ありません」
「墓は?!八橋!!!」
「とのさま」
「禿の…如何致した?」
「これ、姐様から」
「?」
「姐様、殿様が大好きだって…笑って幸せになってって」
「いやだ、八橋!八橋…あぁああああぁぁぁ!」







すれ違う三成 3








「や、やれ。春殿」
「?」
「その姿は如何した」
「ふふふ。切りました。さっぱりしたわ」
「…」
「八橋が死んだの。…ご存知?」
「主の愛敵か?」
「知らないなら、いい」
「春殿」
「ん?」
「主は勘違いしておる」
「?」
「あれは」
「春!」
「噂をすれば」
「…」
「熱は?側に居たかったが…」
「…もう、大丈夫」
「そう、か」
「ねぇ、聞いていい?」
「なんだ?!」
「その刀で八橋を斬ったの?」
「?!」
「苦しまなかった?」
「春」
「なら、いいわ…では後でね。」
「ま、待て」
「離して、」
「話が」
「…石田殿」
「!」

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すれ違う三成 2

「おい!」
「?」
「ようやく帰ってきたか」
「三成?」
「朝帰りとは剛毅なことだ!来い!」
「な?」




結局夜明け直ぐに大阪城に帰ると門番達が色めき立つ。何?何事?!と思えば三成が帰ってきたら直ぐに知らせろと言っていたみたいだ。あれよあれよと三成に捕まって彼の部屋に連れ込まれる



「春」
「っん?!」
「ん?!」
「何…するの!」
「貴様…」
「んん!!」
「私を拒絶する気か!」
「や、やだ?」
「拒絶するなど許しはしない!」
「みつな、り」
「貴様は私のものだ!」










優しくない三成はいつもの事だ。意地悪だし、しれっと私の胸を抉る言葉を簡単に言ってくる。
でもだ。こんなに無理矢理私を暴く事はしない。しなかった。


二人の時だけは優しかったのだ。
そう、信じていたのに






「っ」
「…」
「は、る」
「…っ?!」
「あ…」
「さわら、ないで」
「すまない…春」
「これで」
「…おい」
「これで満足した?」
「?!」
「もう、行くわ」
「ま、待て!」
「や、やだ!」
「私の元から去る事は許さない!」
「や、だ!」
「春」





嬌声と水音しか聞こえない。
いつの間にか気を失っていたらしい。




「やれ、春殿」
「よし、つぐ?」
「気がつかれたか?」
「…此処は?」
「三成の部屋よ。主は大事ないか?」
「…そう、見える?」
「…」
「大丈夫よ。思いの外、頑丈だから」
「こんな時まで笑わしゃるな」
「…ん」
「…その、よ」
「なに?」
「主は」
「?」
「かんちが」
「春!」
「っ?!」
「やれ三成。」
「起きたか?!」
「…」
「すまない。体は?」
「…何の謝罪?」
「?」
「やれ二人とも。落ち着きゃれ」
「貴様にすまぬ事をしたからだ。その」
「遊びのつもりだったからでしょ?」
「?!」
「謝るくらいならしないで」
「ちがっ?!」
「なにが違うの!…ちがうなら、どうしてこういう事するの?」
「っ。其れは」
「もう良いわ」
「ま、待て!」
「春殿」
「どこに行く!」
「部屋に帰る…」
「私を裏切る気か!」
「先に!」
「何だ!!!」
「先に!…裏切ったのはあなたの方じゃない」
「?!」
「もう良いわ。さよなら」
「ま、待て!」







すれ違う三成 2









「春君が?」
「ひひひ。我とてお手上げよ」
「二人とも若いからなぁ」
「しかしながら三成が些か悪い。あれならば勘違いしても無理はなかろう。現に事情を知らぬ彼方の何人かは勘違いをした。誤解は解けたが」
「春君は意外と真面目だから…ね。君達にすら弱みを見せずにやって来た子だよ?そうか」
「本に手のかからぬ良い子であったからなぁ。」
「三成君は逆だものね。…ん、わかったよ。春君には少し休んでもらう」
「手加減せずにひどく抱いたらしいからなぁ」
「情熱家っていえばいいのかな?」
「愚直と言うのよ。正常に動けば可愛いものだが今回は些か」

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すれ違う三成

「気を病んでいると思ったら…妊娠してるだなんて」
「申し訳ありません」
「謝ることではないわ。おめでたい事だもの」
「瓜生様…」
「で」
「?」
「相手は」
「…」
「言えない相手?」
「いえ…その」
「誰か。この子の相手を私の前に連れてきなさい」
「?!」
「縁を結ぶも否も…貴方達だけの話ではないのだから」
「…は、い」





そう言って連れてきた相手が三成なのだから心底びっくりする。この男が?上に立つものが、簡単に人んとこの兵に手を出すなんて…とふつふつと怒りがこみ上げてくる。いやそれより何より…。
ばきりと持っていた脇息をへし折ったあたりで横にいた刑部と左近が慌て始める。


「そう」
「ものを壊すな」
「うちの兵に手を出したのは三成なのね」
「その話に来た」
「…いつ知ったの?」
「お前が気づいた後だ。早く言うべきだと思い、ここに来ている」
「…」
「すまん。責任を持つ。」
「責任を持つ…そうね。当たり前よね」
「…何を怒っている?」
「や、やれ三成。主の言葉が足りておらん」
「そ、そっす!違うんす!落ち着いてください!!!三成様は」
「左近」
「はひっ!」
「…これが落ち着いてられる?」
「(こっえー!)」
「おい。本当に如何した?」
「触らないで」
「な?!」
「責任を取っていただけるのなら結構。ただこれからは事後承諾は無しにしていただきたいものだわ。」
「どこに行く!」
「…」
「何故急に怒り出す?!大事な話をしているはずだ!席を外すなんて、許さない!」
「ゆるさ、ない?」
「三成!」
「何だ刑部!」
「少し黙しゃれ!…やれ、これには訳が」
「吉継。」
「何か?」
「後はうちの副官に任せるから。宜しく」
「待て!」
「やれ、三成…ああ。行ってしもうた」












「っち!」
「舌打ちしないでくださいよ」
「気にしないで」
「春様。」
「何?」
「本当に宜しいのですか?」
「秀吉様と半兵衛様の許しは貰っているわ」
「ですけど。」
「何?」
「許可を貰ったというより奪い取ったが近いでしょうし。きっと半兵衛様なんて引き攣ってましたよ」
「見てないくせに」
「いつもの事だもの」
「煩いわよ。」
「男装までして遊郭に来るほどの事ですか?」
「んー…」
「私は楽できていいけど」
「寝てる」
「私はお座敷あるから」
「酷い!」
「どうせ晩になったら帰るんですよね」
「そうだけど」
「まぁどうせ石田様の事でしょうけど」
「…」
「喧嘩しました?」
「子供が出来た」
「え?!おめでとうご」
「私じゃない。他の女」
「え?」
「しかも部下」
「…御愁傷様」
「本当にねぇ。」
「とりあえず寝なさいって」
「うおっ!このふくふく感が堪らん」
「デブと言いたいか」
「うんん。」
「春様?」
「女らしくて羨ましい」
「…」
「眠い」
「おやすみなさいませ。」
「ん…」











すれ違う三成







「んあ」
「酷い顔」
「今何時?」
「もうそろそろ夜が明けますよ」
「えー…」
「副官の方が来て一晩此処で寝さしておくようにって。寝ててくださいね」
「ん」
「お座敷出たらすぐ戻りますから」
「うん」
「ちゃんと寝ててね」
「うん」




ほろほろと泣いてしまっているのを気づいて頭を撫でてくれる。苦界にいる彼女の方が大変だろうにと思いながら瞳を閉じる。






『春』







馬鹿みたいな話だな。こんな時に思い出すなんて。




「身受け」
「え?」
「身受けしたい」
「馬鹿な事言わない」
「ずっと側にいてくれればいいのに」
「他の方がいるでしょ?」
「みんな嘘の私が好きなんだもの」
「…」
「もう疲れたわ」
「よく寝なさいな。」
「うん」
「また帰ってきたら話しましょう。」
「うん」



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胃袋を掴まれた三成

「石田様が呼んでいらっしゃるようだよ!」
「え?」
「早く手を洗って!身綺麗にして!」
「今無理」
「何言ってんの!」
「代わる?」
「…出汁?」
「しかも一番出汁。御前に出す奴」
「ごめん…無理」
「小半刻はかかる。その間に仕込みをしておくわ。御前に上がるものに手抜きはできないし。そうお伝えください。無理なら九つ半なら何とかと」
「私が言うの?!」
「…代わる?」
「行ってきます」





舌打ちしながら私は作業にとかかる。生きの良い鯛に野菜。左近が鴨を取ってきてくれたから…と思いながら作業を着々と進める。「早すぎる」
「すっげー」というのは褒め言葉として「鬼の形相」とか「人外」いった輩覚えていろよ。後で再教育だ。
取り敢えず魚を捌く。すると何故だか周りが騒然となる。
「石田様が御成です!」と侍女たちが慌ただしく動き始める。そして私の周りも。



侍女達は玉の輿の為。
周りは私を止める為。





「てめぇら!」
「ひっ?!」
「その白粉塗りたくった姿でここに入るなって言ってんだろう!」
「萩さん!怒らない!!!」
「言葉!言葉が酷い!!!」
「萩男になってる!!!」
「うっさい!お前らも退け!埃が立つ!!!」
「後で幾らでも謝ります!ですから、今は!!!」
「今は何!?離せ!」
「オメェラも早く行け!!!左近様に言えばどうにかしてくださるかもしれねぇから。萩さん押さえとくから!!!」
「は、はい」
「何事だ」
「「「?!」」」
「みみみみ三成様!やばいですって!」
「何がだ?半刻も待つ猶予は私にはない。此処の責任者である萩という女を呼べ」




「下足の…まま」



「左近様!!!」
「ごめん!止めたけど無理!!!」
「役立たずー!!!」
「…下足の、まま」
「やばっ?!」
「何処のどいつかしらねぇけど。」
「わー!!!」
「萩さん!落ち着いて!!!」
「落ち着いてられるか!!!」
「ぎゃー!!!!!」
「な?!」
「あんた!」
「…何だ?」
「此処を何処だと思ってる?!御前の食事を作るところだ!塵一つ入らない様に作り手が心を砕いてもあんたみたいな男が全部台無しにしちまうんだ!見てみな!此処の奴らはみな下足なんて履いちゃいねぇ!あんた達だけだ!」
「な?!」
「出て行きな!私はあんたに仕えてるわけでもなんでもない!あんたの言うことを聞いてやる義理なんてこれっぽっちもないね!だからあんたの時間に合わせる必要も何もない!!」
「…それは」
「左近!早く連れて行きな!!!今日は誰にも合う暇なんてないよ!」
「ま、待て!」
「お前ら!とっとと食材を仕舞っちまいな!私は今から魚屋に行く。御前の昼餉に間に合わせるよ!」
「へい!」









げんなりする。あの男のせいで今日の予定は散々だった。今何時だと思った時には夜食を半兵衛様の為にお持ちして欲しいとお願いされた。もうそんな時間か…。2人分と言われたので御前の分も?と尋ねるとそうではないということ。また誰かと話ながらかな?と思いつつ用意をして膳を持っていく。





「失礼いたします」
「ああ、萩君」
「御夜食をお持ちいたしました。今日は冷えますから温かいものを。火鉢をお借りしてもよろしいですか?」
「良いよ。ああそうそう。」
「半兵衛様?」
「ふふふ。」
「?」
「聞いたよ」
「…ああ。賄い方の話ですか?」
「この城で君のところに土足で行くのは彼くらいだろうけど、彼に啖呵を切るのも君くらいだね」
「御前と半兵衛様の口に入るものですから」
「君のそういうところ嫌いではないよ」
「短気はそう治せませんね。…でもどの様な用件だったのか聞いていませんでした」
「言わせなかったの?」
「まぁ…そうですね」
「いや、ね。行きたまえと言ったのは僕なんだよ」
「?」
「彼あんまり食べなくてね。特に西の方の職人は雑だから。」
「雑…ですね。確かに雑です。ですが…西の方の者まですべて作るのは今の質では無理でございます。」
「それは僕が嫌だね。…何人ならいけそう?」
「1.2人ならば何とかと。」
「では三成君と吉継君の分を増やしてはもらえないかい?あの二人は必要だからね」
「…」
「目下この夜食も。」
「では私は失礼して」
「えー!萩君がしてくれるんだろう?」
「…」
「ああ、来たね」





失礼致しますと入ってきた男は件の男だ。此方を見てぎょっとしているものの私は無言を貫くと決めている。
半兵衛様に至っては食事の件伝えておいたからと言って夜食をせっつく。意外と良く食べるのだ。この御仁は。そして何より味にうるさい




「三成君も一緒に食べよう」
「ですが」
「今日は何かな?」
「鯛茶漬けです」
「あれ僕好きだよ」
「貴方様の其れが偽りでないことを祈っています」
「…半兵衛様」
「ほら三成君も」
「はい…」
「石田様」
「?!」
「どの位召し上がりますか?」
「う…その、だ」
「?」
「少なくて、良い」
「はい」
「すまない」
「?」
「私は余り食べない、から」
「伺っております。…半兵衛様」
「美味しそうだね」
「…石田様」
「…」
「ふふふ。美味しいね」
「…」
「今日は色々あったけど締めがこれなら良い日だったよ」
「ありがとうございます」
「…」
「三成君?」
「え?!あ…申し訳ございません、半兵衛様」
「へー…」
「とても美味しかった」
「もう少し召し上がりますか?」
「…ああ」
「…」
「すまん」
「御嫌いなものなど有りましたらお言いつけ下さい」
「あ、ああ」
「侍童が参りましたね…それでは」
「ああ。おやすみ」
「おやすみなさいませ」
「…」









胃袋を掴まれた三成










「やれ三成…?」
「?!」
「如何致した?」
「な、何でもない!」
「左様か…ん?」
「失礼致します」
「は、萩殿?!」
「萩…はてさて。太閤の賄い方が何ぞ用か?」
「昨晩、半兵衛様より言いつかりまして大谷様と石田様の食事も作らせていただきます。」
「侍童を送ったが」
「取り敢えず、先に謝っておきます」
「?」
「何かしたか?」
「貴方様同様で…今日はまだ戸外の出来事でしたので」
「すまない…」
「!」
「昨日言えればよかったが…迷惑をかけた」
「…」
「萩殿?」
「い、いえ。私こそ。申し訳ございませんでした。将兵の方にあのような言い振り。料理に関しますと短気で…萩男と言われる程度に荒れますから」
「秀吉様のために粉骨しているから…その怒りは理解できるし、昨日見ていて成る程私が良くないと重ねて理解できた。」
「…」
「何だ?」
「いえ、本当に」
「良いか?話の腰を折っても」
「あ、はい。大谷様」
「早よ膳を。一度噂に名高い主の膳を食してみたかったのでなぁ」
「はい。量は足りますか?」
「ああ」
「我もよ」
「ではごゆるりと」




「行ったなぁ」
「…」
「…」
「…」
「…何だ?」
「恋待ち顔よなぁ」
「?!」
「それで主の悪癖が治れば我は文句などないがなぁ」

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