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変換なしの雑食夢

ran

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哀れな三成

私は誰にも愛されないのと彼女は悲しそうに笑って、そして泣いた。
あれからは十数年間見つからなかった彼女はひょんなことから再会することができた。ライバル企業の事務員。其れももうやめるのだと彼女は言う。何故、と尋ねたところで答えてくれることはないだろう。その悲しそうな笑みを浮かべて有耶無耶にしてしまうだろうから。彼女はそういう所がある。言わないのだ。其れは私も同じかもしれない。私たちは若さで済まない程度に己のことを語らなかった。



「秘書の方が呼んでますよ」
「あ、ああ」
「ご出世したみたいで」
「ああ。」
「大谷さん達も元気そう」
「…」
「では、私も仕事に戻ります」
「おい」
「?」
「この後…昼食でも。いや、今日の晩空いていないか?」
「は?」
「ずっと探していた」
「…ふふ」
「おい」
「もう終わった話ですよ」
「終わってない!お前が一方的に」
「十数年前の話をしているのですか?石田社長」
「!」
「失礼致します。」
「まっ」
「?!」
「待ってくれ!話をして」
「私は誰にも愛されてないんです。だから」
「そんな事はない!私は」
「誰も愛さないことにしたんです」
「は?」
「本当に失礼致します。」
「ま、」




いくら呼び止めても、抱きしめても。彼女は私の両手からすり抜けていく。明確な拒絶に愕然としながら追いかけていく。その頬を伝う涙を拭う許可を私に得られるはずはないことを知っていたとしても、其れを無視する事はできない。
エレベーターホールでどうにか追いつき名前を呼ぶ。振り向いてすらくれない事実に心臓が引き裂かれる気がする。


あの美しい笑みを。幸せそうに、蕩けるほどの甘い笑みを浮かべたこいつをここまで傷つけて、粉々にしてしまったのはまちがいなく己なのだ。





「花」
「何かご用ですか?」
「すまなかった」
「?」
「あの時の私はどうにかしていたんだ。」
「…」
「私にはお前しかいない。私が結婚したいと願うのは」
「なら、早々に私のことを忘れて誰かと結婚したほうがいいですね」
「?!」
「…」
「は、な?」
「時間を無駄にお過ごし遊ばさないでくださいね」
「っ」
「話を!」
「何のですか?」
「私と!お前のだ!」
「ふふ」
「?!」
「私は誰も愛さない。…愛せない。愛したく無い。もう、構わないで」
「嫌だ!」
「一人で生きていくと決めましたから。本当に…あなたの事は私にとって終わったことです。」
「花」
「そんなに」
「?」
「そんなに大事なら…そんなに私が愛しいと思うのなら」
「思う!そは今でも変わらない!!!」
「何故、貴方は私を見つけてくれなかったの?」
「っ」
「何故貴方は私を裏切ったの?」
「それは…」
「愛するなんて都合のいい言葉。私を止めておくには十分すぎるほどに…でも貴方は私の事など愛してはいなかったのですよ」
「私を否定する気か?!」
「貴方が私を否定したのですから」
「…」
「本当に、失礼します」
「謝罪すら」
「?」
「謝罪すら。弁解すら。その機会を与えてはくれないのか?」
「私たちは大人ですから」
「…」
「謝って全て許される子供の時代は過ぎてしまったんですよ」









哀れな男











一人で生きると私は決めたのだ。失踪したとは大げさで、前から一緒に行こうと話して、ようやく取れた一緒の休みの日に合わせた旅行先で迎えを待ちながら、最初は薄っすらとそして確信を持って私はそう思ったのだ。
一人で生きていこう。有難いかな仕事につける資格は人並み以上にある。今の貯金を切り崩さずいけるだけの給与があれば、退職金を貰えなくてもなんとかなる。
6日間。その意思が強く明確になる程、彼が迎えに来るという希望は消えていった。どこに行こうか言う話も何もかも。彼にとっては記憶にすら残らない事だったのだろう。彼の言った「何もしても側にいる女」きっと「何もしてもいい都合のいい女」だったに違い無い。
きっと雑賀さんと仲良くしてきいる事だろう。連絡すら無い彼を見ると都合のいい女は用済みになったようだ。




帰ったらまず、携帯電話を解約して家も引っ越そう。
憧れの東京暮らしは恐ろしく惨めなまま終わりを告げそうだ。
憧れは憧れのままのほうが良かったのかもしれない。





東京も、三成さんも。





どこに住もうか。一人で生きていくのは東京の方がいいのかもしれない。憧れでは無い地に足をつけて住めばこんな気持ちにならずに済むだろう。
猫を飼おうか。…いや、それこそ猫にまで見捨てられたら私は生きていけない。
最低限。生きているのに必要なものだけ持って私は生きるよう。そう、すば何も辛くは無いのだから。
失う辛さ、得れない辛さ。…裏切られる辛さを感じ無いためなら私は何もいりはしない

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馬鹿な三成

今日はいつもより仕事が早く終わったのだ。今なら三成も帰ってきてないだろうし食事でも作って待ってようかな?と思いながらラインを入れる。返事が返ってこない。あれ?如何したんだろ?と思いながら到着した彼の部屋。鍵を貰って、いつでも好きな時に来いと言われているものの連絡が取れないままきたのは初めてかもしれない。




「あれ?」





靴がある。明らかに三成のものではない…というかパンプス。
寝室へ行く道中は三成の服がヘンゼルとグレーテルよろしく点在している。そして所々の女性の服。
これは見ない方が良いかもしれない。帰ろうと思った瞬間に運悪くスマホが鳴る。不運を背負い込むのはあの男だけで良いだろうと思いながら私は急いで電源を切る。逃げよう。とりあえず見なかったことにしよう。そうおもったのに






「三成…客だ。…起きろ」
「あ、の!」
「すぐ起こす」
「いいいいいいいえ!結構です!」
「孫市…」
「?!!!?!」
「烏が。早く起きろ。貴様に客だ」
「な…客?」





全裸の二人の会話は恐ろしく酒臭い。如何やらまだ強かに酔っているらしい。




「誰…花?」
「っ?!」
「如何した?何の用だ?」
「…」
「?」
「これ」
「?」
「じゃ」
「???」







材料を手渡して私は走ってその場を後にする。
酔いが覚めたのだろう。鬼の様になる電話もラインもメールも全て無視して私はビジネスホテルに移動するのだ









馬鹿な三成











「花!」
「っ」
「捕まえた!!!」
「離してください!」
「話を聞いてくれ!」
「聞くことなんてないです。離して」
「逃げるだろう!」
「もう関係ありませんから」
「っ」
「孫市さんでしたっけ?末長く」
「馬鹿を言うな!私は!!!」
「?」
「…」
「おい」
「何ですか?」
「決めたのか?」
「無理矢理でしたけど。最近確かに会っても三成さん困っていたでしょ?」
「…」
「潮時なのでしょ?」
「私は」
「鍵」
「…お前は側にいると」
「浮気、されてまでですか?」
「酒に飲まれていた。…お前だと…」
「孫市って呼んでたのに?」
「あれは」
「無理しなくていいですよ。私もしませんから」
「おい!」
「荷物も、捨てて下さい。私のところには何もないですけど、鍵は変えましたから。それも捨ててください」
「っ」
「では」






追いかければ良かったのだと後から悔やまれる。

彼女が会社を休んで失踪するなどその時は思いつきもしなかったのだから。

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すれ違う三成 7

「ん…」
「春様〜」
「う、ん?」
「そろそろ起きないと。遅れちゃいますよ〜」
「ねーむーいー」
「だぁめ。早く起きて」
「…?!」





文字通り飛び起きる。
私は、この声の主を知っている






「八橋!」
「うふ。おはようございます」
「え?!なんで?」
「ふふふ。」
「生きて?!…八橋」
「はい」
「良かった」






ぎゅうぎゅう抱きしめるとふくふくしている八橋のままで。
私は思わず泣いてしまう。ほろほろと溢れた涙を八橋が拭ってふふふと柔らかく笑われた。




「生きてる」
「生きてますよ」
「何で?」
「春様が帰った後石田様が参られたの。」
「知ってるわ!あなたは死んだって」
「あいも変わらず趣味の悪いお父さんだ事!」
「嘘!だったの…?」
「ええ」
「八橋…」
「あらあらまあまあ。泣かない泣かない」
「石田様が、貴方を」
「ふふふ」
「?」
「石田様が土下座されたの」
「!」
「貴方の侍女というか…相談相手になって欲しいと言ってね」
「嘘…」
「じゃないとこんな年増の遊女どうやってお城にあがれるの?…石田様ね、春様が何が好きなのか。何を悩んでいるのか全然わからないし聞いた所で教えてくれない。それは凄く…」
「腹わたが煮え繰り返る?」
「うん、それ。まぁ有り体に言えば嫉妬してるけど自分では支えになれないから私にその支えになって欲しいって」
「…」
「その時は何がどうなってるのかわからなかったけどいい具合にすれ違って拗れたみたいでしょ?流石にまずそうだし。大谷様にお願いして出てきましなた」
「八橋」
「はいはい。もー!変なとこで頑固なんだから」
「だって!」
「まぁ九割九分九厘石田様がいけないけどね。まだ青痣残ってる」
「私」
「貴方を傷つけて拒絶されて…途方に暮れてるわ」
「…」
「春様も!本当に嫌いなら引導を渡しなさい」
「!」
「無理なら」
「無理なら」
「言いたい事全部いってきなさい」















「春…?」
「見つけた!」
「あれ?春様???え?!三成様!!?」
「っ!」
「まっ!」








「わー。三成様と春様どっちも早いっすね」
「はてさて、三成は本気ではなかろうに」
「若いっていいですわねぇ」
「ひひひ。八津殿」
「大丈夫でしょうか?」
「ああっ!春様転けたっすよ!」
「急いで帰りゃるなぁ」








「いた、い」
「大丈夫か!?」
「石田様」
「ぐ…い、医務室に運ぶ」
「痛い!」
「?!ま、待っていろ!直ぐに!!」
「違う!」
「?」
「心が痛い!」
「…私のせいだ」
「私は三成のものじゃない!」
「私の側から居なくなってしまう!」
「首輪をつけて飼うつもり?!」
「そんなつもりは」
「何で信じてくれないの?!話を聞いてくれないの?!」
「?!」
「私は家康じゃない!」
「当たり前だ」
「自分の意思で貴方のそばにいるのに!!!貴方は私が喋りもしない人形がいいの?」
「ちがっ」
「なら、話を聞いて!喧嘩してもいい!多少の事なら許せるけど話も聞かないで力で私を抑えるのやめて!」
「…春」
「…」
「私は」
「今まで私たちの関係を言葉にしなかったくせに!」
「それ、は」
「不安なのは私も同じよ!」
「春」
「とっとと好きって言って!!!責任とってよ!!!」
「!」
「三成の馬鹿!!!」








すれ違う三成 6







真っ赤になった三成が何も言えずいたので私が思いっきり殴ってもう知らないと逃げる。




「ま、待て!」
「うわっ!」
「危ない!!!」
「っ!」
「大丈夫か?」
「はな、れて」
「許可しない!」
「好きでもないんでしょ!」
「そんな生ぬるいものか!」
「?」
「…春」
「な、に?」
「私と、契って欲しい」
「…」
「来世まで、私の妻であって欲しい。もう二度と」
「三成?」
「お前を傷つけない。必ず守る。」
「…話聞いてくれる?」
「ああ」
「怒らない?」
「ああ」
「怒鳴らない?」
「善処する」
「乱暴に抱かない?」
「当たり前だ。」
「…この一月、」
「この身を引き裂かれるかと思うほど苦悶した」
「…」
「頼む。私の妻になってくれ」
「…青痣」
「っ」
「責任取って」
「?!」
「大事にしてね」
「あ、当たり前だ!!!」
「馬鹿三成」
「なんとでも言え」
「大好き」
「?!」
「…馬鹿」






「もうほって置いても大丈夫かな?」
「…」
「太閤、祝言はまだよ」
「しかし」
「まぁ。やや子が出来るのが先かしれんがなぁ」
「お二人のやや子なら可愛いでしょうねぇ」
「ひひひ。ほんになぁ」

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すれ違う三成 5

「何此れ?」
「石田様からの贈り物です」
「…返しておいて」
「え?!」
「何もいらないからって言っておいて。吉継あたりに言えば大丈夫だから」





「…何この手紙」
「石田様から」
「返しておいて」
「手紙ですよ。返すならお返事の方が…」
「やだ!」





「…」
「石田」
「言わなくてもいい!」
「床の間に飾りましょうか?」
「…」
「綺麗な冬桜ですね」
「桜…」
「春様?」
「ちょっと出かける」









この2日で贈り物攻めを食らっている。なんなのだ!いい加減にしろ!と言いたい。今の今まで贈り物なんてしてきたことなかったくせに!何より桜を贈ってきたり髪を切った私に簪を贈ってきたり!嫌がらせに近い。






「吉継!」
「やれ、騒がしい。如何した?」
「此れ!」
「ああ。三成からよ」
「知ってる!もういらないって言って!!!」
「自分でいわしゃれ。」
「やだ!」
「聞き分けのない」
「大体!」
「ん?」
「散る桜送ってきたり!髪を切った私に簪送ってきたり!何?!嫌がらせ!!?」
「…ずれておるのう」
「もう嫌!」
「吉継君…おや。春。如何したんだい?」
「ひひひ。贈り物攻めよ」
「ああ。彼のことだからずれてそうだよね」
「半兵衛様が言って!!!もう要らないって!」
「いやだよ」
「…半兵衛様!意地悪!」
「これ、春殿」
「半兵衛様何て!三成の方が好きなんだ!」
「また、童のように」
「春」
「…何?」
「僕はね。春のことすごく可愛がっていたつもりだよ。三成君が君の処に夜這ったときも。みんなはただ喜んでいただけだけど僕は呼び出していろいろ難癖つけたもん」
「?!」
「そうよなぁ。まさに父親の如きよ。生半可な気持ちでないのか。子供が出来たら如何する気やら。」
「結婚してからでいけないのかとか言ったよね。今でもそう思うよ。」
「ひひひ。三成も必死に説得しておったなぁ。」
「実はね。今度、秀吉に願い出る予定だったんだよ」
「何をです」
「君との結婚の許し。…家康君の一件が片付いたしね。」
「…」
「乱世が終わって落ち着けると思ったのだろう?ふふふ。であの騒ぎだ」
「錯乱してしまったようよ。いなくなってしまうとな。主が一晩三成に何も言わずいなくなることはなかったからなぁ。」
「都合のいい話ですね」
「そう言われてしまっては元も子もないけどね。ふふふ。」
「会いとうないと言われて頭を抱えてなぁ。相談したら主の好みをよう知っておる女子がいてなぁ。」
「…」
「ひひひ。気に入らぬか?」
「…入りません」
「強情」
「煩いです」
「君はね、その強情で意地っ張りなところが可愛いけどひねくれるのは可愛くないよ。何が嫌なのかはっきり言わないと三成君はわからないし。引導を渡さないと其れこそ諦めがつかないだろう」
「…」
「やれまたしゃれ」
「吉継君?」
「あれのやったことは人でなしよ。主とて女子。あれが本気を出せば力比べでは負けてしまう。怖かっただろうに」
「よし、つぐ」
「ひひひ。一発殴ってやろうなぁ。それで許せとは言わぬが…横たわる主を看護した我とて腹立たしかった。…我とて主が可愛い可愛い。」
「吉継〜!」
「あらら。泣き虫に戻ってる」
「そうよな。もともと泣き虫よ。いつの間に泣かなくなったのは主が辛抱していたからよの」
「うう。」
「手のかかる三成ばかりに気をかけすぎたわ。此れからは何でも言いりゃれ。」
「吉継大好き!」
「ひひひ。」
「えー僕は」
「…」
「二人きり怖いんでしょ?」
「…うん」
「君に嫌がることしたことないよ」
「…嘘つき」
「それは無理があろう」
「う…」
「…」
「な、何もしないよ!ね!信じて」
「…」
「春」
「うん」
「少し寝りゃれ。顔色がようない」
「…うん」
「寝られなかったんだね。可哀想に」
「…」
「ふふふ。昔は良くこうして寝ていたね」
「我の膝か賢人の膝か。太閤が羨ましがっていたなぁ」
「本当に大きくなって」
「ひひひ。ゆるりと寝りゃれ。」














すれ違う三成 5






「?!」
「静かにしりゃれ」
「刑部!貴様…!!」
「悋気しても致し方あるまい。自業自得よ」
「春は私のだ!」
「やれ三成。何度も言うが春殿はものではない」
「解っている!」
「ぬしは本に分かりにくい。その言い方もよろしくない。春殿が泣くのも致し方あるまい」
「ぐ…」
「ようよう辛抱しておったのになぁ」
「解っている!」
「解っておらぬよ。故に間の抜けた贈り物ばかりよの」
「…」
「髪のない女に簪を贈ったらただの嫌がらせよ。」
「…」
「それに何故これの嫌う花を贈る…」
「…」
「好かぬなら」
「そんなわけないだろう!」
「なれば少し考えしゃれ」

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