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変換なしの雑食夢

ran

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23

「姉様…あら?」
「…すう」
「こんなところで」
「やれ如何…寝ておられるか?」
「お風邪を召してしまいますわ」
「ヌシは何を?」
「私の打掛をかけて差し上げているのです」
「左様か」
「文を置いておきます。吉継様。伯父上の元へ参りましょう」
「あいわかった」








今日の宴の時間をお伝えするため姫様の元へ参じると何故だか庭に人垣ができていて私の顔を見てそそくさと逃げて行く。如何いうことだと思いつつ開け放たれた障子から中を見ると艶やかな色に驚く。



文机に眠っている姫様が白梅が描かれた唐紅色の打掛を羽織っていらっしゃるのだから。一瞬息が止まった。何よりも美しく清廉である姫様は水墨画の様な凜とした美しさのある方だ。それが今。眼前にいらっしゃるのは美しく彩られ形作られた女性なのだ。この世のものとは思えないほどに美しく優雅な。





「ん…寝てしまっていたか」
「っ」
「治部?」
「あ、の。姫様」
「ん?ああ。妹が来ていたのか」





掠れた声。物憂げな表情に優美な仕草。
居た堪れなくて硬直していると苦笑される。





「すまないな。見苦しいところを見せた」
「は?」
「誰か。これを畳んでくれ。ああ、さよ。代わりにいつもの羽織を」
「っ」
「あら、姫様。如何したのです。この様な美しい打掛」
「妹がかけてくれたらしい。寝ていたのだな。」
「よくお似合いですのに」
「似合うものか。さてと」
「姫、様」
「すまないな。妹には私から言っておく。で」
「は、い」
「用件は?」
「宴の時間を」
「あ、ああ。そうか。ん、あいわかった」
「姫様」
「?如何した」
「あの様な打掛」
「大変見苦しくてすまんな。」
「その様な!」
「唐紅に白梅は妹の好きな意匠でな。懐かしい」
「姫様は?」
「私?」
「お召しに」
「心配せずとも着ないさ。」
「…そう、ですか」







からんころん 番外編








「三成様が?!色街???!!!!」
「とんと拗らしよって」
「相手の姐さん可哀想っすね。」
「致し方なかろうよ。仕事よシゴト」
「あれを仕事というんすか?」
「ひひひひひ」

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23

「左近や。ここにも居らぬか」
「…姫様?」
「ああ。治部。左近は?」
「…あの者が何かいたしましたか?」
「いや、違う。そうではなくてだな。まぁ…いないか?」
「今ここには。ご用件は?」
「…」
「姫様?」
「治部は私が左近に会うのを厭うなぁ」
「?!」
「ん、仕方がない話だが。そうだな。ならお願いする。私の侍女が左近の着物を破ってしまったらしい。その詫びだ」
「その様な事で?!姫様御自らお出になりませぬとも」
「治部や治部。」
「はい」
「私はどの様な身分であっても詫びする者が相手に出向くことは当たり前であるし礼儀だと思っている。」
「…それは?!その通りでございます。しかし」
「侍女も悪気ない故許してやってほしいという旨と…これは私からの詫びの品だ。すまなかったと伝えてくれ。」
「っ」
「治部?」
「はい。あいわかりました。」
「ふふふ。本に治部には信用されていないなぁ」
「は?」
「大事ない。下手なことはせぬよ。」
「その様な!」
「あの頃の子供の時分とは違うのだから…ではな」
「姫様!」
「ん?」
「違うのです!私は!…私は」
「如何した?」
「貴方様ほど秀吉様の後継者に相応しい方はいないと…」
「…」
「私は」
「治部や治部。眉間がひどいことになっているぞ。」
「は?!」
「私は本に其方を困らせてばかりだな」
「?!ちがっ!」
「無理せぬとも良い。治部は父上の臣なのだから」
「姫様」
「ふふふ。そなたにはこれを差し上げる」
「?」
「父上から下賜された。羽織の紐に直して使いなさい」
「秀吉様の??!」
「本に其方は父上が好きだな」
「いえ、ですが!この様な」
「私には太すぎてな。髪留めにしかならなかった。流石になぁ。其方なら丁度よかろう?」
「っ」
「ではな。左近にはくれぐれも。」
「はい…?!姫様!お待ちくださいませ!姫様!!!」








からんころん 番外編






「?」
「姫様に。石田様から」
「大層な。何だこれは?」
「香で御座いましょうな。香炉と。後髪紐」
「…また。如何しろと」
(ずれているというか何というか)
「…薄紅から唐紅。紫紺か…これを如何しろと」
「返すわけにはまいりませぬし。」
「そうか…少し行って参る。」
「如何致しましょう。」
「お返ししておけ。話はつける。何、刑部に送っておけ。良しなにしてくれるわ」
「…」
「そうだな。おさよ」
「はい」
「淡い、黒はないか?」
「え?いえ。これが近しいかと。」
「ん。ではこれだけもらっておこう。形だけでもそれで良いな。」
「…唐紅など」
「いらん」
「そんな。即答せずとも」
「女子らしいのは要らぬのでな」

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22

「皆様!ご準備を」
「姫様のお帰りでございまする!」
「今回は黒田殿との戦。如何相成りましたでしょうや?」
「黒田殿といえばあの巨漢!」
「我らが姫様はあの細い御身。お怪我が無ければ良いのですが」
「やれ、三成」
「…」
「顔が怖いこわい。無事との知らせ聞いておるだろう?」
「しかし…いや。おかえり遊ばされたのだ。いくぞ」
「ほんに止まらぬなぁ。己が気持ちを自覚してからは。ひひひ。暗の奴。殺されねば良いがな」




急いで外へ向かうと帰城された姫様の軍が見える。私の軍でも秀吉様の本隊でもない姫様の軍は遠目から見ても統制がとれていることがわかる。今回。交渉は端から決裂するだろうと言われていたが案の定、戦となったと聞き及んでいたので気が気ではなかった。
怪我はされなかったのだろうか。もし傷つけていたら切り刻んでやると思いつつ眼前の人垣に目をこらす。




「やれ、おられたわ」
「!」
「暗め。相も変わらず騒がしい奴よの」
「…暗!!!!!!」
「やれ、落ち着きゃれ」
「下衆の分際で姫様に馴れ馴れしくも!!!」
「ひひひ。普通に話しているのになぁ。暗も不幸よふこう。ん?」
「姫様!!!」
「やれ気がはやい。
「治部。刑部。」
「げ!!!」
「只今帰った。息災であったか?」
「は!姫様におかれましては」
「ふふふ。そなた達が相変わらずのようで安心した。黒田殿。石田三成殿と大谷吉継殿だ。ご存じですか?」
「よーく知ってるぜ!やい!刑部!!!小生の鍵を返せ!!!」
「貴様!下衆の分際で姫様に話すことすら憚れるというのに…剰え軽口を聞くとは!万死に値する!!!」
「は?何でだよ!」
「愉快ユカイ。暗よ。見事地雷を踏み抜いたのう」
「はぁ?」
「姫様!この愚者を屠る許可を!!!灰燼に帰してみせます」
「治部。だめだ。黒田殿は立派な同盟国の主人だ。屠ってはならないよ」
「っ!ですが」
「そなたは私の言を聞かぬからなぁ。父上や竹中殿に聞いてみてくれ。きっと同じ様に言うはずだ」
「その様な訳では!…わかりました」
「あの石田が言うことを?!」
「治部は父上の臣でございますから…い、如何いたしましたか?」
「いや、今この世の奇跡をだな」
「奇跡?」
「…暗」
「む…いや姫さん。腹が減ったなぁ」
「ふふふ。すぐに宴の用意を致しますな。」
「…」
「貴様、今不埒なことを」
「わああああ!!!ひっ姫さん!助けてくれぇ!」
「ぬ」
「治部」
「し、しかし」
「三成よ。姫は今帰城したところ。太閤殿まで案内して差し上げよう」
「!?」
「刑部」
「姫も早う。」
「ああ。では治部。参ろうか」
「はっ!」






「さて、暗」
「ひっ」
「主の不幸の星は如何なものか。我がとくと見てやろうなぁ」
「ぎゃゃゃゃ!!!」






からんころん





「…刑部。黒田殿は客人だ」
「ひひひ。暗と我は古くからの友人よ。輿のぐあいが悪くてなぁ。なぁ暗」
「なぜじゃああああ!」
「ぬしが盾にするからよ」
「何だよ!お前さんも」
「あれは我の義理の姉よのう。許嫁を悲しませるわけにはいくまい?」
「普通に話しいていただけだろ!」
「穢れるわ」
「い、いうにことかいて!!!」
「楽しそうだなぁ。なぁ治部」
「は」
「皆変わりはなかったか?」
「はい」
「其方はきちんと寝て食べていたか?」
「…」
「では今日はきちんと食べておくれ」
「はい」

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21

「こほっ」
「姫様?!風邪でございますか?!」
「いや違う」
「大事をとってお休みになられたら」
「大丈夫だ。ああ、おあや。これは竹中殿に。これは徳川殿に。」
「はい。」
「治部殿は、これを。今度の戦の兵糧だが…足りるだろうか?」
「充分かと…」
「そなたにそう言ってもらえて助かるよ。が」
「…」
「顔には出てるな。無理があるか?」
「…はい」
「そうか…。修正を教えて頂きたい。頼めるだろうか?」
「はい。勿論でございます。」
「まだまだだな。迷惑をかける」
「そのような」
「…こほっ」
「やはり」
「大事ない大事ない。」
「…」
「後詰の計算は難しい。治部殿は前線にも長けて後衛も長けているのだから流石だな。」
「ありがとうございます。あの」
「?」
「残りは私がしておきます。どうか少しお休みください」
「治部殿」
「…」
「これをしろとおっしゃたのは他でもない、竹中殿だ。其方のように時間のないものをつけてくれたのはありがたいことだが裏を返せばそなたの仕事も滞っているのだろう?これ以上の迷惑はかけられない」
「迷惑など…」
「其方は父上の臣。早くお返ししなくてはな」
「私は」
「…」




さらさらと筆を運びながら時折咳き込む後ろ姿を見ておろおろしてしまう。修正をお伝えして、お直しになると仕事はほぼ終わったのに何故か筆を片付けられない。苦笑しながら宿題だと言って紙を見せられる。



「あの」
「治部殿はもう良い。自分の仕事に戻ってくれ。」
「しかし」
「治部殿はあのかしかしだな。」
「は?」
「いや、いい。おはな」
「はい」
「治部殿をお送りいたしなさい。」
「わ、私がですか?」
「ああ。ついでに皆に休むように言ってくれ。菓子がある。」
「は、はい」
「姫様」
「治部殿もご苦労。」
「…は」





薄く笑って再び視線を戻される。目の下の隈が薄っすらと見えて居た堪れなくなる。姫様とお声をかけようとして席を外した。




「やれ、三成」
「…」
「三成」
「なんだ?」
「そんなに墨を擦らずともよかろう」
「…?!」
「ひひひ。気がつかなんだか?」
「…」
「本当に如何した?」
「いや」
「風邪でもひいたか?」
「…姫様が」
「左様か」
「左様とはなんだ!」
「ぬしは如何したいのか?と思うてな」
「?」
「後継の姫様として扱うには随分と執着しておるが」
「…」
「誠に惚れたか?」
「それは…」
「ひひひ。言えぬか?」
「恐れ多い」
「ならば姫と一家臣として付き合うか」
「何より私は嫌われている」
「そうよな」
「…」
「ぬしは誠わかりにくい。先だっての戦でも惚けよって。立ちすくむ玉でもあるまいに。恐れが勝ったか?親愛と恋慕の違いを様やわかったのかえ?」
「自分でも嫌になる。」
「真に大切なものには脆いものよ。以前明星と言ったが…そんな生易しいものではないだろう?星は独占できるものではないと人は元より知っておるからな。諦めもつこうが…男と女として惚れたのならば無理であろうなぁ」
「…この気持ちが恋慕ならば」
「ん?」
「なんで酷い感情か。報われぬ、邪な心に左右されるとは」
「ひひひ。本に自覚しよったか」
「…だからと言って変わらん。何も。あの方への思いは真逆に伝わっている。」
「致し方ない。皆そうおもおう」
「…自業自得だな。だが」
「?」
「やはり気になる!」
「や、やれ。三成如何致した?」
「お叱りを覚悟にお休みを申し出る!」
「本に不器用よな」





すくりと立って姫様の部屋に向かう。
お叱りも甘んじて受ける覚悟で来たものの近づくにつれ小さな咳が聞こえてくる。




「姫様」
「…」
「…?!申し訳ございません。失礼いたします!」




返事どころか気配すらない。背筋を冷たいものが走る。
開いた障子の先には先ほどより顔色の悪い姫様が蹲っていた






「姫様?!…すごい熱だ」
「ん…」
「誰か!!」
「は、何事でございますか?」
「床の用意をしろ。医師の手配も」
「は、はい」




すぐに引かれた布団の上に姫様を眠らせる。ただの過労だろうと言われたもののこのように苦しそうな姫様を見て心が痛む。




「ん…」
「飲み水と桶と手拭いを」
「はい」
「じ、ぶ?」
「?!姫様。気が付きましたか?」
「私は」
「まずは寝てくださいませ」
「…治部が優しい、なぁ」
「姫、様?」
「これは夢か?ならば良い夢だな」
「夢でも何でも。貴方様さえご無事で安らかなれば。この三成。何もいりませぬ」
「ふふふますます夢だな」
「冷たいですが」
「ん…治部や治部。」
「はい」
「ありがとう」
「礼など良いのです。1日でも早くお元気に」
「ん?ああ。そうか。そうだな」
「姫様?」
「…じ、ぶ…」
「寝てしまったのか?」








からんころん








「やれ三成」
「刑部か?どうした」
「姫の具合はどうかえ?」
「もう熱も引かれた」
「にしても、よくぬしに看病させたな」
「渋っておいでだったがな。目を離すと無理をなさる故。無理矢理だ」
「左様か」
「…刑部殿?」
「やれすまぬすまぬ。起こしたか?」
「いや、微睡んでいただけだ。気になさるな」
「羽織を」
「あ、ああ。ありがとう」
「いえ」
「三成に感謝しりゃれ。ヌシが行き倒れているのを見つけ介抱し続けたのだからな」
「したくてしただけだ。いらぬことを言うな」
「本当に…なんと言って例にすれば良いか…ごほごほ」
「姫様?!お水を」
「すまぬ。刑部殿もうつしてはならぬからな」
「平気よ平気。にしても、殿はもうよかろう」
「?」
「いちいち面倒よ。他人でもあるまいし」
「刑部」
「ん。それでよかろう。三成も」
「?!」
「治部で良いと再三言っているのだが」
「だがな、それは。」
「なぜいかぬ?」
「父上の忠臣に」
「ぬしの臣でもあろうな。」
「それは違う。治部殿は父上の」
「私は豊臣の臣でございます。故に名など呼び捨ててくだされば構わないのです」
「…治部」
「はい!!!」
「っ」
「ひひひ。愛いのう」
「刑部」
「これは蜂蜜に果物よ。喉に良いものをそろえた。」
「…ありがとう」
「林檎を切りましょう」
「刑部も治部もともに食べよう。」
「あいわかったわかった」
「はい」

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20

「刑部殿と呼ぶ」
「ぬ?」
「そう言われたのでな」
「あいわかった」
「色々変わるから目まぐるしい」
「本に」
「姫様。半兵衛様からの」
「…侍童を使ってくれれば良いのだよ?」
「恐れ多くも半兵衛様からの書状を」
「ああいい。あいわかった。治部殿」
「は?」
「そう呼ぶようにと偈があったのでな。ますます不快かと思うが」
「そんなこと!」
「にしても、本に裳着の儀をせぬのか?」
「些かくどいなぁ。せぬよ。それこそ偈があったことだ。」
「…」
「美しく着飾る女子ではないのでな。致し方ないさ」
「左様か」
「うん」
「お似合いになりましょう」
「治部殿が言うか?」
「?」
「いやいい。それより」
「ん?」
「治部殿はいくつになられた?」
「は?」
「ここに来て3年。刑部殿の婚礼もまとまった。そろそろ其方も考えなくてはな」
「やれ姫」
「…それは」
「父上に食事をせぬから見てやってほしいと頼まれたのだがなぁ。愛らしい嫁御を娶ってだな寝食を見てもらう方がいいと思うのだ。そう奏上したのだが良い返事がいただけなんだ。」
「私は!」
「?」
「誰も、娶る気は」
「それはだめだ」
「!?」
「石田の後継もいろう」
「いえ、石田は兄が…ですので」
「まぁ当分は姫が面倒を見りゃれ」
「…嫌であろう」
「滅相もございませぬ!」
「…ならば刑部殿もともに」
「ひひひ」






からんころん 番外編









「昔はよう懐いておったのになぁ」
「嫌われていると知らなんだからな」
「…」
「あれは父上が好きなだけよ。」
「それだけではないがのぅ」
「あの顔を見てそう言えるか?」
「不器用よ不器用」
「にしても、酷いわ」
「…」
「あれは、父と竹中殿。そしてそなたがあればそれでいいのだろう」

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