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変換なしの雑食夢

ran

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34 佐和山見物編2

「石田様」
「お呼びでしょうか?姫様」
「…」
「?」
「敬語はいいのですよ。約束したでしょう?」
「わかり」
「石田様…」
「わ、わかった」
「何を笑って、いるのだ?」
「いえ、昔怒られていた時を思い出したのです。」
「?!」
「大きな隔たりが出来てしまったのを痛感しています。でも、それ以上に言いにくそうで歯切れの悪い石田様が面白くて」
「…笑うな」


そう言うと姫はふふふと笑われる。手を出すと少し間をおいて手を乗せてくださる。どうしたのですかと仰るのでこちらにと案内すると眩しそうな顔をして輿から降りられる。


「美しいところですね。」
「貴方の調子が良ければ散策など。まだ雪も降っておりません故」
「ええ…あら?」
「ん?」
「直虎殿!落ち着いてくれ!た、忠勝?!」
「きぃぃぃぃん」
「本田!貴様もなのか?!…ん?」
「あら?あの旗印と装束。井伊の。直虎殿だったかしら」
「ひひひ。あたりやあたり。」
「貴様等…姫様の輿と知っての狼藉!!!万死に値する!!!」
「ち、ちがうんだ!」
「何が違うと言うのかのう。やれ、姫。輿の中は危うい。我の輿に移りしゃれ」
「落ちつけ。治部、刑部。徳川も。」
「!」
「徳川…なぜ諍いのもになりうることをする。」
「すまん。つい」
「何がついだ!!!姫様!この者等を残滅する許可を!!!」
「治部!下がらんか。許さんぞ!」
「…しかし」
「すまんがいつもの話し方に戻す。治部。二度は言わん!下がれ」
「はっ。」
「…」
「すまない、井伊殿。治部始め3人がお心が害するようなことを申したのでしょうか?…直虎殿?」
「い、や。」
「?」
「あの石田が…言うことを聞くだなんて」
「何!?」
「ひひひ。そうよな」
「姫様!やはりこの愚者を屠る許可を!恐れ多くも…」
「その傲慢な言い様が気に入らん!!!」
「治部!私は帰るぞ!」
「?!そ、それは」
「なら静かにせよ。…刑部」
「やれ三成。…徳川よ。この遺恨忘れぬよ。」
「だから!勘違いをした直虎殿を」
「何が勘違いだ!」
「…ふふふ」
「「?!」」
「やれ、姫」
「いや、な。うん。城の外は存外面白い」
「貴様!城の外に出たことがないのか?」
「城下はあるが。仕事もあるのであまり」
「?!やはり貴様!!!女子に仕事を押し付けて!!!」
「なにぃぃ!!」
「違う違う!直虎殿。治部や刑部は私以上に仕事をこなしているのだよ。逆に手伝ってくれる。本当に私には過ぎた友なのだ。豊臣は力というが裏を返せば実力至上主義だ。女も男もない。」
「そ、そうなのか?」
「あぁ。だから私が後継者なのだ」
「そう、か。石田!」
「なんだ」
「すまなかった。」
「ふん」
「治部。」
「では参りましょう。家康。そいつを姫様に近づけるな!」
「やはり貴様は嫌いだ!」
「何?!」
「これ、石田様。話し方をお戻し下さい。それに困りまする。私は直虎様と仲良くしたいのですから」
「「なっ!?」」
「徳川様。今度…お連れしてくださいな。直虎様」
「な、なんだ!」
「今是非私の住むところにいらしてくださいませ」
「…いいのか?」
「是非」








からんころん 番外編







「石田様?」
「何だ?」
「御髪が」
「あ、ああ。すまな、い」
「きれいな方でしたね」
「あのような女は好かん」
「あら、女子の好みなどありましたの?」
「どういう意味だ!」
「っふふふ。」
「笑うな!」
「いえだって。顔が真っ赤」
「…っそれは!」
「えい」
「痛い」
「あら上手くいきませんでした」
「貸せ」
「?」
「…やはりお前の方が似合っている。」
「ありがとう。あっ」
「如何した?」
「大谷様が居ない」
「あれは仕置きに行っている」
「?」


「やれ助かった」
「にしても痛いなぁ。」
「我の抜ける時間を作ったのは良いがその他が酷い」
「まぁなぁ」
「あれで何もないのか!腑抜けめ!!!」

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33

「湯治…ですか?」
「うん。秀吉と話してね。君の骨折もあるし吉継くんの病気も合わせて湯治に行っておいで」
「年末年始の準備は」
「そこは大丈夫。張り切った三成くんが済ませてしまったよ。でね、一層年末年始行っておいでよ。此処にいても気忙しいし」
「…待ってください。どのくらい行かせようとしているのですか?」
「半月?」
「…」
「三成くんの居城の近くにいい温泉があるんだよ。船に乗ればすぐだから。そこを拠点に色々行っておいで」
「いや。あのですね」
「非公式だし?」
「…ご自身の姉君とは仲良くされているようで」
「ふふふ。行って来なよ」
「…」
「女装で」
「…非公式ですからこのままで」
「えー」
「大体」
「三成君は楽しみにしてたよ」
「え?」
「だから行っておいで」
「…」






女装なんだから一々気にしなくていいじゃない余計な一言付きで返される。ほんとうにこの男は!
では日取りは追って知らせるよと言われる頃には外でそわそわしている2人の気配が気になってくる。くくくと笑うとこから気がついているのは私だけではないらしい。



「入っておいで」
「申し訳ございません!」
「いや、良いよ。姫は行くそうだから」
「は!」
「…非公開だから平素のままでいい」
「しかし」
「ひひひ、三成」
「わかっている。しかし」
「湯治かぁ。初めて行くから…治部や」
「は」
「ついでに領内も見てみたい。故に平素通りで頼むよ」
「はいっ」
(扱いが慣れてきているなぁ)
「にしても本当にそのままで行く気?」
「何か問題でも?」
「いやねぇ。男装させてるって言えば物凄く外聞悪いでしょ?」
「…あなたが言うのですか」
「根に持つよね」
「…ははは」
「やれ、姫。落ち着きゃれ」
「刑部…そうだな。初願貫徹してこのままで行こう」
「ひひひ。すまぬなぁ、姫」
「?」
「太閤殿からの命よ。女性の装いで参るようにと。」
「父上に申し上げてくる。」
「それを聞いて、我が許嫁がいたく喜んでな。」
「…」
「旅装束を作ってしまった。やれ困った、こまった」
「刑部…」
「流石のヌシもあれの贈り物を突き返すことはできぬだろうし、何よりで我は素直故…口が滑ってはいかぬしなぁ」
「っ!治部」
「?」
「いや、そなたも嫌であろう?」
「いえ、何かありましたらお守り致します。」
「…ズレている。父上がそう申したと言ってもだ。なぁ、治部や」



そう言ってもキョトンとしているものだからため息まじりにあいわかったとだけ伝えるのだった





からんころん 番外編



「わかりにくいけど。三成君はかなり喜んでいるよね」
「姫らしい格好をさせたいと今日呉服屋で悩んでおった故。」
「え?そうなの」
「…名を貸してもらうのに骨が折れたおれた。」
「で、君が最後の切り札を切った理由は」
「はて、何のことか」
「…この間のは気づかなくて嘆いていたみたいだね」
「ひひひ。切に願っておったのにあの有様よ」
「まぁ秀吉と僕からのご褒美だよ」
「まあ、何の進展もなかろうがな」

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32

「…」
「治部や。もういいと言っているだろう?」
「申し訳ございません」
「だから」
「ですが…私は再び」
「いや、いいと私が言っているのだ。なぁ」
「は、い」
「にしても」
「?」
「鶯の香炉と梅香か。」
「…」
「ふふふ。可愛らしい」
「っ!」
「父上に聞いた。わざわざ京により買い求めたと。」
「あの、」
「気を使わせてしまったな」
「…姫様」
「ん?」
「…私は贈り物などいたしませぬ故、お気に召して頂けたでしょうか?」
「ああ。父上もありがたく頂戴するようにと」
「いえ、そのですね」
「ん?」
「姫様ご自身、如何かと」
「籠に入れずに鶯が見れるのは嬉しいよ。香も。私は」
「はい」
「初春の季節が好きだから。とても嬉しい贈り物だ。」
「っ!」
「ありがとう」
「身に余る光栄でございます」
「ふふふ。父上ではないのだからそう喜ばなくても。ああ、そうだ。父上が大層お喜び遊ばれていた。」
「!!」
「良かったなぁ。皆ゆるりとできたようだ。」
「…秀吉様が、お喜びに…」
「ふふふ」
「姫様」
「ん?」
「その」
「?」
「あの…」
「…無理をすな。」
「い、いえ!」
「怪我は気にするな。熱も痛みも医師のおかげで辛くない。気にやむことはないよ」
「…」
「鶯もそろそろ来るかな?」
「鶯で御座いますか?」
「ああ。でもまだ雪が降っているからなぁ」
「はい」
「治部や」
「?」
「少し、寒いなぁ」
「!」
「眠る。庭の障子は…申し訳ないが閉めておいてくれ」
「は、い」
「当分来なくていいよ。そなたも忙しい。」
「!」
「そう言わないと其方は無理してしまうからな。私のことは気にしなくても良いよ」
「いえ!そのような」
「ふふふ。暮れと年始の仕度。頼んだよ」
「…はっ」








からんころん 番外編








「…」
「…や、やれ。三成」
「待て刑部。もう少しで終わる」
(昼餉に間に合うように仕事を終わらせているな)
「…なんだ?!」
「そう叫ばずともよかろ?これを姫に」
「?」
「骨接の薬よ。よく効く」
「!渡しておく」
「ぬしの昼餉も姫の部屋に運ぼうな」
「刑部も来い!」
「やれやれ。」

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「姫様…姫様」
「や、やばいっすよ!三成様。禁断症状が出てきてるっす」
「本になぁ。一月の間戦ではあったが平和に離れたことはなかった故。特にな」
「姫、様。姫様!」
「すげぇ気持ち悪いっすね」
「言うな左近。」
「こう言うのストーカーとかいうっすよ」
「やれ、我の目が黒いうちは唯の片思いよ。こじらせ些か面倒な」
「めんどすぎっしょ」
「!!!」
「ああ!!!違う人を見間違えたみたいっすね」
「…三成、違う違う。やれ、見境ないことよのぅ」
「本当に迷惑っすね」
「言うな左近」



明日帰城かと思ったと侍女に言うと治部の部隊だけ早いとの事。せっかちと言うか何というか。竹中殿の許可を得て賎女に化けて城下に行っていたのだが急いで帰参したほうがいいだろう。いや、ちょと待て向こうから砂埃がみえる。



「其れはいつの」
「先刻の…ですが」
「疾走しすぎだ。さすがと言えばいいのか。いやはや」
「急ぎ帰城致しましょう」
「ああ。参ろう」
「はい」

お急ぎくださいと言われ、手拭いを持つ頃には砂埃が軍隊に変わっていて思わず息を吐く。早いというか何というか徒士が死ぬるぞと思いながら裏道に入る。通り過ぎてからゆるり帰ろうかと言えば、侍女が真っ青な顔で死人が出ますと仰々しくいう。待て、死人とは些か物騒よな。




「仕方がない、歩くか」
「姫、様ぁぁぁぁ!!!!!!」
「うぐっ?!」
「きゃぁぁ!!!」
「やれ三成!いい加減にせぬか!」
「すまないね、娘さん!生きてる?!怪我ない?!」
「…姫様!不肖この三成!今帰参してまいりました!」
「三成様!この子は唯の町娘ですよ!っひ?!」
「左近んんんんんん!!!貴様の目は節穴か?!此処におられるのは間違い無く姫様だ!」
「…やれすまぬな。今疲れておってな。…ん?」
「三成様!姫様は城にいますから!落ち着いてください。どう見たって!姫様じゃないでしょ!」
「やれ、左近」
「姫様。私がいない間怪我などいたしませんでしたか?風邪は?邪なものも…ご無事で何よりでございます」
「…」
「ほら怖がってますって」
「ひひひ」
「キサマァァ!!!馴れ馴れしく姫様に触るな!!!」
「いや、いきなり町娘抱きしめちゃうと止めるっしょ!刑部さんも止めてくださいよ!」
「忠犬はさすがと言えばいいか。鼻が利きよるわ」
「へ?!」
「…治部や治部。」
「ひっ?!姫様!!!?」
「苦しい…離、ん?」
「姫様!」
「刑部も止めてくれ。いたたた。おかしいぞこれは」
「ああ、ご尊顔を。…目の下の隈が酷い。おやすみになられておいでですか?」
「おい、まて。痛い!」
「よくもまぁあの距離でわかったものよ。」
「本気で走り始めてるとは思ったっすけど…」
「姫様!姫様!!!」
「ええい!苦しい!2人も助けろ!いたたたたたたた!!!」




からんころん 番外編





「申し訳ございませんでした!!!!!」
「やれ、姫。許してたもれ。」
「姫様!三成様も悪気があったわけではないんです」
「悪気があったらタチが悪いわ!帰ってきて早々、人の肋を折りよって!…っう」
「本当に申し訳ございませんでした!!!!!!!!」
「もう良い。下がれ」
「し、しかし」
「恐皇で切り刻まれたら困るのでな」
「っ」
「…三成様。」
「一度下がりましてまた、」
「来ずとも良い!いたたたた」
「やれ、落ち着きゃれ」
「…寝る!折角」
「?」
「もう良い!皆下がれ!!!」






「いやぁ。流石というか。肋だけで済んだ姫さんのほうがすごいっすね。」
「…しかし」
「如何したんっすか?」
「いや…」
「って三成様?!どうし…こりゃ」
「…梅か?見事に生けておるなぁ。ん?」
「なんか書付が」
「姫の字よな。三成」
「…」
「何々?山茶花の礼???み、三成様?!!!!」
「姫様!!!!!!」
「はぁ。すれ違いよ。すれちがい」

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息を吐くと白い。火鉢に火をいれるがなかなか温もらないのは仕方がない。寒い寒いと言いながら薬缶を置く。今日も今日とて誰もいない。仕事を終えて庭に出てみよう。梅の花が咲くかもしれない。
それを口実に仕事を早く終えれるかもしれない。硯に墨をすりながらそう考えると少しだけ楽しくなった。



「姫様、朝食の支度が」
「此処で食べながらする。持って来てくれ」
「あいわかりました。」
「皆もゆるりといたせ。」
「はい。姫様以外はゆっくりしたものです。」
「そうか」
「少しお休みになっては?」
「ああ。休んでいるよ。心配をかけたな」
「い、え」
「?如何した」
「本に美しくなられてと。妹姫様の評判も…」
「あれはもともと美しいよ。ふふ。ありがとう」
「では朝食を持ってまいります」






言って出て行く侍女を見てくつくつ笑う。そうか。刑部も気が気ではないな。青田買いというものも時には困ったものだと。先程の侍女と入れ替わりに入ってきた侍女が手紙を持って来た差出人にその名を見て笑ってしまう。



「さてと」




手紙の内容はちゃんと食べているかから始まり病を得ぬようにと母親のような内容で思わず笑ってしまう。本当にいい男だ。意外に妹の方が心配しているかもしれない。



「ん?治部か」




文字は人となりと違ってのびのびとした字に笑ってしまう。堂々と言うか何というか。ある意味のびのびと堂々と生きているからなぁ。さもあらんか。
時節の挨拶から始まり色々書いてあるが果し状の様な様相で少々引く。




「内容は普通なのに何故、一、と箇条書きになるのか?意味が分からん」



宴の後に書くのか。忙しいのになぁと思って筆を持つ。そう言えば、昔から意外とマメな人だったな。



「何て書こうか?」




書きたいことがあるようなないような。皆とこんなに離れているのは初めてかもしれない。一年以上の間離れ離れでいる武家の奥方は偉大だなぁ。と思いながら筆を走らせるのだ。





からんころん 番外編





「姫から手紙が参ったが、ぬしにも来たか」
「ああ」
「左様か」
「…」
「三成、そんなにうっとりとした顔で見るな。恐ろしい故」
「美しい跡だ。」
(聞いておらぬな)
「…私の字とは違う。美しい跡だと思わないか?」
「思うがのう。またぬしの字は雄雄としている故」
「美しい」
「にしても」
「ん?」
「このように離れたのは初めてよな。何やら赤子を放置しているようで安心できぬ。」
「…秀吉様が此処にいるのだ。恐れ多くもお喜びいただいている。」
「そうよな。」
「ご無理をなさっておいでではないだろうか。風邪など…」
「ひひひ。心配耐えやまぬよの」
「…」
「何で書いてあった?我にはゆるりと休まれよとだけよ。」
「私には無理をなさらぬようにと。…こちらが言いたいくらいだ」
「にしても」
「…」
(それだけの文でそのような顔が出来るのだから…凄い話よの」

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