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変換なしの雑食夢

ran

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4

息が浅い。脈は弱いもののしっかりしている。手ぬぐいを絞って額においてやると少しだけ表情が和らぐが、依然目を覚ましはしない。
恐ろしかったのだろう。私が亡き父や兄達に抱いていた感情を思い出してしまう。良く折檻を受けていた。その度熱を出しては姉上に看病をして頂いていたものだ。その姉も嫁ぎ、亡きものとなってしまったが…。匙で水をすくってやる。口の中を湿らす程度に入れたそに合わせてこくりと喉が動く。




「…重湯を飲ませるか」





雛鳥を育てる心境に近しいのかもしれない。巣から落ちたそれを飼うには衰弱させずに飼うのが一番だ。が、ここまで弱っていたら、死んでしまう可能性が高い。半々より部が悪い。救いは水を飲む事だなと思って手拭いを変える。



「さ、ま?」
「如何した?!苦しいか???」
「兄、さ ま」
「魘されているのか?」





ここに来て誰がこいつを慈しんだだろうか?秀吉様は覇道に邁進され半兵衛様もそれを手助けされた。あの家康ですら付いていくのがやっとな状態で時折吉継が気にかけていた程度か。忌み嫌っているものの方が多かった気がする。秀吉様と同じ力を持つというだけで後継者なった女を嫌うものは多くとも好くものはいないだろう。勉学も下手な男では勝てぬ。またそれが鼻に付く。が奢ることも讒言することもなかった気がする。




「っ」
「おい、苦しいか?」



何故こんなにも苦しむ必要があるだろうか?
全て私の短慮の所為なのだ。






からんころん 番外編




うっすらと開いた瞳は微睡みの後恐怖に染まる。
すいませんとごめんなさいをうわ言の様に紡ぐのは他でもない。私のせいだ。

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3

熱が出たらしい。頬も肩も痛くて泣きそうだけど、泣くわけにはいかない。母にも妹にも何かあったらいけないから。だいたい泣いたとしても優しい父も母も兄弟も来てはくれない。この広い部屋で私はひとりぼっちなのだから。



「ほら、口を開けて!!!」
「っ」
「零れるだろう?!」
「竹中様あとは私たちが」
「…なら頼むよ。薬もちゃんと飲んでくれよ。これ以上手を煩わせないでくれ」




なんて言い方でしょうと竹中様が出てから侍女が言う。私はあまり開かない口を開いて食べるものの口の端が切れてしまってやっぱりうまく食べられない。それをみて侍女もため息を吐いていなくなる。私はなれない左手で粥を食べるものの意味があるのかと考える。私は何故ここで生きているのだろう。だから飲めと言われた薬を布団の下に隠したし、父と母に手紙を書いた。万年床はきっと私が死ぬまで片付けられることはないだろう。だから、父と母に帰りたかったと書いたのだ。





「熱が下がらないみたいだな」
「…」
「侍女も皆寄り付かないらしい。」
「なんで知っている?!」
「見舞いに行くからな。だけどいつも魘されていて…」
「…」
「あ、待て!どこに行く?!」






魘されて目が醒める。苦しいし辛い。いつになったら終わるのだろう。
そう思って庭を見ると恐ろしい人がいて体が強張る。
石田様と言えば近づいて来られるので思わず泣いてしまう。怖い。この人が、とても。




「何故だ!」
「ひっ」
「何故言わなかった」
「言うと、母と妹を罰する、から」
「しないっ!」
「でも、叩く」
「それは」
「あれ、」
「?」
「侍女も、こないから。」
「は?」
「焼く様に、いって、下さい」
「おい、熱が酷いのか?!」
「ひっ」
「打たんから!落ち着け」
「や、だ」
「酷い熱だ。誰も冷やさぬのか!」
「打たないで、いい子に、いるから」
「ええい!諄…泣いているのか」
「お父様、お母様。」
「おい」
「怖い、よ…」
「っち!!!誰か!!!医師と半兵衛様を呼べ!」








からんころん 番外編





「峠ですな」
「は?」
「どういうことだい?!」
「失礼します。ああ。やっぱり」
「薬?!飲んでなかったのかい?」
「半兵衛」
「すまない、秀吉。僕を怖がっていたから侍女に」
「処分は任せる。さて」
「秀吉様」
「どうした三成」
「姫様の看病はわたしがいたします。」
「ヌシがか?」
「はい」
「でも、秀吉?」
「良かろう」
「はっ」
「良いのかい?」
「ああ」

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2

「姫は?」
「今日も召し上がらないのよ。あのままだったら死んでしまいます」
「笑顔の愛らしいお子でしたのに」
「妹姫様はお家に帰されたと?」
「ええ。大谷様が何かあってはならないと言ってね。」
「まぁ仲の良いご兄弟でしたから」
「あ、駄目よ。」




まだ食べてないんだねと下げられた膳を見て半兵衛様が困った顔をされる。もう3日。飲み物は飲んでいるようだけどと言って竹筒をみるものの食べ物は一切減っていない。
如何致しましょうかと言うと態々蔵の前に歩まれて姫と名前を呼ぶ。もしかしたら入っていないかもしれない。半兵衛様も私もあいつが入ったところを見ていないのだから。
そう言うと半兵衛様は少し考えて蔵に入られると確かに姫がいて驚く




「そろそろ出て来れば?」
「いいえ」
「ずっと座禅を組むつもり?」
「憚れます」
「どういう意味?」
「…」
「君ね黙っていてはわからないよ」
「半兵衛様がおっしゃる通りだ。早く外に出ろ」
「…」





そう言って無理やり立たせて外に出すと襦袢一つで少し痩せていてどこか不自然な彼女の顔には大きな痣がある。あの時のかい?と尋ねるとこくんと頷いて蔵へ帰る。
頬が腫れてものが食べられなかったのかとぼそりとおっしゃったその言葉がやけに耳に残る。
急いで蔵に入ると姫が恐ろしいものを見るような顔をしてこちらを見る。当たり前だ。頬を腫れ上がらすほど強く殴ってくるのだろから。
さらさらと何かを書いてこちらに投げる。細い蝋燭の火でみると「喋りにくいのです」と悪筆で書かれている。いつもの文字ではない。腕を痛めたのかと言えば困った様に目を伏せる。よく見ると利き手がぶらりと下がっていて肩が外れているとわかった。




「半兵衛様!」
「なんだい?どうにかしたのかい???」
「この者を外に出す許可を!」
「は?」
「医師を!!!」
「え?どういうことだい」
「早く出ろっ!何故言わなかった!!!」
「っ!」
「な?!何故拒否する!!!」
「…」
「泣くな!!!このっ!」




腕を掴んだ瞬間篭った音で打たないでと身を縮められる。





「なっ?!」
「いい子で言うことを聞きます。だから」
「っ」
「ぶたないで」
「何を」
「姫っ!もう大丈夫だ。みんな怒っていないからわしと一緒に出よう!」
「家康?!」
「っ」
「あ、おいっ!!!」
「三成!またお前!」
「何もしていない!!!」
「…泣くな。姫」
「父上」
「半兵衛。」
「なんだい?」
「やりすぎよ。三成も」
「申し訳ございませんでした!!!」
「っ?!」
「ああ、泣くなよ。三成、少し離れていろ!姫が泣く」
「なっ」
「三成」
「しかし」
「我の命令ぞ」





からんころん 番外編






「熱が酷いですな。頬の怪我も脱臼も。よくこんな幼子が」
「…」
「少し休ませて差し上げてくださいませ。環境が変わるだけでも大変なのに。半兵衛様も」
「反省しているよ」
「…薬が効いているな」
「ええ。起きたら痛み止めを。何かありましたらいつでも呼んで下さい」

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1

数年前。
姫様10三成家康16妹姫9刑部20予定




「姉上!すごくお似合いです」
「ですが、私は跡取りとして養子に入ったのですよ。こんな動きづらい格好」
「何を言っているのですか!」
「…」
「すごく美しい。草子に出てくる姫のようです」
「すごく他意があるわかりました。」




そう言って私は私の部屋から出て行く。今日は竹中様から兵法の講義があったはず。妹は隣室で侍女の方たちと遊ぶらしい。私自身女の園は苦手だからいいとして孫子の書を持って入ると場がざわついた。



「姫」
「家康様。如何致しましたか?」
「その格好?」
「行きがけに母と妹に泣かれました。少しでもいいから女らしくしてくれと申すものですから。親孝行でございます」
「はぁ」
「と言っても妹のような掻取は固辞してきました。ので、軽装でございますが」
「いや、そのだな」
「?」
「よく似合いです」
「ありがとうございます。あ、そうでした。兵法の苦肉計なのですが」
「ああ、それは」
「姫?なんだいその格好は」
「竹中様。」
「此処は神聖な学び舎だよ。そんな白粉くさい格好でくる場所ではない」
「…」
「で、ですが。そんなに派手な格好では。なあ、姫」
「…」
「ああ、泣くなよ。ほら」
「泣いても何もならないよ。君は他ならぬ秀吉の後継者だ。普通の女とは違うことを早く理解してもらわないといけないね」
「すいません!半兵衛様!!!遅参致しました。」
「三成君。秀吉は?」
「無事御政務を終えたところでございます。半兵衛様の講義に間に合うから向かうようにと」
「わかったよ。」
「?如何致しましたか?」
「み、三成!!!助けてくれ。姫が」
「姫様が?なぜ泣いている?」
「っ」
「泣くな。講義の邪魔だ。大体なぜそのような格好をしている!?半兵衛様の許可は取ったのか!」
「おい、女子に叫ぶなよ。な、姫。大丈夫だ。泣くな」
「甘やかしてはならないよ。ほら、なんとか言いなさい」
「…申し訳ございませんでした。」
「今日の講義は出なくていい。母親と妹姫には僕から言っておく」
「…」
「君はもう女子ではないからね。いいね。わかったかい?」
「母と妹には何も言わなくて結構です」
「貴様!!!半兵衛様に口答えをするのか!」
「っ?!」
「やめろ!三成。大丈夫か?ああ。誰か冷やすもの!!!」
「いいです。家康様」
「だが」
「半兵衛様。母と妹の言を飲んだのは私でございます。故に責は私にある。如何なることも私が受けますのでどうぞお許しください」
「ふーん」
「貴様!!!」
「三成!やめろ」
「はなせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「一週間蔵で反省しなさい」
「はい」





ごしりと顔を拭って部屋を出るとふよふよと神輿に乗った大谷殿がいる。妹の口を少しだけ抑えているようで苦笑する。きっと彼がいなかったら乗り込んでいただろうなと一礼して自室に帰る。妹も泣かしてしまったなぁと思い顔を洗うと頬が痛い。涙が出そうになる。
でも泣いてはならない。強くなければ誰も守れないのだから。







からんころん 番外編





「姫は?」
「自ら蔵に入りよった。にしても、ちとやり過ぎよ」
「言わないでくれ。僕もそう思っているのだから」
「ひひひ。哀れな姫よな。いきなり後継者にされて勉学と武芸に明け暮れる。」
「仕方ないよ。彼女にはその才能が」
「の前に潰れなければ良いのがの。ヒヒヒ」

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