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変換なしの雑食夢

ran

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44 佐和山見物編1

「三成様は?」
「ひ、姫様?!如何したんっすか?」
「いえ、この後の話を」
「今はまずい?」
「?」




三成様の襖向こうから獣の様な息づかいと女の嬌声が聞こえる。ああ、湯屋では当たり前のことだと何かで書いていた気がするものの体が硬直して動けない。姫様と言って肩を叩かれた瞬間思わず体が跳ねた。




「す、すいません!」
「い、いや。俺こそ。い、今は」
「今はお取り込み中の様ですから。…」
「後で行く様に言いましょうか」
「いいえ。これで決心がつきました。左近様」
「はい」
「お伝えください。私は一足先に大阪に帰ります。」
「は?」
「やはり、政務が気がかりですし。私は帰りますので、三成様は正月明けにご出仕をお願いいたします。」
「な、何言ってるんすか?!!此処から大阪まで何日掛かると!」
「船であっという間と聞いています。ですが馬で帰ろうかと」
「…」
「ではこれをお渡し下さいませ。」
「嫌っす」
「なら、挟んでおきます。よし、と」
「三成様が悲しむっす」
「…」
「姫様」
「本当に三成様が好きね。」
「そりゃあ!」
「父上の左右の腕が竹中様と三成様ならば、三成様のそれは大谷様と。左近様。貴方でしょうね。」
「!」
「裏切らず。彼の方ために命を投げ出すつもりでしょ?」
「はい」
「そういう貴方だからこそ。大谷様と肩を並べられるのしょうね。左近様」
「…」
「三成様をお願いします」
「…姫様も」
「私は私の役目を果たすまでどんなことがあっても生き続けなくてはなりません。たとえ貴方たちを見捨てる事になろうとも」
「…」
「ひどい顔。」
「生れ付きっす」
「では、さようなら」
「!」
「もう私は私という役割に戻るだけだ。女の私は此処に捨てていく。」
「なん、で?!」
「明日、早朝に立つ。ではな」





からんころん





「姫が大阪に?!なぜ言わなかった!!!」
「言ったいった。左近も我も。しかしぬしは人語を解せぬようになっておったからのう。」
「っ!」
「今から追っても無駄よ無駄。」
「一旦城に帰りましょう」
「…」





城に帰ると姫様を探すもののやはりいない。寝所にしていた部屋に入ると手つかずのままに並べられた着物と帯。化粧道具が所帯なさげに置かれてある。ふと文机に手紙がのっていて目を落とす。
姫様の柔らかい字で私の名を書き記している。ただそれだけのことなのに尊く、愛しく思ってしまうこれを恋だというのだろうか?秀吉様でもなく半兵衛様でもない。姫様だけに感じるこの感情を持て余し、溢れさせては姫を傷つけてしまうだ。

宿屋で拝した手紙には歌が1つ。初春の 咲きて誇るは 梅等ばを 手折りて愛でて 枯らして忘るる と書かれてあり、刑部に見せれば眉間にしわをよせられる。

此処の文には礼謝罪が書かれたものになっていた。
そして名残とて 急げし折の 花嵐 舞う美しさに えんを知るなりと書かれる。





もう遅いのだろうか?散ってしまった花は二度と元には戻らないのだろうかと思案して静かに泣いた

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43 佐和山見物編 11

「今度の関白様は女らしいわね。」
「じゃあ奥には美男子が沢山?!羨ましいわね。」
「小姓とか侍童とか言うのでしょう?女だてらに戦に出るのですからあっちの方も」
「いやだよ〜。あらお客さんが来たのかね」
「あ、の」
「あらまぁどこのお坊っちゃんだい?」
「可愛い顔してるねぇ?どこの御家中かい?」
「…この櫛を」
「そういえば!うちの殿様が一途にお思いになっているのが太閤様っていうんだろ?男に操立てたって。いつになったらお世継ぎを」
「本当だよ…あっ!」
「なんだい」
「あのさぁ。…命令で女関白様に?!」
「すいません」
「あり得るよ!あの方は見目は麗しいから…ああ嫌だねぇ。色狂いの女関白!」
「…その話」
「ん?」
「いえ…本当の話かと」
「いや、私ねぇと東国からずっと商売してきたんだけど。もー持ちきりだよ!この話!夜な夜な…」
「嫌だよ。あんた。こんなの愛らしいお坊ちゃんに!」
「まぁねぇ。あ、そうそう。」
「?」
「今日はどこで宿取ったんだい?」
「あちらの温泉に。療養で」
「そりゃ良い!あそこはよく効くんだ!でも気を付けなよ」
「?」
「今日はその色狂いの女関白がお忍びできてんだってさ!あんたみたいなの一発で連れて行かれるよ!」
「はぁ…」
「でなんだい?」
「いえ、もう良いです」





とぼとぼと歩いて皆のところへ帰ろうかと思案して立ち止まる。色狂いの女関白か…と思ったら涙が溢れてくる。このままでは会えないから、懐紙に先に行って欲しいという旨を書いて髪紐で木の枝にくくりつける。
少し歩いていったところに神社がある。少し、隠れさせてもらおうと思っているとがさがさとすごい音がする。思わず籠手を撫でると血の匂いがする。




「血の匂い?」
「っ!」
「あ…」
「!!!」
「す、少し待っていなさい!」
「?!」
「…傷が膿むから。手を出して」
「…やめろ」
「ふふふ。少しの辛抱」
「っう!」
「思ったより浅いけど…薬は?飲みましたか?」
「…ああ」
「なら、少ししたら動ける様になるわ。」
「お前…何者だ!」
「ごめんなさい。名は名乗れません」
「なら敵だ!」
「敵対していても戦場に出ていないのならば刃を交わす時期ではありませんよ。貴方も私も名無しの権兵衛で良いではありませんか」
「…」
「戦なんて最低限で良いんです。怪我人など出来るだけ見たくないもの」
「お前…変わっているな」
「?」
「武家の。それも高位の家の出だろう?」
「さぁ?はい出来た」
「…」
「貴方髪は緋色なのね。」
「お前は真っ黒だ」
「ふふふ。」
「行かないのか?」
「もう少しだけ。」
「…手拭い」
「あげる」
「要らん!」
「なら次会った時に。戦場ではなくこうやって会った時に」
「…」
「どうしたの?」
「一緒にくるか?」
「え?」
「悲しそうな顔だ」
「うん。でも」
「?」
「貴方に迷惑かけるから。貴方にもあの人にも…知らない人々にも。」
「…」
「決心がついたら一緒に連れて行ってもらうかも」




遠くで左近様の声が聞こえる。黒い人は私の手を掴んで声のする方を睨むと「またな」いって消えてしまう。黒い羽根を残して。





「いたー!!!!」
「左近様」
「なんでこんなところに?」
「三成様は?」
「三成様は宿にいます。手配をしてて。代わりに俺が」
「…そう」
「姫様?」
「迎えに来てくれてありがとうございます」
「行きましょう…血の匂い?!」
「怪我をした鳥を助けていました。左近様の声に驚いて逃げてしまった」
「だって!姫様拐かされたのかと」
「あー…それも良いかもしれませんね。」
「は?」
「でも泣いてくれる人がいないのならば意味ない、わ」
「…ひ、姫様?!」
「行きますよ」
「は、はい!」





からんころん








「良いお湯でした」
「本にのう」
「あら、三成様は?」
「いや…」
「?」
「食事の手配に」
「もうそんな時間ですね…本当に顔を会わせぬ様になさいますな」
「そういうわけではなく、な。合わせづらいのよ」
「私はここに何をしに来たのでしょうね。…道中は楽しかったけど、三成様はお怒りになられるから」
「いや」
「…それも私のせいですが。ふふふ。大谷様」
「?」
「妹が羨ましい」
「…あれはあれで必死よ。故に」
「…」
「ぬしを傷つけた事に彼程己が傷ついておる。」
「さぁ」
「姫」
「心を殺せれば良いのに」
「は?」
「そういう方法知りませんか?」
「知っておる」
「…」
「が、いわぬ」
「意地悪」
「ひひひひ」

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42 佐和山見物編10

「…」
「やれ、姫」
「大谷様」
「三成は?」
「…よく、わかりません」
「ようわかった。」
「…」
「あれは短慮故。ぬしを傷つけたく言った言葉ではない」
「ええ」
「嬉しく舞い上がっておったのよ。姫が喜ぶことをしたいと言ってなぁ。」
「…」
「吊り橋は知らぬとはいえ暴言であった。すまぬ」
「ふふふ」
「ん?」
「大谷様が三成様のお父上みたい」
「そうよなあ。本に手のかかる」
「可愛くて仕方がないんですね」
「そうよな。我は」
「?」
「我はこの世の全てが皆平等に不幸になればいいと思っておった。主らに会わぬまでは本に不幸だった故」
「ええ」
「然し、我は我を厭わぬものに初めて会った。それがあの手のかかる三成よ」
「ふふふ」
「口さがないものを殴り倒した時は感謝より意味がわからぬ男よとしか思えずにおったが…我を友といい右腕と言ったのは心底嬉しかったよの。その後、姫に出会い内にあった。」
「今でも覚えています」
「眩しいほどに美しく愛らしい二人には不幸は似合わぬと思ってなぁ。離れようとしても主は離してはくれぬし、内にはしてやられたわ。」
「返品は出来ませんよ」





返品などせぬよ。大事に大事に愛でねばなと言ってひひひと笑う。本当に妹は幸せだ。



「我は、この3人が幸せならそれでいい。」
「ありがとうございます」
「故に聞きたくないことも聞こうが許しゃれ」
「ええ」
「何をその様に悲しむ?」
「花が散るのです」
「花、か」
「私の真心が死んでしまいそうなのです。まだ見ぬ未来に恐れ戦いて」
「姫」
「浅ましい事ですが」
「いわしゃれ」
「…」
「…」
「ずっと、続けばいいのに」
「姫?」
「帰りたくないのです。またあの様な生活に戻りたくない。全てが」
「ん」
「夢の様で…女として扱ってくれる三成様が本当に夢の様で」
「やれ、泣かしゃるな」
「ごめんなさい」
「主を泣かすとなぁ内が怖いこわい。」
「ふふふ。愛妻家でいらっしゃる事」
「主のお陰よ。」
「今日ようようわかりました。」
「ん?」
「私は三成様が好きです。」
「左様か」
「でも、三成様は私の後ろが好きなのです。」
「後ろ?」
「父に竹中殿。昔からそうですから。」
「それは」
「今回も父の下知に従っていて。達成できてお喜びなのでしょう」
「やれ、それは違う」
「違いませんよ。違わないと思わなければ私は泣いてしまいます。」
「ぬ…」


そう言って私は空を仰ぐ。本意などではなくいかに私が感じたかが重要なのだから。






からんころん








「すぐ近くに温泉があるんですよ!姫様行きましょうよ」
「…吊り橋を渡るのが」
「大丈夫ですって!三成様がおぶって…」
「此処だけ男装をしたら良いわ。温泉に着きましたら着替えますから」
「…ウッス」
「衣装の用意を」
「いいえ。大丈夫。あの様な衣装を私がいただくいわれはありませぬ故」
「ですが」
「さて参りましょう!」
「…」

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41 佐和山見物編 9

「…」
「如何したんっすか?」
「左近様」
「わわっ!顔真っ青っすよ」
「いえ、あの。」
「本当に如何しちゃったんすか?!」
「お願いが」



佐和山に俺の墓標がたっちゃいますと言われて逃げようとするもののもう少しですからお願いしますと私は着物を掴んでゆっくりと歩く。下を向かない。左近様着物だけだ。すると地の底から出たような声が聞こえる。左近様は出た!とか言っているが私にはその余裕はない。



「貴様」
「ちちちち違うんっすよ!!!」
「三成様…もう少しですから…左近様をお貸し下さい」
「…何故!?左近なのです!」
「っ!」
「つ、吊り橋が…ひ、ひめさま?!」
「ゆら、さないで!」
「…姫様?」
「わわっ!本当に顔が真っ青!三成様!」
「姫様!」
「お願いだからじっとしていてください」
「…」
「つい、た」
「!?」
「姫様大丈夫!?」
「…うっ」
「え?!ちょっと!」
「気持ち、悪い」
「気持ち悪いの!?ちょっと待ってなよ!其の儘背中にいて下さい!」
「…」
「三成様!惚けてないで!!!刑部さん!!」
「なに…如何いうことか?」
「姫様が橋のところで気分が悪くなって!今から寝所にお運びします。刑部さんは三成様を連れてきてください!」
「…あいわかった」
「おねがいしますよ」





左近様の背中は三成様違うなぁと思いながらだんだん後ろになって行く三成様を薄れゆく視界で見つめる。







「大事ないですよ。一過性のものでしょう」
「よかったぁ〜」
「ごめんなさい。ご迷惑をおかけして」
「いや、俺は良いっすよ!」
「三成様は?」
「通しても大丈夫っすか?」
「?」
「いや…刑部さんが気を使って」
「ああ。大丈夫です」
「じゃあ呼んできますねーと!あっ」
「?」
「佐和山城が怖いとか?」
「は?」
「暗いからダメとか…あ、でも大阪城も…?!今のなし!!!こんなの聞かれたら俺本当に殺されちゃう!」
「ふふふ。」
「ひ、ひみつにしてくださいね。」
「ええ」
「よかったぁ。あっ!じゃあなんで?」
「私、吊り橋がダメなんです」
「吊り橋?」
「小さな時に落ちてしまって。あ、まだ豊臣に来る前ですよ。それ以来怖くて怖くて」
「へー」
「男の姿をしていたらなんとか克服出来たのですが…この姿ではやっぱり怖くて」
「それで」
「ええ。ですから三成様にお詫びしないと。この城は堅牢で素晴らしい。流石は父上の左腕でございますね」
「ヘヘッ!でしょー。あ、いけね。すぐ呼んできます!」



お願いしますと言った途端、がらりと襖が開く。困った大谷様と怖い顔の三成様がいて苦笑してしまう。何より、左近様の首を締め上げて持ち上げるのを如何すれば良いのだろう。止めるものの聞こえていないらしく大谷様が大きな球をぶつけてくれてなんとか停止している。




「申し訳ございません。」
「…」
「着いた早々ご迷惑をおかけして」
「いや」
「姫様、吊り橋がダメなんですって!」
「吊り橋か?…そういえば」
「吊り橋だと?!!!恐れ多くも半兵衛様にお褒め頂いたあの吊り橋か!」
「やれ、三成」
「合戦中は何時も通っているはずだ!それが何故、あの橋だけならんのだ!!!」
「三成様…」
「私の城!秀吉様から拝し奉った城を愚弄するのか?!」
(あちゃー…)
「やれ、三成。言い過ぎよ。姫。気にならしゃるな」
「…に」
「姫」
「本当に」
「!」
「本当に嫌になりますな。この姿の私は、女の私は弱くていけません。…この姿ではご迷惑をおかけするだけですね」
「い、いえ!その様なつもりでは」
「左近様」
「は、はい!」
「さっきの秘密は内密に」
「はい。」
「秘密??」
「三成様も大谷様も聞き出そうとはなさらぬ様に」
「っ!」
「あと文を書きます」
「やれ、姫」
「この姿も話し方も父上の命でございますので、取り下げていただきます。」
「お、お待ちくださいませ!姫様。私は!」
「平素の私に戻るだけです。三成様も。命が降るまで話し方は其の儘で。」
「姫様…」
「女の出で立ちで女の話し方をして。女の弱い私は、あなたには必要ないのですね。」
「いいえ!どの様な姿でも」
「三成様」
「は」
「大谷様、左近様」
「…」
「少し休みます。…一人にしてください」







からんころん







「姫が小さい砌に吊り橋から落ちたと聞いたことがある。」
「なっ」
「男の姿だと肩肘張って生きてらっしゃいますものね。可哀想に」
「…」
「詫びるって言ってましたよ。この城は素晴らしい。さすが左腕だって」
「なん、だと」
「ヌシは早とちりが酷い。人の話は最後まで聞かしゃれ。短慮もここまで行けば病気よ」
「…」
「早く詫びて参れ」
「あ、ああ!」

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40 佐和山見物編 8

「船で今から佐和山の近くまで行きますよーと」
「はい」
(素直な姫様まじ可愛い)
「…」
「やれ死にたがりよの」
「すいません!何も考えてません!!!」
「にしても。大谷様…寒うございませんか?」
「大事ない。姫は?」
「私も。彼方に見える山々が霊峰で御座いますか?」
「ああ」
「彼方はまだ冬が深そうですね。」
「何、じき春よ。鴬も泣かしゃろう。」
「本当に。わっ」
「おい」
「す、すいません!姫様!大丈夫っすか?!」
「ええ。三成様」
「なんだ」
「お顔に」
「ああ」
(これだけ見たら許嫁なのに)
「姫も」
「?」
「髪が」
「…ありがとうございます」




そう言って髪を撫でるのだから姫が困ったように顔を伏せる。本当に許嫁のような二人がこうもまぁこじれてしまった原因は真っ直ぐなまでに素直な姫様のご気性と苛烈に、また神格化するまで崇拝する三成様性分にあるのかと思えば少し違うらしい。一言で言えば三成様の面倒な性格のせい。追加するならそれに輪をかけて面倒な半兵衛様のせいだと刑部さんは言う。二人とも確かに面倒くさい。特に半兵衛様は姫様に嫌われてるもんなぁと思いながら艪を動かす。




「…」
「あちらが京ですか?」
「そうよな。向こうが尾張よ」
「では此処が要所なのですね。」
「あちらに行けば大阪へと流れる川に繋がる。帰りはあちらから行けば良いかもしれぬな」
「はい。大谷様。時に、妹との婚儀は3年後で本当によろしいですか?」
「ひひ。我は構わん。その間にも色々せねばならぬし。ヌシのおかげで今は我が城に住っている。」
「大谷様の城はこの湖を行けば良いと聞いております。」
「そうよな。あちらの方へ行けば我の城よ。正月はゆるり城に帰るつもりよ。」
「妹が喜びましょう」
「それと。軍師殿から書状が来ておってな。正月の帰参は良いとの事。行ったり来たりは休みにならんとな。」
「そうですか」
「…」





くつくつと笑いながら話す二人を羨ましそうに見ている三成様がハッとした顔をして刑部さんを見る。正月に会えないのか!と言いたいものの姫を城に招くのは三成様の念願だったから何も言えないのだろう。それを見て姫様は苦笑しながら三成様はお気になさらず、帰参してくださいねと言えばあとかうとかしか返さない。



「やれ姫。」
「ですが三成様はお正月に誰よりも早く登城なさって采配を振るっておいでですもの。気が気ではないでしょう」
「だが」
「私の事はお気になさらず。あ、大谷様」
「姫」
「あれが城で御座いますか?」
「…」
「三成」
「あれは違います。支城です。もう少しすれば」
「そうですか」
「姫様」
「話し方が戻っていますよ。」
「っ」






そう涼しい声で言うと姫様は視線を外す。追う男とそれを交わす女ではない。なるほど。何が如何してこうなったのかしらねぇけど。酷い男であったことは聞いていた。いや、それ以上に。





「あれがそうです」
「まぁ」






なりほどかなり面倒な感じで拗れている。








からんころん 番外編








「姫」
「はい」
「大丈夫か?」
「意外とフラフラしますね。平素に乗ったことありませんでしたから」
「輿を」
「いいえ。少し経てば大事ないです」
「そうですか」
「佐和山の城下は活気に満ちておりますね。」
「はい」
「皆楽しそうで、良いことです」
「ありがたき幸せ」
「三成様」
「?」
「話し方」
「…」
「面倒になっていませんか?」
「いえ、恐れ多く」
「なら良いのですが」

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