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変換なしの雑食夢

ran

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9

「三成様」
「む」
「おかえりなさいませ!三成様」
「…風邪など引かなかったか?熱はどうだ。季節の変わり目だから気をつけろと文に書いたが読んだか?」
「はい。熱は」
「出たのだな」
「ふふふ。三成様御帰城と聞いて夜中門で待っていましたから」
「?!」
「ごめんなさい。でもお薬はすぐに飲みました。熱はそんなに出ませんでした。けど」
「どうした」
「ごめんなさい。約束を守りませんでした」
「…構わん。仕方のないことだ。次からは帰城の日取りをきちんと書く。その上で早馬を出すから間違っても外で待つな」
「はい。あっ」
「ん?」
「お怪我は」
「ない」
「…良かった」
「…」
「あ、父上様」
「ひ、秀吉様?!」
「お帰りなさいませ。無事の帰城お慶び申し上げます」
「ん。して半兵衛は」
「竹中様は姫を追い立て回し怖がらせますので接近禁止令を」
「なっ?!姫!!!」
「…」
「ひ、貴様ぁぁぁ!!!」
「いい。あいわかった。半兵衛には我から言っておく」
「ひ、秀吉様」
「三成、貴様も休め。」
「は」
「姫様」
「如何した?」
「ふふふ貴方様の帰城がわかって余り休めておりませんので。」
「貴様がいながら何をしている!?」
「さえが悪いのではないのです。ずっと寝るようにと言われたのですが」
「…眠いのか?」
「眠くないです」
「怒っていない。来い!」
「はい」
「誰か!私の次ぐの間に布団を用意しておけ。」
「…」
「みつなりさま」
「きちんと寝ろ。心配をかけるな」
「あい」
「秀吉様、夜の宴まで姫を休ませる許可を!」
「うむ」
「いくぞ…っち。寝たか」







からんころん 番外編







「あの三成が?!」
「ははは。すごい光景だな」
「にしても」
「ん?」
「若紫にしては…ぬう。いや何とか」
「何を考えてる?」
「あれに番わず小鳥の行く末よ」
「…」
「ひひひひひ」

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8

額にそっと手を置くと熱が高い。本格的に拗らせてしまいましたぞという老医師の言葉を思い出す。まだ、10歳ですぞと付け加えて。但し、天賦の才か剣技でこの者に勝てた事がない。私だけではなく他の男どももだ。聡く武に秀でているのに、戦場を駆けない。外交も何もせずおろおろとするこれを見ていると無性に腹立たしかったのだ。
だがと思案して手を退ける。役に立たないのだろうか?否、今はまだその時ではないのではないのだろうか?幾ら半兵衛様が初陣を勧めても秀吉様は是としない理由はなんなのだろうか?

いつも打ち負かした相手を悲しそうに見る目と労りのそれが答えではないのだろうか

喧しい咳と共に体が跳ねる。苦しいのか体を丸めて咳をするので思わず、背中を撫でる。




「苦しいか?」
「兄、違う!」
「なっ?!」
「すいません!間違えました。ごめんなさい」
「お、おい!」




身を強張らせて布団の端に逃げると案の定、咳き込んで再び蹲る。空に浮いた手を握り駆け寄ると小さな声で詫び続けているのだから居た堪れない。静かに怒っていないと言って背中をさする。汗がじとりと湿っている。水を飲めと無理やり湯呑みを突き出すと少しだけ含む。否、含むふりをするので飲めと釘をさす



「熱が下がらんぞ。」
「はい」
「声も酷い」
「…!」
「喋るなという意味ではない。痛いだろう」
「あの、石田様」
「何だ」
「うつってしまいます」
「だろうな」
「明日の執務も」
「心配するな」
「私は」
「大丈夫と言った有様がこれだ。自覚しろ。何処も。何も。大丈夫ではない」
「…」
「寝れるか?」
「はい」
「横になれ」
「はっごほごほごほ!」
「落ち着け」
「本当に」
「ん?」
「うつってしまいます」
「心配ない。」

ですが、といのを無視して額に手を当てる。苦しいかと言えばまん丸の目をより大きくしてこちらを見るからおもわず笑ってしまう。



「頬の痣。まだ取れんな」
「は、い」
「刑部によく言われる」
「?」
「私は短気だと」
「…」
「何だその顔は?」
「清廉潔白なのだと思っておりました」
「は?」
「いえ」
「…そうか」
「?」
「すまなかった」
「石田様?」
「私の短慮の所為で傷付け、拗らせてしまった」
「いえ!それは」
「許してほしい」
「…ぐすん」
「泣くな。咳き込む」
「嫌われているのかと」
「嫌っていた」
「?!」
「10にしかならん女に何一つ勝てない自分を嫌っていたんだと気がついた。貴様を嫌っているわけではない」
「…ぐすん」
「泣くな。何故なく。咳き込…言わん事はない。水を飲め」
「嬉しい、です」
「そうか」
「私はいてもいいですか?」
「家に帰される事はない。秀吉様がそうおっしゃっていた。だから安心しろ」
「はい」
「もし何かしてくるものがあれば私に言え。殲滅してやる。」
「はい」
「早く大きくなれ。心さえ成長すれば貴様は後継者に足る人材だ。」
「…」
「それまでは私が守ってやる」
「…石田様」
「何だ」
「大好き」
「は?」
「ありがとうございます。」
「早く寝ろ。拒否は許さん。子供はとっとと寝て早く治せ。いいな」
「はい」





からんころん 番外編






「やれ、三成」
「何だ?」
「ヒヒヒ。可愛らしいモノが膝で寝ているが?」
「これを持ってきたので、菓子をくれてやったら寝てしまった。」
「花輪?そちに渡すには可愛らしいなぁ」
「頭に乗せられた。寝てしまったから退けたが…」
「…」
「如何にかして長持ちさせないと泣いてしまうがいい案はないか?…聞いているのか刑部」
「左様か。調べておく」
「頼んだぞ。ん?」
「石田様。姫様…ああ。いらっしゃいましたか」
「何だ貴様!」
「新しく、姫様の教育係となりましたさよでございます。こんなところで寝てしまっては執務の邪魔になりましょう。ささ。お部屋に」
「貴様!誰の許で姫様に触れる!?そこになおれ!!!殲滅してくれる」
「大谷様」
「やれ、三成。」
「止めるな刑部」
「書類を書くのも邪魔であろう」
「ああ」
「移動するときはどうする気だ?」
「抱き上げて移動している」
「「…」」
「どうした?」
「いや、何。」
「…起きたら迎えにまいります」
「それがいい。そういたせ」
「はい」
「ん…」
「姫様?!」
(射殺すように侍女を見るでない。五月蝿いのはそなたと言いたいが)
「みつなりさま」
「…起きるか?」
「さむいです」
「そんな格好で寝るからだ。これを着ていろ」
「むらさき」
「もう少し寝ていろ。」
「はい。」
「…ん?」
「ふふふ。みつなりさまだぁ」
「…」
「やれ。まだ童。手を出すでないぞ」
「当たり前だ!」

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「あ、」
「気がついたか?」
「石田様」
「何故」
「ありがとうございます」
「は?」
「迎えに来てくれました」
「…頭が沸いたか?!」
「ふふふ。」
「わっ笑うな!」
「ふふふ」
「おい、大丈夫か?」
「石田様」
「な、何だ?」
「石田様は大きいですね。父上のようです」
「…はぁ?」
「伯父上が言っておりました。文武に秀でていて忠義も厚く。良き方だと。」
「ひ、秀吉様がか?!」
「徳川様と双璧となるだろうから仲良くしなさいと。」
「秀吉様…!!!」
「竹中様は勉学を教えてもらいなさいと。良き師になるだろうって。」
「当たり前だ!」
「ですが」
「ん?」
「私は二人にとても嫌われてしまいました」
「お、おい。」
「役立たずの用無しなのです。父上様」
「は?誰が父上だ!」
「寂しい」
「おい…は?」
「帰りたい、よう」
「おい、貴様!!!寝るな!起きろ!!!医師!!!!!!」






ぐずぐずの意識の中目が醒めると医師がいて私は驚く。ここはと言われると医務室らしい。あの部屋で私が倒れているのをある人が見つけてここにはこんでくれたらしい。思わず起き上がる。



「何をなさっているのです?!気を違えたのですか??!」
「あの部屋に帰ります」
「冗談ではない!あんな寒い部屋に戻ってどうする気ですか。只でさえお体が弱っている上での風邪です。」
「あの人が待てとおっしゃいましたから」
「死んでしま…え?」
「待てと。おっしゃたのです。ならば私は待つのみです」
「何を言っているのです。本当に命が危ないのですよ」
「私は子供です。何もできない子供です」
「だからこそ。拗らせる前に」
「約束を守る事しかできないのです」
「は?」
「ここに連れて来てくださった方にお礼を言っておいてください。本当に感謝しておりますと。」
「本気でいくつもりですか?!誰か!!!姫様を」




熱が出ているからまっすぐ歩けない。走っているつもりだけどきっと歩くのより遅いだろう。あちこちぶつけて痛いけど約束すら守れない自分が不甲斐なくて。情けなくなる。
講義の部屋はやっぱり寒い。暗いし怖い。けど。ここで待っていろと言われたのだ。だから私はひたすらに待つのだ。





瞼が重くなる。死んでしまうのかもしれない。それはそれで良い。この広い大阪城でひっそり死んでしまった私の事を誰か悲しんでくれるかなと思ったら凄い足音が聞こえてくる




「貴様!!!!!」
「あ、」
「何故」
「終わりましたか?」
「終わった!それよりだ!!!」
「父上はお怪我なく勝てそうですか?」
「当たり前だ!如何なるものもあの方をてくるいや、そうではない!!!」
「石田様も?」
「は?」
「怪我なく帰城出来そうですか?」
「私がか?」
「はい」
「…当たり前だ」
「それは良かった」
「…貴様は馬鹿か?」
「?」
「凄い顔色だ。熱が酷いのに何故」
「何故でしょう?私にはそれしか出来ませんから」
「っ」
「石田様」
「な、何だ」
「ご苦労様でございました」
「…」
「私は多分家に帰されます」
「な、ぜ」
「嫌われていますから。和を乱す」
「そんな事は!」
「父上に言うつもりです。」
「?!」
「ありがとうございました。書きつけ嬉しかったです」
「…」
「ご迷惑ばかりで本当にすいませんでした。では」
「おい、どこに行く…?!危ない!」
「っ」
「待て!歩くな!!!」
「ひっ!」
「っ?!」
「あ、う。すいません。あの。」
「…」
「一人で大丈夫、です」






からんころん 番外編





「肺の臓を病んだそうだな」
「…」
「我は近づいてはならぬと言われたわ。どうじゃ?容態は」
「悪い」
「で、あろうな」
「刑部」
「あの娘は聡い。故に哀れよ。自分に対する悪意や嫉妬を敏感に察する。主とは逆よ逆」
「黙れ」
「三成?」
「私のせいだ。」
「自分を責めるな」
「どうすればいい?!」
「…ぬう」

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「ひっ」
「怖がらなくていい。動くな」
(打たれる!!!)
「…」
「?」
「っち!」
「ひっ?!」
「また熱がある!!!」
「え?あ…」
「頬の傷も肩の怪我も治っただろう!?何故だ!!!なぜ再び熱が出る!?まだ治っていないのか!!!」
「あの、」
「貴様、医師を呼べ!おい」
「は、はい」
「捕まれ。」
「きゃ!下ろしてください」
「貴様のような愚図に合わせていたらより一層悪化する。」
「…」
「気分が悪いか?」
「…」
「なら行く…」
「やれ、三成。どこへ行く?」
「邪魔をするな刑部!」
「姫を抱きかかえて。遂に崖から落とすのかえ?」
「?!」
「誰がそのようだ事をするか!大体貴様はよるな。染るぞ!貴様もただでさえ役に立たぬのだ!刑部にうつしたら!!!」
「ひひひ。大丈夫ダイジョウブ。」
「近づかないで下さい。大谷様」
「?」
「大谷様?」
「はて」
「?」
「やれ、姫よ。前のように名前で呼ばぬのか?」
「そう言えばそうだな。何故だ!!!」
「あの…」
「姫よ」
「…馴れ馴れしいですから」
「あ?!」
「皆様にご不快を…ですから」
「主がそのような性分ゆえに苦労が絶えぬな。」
「?」
「三成」
「どうした?」
「軍議よ。太閤が呼んでおるわ」
「行かねば!しかし…」
「自分で出来ますから。降ろしてください」
「…」
「やれ我が送ろう」
「歩けますので」
「…では、ここにいろ!」
「は?」
「ひひひ。講義の部屋にか?」
「刑部。貴様も軍議だろう!遅参は許さん。貴様はここでいろ。何かあったら侍女に言え」
「これ、三成」
「はい。わかりました」
「姫も」
「行くぞ!刑部!!!」
「ぬ…う。早く済ませる。暖かくしてまたしゃれ」
「はい」





からんころん 番外編





ぱたりと閉まる障子を見て溜息をつく。北面の大講義を行うこの部屋は思った以上に寒いし人通りも少ない。
ふるりと震える体を抱いて自分の机の前に座ってみるが頭が回らない。病み上げに性急過ぎたかもしれない。もう少し休んでいられたらなと思って瞳を閉じる。伯父上がああなる前はとても優しくて大好きだった。今は笑いはしないけど気にはかけていてくれるらしい。それで十分だけど、竹中様と石田様は話と全く違うかった。仕方がない。本当に何もできない私が後継者に指名されているのだから。
打たれるのが恐ろしかった。無視されるのも冷たくされるのも。凄く凄くつらいのだ。


「寒い」




薄布一枚余分に持って来ればよかった。随分時間が経ったけど軍議というものはなかなか終わらないのだろう。
くしゃみをする度に熱が上がっている気がする。でもここで待てと言われたのだ。何もできない私だから。これ以上打たれたくもないから。優しくされたいから。ここで待っている。




ずっと待っているのだ

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「そんな顔をするな。軟膏を塗るだけだ」
「すいません」
「…」
「っ」
「沁みるか?我慢しろ」
「…っ」
「泣くな」
「は、い」
「食べられるか?」
「は…い。ああ?!」
「っち!貸せっ!」
「ごめんなさい!」



峠を越えてから終始この調子でいらいらする。虐めているわけでもない。怪我の件は謝った。なのにいつも恐怖に染まった瞳で見てくるのだ。私と半兵衛様を。



「姫、大丈夫か?」
「家康!何故ここに!!!」
「いや、ただの見舞いだ。ほら。」
「?」
「あ、無理に声を出さなくて良いぞ。痛いからな。」
「…!」
「髪留めだ。そのままでは食べにくいだろう?」
「貴様!!!何を勝手に」
「あり、」
「あ?!」
「ありがとうございます」
「!?」
「いやいい。頑張ったもんな。」
「ぐす…」
「ええいっ!!!泣くなっ!!!!!」
「っごめんなさい」
「お、おい。三成。怖がらせて如何する」
「黙れっ!こんな女、秀吉様の血縁なだけで役立たずではないか!」
「…」
「おいっ!そんな事はないぞ。姫は誰よりも努力して今の地位にいる。大体!お前は」
「家康様」
「姫?!」
「もう、いいです。」
「は?」
「三成様の、言う通りですから」
「っ!」
「三成様もありがとうございます。もう、大丈夫です」
「な、にが大丈夫だ!1人でろくに」
「大丈夫です」




ほろほろと溢れる涙を見て居た堪れなくなる。ただ、笑って欲しいだけなのだと気付いた時には遅かったのかもしれない。
いつの間にか侍女がつき、部屋には入れなくなった。

刑部曰く笑わなくなってしまったの事。

ただ笑顔が見たいと思うには随分とひどい事しかしていない自分の所業に嫌気がさすのだった。


からんころん 番外編



白布の上下だけで講義の部屋に来たのはそれから程なくしてだった。
色々な柄の着物も持参していた髪飾りも全て捨ててしまったらしいと誰かが言う。すらすらと書く字は昔のままだが笑顔は戻っていない。ただ、家康と話すときだけはにかむのが無性に腹が立つ。



「何か?」
「貴様が休んでいた間の分だ」
「…?」
「いらぬのか!」
「いえ、ありがとうございます。」
「どうした」
「いえ」
「…」
「石田様の書付は本当に分かりやすいです」
「あ、わしにも見せてくれ!」
「徳川様」
「わしなんて途中で…いや怒るなよ」
「怒ってはいない。が」
「?」
「こちらに来い!」
「は?え?」
「おい、三成!!?」
「いや、です!はなし…て!!!」

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