忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

43 佐和山見物編 11

「今度の関白様は女らしいわね。」
「じゃあ奥には美男子が沢山?!羨ましいわね。」
「小姓とか侍童とか言うのでしょう?女だてらに戦に出るのですからあっちの方も」
「いやだよ〜。あらお客さんが来たのかね」
「あ、の」
「あらまぁどこのお坊っちゃんだい?」
「可愛い顔してるねぇ?どこの御家中かい?」
「…この櫛を」
「そういえば!うちの殿様が一途にお思いになっているのが太閤様っていうんだろ?男に操立てたって。いつになったらお世継ぎを」
「本当だよ…あっ!」
「なんだい」
「あのさぁ。…命令で女関白様に?!」
「すいません」
「あり得るよ!あの方は見目は麗しいから…ああ嫌だねぇ。色狂いの女関白!」
「…その話」
「ん?」
「いえ…本当の話かと」
「いや、私ねぇと東国からずっと商売してきたんだけど。もー持ちきりだよ!この話!夜な夜な…」
「嫌だよ。あんた。こんなの愛らしいお坊ちゃんに!」
「まぁねぇ。あ、そうそう。」
「?」
「今日はどこで宿取ったんだい?」
「あちらの温泉に。療養で」
「そりゃ良い!あそこはよく効くんだ!でも気を付けなよ」
「?」
「今日はその色狂いの女関白がお忍びできてんだってさ!あんたみたいなの一発で連れて行かれるよ!」
「はぁ…」
「でなんだい?」
「いえ、もう良いです」





とぼとぼと歩いて皆のところへ帰ろうかと思案して立ち止まる。色狂いの女関白か…と思ったら涙が溢れてくる。このままでは会えないから、懐紙に先に行って欲しいという旨を書いて髪紐で木の枝にくくりつける。
少し歩いていったところに神社がある。少し、隠れさせてもらおうと思っているとがさがさとすごい音がする。思わず籠手を撫でると血の匂いがする。




「血の匂い?」
「っ!」
「あ…」
「!!!」
「す、少し待っていなさい!」
「?!」
「…傷が膿むから。手を出して」
「…やめろ」
「ふふふ。少しの辛抱」
「っう!」
「思ったより浅いけど…薬は?飲みましたか?」
「…ああ」
「なら、少ししたら動ける様になるわ。」
「お前…何者だ!」
「ごめんなさい。名は名乗れません」
「なら敵だ!」
「敵対していても戦場に出ていないのならば刃を交わす時期ではありませんよ。貴方も私も名無しの権兵衛で良いではありませんか」
「…」
「戦なんて最低限で良いんです。怪我人など出来るだけ見たくないもの」
「お前…変わっているな」
「?」
「武家の。それも高位の家の出だろう?」
「さぁ?はい出来た」
「…」
「貴方髪は緋色なのね。」
「お前は真っ黒だ」
「ふふふ。」
「行かないのか?」
「もう少しだけ。」
「…手拭い」
「あげる」
「要らん!」
「なら次会った時に。戦場ではなくこうやって会った時に」
「…」
「どうしたの?」
「一緒にくるか?」
「え?」
「悲しそうな顔だ」
「うん。でも」
「?」
「貴方に迷惑かけるから。貴方にもあの人にも…知らない人々にも。」
「…」
「決心がついたら一緒に連れて行ってもらうかも」




遠くで左近様の声が聞こえる。黒い人は私の手を掴んで声のする方を睨むと「またな」いって消えてしまう。黒い羽根を残して。





「いたー!!!!」
「左近様」
「なんでこんなところに?」
「三成様は?」
「三成様は宿にいます。手配をしてて。代わりに俺が」
「…そう」
「姫様?」
「迎えに来てくれてありがとうございます」
「行きましょう…血の匂い?!」
「怪我をした鳥を助けていました。左近様の声に驚いて逃げてしまった」
「だって!姫様拐かされたのかと」
「あー…それも良いかもしれませんね。」
「は?」
「でも泣いてくれる人がいないのならば意味ない、わ」
「…ひ、姫様?!」
「行きますよ」
「は、はい!」





からんころん








「良いお湯でした」
「本にのう」
「あら、三成様は?」
「いや…」
「?」
「食事の手配に」
「もうそんな時間ですね…本当に顔を会わせぬ様になさいますな」
「そういうわけではなく、な。合わせづらいのよ」
「私はここに何をしに来たのでしょうね。…道中は楽しかったけど、三成様はお怒りになられるから」
「いや」
「…それも私のせいですが。ふふふ。大谷様」
「?」
「妹が羨ましい」
「…あれはあれで必死よ。故に」
「…」
「ぬしを傷つけた事に彼程己が傷ついておる。」
「さぁ」
「姫」
「心を殺せれば良いのに」
「は?」
「そういう方法知りませんか?」
「知っておる」
「…」
「が、いわぬ」
「意地悪」
「ひひひひ」

拍手

PR