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変換なしの雑食夢

ran

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35

久し振りに時間ができた。最近は小田原と大阪を行ったり来たりだったからなぁ。書類を竹中殿に出しに行くと治部の機嫌が悪いから見に行きついでに休む事と言われて苦笑する。本当に分かり易い男だ。存外戦好きではない。無ければない方が良いという考えというよりも全員が父上に従う武将になればいいという考えなのだろう。従うのであれば其れでもよし。善悪は竹中殿と刑部が調べ父上が差配し、殲滅の命が下れば其れに従うだけだ。今の世がそうではない上、今の所小康状態だから鬱憤も溜まるのだろうなぁと言えば半分ねと帰ってきた。残りの半分は私が小田原に頻繁に行き、其の上必ず家康をつけて行くことらしい。なぜ私ではないのだと怒っていた事を笑いながら言うので、私は肩を落とす。だから徳川殿が嫌がっていたのか。



「にしても居ない」




徳川殿曰く先ほど絡まれたとの事。自室に帰ったのだろうというの来てみたら居ない。父上も知らんというし刑部も居ない。2人で何処かに行ったのだろう。と縁側に座る。
見事な程に簡素で何もない部屋だ。万年布団が端の方に引かれてあるだけで使っている痕跡のあるものは文机位なものだ。抱かれる時はあれからは私の寝所だったし。ここに来るのは久しぶりだなと大欠伸をしながら布団に向かう。眠たい。会えると思ったのになぁと布団に沈む。袴のままだから怒られるなと思って瞳を閉じた。






「何処に行かれたのか」
「ひひひ。主を探しておった様だがのう」
「半兵衛様は休ませていると言っておられたが」
「はて、入れ違いに城下に…どうした?」
「おられた」
「ひひひ。ほんに気持ち良さげに」
「…」
「さて、我は退散タイサン。主のせいでへそを曲げた妻を愛でてくる故」
「謝っていてくれ」
「ひひひ」
「…」



ガサガサという音に薄っすら瞳を開くと藤色の背中が見える。三成と声を出さずに紡いだのにびっくりした様な顔でこちらを見る。逆に私の頬は緩んでいるだろう。そっと手を伸ばすと頭を撫でられて姫と呼ばれる。鼓膜を震わせるには余りにも甘美だ。



「おかえりなさいませ」
「ん?」
「いなかったから」
「刑部と城下に出ていた」
「寂しかった」
「くくくっ。また寝ぼけているな」
「ん」
「如何した?」
「書類?」
「昼餉までにいつも済ます」
「そうね。三成様」
「…」
「そんな顔しなくとも」
「いや…如何した。本当に」
「小太郎がね」
「…」
「可愛らしい女の子に追いかけられてた」
「そうか」
「困ってたけど」
「知らんが、其れは良い。」
「その子が様をつけて呼んでいたのが新鮮で。早く呼んでみたかったんだけど居なくて」
「怒るな」
「笑ってる。」
「喜んでいる。が」
「が?」
「様は妙だ」
「そう?」
「童の時に戻った気がする。あの弱くて如何しようもない童の時分は好きではない」
「三成」
「…姫」


腕を伸ばして首に抱きつく。好きよと言って頬にキスすると項を触られる。



「ずっと好き」
「そうか」
「私を男女と言って一本取れない時分から」
「…いうな」
「んっやだ」
「もう取れる」
「誰よりも努力家だもの、あん」
「…」
「知らないと思った」
「ああ」
「ふふふ。」
「弱くなりそうだ」
「恋愛して弱くなるというのは言い訳ね。…強くなって」
「姫」
「私は大切なものを守るために何でもできる。いま、豊臣と貴方のためなら鬼にでもなれるわ」
「そうか」
「っ?!」
「愛い」
「三成」
「なら私も貴方を守る鬼となろう」
「んーっ!」







からんころん







「三成」
「ん?」
「抱きしめて」
「ああ」
「暖かいわ」
「姫」
「ん?」
「その、姫?」
「すぅー…」
「寝たか。無理さしたからな」
「…」

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