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変換なしの雑食夢

ran

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basara 片倉

「おかしい。」
「如何したの?」
「あれ」
「片倉…ありゃ。何してんだあの人。縁側で。哀愁、怖ぇ事になってるぜ。」
「振られたらしいぜ。」
「は?あの引く手数多で超絶モテる片倉兄が?」
「で、昨日から生きる尸になった」
「俺、ガキん頃から片倉兄を見てきたけど、泣けるわ」
「一心不乱に畑耕してるくれぇなら可愛気があんだけどよ。書類は書き損じるわ、道場で怪我するわ。何もねぇところで転けてたぜ」
「梵って暇だよね。」
「こんな事こと天変地異が起きねぇ限りありえねぇだろ。」
「なら偈ちで」
「やろうとしたら喜多にすごい勢いで小言言われた。」




如何したのだろうと思いながら殿と成美様の後ろ姿を見る。声をかけると両肩が飛び上がったので不審に思いつつ、食事の旨を伝える。



「…」
「殿?」
「なぁ。見合いしねぇか?」
「見合いなら立勢と東雲に。今日がよく家柄も良い子達でご両親から縁談の話を頼まれていましたから。」
「No」
「私は結構でございます。元より夫婦など…嫌気がさしまする。」
「…」
「で、でもさ」
「何より殿方が嫌いなのです。殿は別でございますが。結婚する気は毛頭ございませんので。それにもう少ししたら遑を頂戴することになっております。」
「「は?!」」
「其れでは」


一礼すると踵を返して仕事に励む。本当に夫婦など嫌気がさす。自由でいたいのではない。ただ、甚振られたくないだけだ。






外野も黙らす野菊の一言

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basara 片倉

「如何いう事だ」
「何がですか?」
「何がじゃねぇだろ。」
「此れは殿への文。書類に裏の収支です。明後日の」
「聞いているのか」
「聞いておりますが私事など貴方様に何の関係もありますまい」
「俺は!」
「そう御怒りめされるな。これは明日までにお願いいたします。」
「テメェを嫁にと」
「他を当たってください」
「責任を取る。」
「自己管理の出来ていない分で相殺でございます。」
「そういう意味じゃねぇ」


風邪の私を嬲った件に理由不明の責任感を感じていらっしゃるならばほっておいてくれた方が最善です。と言えばぐうの音も出ない顔をする。理由不明の責任など取ってもらったところでたかが知れている。すぐに離縁する程度の結婚ならしたくない。大体嫌った私をよく妻にと思うものだ。そう思ってぺこりと頭を下げて踵を返す。



「おい」
「離して!」
「そう叫ぶな」
「叫ぶな?」
「…あ?」
「両親を亡くし此処に奉公に上がって早く10年。その間私に叫び続けた貴方が、叫ぶな?」
「お、おい」
「もうお会いする事もないでしょうから。最後にお伝えします。貴方が私を如何思われていたのか知りませんが、私は貴方ほど酷く残酷な殿方は知りません。叫び恫喝し、仕事の話もなかなかできはしない。それは私にだけです。そのような方の言を信じる事ができましょうか?責任と簡単に申してくれますが私は貴方が信じられませぬ」
「…」
「その眉間のシワも般若のような形相ももうせずに済みますよ。では」



そう言うと腕をがしりと捕まえられる。



「っ」
「気の強ぇ女だ」
「離してください」
「好きだ」
「…」
「お前さんが好きだ」
「そこまで私を謀りたいですか」
「は?」
「私は貴方が嫌いです。」





告げる荊棘と返す野菊

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basara 片倉

「出家?!」
「はい」
「出家って貴方まだ18でしょ?」
「前から考えていたことです。時期が早くなっただけで。」
「…小十郎が何かしましたか?」
「…」
「否定も肯定もしないなんて貴方らしくもないわ。」
「なんと言えばいいのでしょうか。手篭めにされました。」
「………は?」
「喜多様」
「いつの事です」
「風邪で」
「もう良いわ。あの馬鹿弟…」
「世の中こんなに美しいのに私の心は一向に晴れ渡りません。致し方ないとしても…余りにも」
「そうね。ごめんなさい。」
「喜多様?」
「私の独りよがりで貴方を傷つけてしまいました。本当になんと言って謝れば良いのか」
「喜多様が謝る事ではありませんよ。ただ、私が気に入らなかったというのはよくわかりましたし、後ろ盾のない女子の危うさもよくわかりました。…此れからは気をつけてやってください。」
「…」



そう言って深々と頭を下げるといつですかと言われるので年内。雪の降る前にと告げる。早く引き継ぎを致しますと言えばなんともいえない顔で私の名前を呼ぶのだった




衝撃を受ける芍薬と告げる野菊

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basara 片倉

「大丈夫でございますか?」
「何とか。立ち仕事は無理でも私がいなかった間に溜まった書類だけでも片付けましょう。文箱と机を」
「何かかけてしてください。でないと振り返してしまいますよ。」
「大丈夫。それとこれを」
「?」
「城の外れにある女寺院の住職殿に。これは喜多様に」
「視察でございますか?」
「そのようなものね」
「すぐに参ります。」


ありがとうと言えば静かに障子が締められる。
さらさらと書類を済ませていくと静かに歩いてくる人に気がつく。何か忘れ物かしらと顔を上げると片倉様がいる。そういえばもそんな時間か。


「お前は!まだ寝てねぇとダメだろ!」
「叫ばずとも。聴こえています。」
「なら止めやがれ」
「あなたの指図を受ける必要はありません。私の上司は喜多様でございますから」
「昨日聞いた」
「なら…なんですかこれ?」
「姉上からの依頼状だ」
「は?」
「てめぇの上司は姉上と俺という事だ。」
「呆れた。嫌がらせにしても骨が折れます事。」
「嫌がらせじゃねぇ。」
「如何だか。まぁいいです。」
「おい。」
「もう少しで終わりますから」
「…」
「よし。お香衣。此れを高山様に」
「はい」
「これは片倉様に。」
「御前にいらっしゃいますが…」
「そう?ならお渡しして。」
「てめぇ!」



そう叫ぶ御仁を尻目に私は寝床に着くだった







見舞う荊棘と無視する野菊

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basara 片倉

「目が覚めたか?」
「かた、くら様?」
「あれから丸一日寝ていた。気分は如何だ?」
「…」
「おい」
「っ!」
「覚えているみてぇだな」



そう言われて目眩がひどくなる。気分が悪いのかと背中を摩られるものの気分は一向に晴れはしない。
この人は熱で前後不覚の私を連れ込んで手篭めにしたのだ。その時の記憶は定かではないが破瓜の痛みと手酷く抱かれたことははっきりと覚えている。じっと見つめると険しい顔になる。如何いうつもりでこのような事を致したのだろう?元気なら叩いてやった。以前に手篭めにされる失態は犯さなかっただろう。如何いうつもりですかと聞いても沈黙のみだ。非道い男だ。



「筆と硯を」
「あ?」
「いえ、誰か。手を貸して。自室に戻ります」
「そういうわけにはいかねぇ」
「…」
「おい」
「触らないで下さい」
「おまえ」
「あなたと対峙している間、震えを我慢せねばなりませんから。」
「っ。」
「他の者には…と言いたいところですが貴方が無体をするのは私だけですので。その心配はありませんね。ただ、」
「?」
「非道い人だわ。」
「違う」


後ろ盾も何もない私なら何をしても良いと思ったのでしょう?と尋ねると一瞬言葉を詰まらせて違うと否定される。何を今更と思いながら下女を待つが一向に誰も来ない。しびれを切らせて立ち上がるとどろりと太ももを伝うそれに嫌気がさす。


「…本当に」
「すまねぇ」
「私がお嫌いでございますね。」
「それは」
「ここに上がりまして10年。貴方様から数知れぬほどの嫌がらせがありましたがこれは洒落になりませぬ。」
「洒落のつもりはねぇ」
「何を今更。」
「責任は取る。」
「結構でございます」
「あ?!」
「恫喝と叫び声などもうたくさんでございます。」
「叫んじゃいねぇ!!!」
「現に今」
「…」


後ろ盾もない私に気を使う相手などおりませぬからと言って歩き出す。痛む全身はきっと病のせいだけではないなと思いながら




怒る野菊と縋る荊棘

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