basara 片倉 野菊と荊棘 終 2015年07月26日 「如何いう事だ」「何がですか?」「何がじゃねぇだろ。」「此れは殿への文。書類に裏の収支です。明後日の」「聞いているのか」「聞いておりますが私事など貴方様に何の関係もありますまい」「俺は!」「そう御怒りめされるな。これは明日までにお願いいたします。」「テメェを嫁にと」「他を当たってください」「責任を取る。」「自己管理の出来ていない分で相殺でございます。」「そういう意味じゃねぇ」風邪の私を嬲った件に理由不明の責任感を感じていらっしゃるならばほっておいてくれた方が最善です。と言えばぐうの音も出ない顔をする。理由不明の責任など取ってもらったところでたかが知れている。すぐに離縁する程度の結婚ならしたくない。大体嫌った私をよく妻にと思うものだ。そう思ってぺこりと頭を下げて踵を返す。「おい」「離して!」「そう叫ぶな」「叫ぶな?」「…あ?」「両親を亡くし此処に奉公に上がって早く10年。その間私に叫び続けた貴方が、叫ぶな?」「お、おい」「もうお会いする事もないでしょうから。最後にお伝えします。貴方が私を如何思われていたのか知りませんが、私は貴方ほど酷く残酷な殿方は知りません。叫び恫喝し、仕事の話もなかなかできはしない。それは私にだけです。そのような方の言を信じる事ができましょうか?責任と簡単に申してくれますが私は貴方が信じられませぬ」「…」「その眉間のシワも般若のような形相ももうせずに済みますよ。では」そう言うと腕をがしりと捕まえられる。「っ」「気の強ぇ女だ」「離してください」「好きだ」「…」「お前さんが好きだ」「そこまで私を謀りたいですか」「は?」「私は貴方が嫌いです。」告げる荊棘と返す野菊 PR