basara 片倉 野菊と荊棘 終 2015年07月25日 「目が覚めたか?」「かた、くら様?」「あれから丸一日寝ていた。気分は如何だ?」「…」「おい」「っ!」「覚えているみてぇだな」そう言われて目眩がひどくなる。気分が悪いのかと背中を摩られるものの気分は一向に晴れはしない。この人は熱で前後不覚の私を連れ込んで手篭めにしたのだ。その時の記憶は定かではないが破瓜の痛みと手酷く抱かれたことははっきりと覚えている。じっと見つめると険しい顔になる。如何いうつもりでこのような事を致したのだろう?元気なら叩いてやった。以前に手篭めにされる失態は犯さなかっただろう。如何いうつもりですかと聞いても沈黙のみだ。非道い男だ。「筆と硯を」「あ?」「いえ、誰か。手を貸して。自室に戻ります」「そういうわけにはいかねぇ」「…」「おい」「触らないで下さい」「おまえ」「あなたと対峙している間、震えを我慢せねばなりませんから。」「っ。」「他の者には…と言いたいところですが貴方が無体をするのは私だけですので。その心配はありませんね。ただ、」「?」「非道い人だわ。」「違う」後ろ盾も何もない私なら何をしても良いと思ったのでしょう?と尋ねると一瞬言葉を詰まらせて違うと否定される。何を今更と思いながら下女を待つが一向に誰も来ない。しびれを切らせて立ち上がるとどろりと太ももを伝うそれに嫌気がさす。「…本当に」「すまねぇ」「私がお嫌いでございますね。」「それは」「ここに上がりまして10年。貴方様から数知れぬほどの嫌がらせがありましたがこれは洒落になりませぬ。」「洒落のつもりはねぇ」「何を今更。」「責任は取る。」「結構でございます」「あ?!」「恫喝と叫び声などもうたくさんでございます。」「叫んじゃいねぇ!!!」「現に今」「…」後ろ盾もない私に気を使う相手などおりませぬからと言って歩き出す。痛む全身はきっと病のせいだけではないなと思いながら怒る野菊と縋る荊棘 PR