忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

死屍累々 19

「奥」
「…」
「手を出せ」
「?」
「…」
「わ…」
「…奥はいつも花を見ているからな」
「似合いません!こんな可愛らしい櫛」
「似合う」
「似合いません!」
「…ほら、似合う」
「?!」
「着物も見繕うぞ!秀吉様の許可も頂いている」
「わ、私は」
「そういう色も似合うが…淡い色も似合うだろう。」
「似合いません…」
「奥」
「皆にそう言われていましたし」
「皆が誰か知らんが!私は讒言は好まん。…似合うものははっきり言う」
「っ」
「行くぞ」
「あ、う…」









太閤殿下曰く何時もの礼とのこと。確り見繕いましたと言って広げられる夥しい反物に慄きながら手を引かれる。その先には困った顔の大谷様がいて諦めよと言われてしまった。



「此れも似合うな」
「やれ三成、その色はいかぬいかぬ。伊達の色よの」
「…誰だ?」
「ひひひ。こちは如何か?」
「藤色ばかりになる。」
「主の色故なぁ」
「淡い紅色はあるか」
「ああ、愛らしい」
「…う、あ」
「ひひひっ珍しく主がたじろいでいるなぁ」
「似合いませんもの!助けて下さい」
「三成よ。そこの絞りをとらしゃれ」
「ん?これか…」
「旦那様?」
「よく似合う」
「っ?!」
「お前のことだ。いつもというわけにはいかんだろうが着飾ることを厭うな」
「ですが」
「似合っている。嘘は言わん!」
「たまには城下でもいかしゃれ。主とて城外はまだよなぁ」
「ですが」
「太閤もそうせよと言っておる故。この着物が出来ればゆるりといかしゃれ」
「…旦那様」
「行かぬ気か?」
「い、え…」
「私は行きたいと思っている」
「?!」
「如何した?」
「いや…如何すれば良いのか戸惑っているだけです」
「戸惑うな」
「慣れませんもの」
「慣れろ!私は」
「?」
「貴様が如何思おうとも貴様の事を…愛しく思っているからな!」
「…」
「おい!これに合わせて帯小物を整えておけ」
「はい」
「刑部」
「今日の仕事はもう済んでおるゆえ。安心いたせ」
「?」
「行くぞ」
「え?あの」
嫌なら断ってくれても構わん」
「?」
「名実ともに私の妻になってくれ」
「……は?」
「ダメか?」
「お待ちください!?何が何だか」
「…お前は寝ていれば良い」
「っ」
「出来るだけ、善処する」










死屍累々 19







「…」
「ん?」
「…」
「おい」
「お、」
「お?」
「お気遣いなく」
「…脱がせれん!」
「いえ、お気遣いなく」
「逃げるな!」
「逃げておりません」
「奥」
「ひっ?!」
「?」
「あ、う」
「落ち着け」
「…」
「無表情故、お前はわかりにくい」
「そう、でございます」
「が、」
「っう!」
「嫌なら断ってくれ」
「…旦那様」
「私にしては、かなり我慢をしているが…お前が、怖いのなら」
「怖いというより」
「?」
「は」
「は?」
「恥ずかしい…」
「は?」
「後生です」
「おい」
「は」
「恥ずかしいのだな」
「う」
「嫌でも怖いでもなく」
「う…?」
「…」
「(嬉しそうに笑ってる?)」
「そうか」
「?」
「なら」
「ひやっ」
「じき、わからなくなる」

拍手

死屍累々 18

「…」
「な、何かな?」
「太閤殿下」
「行け」
「酷いよ!秀吉!!!」
「貴方様は何を考えていらっしゃるのか。恐れ多くも」
「助けて!」
「無理だな」
「やれ、始まったか」
「…」
「ひひひ。止めに行くか?」
「いや、良い」
「それが得策よのぅ」







一通りの小言を言いながら熱で倒れた竹中様の看病をする。今回は太閤殿下も御立腹らしいが、如何せんこの人に甘い。怒りきれないので私が代理になる。




「君も無表情でずけずけと」
「私が笑みながら言うのならば最終段階ですよ」
「そうだけどね〜。三成君の方は?」
「昨日から復帰です。復帰の挨拶しに行かれたら貴方様が倒れていて慌てて呼びに来られたのですから」
「お礼を言ったほうが良いのかな?」
「どちらにしろ殿下の名でここにくるでしょうから。結果としては同じでございますよ」
「…はぁ。案外手厳しいんだよね」
「当たり前です其れほど皆に心配かけておいでだとお思いください」
「ふふふ。ありがとう」
「目下」
「?」
「彼方が羽目を外さないか…」
「三成君がかい?」
「…」
「まぁ彼もああいう性格だから」
「そろそろ新しい遊び女を」
「?!」
「何か?」
「君ってそう言うとこあるよね」
「?」
「信用しきってない?」
「有り体に言えば…」
「半年も一人で寝てたのに」
「慟哭が酷かったからでしょう?今は落ち着いてきておりますから…何を好んで私などと同衾したいというのか」
「君に惚れ込んでいるじゃないか」
「…其れも急過ぎです。聊か」
「まぁ、ね」
「心を傾けて下さったことはわかりますが…本に何もない夫婦ですから。名目上みたいなものはあいも変わらずですし」
「そうかな?」
「旦那様と貴方様、大谷様の看病係ですね。今仕事は」
「否定できないね」
「ということで、早々に側室をつけて差し上げて下さいませ。」
「え?僕からかい?」
「私には彼の方の趣味は知りませんから。」
「えー…と、君だけで良いと思うよ?」
「良い加減なことを言わない」
「(きっと襖の向こうは凄い事になってるだろうなあ)」







《襖隔てて》









「やれ落ち着け」
「これ!が!!落ち着いて!!!!!いられるか!!!!!!」
「三成様!!!落ち着いて!!!」
「まだ叫ばぬから理性は残っておろう。はてさてどうしてこうして」
「私は、あれを好いていると!!!」
「与太話と思うたのだろう」
「?!」
「はたまた寝言っすね」
「?!!!」
「贈り物とかどうですか?」
「どこか連れ出すのも良いやもしれぬなぁ」
「…私は」
「三成様?」
「はてさて困った困った…ん?」
「この声?」








「竹中殿」
「やぁ家康君」
「具合はどうかと心配しておりましたが」
「彼女のおかげでね」
「彼女?」
「お初にお目にかかります。石田が妻、」
「嗚呼!君がか!」
「…?」
「わしは徳川家康!三成の友だ」
「彼は三成君と同期でね」
「其れは…いつも世話になっております」
「そう深々と頭を下げないでくれ。本当に三成の奥方か?」
「ああ。」
「ん?奥方」
「はい?」
「頬に…」
「ィィィエヤァァァスウゥゥ!!!!!!」
「?!」
「み、三成?!!!」
「あーあ…」
「貴様?!!!私の奥にその汚い手で触れるな!!!」
「な?!旦那様?!!抱きかかえないでください!!!」
「良いか!家康!!!此れは私の物だ!勝手に触れるなど許しがたい愚行!!!半兵衛様!!!こいつを斬首する許可を」
「何を言っているのですか?!皆様もお止め下さい!!!徳川様がお困りです!!!」
「いや、あははは」
「申し訳ありません、徳川様」
「彼はあれで焦っておってな。」
「あ、そうなのか?怒っているのかと」
「ィィィエヤァァァスゥーー!!!」
「旦那様!!!」
「奥!何もされなかったか?!!怪我はないか!!!」
「お、落ち着いて下さい」
「落ち着いていられるか!あんな筋肉ダルマに触られたと思うと!虫酸が走る」
「ひでっ!」
「腕は折れていないか?」
「流石に…旦那様。私は深窓の姫君ではありませんから」
「貴様ほど!」
「?」
「美しく儚い女はおらん!」
「…大谷様。何か悪いものでも」
「はてさて…通常運転よ」
「三成様最近ずっーと言ってますよ!」
「ははは。疑ってるのは君だけだよ。三成君裏表ないものね。」
「というかできないのよ」
「ベタ惚れだな」
「自分の気持ちが分かったら三成様良い意味で粘着質ですからね!」
「悪い意味ですよ!その言葉」
「奥」
「ひっ?!」
「私にとって唯一無二の女だ、お前は」
「え、あの?!」
「いくら疑ってもその事実は変わらん!…奥?」
「わ、私」
「あ、待て!」



「何わし当て馬?」
「ならば良い働きよな」





死屍累々 18







「で」
「何ですか?」
「三成君は?」
「太閤殿下に引き止めていただいております」
「へー」
「何か?」
「無表情だとしてもわかりやすいね」
「…今日は苦めに行きますね」

拍手

死屍累々 18

「聊か」
「如何した?」
「鬱陶しい」
「?!」
「そう四六時中くっつかなくても」
「だが!」
「…」
「気に入らんのか?」
「信用されていないようですね」
「違う」
「?」
「その、だ」
「お寂しい?」
「ぐ…」
「!」
「悪いか…」
「悪くは、ありません、が」
「笑うな!」
「だって…凶惶と、呼ばれる貴方が」
「お前が!半年も行方を眩ましたからだ!」
「ふふふ。それも自業自得ですね」
「言うな…」
「其れより、旦那様」
「ん?」
「なにお仕事なさっているのですか?」
「…仕事ではない」
「恐れ多くも太閤殿下から休養を言い使っております。いえ、絶対休養です。あなた様とあろう方が…太閤殿下との」
「然し、この仕事を済ませぬと秀吉様の」
「…」
「奥?」
「横になって下さいませ。計算と書付は私が致しますから」
「は?」
「この半年で竹中様の元、嫌という程書付と計算をいたしましたから」
「…」
「?」
「此処に、居たのか?」
「はい」
「…」
「貴方が食べず寝ずは風の噂で知ってましたよ」
「!」
「(恥ずかしいらしいのね…)暴れませんように」
「何故?!!!」
「私は最初医務所にいて…そのあと無理がたたって倒れた竹中様の看病をしておりましたよ。あちらもああですから。熱が出ようが太閤殿下の為と…おもてになりますこと」
「当たり前だ!」
「…殿下としてはお二人が安らかである方が良いようですから。とっととお治し下さい」
「…」
「紙と硯と机と…誰か。手伝って下さい」
「生き生きしているな」
「?」
「無表情だがよく話す」
「それも」
「?」
「貴方が言ったからですよ」
「…ぐ」
「ですが」
「?」
「こうしておりましたら、お傍にはいられますね」
「!」
「横になって下さいよ」
「ああ」
「(野犬を手なづけた気がする)」






さらさらと書き付けていく。この人はこの状態でこの量の仕事をしようとしたのか…バカだと言いたい。ただ、大人しくなってきているのは良しとしておこうと思いつつ、手元が暗くなるのが気がつく




「奥」
「ん…」
「…」
「…」
「接吻、したのだが」
「そうですね」
「…」
「何ですか?」
「…」
「旦那様?」
「嫌、か?」
「…時々貴方がわからなくなります」
「惚れた腫れたではないと」
「最初はそうでしたね。次は、最低なろくでなし」
「やはり!」
「今は…案外奥方におさまってよかったと思ってますよ」
「は?」
「接吻も嫌ではありませんし」
「お前は…わかりにくい!」
「そうですか?」
「私は、お前に惚れているからな!」
「…」
「何だ!」
「本当に、わからない殿方ですね」
「お前は!」
「?」
「秘密です。」
「おい!」
「とっとと済ませましょう」
「…っち!」
「(存外面白い方だわ)」









死屍累々 18








「奥方?」
「旦那様から。」
「字が主か…無理をさせておるなぁ」
「いえ。その間はじっとしてますから楽なものです」
「子供のような話よな」
「いえ…脱走癖のある竹中様と比べてです。」
「ひひひっ!主と太閤が説教しておったものなぁ」
「ええ…あら?」
「刑部!」
「三成よ」
「厠の途中だ…あの件どうなった」
「ああ、あれか。」
「御二方共」
「ひひひ」
「奥!?」
「見えておらなんだのか?」
「…取り敢えず部屋で座ってください。」
「ああ」
「話はそこからです」
「や、やれ。奥方。我もか?」
「同罪ですよ」

拍手

死屍累々 17

「ん…」
「旦那様?」
「奥、か?」
「起きましたか?」
「頭がいたい」
「お疲れが出たのでしょう。熱も高くて心配されておいででしたよ」
「水」
「白湯を用意してます。ゆっくり飲んで下さいませ」
「ああ」
「粥を作っていますのでそれを食べて薬飲んで下さいませ」
「…」
「…」
「…」
「…?」
「…?!??!?!??」
「急に起き上がってどうしたのですか」
「な、ぜ?!」
「貴方様が呼んだのでしょう」
「…そうだが」
「お痩せになりましたね」
「…」
「半年ぶり?ですか…口を開け下さいませ」
「…温い」
「煮えたぎったものの方が宜しいですか?」
「水っぽい」
「食べてない胃にはちょうど良いのですよ」
「…薄い」
「次は海の如く濃くしておきます」
「…」
「もう文句はありませんか?」
「…」
「もう一度口を開けて下さいませ」
「奥」
「で宜しいのですか?」
「どういう意味だ?」
「三行半を突きつけたのは貴方様でしょう?」
「…」
「全部食べて下さい」
「あいも変わらず」
「?」
「無表情だな」
「生まれつきですから」
「嘘つけ」
「真実ですよ」
「だが」
「?」
「不思議と落ち着く」
「左様でございますか」
「…もういらん」
「食べないとまた消えますよ」
「もう逃がさん」
「今の貴方様なら逃げ切れる自信があります」
「…」
「端的な力はありませんが使い方は得意ですよ」
「そうか」
「あら、お怒りになりませんか?」
「お前は生き生きしているな」
「半年ゆっくりしてましたから。」
「人の気も知らないで」
「貴方様が言いますか?」
「…」
「五島はなんとか。里で家中のものと娶せたそうです」
「そうか」
「…全部食べられましたね。よかった…」
「良かったのか?」
「?」
「あのまま…死んでいた方が」
「それこそ。人の気も知らないで」
「?」
「心配しておりましたのよ」
「?!」
「とっとと後妻を貰えば私も心配せずに済んだのですよ」
「バカを言うな」
「…」
「私の妻はお前だけだ…いくらお前が毛利を」
「まだ言っているのですか?5.6歳の折の話をそう何度もされても」
「…5.6歳?」
「言っておりましたでしょう?幼い折の砌だと。今でも良い幼馴染ですよ。竹中様のせいで知られて、半年の間手紙のやり取りいたしました。彼方ももう2人の人の親ですから。御正室様は本に優しそうな方ですよ。仲が宜そうで羨ましい限りです」
「そうか」
「大谷様とも話しましたが…貴方様は人の話を聞かなすぎなのです。殿下と竹中様以外にも大谷様や島様…下人や領民の声をしっかりお聞き下さい」
「お前の声は?」
「…さぁ。どちらでも」
「お前らしい」
「妻ではありませんから」
「…意外と根に持っているのか」
「死にかけましたから」
「そうだ?!傷!」
「いつの話ですか?縫ったら治りましたよ」
「縫った…のか?」
「ええ」
「痛、かったな」
「私も人ですから」
「そうか」
「?」
「見せてみろ」
「嫌ですよ」
「良いから!」
「…」
「薄いが…跡になるな」
「そうですね…旦那様?」
「奥」
「如何致しましたか?」
「これから先、どのような事があっても私の側を離れるな」
「!」
「私の側はお前だけで良い。お前の言葉もきちんと聞く。だから誰がなんといっても己に傷をつけたりするな。私は、お前に健やかにいてほしい」
「…」
「もう二度とこんな事にはならないように私がお前を守るから」
「なら」
「?」
「…人並みに食べて寝てください」
「ああ」
「色々ありますが…約定は如何致しますか?」
「…破棄しろ!」
「殿下が…」
「私がお願いする。良いな!お前は私の妻だ!」
「…あいも変わらずですね」
「…好かぬか?」
「貴方がお嫌いだっただけでしょ?」
「よくわからなかった。…今は恋しいと言える」
「…」
「奥」
「貴方様が、お飽きになるまでお傍にいましょう」
「飽きん。妻だぞ!」
「お好きな肩書きで良いです」
「!」
「(あら、可愛らしい)」
「そう、か。妻になるか…」
「ふふふ」
「?!」
「さあ、お薬飲んで…今は少しお休みなさいませ」
「…居なくなるな」
「傍にいますよ」
「手を出せ」
「?」
「これで逃げられん」
「ふふふ…くくくく」
「笑っていろ。」
「旦那様?」
「そちらが良く、にあ…う」








死屍累々 17







「?!」
「やれ、起きたか?」
「…奥?!」
「逆よ。逆」
「…居た」
「明らさまにホッとしてからに。手までつないで仲が良いことよ」
「寝ているのか?」
「主が倒れて丸3日つききりで面倒を見ていた故なぁ」
「…そうか」
「やれ、三成」
「?」
「良かったなぁ」
「ああ」

拍手