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変換なしの雑食夢

ran

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光風闇

「家康はいいね」
「?」
「光に変わったじゃない」
「あ、ああ。」
「いいなぁ」
「変わったことがか?案外大変だぞ」
「そう?でも」
「!」
「羨ましい」
「…そうか」




そういうと彼女はにこりと笑う。いつものことながら美しく笑っているのに心底笑っていない。
目が笑って居ないとかういう話ではなくて、現に目も何もかも笑っているのに。のに中身はちっとも笑っていない彼女をわしは愛している。羨ましいとどろりとした感情がまとわりつく。それを表に出さないのは彼女が腹に隠すせいではない。隠すのならばもっと可愛い感情を生むだろう。嫉妬とか単純でかつ面倒な感情表現を彼女はしない。もっと不可解で純度の高いそれをわしは絆と呼ぶのだと知った時それが欲しくて仕方なくなった。
彼女とわしの絆。ありしないそれ。わしが愛した彼女は三成を愛している。

風のようにわしの手では掴めない彼女は三成のもので。なにより彼女の行動原理は三成なのだ。だから私の光が羨ましいとそういうだろう。表裏一体で対たるわしの光が。





「だか大谷殿には言わないな」
「刑部?」
「同じ闇だろ?」
「ふふふ」
「?」
「刑部には敵わないわよ。一対ではなくて一体だもの。本体を羨ましがってって笑われるのがオチだわ」
「そうか?」
「この間なんてお守りが増えるって」
「言いそうだ」
「嬉しいくせにね」
「ああ」




婚礼まであと僅か。乙女心を理解できぬ三成と三成さえあればあとはどうでもいい彼女。それに振り回されて喜ぶ大谷殿。この絆はそう簡単には綻びはしない。きっと誰かが欠けたとしてもだ。それほど強固な絆を羨ましがるのは他でもない。わし自身。





「家康?」
「ん?」
「どうしたの?」
「どうもしないさ」
「ならいいわ。にしても三成とあなたは一対のようで羨ましいわ」
「え?」
「秀吉様と半兵衛様のよう。」
「そう、か」
「妻で一対なら良かったのに」
「わしに言われてもだ…」
「いいな」
「おい」
「私も獲物変えようかしら」
「暗器の達人だろう」
「光になればいいのに」
「私が特別変わっているだけで、普通はもって生まれたものだ。」
「まあ私は光にはなれそうにないけどさ。ならせめて闇なら良かったのに」
「?」
「ならどっぷり三成に浸かれて離れることないでしょ?」
「言っていることが怖い」
「あら?そう?」
「だがわからなくもない」





手に入らない彼女
もうすぐ他の男のものになってしまう彼女



このまま閉じ込めてわしのものにしてしまいたい。どっぷりと依存させて奥の奥に閉じ込めてわしが居なければ生きて行けなくなればいい。三成に向ける蕩けるような笑みを浮かべてわしだけを見ればいい。わしだけと話してわしの手からしか食さずわしの腕以外で寝なければいい。
今の彼女と三成のように

それが無理なら一層のこと。たとえその頭だけでもいい。わしのものになればいい。





「家康?」
「ん?」
「ふふふ」
「どうした?」


三成とお前が番うその日。わしは豊臣に反旗をひるがえす



「やっぱり羨ましい」




嗚呼、あいつが羨ましい







光風闇



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