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変換なしの雑食夢

ran

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49

「…う…ぐぅ」
「入り…姫様?!」
「あ、ああ。治部か。」
「お加減が悪いのですか?!骨が痛みますか?!すぐに医師を!!!」
「いや違うのだ。さよ」
「!」
「はい、姫様」
「いつものだ。っち!このような時に」
「あらまぁ。それは大変ですわ!おしん。香を焚きなさい」
「香だと?!何を悠長な!!!」
「いや、助かる、さよ。ありがとう」
「!」
「…治部下がれ。」
「で、ですが!!!」
「お召し替えの準備を致します。石田様。どうぞお願いいたします。」
「しかし…」





人前で着替えるわけには参らぬよと言って笑うと歯軋りをしながら一礼して退室していった。本当に面倒な男だ。とため息まじりに言えば悋気とは可愛らしいですねと笑われるので意味がわからん。





「…」
「やれ三成よ。歯がなくなってしまえば大変よ。歯軋りはやめしゃれ」
「刑部」
「ん?」
「最近姫様が」
(またか)
「何だ?」
「いや、何でもない」
「…あのさよとかいう女を寵愛し過ぎていらっしゃる」
「さよ殿は姫の教育係でもあらしゃる。自然とそうなろう」
「然し!その度が過ぎてはいないか!!!私は…」
「…寂しいか?」
「寂しくない!ただ、あの女が憎い!」
(出生を聞けば驚く…か。何せ賢人の姉君よ)
「何処の馬の骨かわからぬものが!如何様にして姫様の御寵愛を獲たのか知らんが!」
「やれ、落ち着かしゃれ。あのものの身元は太閤、賢人が保証しておる。」
「益々もって!腹立たしい!!!」
「…」
「刑部!」
「ん?」
「あの者のせいで私は姫様に近づけぬし、看病も出来ん!!!」
「ひひひ。」
「どうすればいい?!」
「我とてわからぬが…姫の調子が悪いのか?」
「ああ!」
「骨の治りも遅い故…」
「それとは別のようだ。いつものと仰っていた」
「何時もの?」
「ああ」
「…誰ぞ。小豆を袋に入れて暖めよ。湯湯婆も?」
「???」
「冷えてきたから特になぁ。その上故に痛かろう。」
「何だ?!どういうことだ!!!」
「月の物よ」
「?!」
「狼狽えるでないわ。持って行って差し上げようか。見舞いついでにな」
「あ、ああ」






痛いと唸れば、致し方ないですわとさよに言われる。今回は特に酷い。痛いし、目眩で気持ちが悪いし。食事も水も欲しくない。
「やれ入る」という声を聞いても「姫様?!」という声を聞いても何も返せずにいた。



「これを使われよ」
「ありがとうございます。助かりますわ」
「姫様」
「じ、ぶ」
「っ!!!」
「血が入りような時に…誠女は大変よ」
「今回は眩暈も酷い様で…」
「う…」
「誰か桶を!大丈夫ですか?」
「さ、よ。」
「この様な状態ですので…申し訳ございませんが」
「あいわかった、行くぞ…」
「石田様」
「…苦しいか?」
「…ん」
「背中を摩っている。痛くないか?」
「う、ん」
「吐いた方が楽だ。遠慮するな」
「…うん」
「待っていろ。女!」
「はい」
「襷を持ってこい!後匙と水、はちみつも持て」
「只今」
「三成」
「刑部。左近に兵の訓練は午後から行うと伝えてくれ。其れまでは各自、武具の手入れと休息に当てよと」
「あいわかった。訓練は我が行おう。」
「…すまない」
「姫が寝られた後、書類は後でこちらに運べ。さよ殿も休まりゃれ。長の看病でこれはちと荷が重い」
「すいません。ですが…」
「一度休め!私はずっと貴様の様に看病はできん。代わるまで休め!」
「…横に控えています。何かありましたら。」
「わかった。」
「う…痛、い」
「姫様」
「…」
「襷!」
「はい」
「治部」
「側にいる。安心しろ!」
「手、」
「少し待て、襷をしたら場所を移動する。」
「治部」
「手を出せ。ここに居る。安心しろ」
「うん」
「書類も後日でいい様に采配しておく。」
「助かる」
「これは姫が高熱が出た時以来よの。後は任しゃれ。」
「ああ」
「…寝てしまいましたね…流石石田様」
「…」
「では横で休ませていただきます。石田様のはこちらに用意しておきます。後、水と蜂蜜です」
「ああ」
「で、さよ殿。此れは月の物か?」
「ええ。元々重い体質ですのに怪我で…」
「そうか」
「やれ休まれよ。我も行く」
「…宜しくお願い致します」
「貴様に言われる筋合いはない!」
「…姫様は絶望の淵にいた私を助けてくださった恩人でございます。」
「?!」
「平に…平にご容赦下さい。ですが…」
「やれ、さよ殿。我が送ろう。ヌシも疲れておろう」
「すいません」
「…」






からんころん 番外編






「ん…」
「姫様」
「治部か?すまんな。」
「痛みは?」
「ははは。」
「引かんか…」
「明日にはましになろうがな。もう先ほどのように錯乱はせんよ。」
「私にはわからぬが…吐き気は?」
「ん」
「水は飲めるか?」
「…」
「匙で一口でいい。飲め」
「…甘い」
「蜂蜜水だ。ただの水よりましだ。」
(話し方が昔のようだな)
「如何した?」
(意外と心乱れているのかな?)
「姫様…湯湯婆が冷えてきたな。しばらく待っていろ。」
(まぁ。あり得んか)
「熱くないか?」
「大丈夫だ。」
「…苦しくはないか?」
「いや、治部こそ…ずっとさすってくれて。体は辛くないか?」
「私の心配などはいい。今は己の身だけいとえ。」
「ありがとう。あ…」
「如何した?」
「さよは?」
「…」
「?」
「横で寝ている。」
「そう、か。無理ばかりさせていたからな。」
「御重用しているな。」
「ん?」
「…最近特に」
「よき、理解者だからな」
「そう、か」
「ああ。治部?」
「私は…」
「其方は父上のためによくやってくれていると。流石左腕、第一の力だ」
「…」
「父上の後継者は其方の方がいいと思うがな。っう!」
「馬鹿を言うは。どのような状態でも秀吉様が居ない世界に私は生きてなどいない」
「そうだ、ろう。痛たた」
「!」
「治部、そこは!痛い。」
「す、すまない!」
「いや、すまんな。治部」
「いえ…」
「其方の妻になるものは憐れだなぁ。」
「は?」
「悲しい…な…」
「姫?…」
「…」
「寝てしまったか。…悲しい。憐れ、か」
「すぅ…」
「貴方にこの心を吐露する事を許可されぬこの身が憐れでこの心にあるものは悲しみだ。貴方はそれを気付いているのか?」
「…」
「此処でこう論じても無駄なのだがな」



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「絶対安静です」
「しかし」
「貴方は成長期なのですよ。只でさえ体に負担がかかるときに骨折、怪我が続き体が悲鳴を上げているのです。」
「休んでばかりだ」
「仕事のし過ぎです」
「なぁ、さよ」
「はい」
「私はなぜ生まれたのだろうなぁ?」
「そういう自問はもう少し生きてからになさい」
「ああ、そうだな。…そうしよう」


ちらりと部屋の外を見る。治りが遅いのも仕方がないのかもしれない。怪我ばかりだっだ。ふうとため息するのにも痛みが走る。治部を驚かせてしまったなぁとぼそりといえば虹川殿を殺すと言って聞きませんので太閤殿がお叱りしたそうですと返される。


「何をそんなに怒るかなあ。」
「何を言っておいでですか?」
「治部には未だ幼い私にしか見えぬなしいなあ。頼りないらしい」
「そうとは思ってらっしゃらないかと」
「さて、な。ああ、さよ」
「はい」
「私が里に返されたらそなたには私の侍女たちの奉公先をお願いしたい」
「は?」
「強きもの以外ここにいてはならないのだよ。この怪我だって。戦場ならば死んでいた」
「…」
「だから私は死んだものの様なものだ」
「姫様」
「時折、このまま消えてなくなりたくなる。」
「…」
「ふふふ。さよ」
「はい」
「皆にはいわないでくれ。」
「言いませぬよ。さあ、ゆっくり休んでください。私は弟や貴方の様に戦う力はないですが、貴方をこの城の中でお手伝いはできます。時折、ご心中をお話くださいませ」
「さよ」
「はい?」
「大好き」
「は?」
「ありがとう」
「…いえ」





少しだけ寝るといえばさよは笑っておやすみなさいと言ってくれる。母の様で姉の様で大好きだなと言えば出来れば姉の方がいいらしい。いつまでも若く見られたいからというので血は恐ろしいもので父上と同世代で竹中殿を育てた姉上には見えないといえば頬を軽くつねられた。くくくと笑うので怒ってはいないのだろう。姉の様に頼りにしていますよと言えばお任せなさいと笑うのだった





からんころん








「あ」
「姫様!」
「…治部か。さよは?」
「…あの者でしたら。今席を外しています。恐れ多くも秀吉様からのお声が」
「そうか」
「如何致しましたか?」
「いや、さよがいると思っていたからな」
「は?」
「そうか…」
「姫様はあの者を」
「今一番心を開けられる相手だな。」
「なっ?!」
「?」
「刑部や…私よりもですか」
「ああ」
「…」
「如何した?」
「い、え。」
「そう言えば治部。虹川の件だが」
「今より軍を率いて」
「いやいいよ。試合の話だ。其れこそ私も恥をかく。」
「しかし!」
「父上が御許可しなかったのだろう?諦めろ」
「ぐぅ…っ!」
「これ以上はいい」
「…」
「わかったな」
「…はい」




そう言うと苦虫を噛み潰した顔をして歯軋りをするのだからこの男がなぜここにきたのか。意味が分からない。


「仕事は」
「済ませました」
「私の分もだろう。すまない。迷惑をかける」
「いえっ!あの程度の事ならば…!!!申し訳ございません!!!!!そう言う意味ではなくて」
「いや良いよ。事実だろうし。其方の能力の高さを知っているからな」
「違うのです。そう言う意味では」
「傷が痛い。話すのも億劫だ。治部」
「姫様」
「そんな顔をするな」
「っ?!」
「…避けずともよいだろう?」
「あ、その!…しかし」
「いや良い。嫌な事はしまいよ」
「…嫌では」
「下がりなさい」
「ですが、姫様の御看病を」
「さよがいる。」
「!!!」
「其方は其方は仕事に戻りなさい。」
「…は、い」





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47

「良い、香りだ」
「御起きになられましたか?」
「ああ。治部か?もう帰ってきたのか?」
「はい。」
「そうか」
「痛みは?」
「慣れたものだな。いつも程度の痛みだよ」
「賄い方から雑炊を。食べられますか?」
「治部のは?」
「…私は要りませぬので」
「なら、半分にしよう」
「は?」
「椀と箸を。」
「ですが」
「早くいたせ」
「…」
「其方は余りにも食が細いからな。喰わねばなるまいよ。」
「は」
「私もこのままで腹が減らぬしなぁ。動けぬからな。」
「そうしないと怪我が治りません。ご自重下さい」
「ああ。だが」
「だが?」
「最近思うのだよ」
「?」
「治らんでも良い、とな」
「…は?」
「ふふふ」
「姫様?」
「酷い顔だな」
「?!」
「冗談だ。私もこのままでは余りにもつまらぬなぁ」
「…御戯れにも限度があります。」
「そうよなぁ。あ、治部や」
「?」
「先だってそなたの城に参った折に抱いていた女とは上手くいっているか?」
「………は?」
「そろそろ其方も20を越えている。婚儀の必要があるだろう?以前は断られたが、相手がいるのなら話は早い」
「お、お待ち下さい!何故、それを」
「秘密だ。秘密。」
「…あの者は、その。」
「?」
「その様な相手ではなく」
「何を言っている?その様な気がなくて抱けるものなのか?…手が止まっている。食べよ」
「私は結婚などする気がありません」



する気がなくとも身籠れば話は別よ。正室以外にも側でもいい。そのつもりもなく侍女を抱いたのか?と目ねつけ、椀に雑炊をつけてやる。



「責任というものがある。城主故に侍女を蔑ろにして良いものではあるまい。」
「は」
「良いという相手が居るのなら早く娶って衣食住を整えてもらえ。其方の食事の世話は私と刑部に任せられているがあの愛妻家にも夫婦の時間は必要であろうよ。私もそんなに暇ではない。」
「ですが私は、やはり」
「結婚する気がないか?」
「はい」
「…そうか」
「姫様?」
「主は父上のために生き父上のために死ぬるが本懐故それでいいかもしれぬがな」
「姫様?」
「ん?」
「先ほどより全く箸が進んでおりません!」
「食べておるよ」
「にしては…ご無礼を!」
「治部」
「?!ひどい脂汗でございます!痛みがひどいのでございますか?」
「いや、大事ない大事ない」
「…横に」
「いや。気に致すな」







からんころん





「女人としても不安定な時期ですから…治りが遅いのでございましょう。肋骨自体も何度も折られていますし。その上過労が加わって…姫君様で遊ばれるのです。もう少し休息を取っていただいた方が」
「そんなに悪いの?」
「はい。このままでは月の物も止まってしまいましょう。子が産めないだけではなく身体の調が取れてない故の症状でございますから早逝されてもおかしくないのでございます。」
「子供が産めなくなるのは駄目だよ!彼女には豊臣の跡取りを」
「半兵衛…少し休ませれば良いのか?」
「薬は我らができる限りのものは用意いたします。」
「ああ」




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「姫には強い豊臣の血を引く男の子を産んでもらわなければいけないんだよ。君の覇道の道が安定したらすぐにでも。なのに、15にもなって…婚礼どころかこんやくしゃもきまっていない。いや、裳着すらしていないのだから!結局、佐和山から帰ってから今まで女物の着物も何もかも捨ててしまったり奥にしまったりして、益々男化に磨きがかかってきているんだよ」
「うむ」
「早く子を産んで僕が養育する。兵法から武術。全てを教えたいのに。あの子は!子を産む気がないのかな…。三成君とならいい番いになれるだろうに」
「…父上。竹中殿。入ります」
「?!」
「入れ」
「これは昨日行っていた相手の城の内情です。あと、周りの支城は調略しております。」
「…聞いていたの、かな?」
「男の子が欲しいあたりから。聞き耳をたてる気はありませんでしたが声が些か大きいので」
「いや、ね。その」
「安心なさいませ。如何とも思っておりません」
「?!本当かい」
「元より、私は豊臣繁栄のための礎。道具のようなものですので必要とあらば御命じ下さればいいのです」
「…姫」
「では失礼致します」
「ちょっ!待ちなさい」
「まだ何か?」
「君は」
「私は私としての個をすて豊臣の繁栄のために生きると考えております。遅かれ早かれ、覚悟を決めなければならなかったことでしょう。父上」
「なんだ?」
「今はただ、御前の敵を殲滅する事のみに心血を注ぎまする。必要とあらば、御命じください」
「わかった」
「では、稽古に出てまいります」




カ音を立てず歩く。眉間にしわが寄っていたのだろう。見るものが自然と道を譲ってくれるものの声を潜めて機嫌が悪いだのなんだの。好き勝手言ってくれる。
私は早く子を作らなければいけないのだろう。そしてある日。私が必要なくなる日が来る。廃嫡され、その子が後継なるのだろう。それがすべての幸せにつながるのならそれでいい。ただ、その時私はこの世に居ないだろう。邪魔なものは殺せ。それが竹中殿なのだから




「あ!姫様っすよ!…すっげぇ機嫌悪そうっすね」
「彼方は道場か。ぬしらは行かぬのか?」
「…我らは終わった。ここ最近まともにお顔を拝し奉っていない」
「左様か。しかし」
「?」
「気負いすぎよの。怪我をせねばいいが」




ごきりと嫌な音がした。虹川の木刀が肋骨に入ったのだから1.2本は持って行かれているだろう。気が散漫だった。先ほどのといくら言い訳を重ねても私の失態だ。何より、父上の重心でありその子息の中で最も私を嫌っている男なのだからこの頭にめがけた木刀も止める気はないだろう。鎖骨か腕の骨は諦めなければならないと思った瞬間、木刀をはじき返した。



「治部」
「貴様には懺悔すら許さない。塵芥も残さず消え去れ」
「まっ?!誰か!治部を止めよ!」
「ひひひ。三成」
「止めるな刑部!さあ頭を垂れろ。死ね!」
「ひっ?!」
「治部!やめろ!」
「っ?!」
「もう良い。誰か虹川を手当てしろ!虹川殿にも」
「やれ、それは我が」
「刑部」
「二の太刀を止めることはできたはずよ。それをせずにおったのだから致し方なし。あのままなら主は死んでおったぞ」
「…」
「太閤経由で話をしておく。心配致すな」
「ああ」
「姫様!!!」
「っ?!」
「ああああ!!!!!やはり!その男を殺してやる!!!!!!!!!」
「治部落ち着け!」
「姫様に傷をつけるなど!!!万死に値する!!!」
「もういい」
「姫様」
「治部。話すのも痛いのだ」
「?!」
「もう良い」
「…姫様」
「泣くな。治部」
「私がもっと早く」
「主は本来いないはずだ。主がそのように思う必要性はないよ。」
「…」
「にしても、私の肋骨はよく折れるなぁ」
「っ」
「治部の言った通りだ」
「は?」
「弱い私は父上の後継者にはなれないのだなぁ」






からんころん






「虹川は武将としてしまいよ。」
「…」
「何より、口実ができた。あれら親子は公明正大に主を軽んじていたからな」
「それだけ私が」
「それを決めるのは我でも主でもない」
「…そうだな」
「怪我は」
「刑部!あまり姫様に質問をするな!傷が痛む」
「やれすまぬすまぬ」
「治部!」
「…申し訳ございません」
「主の看護も板についたよの」
「もう良いと言っているんだが。どうにかしてはくれないか?」
「我には無理よの。今怒られな故。ああ恐ろしや」
「姫様お薬の時間でございます。あら」
「さよ!助けてくれ」
「…石田様がべったりくっついていてお休みできないそうで」
「お、おお。そうよ。三成」
「なんだ?」
「太閤がお呼び…行きよったな」
「はぁ。あの目でずっといるのだから休むものも休めぬ。何より、うるさい上に細かい」
「あいわかった。太閤には我が」

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45

「姫様」
「ああ、治部、刑部。左近は?」
「左近は隣室に控えております。」
「そうか。ならば呼んでくれ」
「は、左近!」
「島左近入りますっーと」
「貴様!!!」
「よいよい。左近息災か?」
「え?!まぁ!姫様は???」
「元気だよ。」
「痩せた?」
「?いや。ふふふ。左近は相も変わらず賑やか。」
「やれ、姫」
「ん?」
「われらを呼んだ理由はなんぞ?」
「ああ。明後日の若菜摘みの前にだ。礼と思ってな」
「礼?」
「その様な!」
「これ、ちか」
「はい」
「何がいいか迷ってな。反物にした。皆で分けてくれ。」
「姫様」
「ん?」
「この様なものは頂けません」
「…この様なものか。」
「い、いえ!そう言う意味では」
「なら刑部。采配を任せる。頼んだ」
「あいわかった」
「あと、これは御妻君に」
「渡しておこう」




ありがとうと言えば治部がなにかを言いたそうにしてやめる。あれ以来まともに見ていなかったと思いつつそなたの方が痩せたなと苦笑する



「明後日は確り食べなさい。」
「は、い。」
「私は出ない故ゆっくりと」
「また、ですか?」
「ん?」
「またお出かけにならないのですか?」
「ええ。だけど」
「?」
「これは竹中殿からの言いつけ。私も若菜摘みは楽しみにしていたのだがな…長く休んでいたのだからと叱られました」
「は?」
「だから竹中殿に言っておくれ。」
「いえ、半兵衛様の御裁断でしたら私などが…」
「ん、そうよな」
「姫」
「大事ないよ。刑部は心配性よな」
「…」
「では私は用があるので退室する。本にありがとう。ではな」


そう言って立とうとすると治部が名前を呼ぶものだから思わず、止まってしまう。顔をうつ伏せて「辞退致します」言うものだから眉毛が下がってしまう。何を辞退するのだろうか?…着物は気に入らなかったのだろう。そう思いつつ治部と呼べば顔をゆっくりと上げる。苦悶に満ちた表情に思わずため息が出る。



「気に入らないか?」
「いいえ。ですが。」
「?」
「私は貴方様に御休息遊ばして貰えず。やはり…礼を受け取るわけには参りません。」
「それは刑部に言ってくれ。あとは任せる。」
「三成」
「剰え御命に逆らう上、この気持ちを吐露する許可を」
「許す」
「貴方様は、私の贈り物を受け取ってくださいません」
「主は何故だか女の喜ぶものばかりよなぁ。故に受け取らぬのであって全てではない。香炉に香、髪紐は有り難く頂いた」
「そう言うことを言っているのではありません!何故!!」
「女物を何故そうにもむきになって着せたいものかなぁ。私はそちらの方がわからん」
「貴方様は、姫様ではありませぬか!美しく着飾り、戦場に出ず恙無く…っ?!」
「それ以上は言うでない。私は女だ。だが、ここに来た瞬間、女ではなくなったのだ。他でもない。竹中殿の御判断だ。私は才に富んでいるわけでもないし、器用なものでもない。何かを得るためには何かを捨てざるおえない。私は、私は!!!」
「ひ、め?」
「やれ、姫。落ち着きゃれ」
「っ?!」
「あとは万事采配しておく。少し休まれよ。」
「…すまない。みっともない姿を見せてしまった。」
「い、え」
「あとは頼む。休みたいがそうもいかんでな。ではな」






からんころん







「姫。来たのかい」
「御用とは?」
「君の伴侶についてなんだけど」
「父上の覇道を達成するまでは考えられません。」
「でも!」
「その手の話ならばお断りを。無理を通されるのであれば御下知にて」
「三成君なら如何かな?」
「治部?」
「君となら筒井筒の関係じゃないか!実よくも申し分ないし」
「彼方が厭いましょうし私も嫌です。ただ、父上の命とあらば否とは言いません」

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