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変換なしの雑食夢

ran

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55

「三成?」
「ん…」
「寒い」
「そうか?」
「うん」
「なら火鉢に火を入れるか?」
「離れるではないか!」
「…寒いのか?」
「寒いのだ」
「寒いのか…」
「三成はあったかいな」
「姫が冷え性なだけだ。」
「佐助殿印を飲んで大分解消したのだがな」
「…仕事量を減らせ」
「皆して。」
「皆?」
「父上も竹中殿も。」
「私も少し休むべきだと思う。」
「幼い折よりの習慣だからな…一応後継者だしな。まぁ、それもいつまで持つか」
「???」
「私は非情になりきれぬからな。歳をとり子供が生まれて益々な。その事をお二人には見透かされていた」
「そう、か」
「驚かないのか?」


そう言うと私を抱きしめて、髪を梳き始める。






「強くはなったかしら?」
「ああ。誰よりもしなやかで強い。」
「お世辞でも嬉しいわ。」
「…姫」
「何?」
「強さと非情さは違う。」
「知っているつもりよ」
「純粋な強さではなく、貴方には特別な力がある」
「?」
「人と人とを繋げる。」
「…」
「秀吉様が居なければ、今の日の本はあり得ない。」
「ええ」
「然し、貴方がいなければ今の武将達のほとんどが死んでいただろう」
「それは、寂しいはね。」
「いつか左近に言ったらしいな」
「ん?」
「私は死ぬ事に喜びを感じて貴方は何を差し置いても生き抜かねばならないと」
「あー…」
「本当にその通りだ。」
「え?」
「貴方が生きなければまたいたずらに諍いが増え、戦の世になってしまう」
「…それは嫌」
「だから貴方には生き抜けるところにいて欲しいのだと思う。」
「そう…三成も?」
「私は」
「?」
「貴方の死など、受け入れない。なにより!」
「三成」
「考えたくもない」
「…」
「だから」
「私はきっと死なないわよ。」
「!」
「皆が守ってくれるもの。大丈夫。」
「聞いていたのか?」
「私も貴方の死なんて考えたくないわ」
「…そこではない」
「私が同じ戦場にいたら私より先に死ねないでしょう?だから行くわ」
「…私のせいか」
「ええ」
「…」
「眉間のシワがひどいわ」
「強かになってきたのか?」
「それだけ貴方が好きだという事よ」
「…」
「あら真っ赤」
「煩い!」
「治部」
「何だ!」
「好き」
「…私もだ」
「長生きしましょうね」
「…」
「たぶん後釜は左近…」
「左近!!!!!!!」
「あら行かないで。寒い!」
「姫」
「ん?」
「口が裂けても言うな!」
「ならそうならないように頑張って」
「…」





からんころん







「左近?」
「姫様何言ってくれたんですか!?」
「あはー…治部!」
「…貴様。もう二度と姫の御前に!視界に!!!入るなと」
「では、治部が見れないではないか」
「は?」
「そなたの左腕を見るなということは本体を見るなということだろう。…残念だ」
「!?お待ちくださいませ!!!!!」
「いや、いいんだ。」
「ひ、姫様!!!」
「ひひひ。何がどうしてぬしはボロ雑巾より汚い形をしている」
「それはかくかくしかじかで…さらっと蔑まないでくださいっす!」
「ひひひ。夫婦喧嘩は犬も食わぬというからなぁ」
「とばっちりマジ勘弁してほしいってぇの」

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53

「徳川とぉ、伊達とぉ。石田がいてぇ。婚礼で何日も飲んでるらしいしぃ。ここはチャンス到来?」



奇刃を持って天井に隠れると何故だか忍びがゴロゴロいて宴の席までたどり着けずにいる。ここは仕方がないと趣向を変えて花嫁惨殺にしてみようかと思案する。流石又兵衛様。天才



ここはなんにも変わってねぇなと思いながら離れの一室に向かうと白無垢に角隠しをした女が静かに座っていた。
顔は見えない。が、何処ぞの姫君だろう。恨むんなら彼奴らを怨みな。




「キシシシシシ!」
「?!」
「俺様の為に死んでくれよ」





天井から躍り出て奇刃を振り落とす。と角隠しから見えた顔に驚く。止められた刀に驚く。




「又兵衛ちゃん」
「姫?!」
「如何したの?」
「いや、それはこっちの台詞」
「…襲いかかった?」
「ちがっ!ここに石田の花嫁がいるから!!!…もしかして」
「うん私」
「…まじかよ」
「又兵衛ちゃん。」
「なんっすか?」
「おかえりなさい」
「帰ってこないっすよ」
「あら、私の結婚祝いは帰参かと」
「にっっっくき伊達の野郎と徳川の野郎がいるのに?!」
「うん。帰っておいでよ」
「…」
「ね?」
「…っち」
「又兵衛ちゃんいたら嬉しいなぁ」
「なんで」
「なんでも」
「訳ワカンねぇ」
「今はそれでいいの。ねぇ、又兵衛ちゃん」
「?」
「綺麗?」
「馬子にも衣装」
「言うと思った。」
「石田と結婚するの?」
「うん」
「有言実行すぎて怖い」
「又兵衛ちゃんの閻魔帳から名前消しておいてね」
「なんで!」
「元々私虐めてたからじゃない」
「…はいはいはい」
「ふふ」
「?」
「おかえりなさい」
「だから!」
「?」
「…」
「又兵衛ちゃん?」
「興が逸れた!帰る」
「待ってるよ」
「この変人が!」
「酷いなぁ。」
「…おい」
「ん?」
「おめでとう。…良かったな」
「!」
「何だよ」
「ありがとう」







からんころん








「…いいのか?」
「あ、小太郎。無事に帰れる様に手配してあげて」
「にしても、」
「同年代の幼馴染。治部と刑部はお兄さんだったし。暗に連れられてよく二人で遊んでたから」
「…」
「小太郎?」
「いや、もうそろそろか?」
「ん」
「綺麗だ」
「ありがとう」
「あの男には勿体無いな。」
「そう?私に治部は勿体無い気がするけど」
「そうか」
「小太郎」
「ん?」
「ありがとう」
「何の礼だ?」
「色々。」
「姫が居るから此処に武将が集って宴に興じられる」
「?」
「自分が稀有な存在であることに気がつけ。」
「???」
「…幸せに長生きしろ!」
「うん」

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52

「…ちちうえがもちをたべております!」
「そ、その様なことで驚くのでござるか?!」
「まー石田だからな。菓子食うか?」
「やれ、独眼竜。うちの坊にあまり甘い物を与えりゃれるな」
「そうで御座いますぞ!政宗様。」
「若様もダメだよ。うちの旦那も虫歯になって大変だったよー!」
「うちもだ」
「我は食べさすので精一杯よ。佐吉はまだで三成より食すから賢いかしこい」
「おい、若。こっち来い」
「うむ。巻き込まれると長いでござる」
「流石父兄会よ」
「うちは鶴の字だろなぁ」
「あれは…風魔に現を」
「はっ歯ぎしりが凄いでござる」
「西海の鬼が嫉妬の鬼だな」
「お、流石伊達の旦那!上手いこと言うぜ」
「嫉妬の鬼…」
「しばたどの?」
「なんでもございません」








「騒がしいなぁ」
「後で斬首しておきます」
「いい、いい。佐吉も楽しそうだ。柴田殿の妖の話が好きらしくてな。刑部が嫉妬していたぞ」
「そうですか」
「食べられるか?」
「あと、ひとつ」
「う、うん。そんな苦渋に満ちた顔をせずとも。」
「あと、ひとつ」
「緩々と食せばいい。どうせこのあとも宴なろう。いや、彼方はもうなっている。父上が乾杯しているし」
「…」
「歯ぎしりが…無理せずともよいぞ」
「その様な!!!」
「う、うん。」




餅と睨めっこしている三成を見ている。長い。とっとと食えとは流石に言えない。3日分くらいの量だからなぁ。だから小さいのを頼んだのにな。わざわざ大きいのにせずとも。いや、大きくなくて普通サイズにせずとも。



「あ」
「…」
「だ。大丈夫か?」
「あい」
「…」
「ごくん…う」
「顔が青いぞ!横になれ」
「ですが」
「膝を貸そうか?枕をとろうか」
「ひ、ざ?」
「衣装もきつい故別室で休むか?」
「膝をお借りいたします」
「ん。気持ち悪くなればすぐ言え。徳川殿」
「おっ!睦まじい…三成睨まないでくれ」
「これ、おとなしくしておれ。彼方は頼んだよ。あと水と桶を用意する様に言ってくれ」
「承知した。」
「ありがとう。」
「姫様」
「大事ないか?」
「はい」
「無理をしないで良かったのだぞ」
「ですが」
「?」
「姫様より、この心が小さいと思われるは甚だ」
「…」
「特に独眼竜などがそう」
「からかっただけだろ?にしても」
「姫様」
「そなたは誠愛しいな」
「私もで御座います」









からんころん





「う…」
「無理をするからよ」
「刑部」
「胃薬を飲んで奥へと行きしゃれ」
「だが、」
「宴は長い。一眠りすればよかろう。明日の婚礼に青い顔して出る気かえ」
「そうだな」
「姫様」
「皆勝手にしているしな」
「そうよ」
「刑部もあとは頼んだ」
「頼まれた」
「歩けるか?」
「ああ」
「ひひひ。本に睦まじい事よ」

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51

「ん…」
「起きたか?」
「また貴方は寝ていないのか?」
「横にはなっている。」
「明日には餅を食べるのだから。寝なさい」
「…姫」
「ん?」
「声が枯れているな」
「誰のせいだ」
「嬉しい、から」
「うん」
「…」
「早く来ぬのか」
「裸体で両手を広げるな。」
「何、そなたにしか見せんよ」
「当たり前だ」
「…三成の髪は綺麗だな」
「頭を抱きかかえるな」
「月光の様だ」
「…」
「ありがとう」
「何がだ?」
「私を妻にしてくれて」
「…」
「嫌なら今から酔っ払いのところへ行けばいいぞ」
「本気で言っているのか?」
「ん?」
「は、な、せ!」
「いや。痛い!」
「っ」
(手を離した!?)
「痛かったか?」
「んーん。」
「おい」
「今日はこのまま寝たいな」
「却下する。」
「じゃあもう少しだけ」
「…」
「三成?」
「お前こそ。嫌なら。今の。うちだぞ」
「え?」
「私より優しい男が向こうにはいる。真田も風魔も。」
「…」
「おい」
「…」
「…泣くな。すまない。私が言いすぎた」
「いや、すまない。私が言い出したのに。」
「手を緩めろ。」
「随分と嫌な気持ちだわ。ごめんなさい。三成」
「いや、私は」
「?」
「幼い頃より。お前以外妻に娶る気は無かった、から。」
「!」
「気にしていない」
「本当に」
「ん?」
「短気で意地悪で暴力振るうし私なんか歯牙にもかけない男だったのに」
「…」
「私もずっと貴方が好きだったから。不思議なものね」
「…そうなのか?」
「何が?」
「私を、好きと」
「ずっと言ってたでしょ?」
「童の戯言かと。」
「…竹中殿には言ったことない」
「そういえば、でも大嫌いと言われたぞ!」
「貴方が父上ばかりで私なんかどうでもいいみたいだったから」
「…」
「今もそう?」
「何時からか」
「?」
「天秤に乗るものが多くなった。秀吉様、半兵衛様。刑部。家康。初めて下賜された佐和山の城。左近。最近組した当主たち。これらと別に」
「三成?」
「お前と佐吉がいる。」
「どちらも大切で欠かすことができない。」
「うん」
「それが答えだ」
「貴方らしい」
「怒るか?」
「うんん。嬉しく思うし、誇らしい」
「そうか」
「私は普通の妻として貴方を支えられない」
「そんなことはなからわかったことだ。」
「こんな私を選んでくれてありがとう」
「私も、礼を言う」
「明日は何個食べさしてくれるのかしら」
「同じだけだ」
「3つ?」
「ああ」
「食べられる?」
「…死ぬ気で食べる」
「さよに頼んでちいさくしてもらったから」
「それは」
「大きさで如何が決まるものではないでしょ?」
「…」
「好きよ三成」
「私もだ」
「ずっと側にいてね」







からんころん






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