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変換なしの雑食夢

ran

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百合

「…」
「ん?」
「…」
「みつなりさま?」
「ん?」
「寝ていらっしゃらなかったのです?」
「寝ていたが、少し前に目が覚めた。ちい」
「はい」
「おはよう」
「…」
「如何した?」
「言いたいことがたくさんありますが、怒る気が」
「くくく。顔が赤い」
「だって」
「愛いな、貴方は」
「?!」
「?如何した?」
「いいいいいいいい今!何時ですか?」
「聞いて如何する?」
「朝餉の支度を」
「ほう…まだ動けるか?」
「え?っ!!!」
「だろうな。」
「三成様ぁ」
「本当に無垢だな。布団の中に入っていろ」
「?」
「左近!左近はいるか?!」
「はいはいっと。なんっすか?」
「いいか左近。それ以上近づくと命はないと思え」
「自分で呼んどって!何っすか?」
「朝餉の支度を」
「朝餉の支度…あーはい。わかりました。お二人分は?」
「用意はしておけ。この離れには持ってこなくていい。いる時に取りに行く」
「あんまり無理しちゃ嫌われるっすよ」
「また寝させるだけだ。それほど寝ていないからな」
「初めての子に!?鬼畜!!!」
「左近」
「島左近! 行って参ります」




ブツブツ何かを言いながら襖を閉められる。羽織ったのは寝着だろう。それを肌蹴て着せいらっしゃるから目のやり場に困る。布団の近くに来ると再び脱いで布団に入られるので両手で顔を隠してしまう。私には刺激が強い



「如何した?」
「服を着てください」
「今から寝るからいい」
「私が困ります」
「昨日散々見ただろう。」
「で、では!私が…っう!腰が」
「無理やり起きるからだ。昨日散々致したのだから今日は動けんぞ。ちい」
「ひっ。こ、腰に腕を回さないで」
「…寝ろ」
「?!」
「貴方を抱いていると良く、寝れる」
「如何受け取ればいいのだろう?」
「早く来い」
「…」
「ちい?」
「三成様」
「ん?」
「私の事」
「愛しているといっただろう?」
「…」
「信じられないか?」
「少し」
「疑い深いな。まぁいい」
「?」
「貴方が私を愛している、倍程度は貴方のことを愛していると思ってくれればいい。それより、」
「わっ」
「温かいな」
「三成様?!」
「こうやって欲に溺れたいと思うのも。独占したいと思うのも。抱いて眠りたいと思うのもちいだけだ」
「…」
「ね、ろ」





そう言いたいことだけ言った三成様は珍しく寝てしまう。確かに暖かい。クワァと一つあくびをついて三成様の胸に擦り寄る。そして私は眠りにつくのだった








百合









「やれ、三成は?」
「知ってて言うのは悪趣味っすよ。朝餉の支度とか色々言ってました」
「左様か。なれば明日の分くらいは用意をしておこうか」
「ちいさんも大変っすよねー。三成様の相手って、大変っしょ?」
「戦後故なぁ。あれも文字通り精魂尽きるまで楽しんだだろうからなぁ。」
「うわぁ。益々可哀想っすね」
「それも致し方なかろう。三成にすれば持て余した情故良き結果に回帰してまことよかった。」
「にしても」
「?」
「婚儀いつっすかね」
「…ぬしも喜んでおるなぁ」
「当たり前っすよ!あの三成様が人並みに…」
「誠よなぁ。」

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曼珠沙華

「…」
「返り血をふかしゃれ」
「時間が惜しい」
「戦慣れせぬ女子に血は見れの顔を見せるつもりか?嫌われても知らぬよ知らぬ」
「?!」
「それでいい。手紙は?」
「書いた」
「ひひひ。マメよな」
「だま…」
「ん?」
「…」
「簪か?」
「いや、良い。直ぐ」
「似合いよるだろうなぁ」
「っ」
「土産を買うものも多い。此れなら日々つけれ様」
「主人はいるか!」
「ひひひ。」







ごしごしと廊下を拭いているとふと影ができるので顔を上げる。
見た事がある顔だった。たしかどこかの御家中の近習、だったはずだ。今ここには誰もおられませんが…と言えばにたりと笑われる。この顔も知っている。ただ、すごく嫌な意味で。




「どうせ、愛玩用なのだから。私がどうしようとも平気だろう?」





動けただけ御の字だったのかもしれない。ただ、声は出なかった。恐ろしい。気持ち悪い。頭の中にぐるぐるとその二言が回る。




「逃げるな!!」
「いやっ!誰か!!!」
「ここには誰もいない!下女のくせに!暴れるな!!!」
「ひっ!」
「っ?!いてぇ目に遭いたいらしいな!」
「ぐっ!」
「このまま首を絞められてが良いか?」
「か、はっ!」
「どうせあいつらにも抱かれてんだ!何日もいないのだから寂しくていけねぇだろ?俺が相手してやる!」
「っはっ!ごほごほ。やっ!」
「くそ!暴れるな!!!」
「帯を!とかなっ」
「此れで良い。大人しくするまで縛ってやる!」
「やー!!!」
「じっとしてな」
「つ、さま!」
「あ!?」
「三成、様!!!」
「うるせぇ!あの茶坊主のどこが良い!!!」
「っかはっ!」
「家柄も何もかも!俺の方が上だ!!!」
「あっぐっ!!!」







意識が遠のく。このまま蹂躙される位なら頸いてほしい。ただ、無事と書かれた手紙を思い出す





あの、優しい顔を思い出す。










「…みつ、なり様」
「っ!」






薄れゆく意識の中視界が赤く染まるのが分かる。








「っかは!」
「大丈夫かい?!」
「半兵衛、様?」
「意識は戻ってよかった。首を絞められていたの覚えてるかな?」
「いく、さ」
「早々と引き上げてきたんだよ。三成くんのお陰だね」
「みつ、なり様?」
「君を助けたのは彼だよ。今支度をしているから。」
「…」
「何もなくてよかった。すまないね。君を子供だと思ってばかりで…こういう肝心なことを忘れているなんて」
「三成様」
「ああ。泣かないで。直ぐに来るから」
「うう…」
「大谷君。ちいが起きたから。三成君に至急くる様に言っておくれ。ああ。血糊を退けてからだよ」
「あいわかった」
「大谷様」
「大変だったな。すぐ呼んでくる。またしゃれ」




スイッといなくなると私は半兵衛様を見る。困った様に私を見返してくるのでご無事で何よりですと告げると馬鹿な子だねと頭を撫でられる。
母をこの人は愛していた。母は死ぬまで信じなかったけれども。確かにそうだったはずだ。父から奪ってでも娶りたかっただろう。それをしなかったのはねね様のことだろう




「半兵衛様」
「ん?」
「美しく聡明で強いあなたに似ずにいる私を苦々しくお思いになってはいないのですか?」
「そうだね。君を嫌いになれたら楽だったんだけど」
「…あなたに似たかった。男に産んで欲しかった。ならばこんな惨めな気持ちにならずに済んだ」
「聡明な君らしくもない」
「豊臣の力と竹中の智略があれば私はあなたの錬金術で最高の作品でしたでしょうに」
「…君は確かに智略しかないね。顔は旭に似ているけど。ただ。忘れないで」
「?」
「僕はそんな事を考えて君を作ったわけではないよ。」
「はい」
「父、とは名乗れないけど。君のいく末を誰よりも案じているのだから」






そう言って再び頭を撫でられる。どすこい大きな足音が聞こえて私は入り口をみる。






「三成様」
「っ!ちい!!!」
「っ…」
「すまない。私が側にいれなかった間にあんな愚劣な男の侵入を許してしまった」
「三成様、みつ、なり」
「泣くな。いや、恐ろしかったな。ちい」
「…」
「側にいる。安心しろ。私がいる限り。あの様な目に二度と合わせたりはしない!」
「…おねが、いします」
「なんだ?」
「触れて下さい」
「?!」
「あの悍ましい腕ではなく。あなたに触れてもらいたい」
「僕はお邪魔の様だね。」
「は、半兵衛様」
「あ、そうだ。こんな時で申し訳ないけど。三成君とちいの間は公認だから。大切にして責任を持てるのならば君たちに任せるよ。」
「っ」
「あとここは人払いをするから。三成君あとは頼むよ。きっとちいはままごと的なものを思っているだろうけど君が抑えられるかどうかだね。まぁ。嫌われない様に」
「半兵衛様?!しかし」
「ヘタれないでくれよ。僕も早く孫の顔が見たいからね」
「っ」









曼珠沙華






「…」
「三成、様?」
「ちい」
「はい」
「今は戦帰りだ。気も高ぶっていて触れるだけではすまん。…あなたがどうこうというわけではなくだ。その。それだけでは私が堪えられないだけだ。」
「…」
「知識はあるか?」
「少し、だけ」
「恐ろしい思いをしたあとにその様な無体をしいたくない、が。」
「はい」
「あなたに触れたい」
「…そ、の」
「?」
「三成様」
「責任は取る。いや、元々あなた以外とそう言う事をしたいとは…いやすまん。そのだ。っくそ!あの愚劣な男と一緒ではないか」
「…違い、ます」
「?」
「私を愛玩用だからといって無体な事をしないです」
「…その様な事を?!」
「三成様」
「…?」
「貴方に触れてもよろしいですか?」
「!?」
「浅ましい女と厭われるっん!」
「…ちい」
「うっちゅ。あっふ」
「っ。覚悟はいいか。」
「はい」

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水仙

「…戦、ですか」
「ああ。この大阪を攻めんとする愚か者がいる。私はそれを迎撃してくるので何日か帰らん。帰るときは文を書くので、それまで空気の入れ替えを頼む」
「は、い」
「如何した?」
「…」
「ちい?」
「その、あの。…申し訳ございません」
「怒っていない。安心して言ってみろ。」
「部屋は、いつお帰りになっても大丈夫なように整えておきます。」
「?」
「食事も庭の手入れも。何一つ抜かりなくしておきますので、ご安心を。」
「ん」
「です、が」
「?!」
「…」
「な、泣くな。なぜ泣く?!」
「三成、様」
「如何した?」
「ご武運をお祈りしております」
「それはいい。しかし」
「…」
「どうぞ」
「どうぞ?」
「怪我など」
「怪我?」
「なさら、ないで。無事に。帰って、きて」
「ま、まて。ちい。泣きすぎていて何を言っているのか」
「三成ーおい?!泣かしたの?!」
「家康!黙れ!」
「ど、如何した?何かされたのか???言われたのか???」
「違い、ます」
「嗚咽が凄すぎてわからん。三成!あれ程女子には優しくと!」
「!」
「わっ!いたっ?!ちい殿!!!叩かないでくれ!!!」
「三成、様を悪く言わないで!!!」
「?!」
「家康様なんて嫌い!」
「な?!」
「ち、ちい!落ち着け?今日はおかしいぞ?」
「うわーん!」
「ますます泣いたではないか!この筋肉狸!刑部を呼んでこい!」
「わ、わかった!!!」







水仙







「…」
「珍しいこともあるよな」
「…どうにかしてくれ」
「致し方ない事よの。戦など知らぬ上、最近大切なものを喪し。剰え様やできた懸想の相手が死地に行く心地だったのだろう。その上、徳川がぬしにあらぬ疑いをかけた故辛いのと悲しいのと。混ざったのよなぁ。」
「ぐすん」
「まだ、14故致し方ない。」
「かといって背中に抱きつかれるとやりにくい」
「左様か。なら」
「?」
「やれちい殿」
「大谷様」
「可哀想になぁ。我が甘味をやろう。三成も退いて欲しいとのこと。哀れよ哀れ。やれ我の元へこりゃれ。輿に乗せたもう」
「…あい」
「?!」
「ひひひ。」
「ま、待て」
「みつなりさま?」
「いや、そのだ」
「お邪魔をして、すいません。」
「ちがっ?!」
「素直にいわしゃれ。」
「他の男の元へ行くな」
「…大谷様です」
「刑部でなければ…いや、いい。そうではない。」
「?」
「手柄を立てる。恩賞を頂けたら、貴方とのことを頼みたい」
「…」
「良いか?」
「…手柄を立てなくて良いで、す」
「?!」
「違う違う。落ち着きゃれ」
「貴方が無事ならそれで良い。私はそれが良い」
「は?」
「ちい殿はぬしの安否が心配なのよ。大丈夫と言っているが…ひひひ。恋は盲目よの。ぬしと相手なら相手の方が哀れよなぁ。」
「…」
「すいません。ご武功を立てる必要をわかっているのですが…」
「い、や。あのだ。」
「?」
「怪我なくはわからない。」
「!?」
「!だが無事に帰ってくる!必ずだ!!!」
「…あい」
「泣かしゃるな。三成が困り顔よ」
「絶対、ですよ」
「嘘は言わん」
「はい」
「だからだ。そんな顔しないでくれ」
「うう」
「…刑部!」
「抱き締めてやる程度の甲斐性を見せしゃれ」

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「老い先短い我のためにも無理か?」
「う、ですが…この様な高価なもの。日に焼けた私には」
「地が白い故安心しりゃれ。」
「大体どこから」
「衝動買いよ」
「大谷様」
「残す相手もおらぬでな。誠困ったこまった」
「…一度だけですよ」
「!」
「そのあとは着ませんから」
「それは良かった。よかった。やれこれが良い。着りゃれ。今日は城下に参ろうな」
「私、仕事」
「機嫌の悪い三成の相手は骨が折れる。甘味でも買って紛らわそうぞ」
「う。はい」





目の前の着物を見てため息をつく。若い娘の好む色ではないのがせめてもの情けなのだろう。体を洗って着替えると思わずため息を付いてしまった。石田様は先日から政務で佐和山というところに行っているらしい。三成様の居城があると半兵衛様から教えていただいた。此処からそう遠くないそこはどの様なところだろう。多分私の心を知っているのは大谷様のお優しさと悪戯心だろう。




「大谷様」
「ん?ああ。用意が済んだか?」
「はい。」
「似合っておる。では行こう」
「お荷物お持ちいたします」
「構わぬ構わぬ」
「ですが…」
「今日は我と逢いびきよ」
「は?」
「というより太閤に頼まれた」
「伯父上にですか?」
「急な来客で客間に通す折、主の姿では逆に浮くのでな。目立たぬ様にしてくれと」
「…なぜか体良く良い着物を着ろと言われている様な」
「本来喜ぶとこよの」
「大谷様にご迷惑をお掛けしてまで」
「なぁに。好かぬならせんよ。我とて好き嫌いはしっかりしておる。」
「…」
「但し、覚悟しりゃれ」
「は、はぁ」





そう言って城下を歩く。初めての城下は嫌なほど静かでよそよそしい。ばたりと閉まる音口さがない言葉。こんなに冷たい場所なのだろうかと思っていれば表情がないよのと言われる。




「ええ、ですが」
「気にしりゃるないつもの事よ」
「いつもの?」
「これも我の不幸…ん?」
「…」
「やれ可愛い顔が勿体無い。その様に脹れるものではない」
「もう帰りましょう。こんな情のない場所で買い物なんて」
「ひひひ。此処が特にひどいだけよ。にしても」
「?」
「ぬしは怒られるか?また、何故」
「私は私の大切にしなければならない人にひどい仕打ちをされて笑うほどひどい人間ではないと思っていますが?」
「ぬ?」
「三成様、大谷様。お婆様が居なくなって途方にくれる私に誰よりも優しくしてくださった方です。」
「我はしておらぬよ。すべて三成のおかげよ」
「三成様から聞き及んでいます。わたしを看病するため、三成様が動ける様に差配をしてくれたり、時折置いてくださる甘味も。三成様とは違う形としても貴方様からのご恩は感謝しても無下にするものではないと思っているのです…ああ、大谷様」
「ん?怎?」
「石を投げてやっても良いでしょうか。もう!腹立つ!!!」
「意外と御転婆よな。この辺り昔、辻斬りが多発してなぁ。我が治癒の妙薬を作るために殺しておると言われたのよ。」
「辻斬りをですか?…大谷様なれば刀でなくそのふわふわした球体で捻り潰しましょう。熊の肝ではないのですから…」
「いや、強ちなぁ」
「ご入用なら私を召し上がってくださいませ」
「…これ、外聞の悪い」
「私一人なら変な噂も流れませんし。大体戦さ場に立たれる方が屍に困るとは思えません。少し考えればわかるものでしょうに」
「意外と毒舌よな」
「いえ、申し訳ありません。無償腹が立って!」
「ひひひ。我は故にぬしを虐げられず愛でたいのかもしれぬなぁ」
「?」
「ぬしは三成に必要な子と言われたらしいが我もそうよ。」
「お、大谷様がですか?」
「ん?不思議であるまい。この病を得たものの定めよ。そこ折三成に隠居を申し出たら許可が貰えなかった。見捨てる気かとなぁ。見捨てるも何も厭うとこよなと言い含めたものの理解が得られず。まぁそれはそういうものかと諦めた。が、我の中に一つの概観が生まれた。この者の禍は我が払い咎は我受けると。」
「そうでしたか」
「ひひひ。ぬしにもある」
「?」
「我と同じよなと。不必要と言われるのは思いの外答える。初めて会った折の悲しい目は我は忘れられぬ。もうその様な目をせぬで良い様に差配をしよう。」
「恐れ多いことです!そんな、私の様なものに」
「我を厭わず。剰え必要とするものへの手向けよ。さてついた」
「…」
「この歳になって癖の強い弟と愛らしい妹ができたのはありがたい話よな」
「此処は?」
「この世で二番目に我を大切とした女子がいる。…馬鹿故うつらぬようにな」
「刑部さん!人の店先で私を蔑まないでください。」
「わっ」
「ひひひ。久しいなあ。息災か?」
「もう!元気なのは良いですが難読問題のような文止めてって!あ、初めまして。これの妻の砂羽衣です。」
「ご、ご結婚さていたのですか?!」
「これの戯言よ。砂羽衣。」
「あだー!それでこつかないで!」
「馬鹿故平気よ。」
「もう!さあさ。お入りください。頼まれたのは用意してます」
「ん。」






そう言って入ると夥しい着物と小物。小間物まで。ひひひと笑う大谷様は出どこのほとんどは賢人と太閤よと言って笑う。それはそれで恐ろしい。何より、貰わぬと大変な事よなという台詞と本当に女気のない城ねと嘆く砂羽衣様の無言の受け取れが何よりも恐ろしい。
来客時にあの格好は駄目というのにも一理あるからますますもって困っているとお店の番頭さんが来客を告げる。




「刑部!この馬鹿女の店に何故呼んだ!」
「もう!治部様。馬鹿とはなんですか!今まで服支度をして差し上げたご恩をお忘れかしら」
「何を惚けたことを言う。貴様の雑で縫い目の乱れた着物に価値があるか。ちいの作ったものを見てみろ。これほど見事に作っても何も言わぬ謙虚さを見習え!」
「あら、まぁ。お熱いことで。さすが懸想相手にはお優しい」
「やれ、砂羽衣」
「当たり前のことをいう…来客が居たのか?」
「困ったこまった」
「?」
「その恩もない私が見立てたのですよ!さぁいかがです!」
「…ち、い?」
「あ、の。三成様。お帰りなさいませ」
「…」
「落ち着きゃれ。」
「この馬鹿女。頭を垂れろ!その首切り落として!」
「きゃー!怖い怖い。ちい様助けて」
「わっ!」
「貴様!ちいから離れろ!」
「離れたら死んでしまうから嫌ですわ」
「刑部!」
「やれどちらもどちらよ。ちい殿が困っている。」
「っ」
「誠愛い話よな。」
「…」
「あ、の?」
「い、いや。なんでもない」
「お、お刀を収めくださいませ」
「ああ。」
「助かったー。」
「ぬしも悪戯が過ぎる。ちと、灸をすえるか。三成」
「何だ!」
「我は今宵此処で泊まる故。ちい殿と先に帰られよ。」
「わかった」
「ちい殿。衣装は後で送るゆえ。ああ。甘味どころはつれていってもらわしゃれ」
「はぁ」
「参ろう」
「はい」






「初々しい!」
「悪戯が過ぎる」
「だって」
「まぁいい」
「んっふー。吉継さん」
「はぁ。ぬしももの好きよなあ」














「…」
「…」
「ちい」
「はい」
「変わりなかったか?」
「今の今までは。」
「そうか。その衣装は」
「伯父上からの命です。凄く恥ずかしくて」
「そうか?似合っている」
「っ」
「ちい?」
「あの、ありがとうございます」
「いや、それと」
「?」
「馬鹿女とえの話だ。」
「砂羽衣様?」
「本当の事だ」
「!」
「私はお前に懸想しているが、無理な見返りは求めていないし欲しくない。」
「は、い」
「だからきにし…ちい?」
「少しだけ、ていいですから。袖をもたせて下さい」
「そんなに少しでいいのか?」
「今の私にはいっぱいいっぱいです」
「くくく。初だな。まぁいい。離すな」
「はい」

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