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変換なしの雑食夢

ran

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04

「姫様」
「ああ、刑部に治部か。如何した。」
「少し良いか?」
「すまんな。此れから行かねばならぬところがあってな。…急ぎか?」
「…いえ」
「刑部は?」
「後でよい。アトデ」
「ん、なら済まぬが日を改めて欲しい。」
「はっ」





そう言って私は侍女に厩の支度を尋ねる。
此処最近、2人してやってくる事が多い。余り治部にいらぬ気をかけるなと刑部に申したものの改善される気はないらしい。刑部らしい。私の寵愛がなくともお二人に寵愛されているのだから大丈夫だろと笑うと曖昧に笑うだけなのだ。刑部らしくない
城下は思った以上に活気がある。反物屋によって妹に幾つか見繕う。もう程なくして婚儀だ。公の贈り物は買い揃えたものの私的にも幾つか揃えたい。反物、紅。後はと思案して櫛を取る。可愛らしい彼女に似合うだろう。私はこのような物をつけた事ないからよくわからんがと店主に告げると苦笑される。
美しい物。雅やかな物ではなく、唯女である楽しみを捨てて私の今日がある。後悔はしていない、が。寂しくはあるなと思う。店主に一通り見繕ってもらい城へ持ってきて欲しいと願い出て、みせをあとにする。


「ん?」
「姫様如何ですか?」
「菓子か…侍女に買って帰るかな。そこにある物を全て包んでくれ。」
「はい」




今日はこの辺りかと空を見て町を後にする。此の儘帰ったら丁度お八つ時だなと思案して見えてきた門前を凝視すると見覚えのある顔が並んでいて吃驚する。



「刑部に治部?」
「おかえりなさいませ。」
「無事で、上々よ」
「いつから門兵に鞍替えした?ああ治部よ。口取りせずともよい。」
「ですが」
「おさえ。おるか」
「はい、姫様」
「侍女頭のさえだ。おさえ。これを皆で分けなさい。」
「はい」
「いい子だ。刑部、すまぬが避けてくれ」
「あいわかった」


馬上から降りるとひひひと笑う刑部に贈り物を買ってきたと笑うと苦笑した。妹離れ出来ていないのをこの男はよく知っている。



「それだけの為に蔵を立たねばなるまいなあ。」
「それはそれで。ふふふ。息災にしているか?」
「ひひひ」
「なら結構」
「姫様」
「治部が結婚する際も用意してやろうな」
「!!!」
「不服か?」
「い、え」
「三成。」
「わかっている。」
「?」
「これを、と。思いまして」
「???」


飾りという音ともに治部が何かを取り出す。開けてみると蒔絵ののった美しい櫛があって、目を見開き苦笑する。
ふふふと笑って油紙を巻きなおし、治部のてにもどしてやる。



「ひ、め?」
「治部よ。そこまでせぬとも良い。」
「は?」
「こういう物は好いた女子に渡せ。」
「…」
「私は怒ってもおらぬし。安心しろ。」
「姫」
「刑部も刑部だ。治部を困らすな」
「いえ、私は」
「眉間のしわが酷いぞ。ふふふ。治部よ。無理をせぬよう」
「姫」
「大体、私のような物にこれは眩しすぎる。」
「そのような!」
「うふふ。治部にはこれは
「これが似合う者を探そうぞ」




からんころん







「…」
「…」
「如何した刑部」
「何故」
「受け取るいわれが無かろうに。何より私があの様な」
「似合いよるが…好みに合わぬのか?」
「私に合わぬのだよ」
「?」
「女性的に着飾ることなどないからな」
「…そう言えば」
「我が軍師殿も女心は苦手と見える」
「ぬ…」
「後、治部を唆すでないよ。あれは素直すぎて」
「わかっておるよ」
「…生きにくいのう」
「そちでもか?」
「ああ」

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