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変換なしの雑食夢

ran

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七色

「姫様!」



と叫ばれるので目をまん丸にして声の主を見る。銀色の髪が少し揺れていた。いや、それ以上に良く此処が解ったなぁとぼんやり見ていると汗を拭いながら此方にやって来るので私はそっぽを向く。此処は兄様も半兵衛も知ら無い場所のはず。そう思っていたら以前に聞きましたからと言って横に座られる。



「言いましたか?」
「療養していた折に」
「そんな昔の話を憶えていらっしゃったの?」
「ええ。波頭と此処とあとは小等学校の兎小屋の後ろ。流石に兎小屋は無いと思っておりましたから…」
「そうですか」
「姫様」
「頰っぺた」
「は?」
「ごめんなさい」
「いえっ!そんな。私の方が…姫様に謝らなければ」
「!」
「…忘れて御いでだったのですね」
「単純に見つかるとは思わなくて。あの、ですね。忘れたわけでは」
「くくく」
「わ、笑いましたね!」
「いえ。すいません」
「ゆ、許しませんから」
「…くくく」
「まだ笑う!」
「本当に」
「…なんですか」
「昔から貴方は」
「どうせ」
「私にとって女神の様な方だ」
「…昔の私がですよね。」
「覚えていないのですね」
「生まれた時の記憶もありません」
「其れはそうですね」
「石田様は?」
「初陣を飾って。当主になった日の晩に。夢に立たれて知りました」
「そうですか」
「記憶が視覚と感情で流れてくるのです。いかに貴方を愛し、嫌われている苦悩と讒言を恥じていたかを」
「…昔の私はどの様な性格でしたか?」
「…昔の姫様は物静かで。若幸舞の名手でした。博学で、美しく。儚い方の様に見えました。」
「何だか凄い人だったのですね」
「あまり自分の事を言う方でもなくて。慈愛に満ちた…あの方が死ぬその瞬間でも怒りの言葉や罵り、悪言などと言ったものを私は聞いたことが有りませんでした。今の私には最後までご心中がわからない方。いや、昔の私ですらわからなかったのでしょう。気付かぬうちに私を立て尽くしてくださいましたから」
「…殿方はそういう方が良いのですね」
「いいえ」
「ですが…私に」
「私はこういう性格なのでものをはっきり言う方が…昔の私とは趣味は違います。良く、こう言う人を愛したものだと。今の私はそうおもいますが…何分感情が押し流されてくるので真実私の感情が否かの境界が…」
「…じゃあ」
「顔や雰囲気がそっくりなんです。まるで、貴方がいる様で…またああ泣かせたく無いとか。傷つけたく無いと。」
「石田様」
「亡くなる時昔の私の腕の中でお亡くなり遊ばれて…あれは悪夢以外の何物でもない。貴方にそっくりな分生きた心地がしない」
「…」
「私は貴方の言葉に救われる。私は私だ。あの様な方を愛するのは昔の私であって今の私ではない。今の私は間違いなく貴方を選ぶ」
「っ」
「此方を向いてください」
「嫌です」
「姫様」
「許しません」
「…泣かしてしまいました」
「…泣いてません」
「意外と強情ですね」
「五月蝿いです」
「やはり可愛い」
「う…」
「姫様。どうぞ私の妻になって下さい」
「浮気したら」
「しません」
「もししたら泣いて逃げてやる」
「逃がしません」
「無理に捕まえたら話しません」
「では捕まえません」
「…捕まえて欲しいかもしれません」
「では…抱きしめます」
「!」
「…」
「それは…」
「姫様?」
「良い案ですね」
「っ」
「わっ?!苦しっ」
「絶対浮気などいたしません。貴方を守ります」
「言いたいことがあったら私も言いますから。あなたも言って下さい」
「はい!」







虹色







「好きだ」
「は?」
「言いたいことです」
「…もっともっと言ってください」
「好きです。大好きです」
「ふふふ」

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透明

「ご婚約おめでとうございます」
「おめでとう。」
「ありがとう!鶴ちゃんにさやかちゃん」
「ようやくお前も人妻か」
「ふふふ。本当に」
「相手は?!石田少将と聞きましたよ!」
「ええ。」
「大丈夫か?」
「?」
「とぉーても怖い人なのですよ」
「そう、なの?」
「残虐無慈悲だからな。ただ、烏等曰くお前以外は例外らしいな。」
「んー…」
「如何したんです?!やっぱり」
「え?!違う違う。すごく優しい方だよ。なんて言うのだろう…凄くまっすぐな人で。真っ直ぐすぎて大変なのだと思うの。ただ、ね。」
「ん?」
「時々私に投影して誰かを見てる気がする。本当にふとした瞬間なんだけど」
「なんですか其れ?!浮気!!?」
「では無いんだけどね。浮気したらわかる気がするけど」
「まぁあいつだからな。ただ、」
「如何したのさやかちゃん」
「また抜け出してきただろう」
「え?」
「許嫁が登場だ」
「あら」







振り返るといつもと違って恐ろしい石田様と草臥れている刑部様がいる。私はひらひらと手を振ると呑気だなと言われるので如何いうことかしらとさやかちゃんを見る。何故か鶴ちゃんとは舌戦を繰り広げているし。刑部様曰く犬猿の仲だという事。この浮気者とかDV男とか…鶴ちゃん。少し違う。黙れ小娘とか姫様を誑かしよってとか…石田様。落ち着いてとオロオロしているとやれ姫が困っているぞと合いの手が入る。ただ、凄く怖いけど




「姫様!誰にも告げず外出は控えて下さい!」
「一応半兵衛には言っていたのですが」
「…供をつけて下さい!」
「学友と会うだけですし」
「この!小娘が」
「煩いですよ!」
「鶴ちゃんも落ち着いて」
「結婚前から束縛する男なんて嫌われます!」
「心配して何が悪い!」
「姫ちゃんが困ってます!」
「貴様がギャンギャン吠えるからだろう!私の姫様を煩わせるな!」
「何が私の姫様ですか!」
「つ、鶴ちゃん!」
「姫ちゃんに誰かの影見ているくせに!!!」
「っ?!」
「やれ、小娘。言葉が過ぎる」
「石田。気にしないでくれ。鶴も言い過ぎだ」
「…石田様」
「っ?!」
「きゃ」
「ひ、姫ちゃん?!何をするんですか!」
「も、申し訳ありません。姫様、お怪我は」
「無い、ですが。」
「っ」
「姫、泣くな」
「ごめんなさい。気にしないで」
「ごごめんなさい!姫ちゃん」
「鶴ちゃんのせいじゃ無いよ」
「私は」
「良いんですよ。名家の殿方に愛妾がいるのなんて」
「居ません!」
「隠さなくても…」
「私は」
「やれ、三成!」
「私は貴方の影にもう一人の貴方を見てしまうのです」
「…は?」
「三成、止めしゃれ」
「いや、言う。愛妾などは居ない。ずっと私の心には貴方だけだ。ただ、私の中には貴方が二人いるのです。眼前にある貴方と、」
「…」
「私のせいで自害された昔の貴方が」
「昔の、私?」
「お忘れですか?」
「…」
「ですので」
「貴方が」
「姫様?」
「貴方が優しいのも、私を貰いたいと急に仰ったのも。何もかも過去の懺悔ですか?」
「ひ、め?」



乾いた音がする。手が痛い。人をたたいた事など無いからこんなに痛いものだとは知らなかったけれども今は掌以上に心が痛い。




この人が私を好きだというのも何もかも偽りに見えてしまったのだから






「酷い男」
「っ」
「懺悔で今生の愛を御説きになったの?」
「違い」
「見縊らないで」
「…」
「昔の私が居たのであれば其れは昔の話よ。私では無い。いくら姿形が似ていたとしても私はわたししかいないのですから」
「あ…」
「婚約は破棄しましょう。」
「姫様!」
「舞い上がっていた私が馬鹿みたい!」
「…お待ちください」
「石田様の…馬鹿」







そう言って私は走り出す。行く当ても無いのに。ただがむしゃらに。








透明






「やれ、行ってしもうた。」
「放心していたが早かったな。鶴」
「ごめんなさい」
「ほんに。ぬしの占いとかいう言には乗ったがこれで良かったのか」
「姫と石田の行く末はな。にしても」
「ん?」
「嫌いと言えない姫が可愛いな」
「…馬鹿正直が二人よ。」

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抹茶色

「石田様」
「…」
「まだ熱がありますよね」
「です、が」
「ベットに戻ってくださいませ。そう何度も脱走なさいますと私も休息が取れません」
「?!」
「一度脱走為さって振り返したのをお忘れですか?」
「ですが、執務や訓練が」
「執務は刑部様訓練は島様が行ってくださります。貴方様はゆっくりとお休みくださいませ」
「…」
「粥を作りに参りますから。寝ててくださいね」
「姫様」
「居なくなりましたら…泣きますよ」
「居ます、ので。お気をつけて下さい」
「はい」





にこやかに部屋を出て給餌部屋に向かう。此処に来て早5日。漸く場所を把握出来てきた。侍者の方に粥くらい我々で作りますと言われるもののやんわりと断っていると見慣れた顔が出てくる。強面の顔と明るい髪の色。片倉様と佐助様。手には各々食材を持ってきてくださったらしい




「御機嫌よう、片倉様、佐助様」
「これ、使って」
「わぁ美味しそうなお味噌。お肉にお魚も!」
「俺は今とってきたばかりだ」
「片倉様の所のお野菜は美味しゅうございますから。本当にお二人とも。ありがとうございます」
「いや〜姫さんにも石田の旦那にも世話になってるからね」
「?」
「この間のうちのとこ来てくれたでしょ?あれから食材やら衣料品やら色々融通してくれてさ。いろんなところもそう見たい。隊風紀も確りしてくれたし」
「そうだったのですね」
「まぁ姫さんにはばれないようにしてたから。手助けしたかったんだよ?!あの人が」
「本当に優しい方なのです」
「んー賛同しづらいけど」
「うちもだ。舞踏会で迷惑をかけたからな…」
「片倉様。もうお気になさらず。ですが」
「あん?」
「野菜はすごく嬉しいです」
「…あんたも確り食べな。あれの看病は大変だろうからな。逃げ出すやつを捕まえんのは意外と草臥れる」
「ふふふ。伊達様の脱走癖は有名ですから」
「本当になぁ…」
「私の場合刑部様が秘策をお教えくださいましたので」
「秘策?」
「泣くと言えと。取り敢えずそれで言うことを聞いている間に治してしまおうとおっしゃっておいでで」
「いや、すっごいわかるその気持ち!」
「ああ」
「…皆様も苦労されているのですね。っと出来ました」
「相変わらず旨そうだね」
「良かったら箸休めに。料理のお上手なお二人にお渡しするのは気が引けますが」
「いんや(旦那が)すっげぇ喜ぶから!」
「(政宗様が)いつも美味いと食べている」
「良かったです」





そう言って私は一礼する。此処の方は皆個性的なものの優しい方が多い





「石田様」
「…」
「島様」
「すいませんでした!」
「刑部様に言いますよ」
「?!其れだけは勘弁して下さい!!!」
「石田様も…致し方ないとわかっておりますが。ご自重ください」
「は、い」
「食事です。島様も」
「え?!良いですか!」
「…」
「ひっ?!」
「石田様」
「ぐ…わかりました。ですが姫様のは?」
「頂き物がありましたのでたくさん作りすぎましたから。」
「…」
「さあいただきましょう」
「(三成様が黙って食べてる?!あの食べない三成様が!!!)」
「美味しい、です」
「ふふふ。お茶を淹れますね」
「はい」







抹茶色






「目茶苦茶美味かったっす!」
「当たり前だ。姫様お手製だ。」
「島様。もし宜しければお腹が減りました時に食べてください!」
「マジっすか!」
「馬路?」
「左近!」
「あわわわ」
「石田様。お薬」
「ぐ…」
「石田様?」
「さ、逃げたか!」
「???」
「姫様。お心配りありがとう存じます」
「はい」
「ですが…姫様?」
「は、い?」
「目が開いていらっしゃらない。」
「ん…」
「椅子に座ったままでは危ないです」
「やれ、三成。はい…如何した」
「姫様が」
「電池が切れたのであろう。ぬしが二度もひっくり返る故」
「ご心配をかけてしまった」
「何はともあれこのままは不味かろう。…ぬしの隣に寝させるか?」
「は?!」
「冗談よ。ひひひ」
「刑部」
「彼方に姫の寝具を置いてあるのでな。姫は看病の折付きっきりだったがな」
「?!!?」
「手を出すでないぞ」
「当たり前だ!」

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鳩羽色

『随分と勝手な話ですね。私を捨てて三の姉様と添おうとした男が何を言うのです。守るも唯一もと散々仰った讒言を今生で償うおつもりかしら?』


違うのです。まだ記憶を思い出していない折より私はあの姫様に恐れ多くも懸想していたのです



『前世でもそうおっしゃた貴方は私を裏切ったのよ。己で己の首を掻っ切るまで追い込んだ貴方の言うことをどうやって聞けばいいの?』


しかし、私は貴方を捨てる気など…


『子を成せぬ体にした上。あの離縁状。女としての幸せを奪い母として妻としての喜びを奪った貴方が捨てる気がなかったというのですか』


!?



『浅ましい男!今生においても私を苦しめる忌々しい男!!!さぁ私と同じ苦しみを味わうがいい』



姫、様



『恨み申し上げます』










恨めしそうに姫様が此方を見てたじろぐと目が覚める。…ここは内府の執務室か?息、が苦しい。背筋に冷たい何かが走る。夢、なのだろうか?にしては生々しい。不意に暦を見ると彼岸が近い。成る程。冥府よりお戻り遊ばれたのやもしれん




「やれ、ぬしが転寝とは珍しい…が。如何した?」
「…刑部」
「顔真っ青っすよ!どうしちゃったんですか?」
「左近…?」
「取り敢えず横になりましょう。俺、水を持ってきます」
「三成?」
「姫、様が」
「姫様?…生きてる方ではあるまいに」
「ああ。あの時、首を搔っ切られたそのお姿のまま私の前に現れなさった」
「それは夢よ」
「にしてはあまりにも生々しい」
「…三成」
「己が罪を隠して、あの方と添おうとすること。浅ましくも幸せになろうとしていること自体烏滸がましいのやもしれん」
「と言って姫を」
「ああ。今、別れを告げれば姫様を深く傷つけてしまう。姫様との誓約をまた、果たせぬのは…」
「ひどい熱だ。左近!水より医者を呼べ!」
「手を離す事の出来ない私をお許しください」





鳩羽色






女学校から内府までは些か時間がかかる。制服のまま闊歩するものだから仇目立ちしてしまうしと思う前に体が動く。
三成様が高熱でお倒れ遊ばした。其の報を聞いた瞬間全身の血が凍ってしまったのかと思う程に体が動かなかった





「刑部様」
「やれ姫。有難い」
「三成様は?」
「熱が高くてな水もろくにとれん」
「松」
「着替えは此処に」
「私が側で看病いたしてもよろしいでしょうか?」
「太閤と賢人は?」
「…」
「我が今から行ってくるゆえ。少しまたしゃれ」
「…ですが」
「姫に何かあればそれこそ三成が傷つく。」
「は、い」




そう言って通された部屋は三成様の執務室で奥からは少しだけ唸り声が聞こえる。苦しいのだろう。そばに行きたい。何が出来ずとも。側に




「松」
「止めても無駄みたいですね…私も同室致しますゆえ。ともに怒られましょう」




入りますよと言って入ると簡素な部屋で少しだけ寒い。侍者に火鉢か何か持ってきてくださいとお願いして私は石田様の側に寄る。顔が赤いのに手が冷たい。まだ熱が高くなってしまうかもしれない。
手拭いを濡らして額に置くときつく瞑られた瞳が薄っすらと開く




「姫、さま?」
「申し訳ございません。居ても立っても居られず…お叱りは後で」
「申し訳ございません…」
「え?」
「申し訳、」
「石田様」
「浅ましい私を断罪する許可を」
「?」
「熱で錯乱し始めているみたいです」
「石田様」
「お許しを」
「…」
「姫、さま」
「許します」
「!」
「たとえ貴方が恐ろしい人だと言われようとも。ひとでなしと言われる所業や人の に後ろ指を指されるようなことを行ってしまったとしても…全て私が許します」
「あ…」
「もし貴方に何か言うものがあれば私がやっつけて差し上げます。貴方を傷つけるものがあるのなら私が蹴散らして差し上げます。悩み苦しむことあれば共に悩みます。貴方を生涯支えるのは私の使命です」
「姫様?」
「すべて私が許します。だから」
「…」
「そんなに一人で抱え込まないでください」
「っ」
「まだ違いますが。私は貴方様の妻ではありませぬか」



そう言って頬を撫でて手を繋ぐ。まだ意識は朦朧としているようで宙を何度か見て、再び目を閉じられる。ただ、健やかな寝顔に変わって一安心をする。



「姫様」
「何ですか?」
「本当に石田様が好きですね」
「当たり前です。」
「そうですか」
「姫!」
「あら、半兵衛」
「君ね!」
「お静かに。今落ち着かれたところですから」
「え?」
「本に顔色が」
「半兵衛。今日此処に詰めてもいいかしら?」
「本当に君たちは」
「何方かに今から書くものを調達してきてもらってください」
「あいわかった」
「まぁ君も無理しないように(無理だろうけど)秀吉には僕から言っておくよ」
「お願いします」

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林檎色

「姫」
「ご機嫌麗しゅう。三姉様」
「あはは。可愛いなぁ。姫は」
「姉様こそ美しく有られます」
「ふふふ。ありがとう。あ、そうそう。これ!」
「?」
「万年筆だよ。君にお土産」
「まぁ。私にですか?」
「うん。君に」
「嬉しい…」
「君の其顔を見れたら疲れが取れるよ」
「あ、姉様」
「ん?」
「御遠征ご苦労様です」
「治部も帰ってくると思うよ。聞いたよ!婚約したんだって」
「嫁の貰い手のない私に慈悲をかけてくれただけです。いつまで保ちましょうか」
「ふふふ。君は知らないだろうけどね。あの男はそれはそれは恐い男なんだよ。慈悲慈愛なんて持ち合わせてないもの。あ、君と刑部は例外だけどね。」
「ならいいのですが」
「まだ不安?」
「いえ、姉様みたいに美しい上お強い方の方がお似合いだと…」
「姫」
「ごめんなさい。姉様。私」
「良いんだよ。姫はね、そのままで。もし男なら絶対姫をお嫁さんにしたいもの!私はね、姫。姫が笑って楽しそうにしてくれるのが幸せなのだよ。」
「姉様…」
「ほらハグしてあげる。おいで」
「ありがとう姉様…ん?」
「何だ許嫁のお帰りか」
「貴様…賤しくも姫様を誑かすとは」
「ははは!君が姫を不安にさせるからいけないんだよ!」
「なっ。私は今生において姫様をお守りし慈しむことを誓い申し上げた。貴様が要らぬことを言うからだろう!」
「くくく。相も変わらず姫のこと大好きだね」
「当たり前だ!この方以外私の妻にしたい人などいないと先達てより言っているだろう!」
「…」
「背後から抱きついているのもそのせいかい?」
「っ?!」
「林檎が二つ。可愛いなぁ」
「もう往ね!」
「まぁあのクソ兄貴に呼ばれてたから行くか。じゃあね姫」
「ありがとうございます。姉様」
「貴様!何故姫様の頬に接吻をする!」
「帰国子女だからね。いつものことさ」
「っ!!!!」
「悔しかったらしてみなよ」









林檎色








「石田様」
「ひ、姫様。見苦しいところを見せまして」
「いいえ。ですが姉様とは仲がよろしいのですね」
「…あれとは幼馴染で。何かされませんでしたか!」
「いえ…あの。ご相談に乗っていただいて。その。励まして」
「?!」
「あのですね。私では石田様と釣り合いが…姉様のような方の方が」
「私は!貴方以外妻にもらう気はありませんでした。」
「え?」
「貴方は覚えておられないでしょうが…以前お会いしたことがあります。私が戦で下手を打って大怪我をして一度ここに」
「ああ!あの時の。包帯がぐるぐるでしたし。おしゃべりくださらなかったあの?」
「姫様は小等学校の。」
「はい」
「とても親切にしてくださいました。毎食やってきてくださり親切にお世話いただきました。何度お礼を申し上げようとも思いましたが…あのような失態を恥じ入りばかりでなかなか…申し訳ありませんでした」
「いえ。あの時は幼すぎて加減が…よくお邪魔して迷惑をお掛けしては皆に怒られていたので私の方こそ」
「いいえ。私にしては初めて見た女神でした」
「!」
「貴方に似合う武功を挙げて。貴方にふさわしい男になるまではと…しかし今がそうなのか。私にはわかりません。しかし」
「石田様?」
「貴方は本当によろしいのですか」
「え?!あの」
「無理をなさらないでください」
「無理、ではないのです。」
「姫様?」
「何故でしょうか。貴方が初めて…ではないのですが。此方にいらした折。貴方を見た折。…安心したのです」
「は?」
「すいません。うまく言えませんが」
「…姫様」
「はい」
「帰りました」
「!」
「必ず帰ってまいります」
「おかえりなさいませ」

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