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変換なしの雑食夢

ran

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透明

「ご婚約おめでとうございます」
「おめでとう。」
「ありがとう!鶴ちゃんにさやかちゃん」
「ようやくお前も人妻か」
「ふふふ。本当に」
「相手は?!石田少将と聞きましたよ!」
「ええ。」
「大丈夫か?」
「?」
「とぉーても怖い人なのですよ」
「そう、なの?」
「残虐無慈悲だからな。ただ、烏等曰くお前以外は例外らしいな。」
「んー…」
「如何したんです?!やっぱり」
「え?!違う違う。すごく優しい方だよ。なんて言うのだろう…凄くまっすぐな人で。真っ直ぐすぎて大変なのだと思うの。ただ、ね。」
「ん?」
「時々私に投影して誰かを見てる気がする。本当にふとした瞬間なんだけど」
「なんですか其れ?!浮気!!?」
「では無いんだけどね。浮気したらわかる気がするけど」
「まぁあいつだからな。ただ、」
「如何したのさやかちゃん」
「また抜け出してきただろう」
「え?」
「許嫁が登場だ」
「あら」







振り返るといつもと違って恐ろしい石田様と草臥れている刑部様がいる。私はひらひらと手を振ると呑気だなと言われるので如何いうことかしらとさやかちゃんを見る。何故か鶴ちゃんとは舌戦を繰り広げているし。刑部様曰く犬猿の仲だという事。この浮気者とかDV男とか…鶴ちゃん。少し違う。黙れ小娘とか姫様を誑かしよってとか…石田様。落ち着いてとオロオロしているとやれ姫が困っているぞと合いの手が入る。ただ、凄く怖いけど




「姫様!誰にも告げず外出は控えて下さい!」
「一応半兵衛には言っていたのですが」
「…供をつけて下さい!」
「学友と会うだけですし」
「この!小娘が」
「煩いですよ!」
「鶴ちゃんも落ち着いて」
「結婚前から束縛する男なんて嫌われます!」
「心配して何が悪い!」
「姫ちゃんが困ってます!」
「貴様がギャンギャン吠えるからだろう!私の姫様を煩わせるな!」
「何が私の姫様ですか!」
「つ、鶴ちゃん!」
「姫ちゃんに誰かの影見ているくせに!!!」
「っ?!」
「やれ、小娘。言葉が過ぎる」
「石田。気にしないでくれ。鶴も言い過ぎだ」
「…石田様」
「っ?!」
「きゃ」
「ひ、姫ちゃん?!何をするんですか!」
「も、申し訳ありません。姫様、お怪我は」
「無い、ですが。」
「っ」
「姫、泣くな」
「ごめんなさい。気にしないで」
「ごごめんなさい!姫ちゃん」
「鶴ちゃんのせいじゃ無いよ」
「私は」
「良いんですよ。名家の殿方に愛妾がいるのなんて」
「居ません!」
「隠さなくても…」
「私は」
「やれ、三成!」
「私は貴方の影にもう一人の貴方を見てしまうのです」
「…は?」
「三成、止めしゃれ」
「いや、言う。愛妾などは居ない。ずっと私の心には貴方だけだ。ただ、私の中には貴方が二人いるのです。眼前にある貴方と、」
「…」
「私のせいで自害された昔の貴方が」
「昔の、私?」
「お忘れですか?」
「…」
「ですので」
「貴方が」
「姫様?」
「貴方が優しいのも、私を貰いたいと急に仰ったのも。何もかも過去の懺悔ですか?」
「ひ、め?」



乾いた音がする。手が痛い。人をたたいた事など無いからこんなに痛いものだとは知らなかったけれども今は掌以上に心が痛い。




この人が私を好きだというのも何もかも偽りに見えてしまったのだから






「酷い男」
「っ」
「懺悔で今生の愛を御説きになったの?」
「違い」
「見縊らないで」
「…」
「昔の私が居たのであれば其れは昔の話よ。私では無い。いくら姿形が似ていたとしても私はわたししかいないのですから」
「あ…」
「婚約は破棄しましょう。」
「姫様!」
「舞い上がっていた私が馬鹿みたい!」
「…お待ちください」
「石田様の…馬鹿」







そう言って私は走り出す。行く当ても無いのに。ただがむしゃらに。








透明






「やれ、行ってしもうた。」
「放心していたが早かったな。鶴」
「ごめんなさい」
「ほんに。ぬしの占いとかいう言には乗ったがこれで良かったのか」
「姫と石田の行く末はな。にしても」
「ん?」
「嫌いと言えない姫が可愛いな」
「…馬鹿正直が二人よ。」

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