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変換なしの雑食夢

ran

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言えない三成 6

「やれ」
「あ、大谷様」
「三成から聞いた」
「…な、何をですか?」
「嫁の話よ」
「う…」
「ぬしは三成が嫌いか?」
「い、いいえ!滅相もない」
「なれば…何をそんなに気にしておる?」
「それは…その」
「嫁入り道具も何もかも。気にしなくていい。すべて我が用意する故」
「…大谷様は」
「ん?」
「私のようなものが三成様の妻になっても宜しいのですか?」
「三成が人に興味を持つこと自体稀よ。それが女子で、ぬしなれば。我は厭いはせぬ」
「私は…」
「本来なれば無理にでも事を運べるが三成が厭うてな。ぬしの心に沿ってやりたいという。やれさて。我はこの世の奇跡を見ておるようよ」
「…大谷様」
「ん?」
「三成様は姫様がお嫌いですよね」
「ああ」
「それが問題なのです」
「ぬしの雇用者は賢人と聞いている」
「…」
「?」
「お耳を」
「ん?」
「どうせどこかで石田様が見ていらっしゃるのでしょう?」
「ばれておったか?」









その日を境に三成様も大谷様もこの離れにやってくることはなかった。思った通りすぎるなぁと自嘲しつつ畑を耕し日々の暮らしを整える。いつ、この部屋のぬしが帰ってきて良いように







言えない三成 6










「姫」
「あら、兄様」
「思ったより憔悴したな」
「思ったより心地よかったのです」
「半兵衛に聞いた」
「あの人が元凶よ」
「知っている。」
「そう…ならいい」
「無理にでも」
「うんん。石田様はそれをしなかったの。私がしてはいけませんよ」
「そうか」
「兄様」
「ん?」
「石田様は?」
「佐和山に帰している」
「そうですか」
「姫」
「たたき、きってくれれば」
「泣くな」
「どれほど気が楽だったか」
「すまん」
「帰りたい」
「…」
「かえり、たい」

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言えない三成 5

「…」
(真剣)
「もう良いか?」
「え?!あの…もう少し」
「…もう少しだけだぞ」
「はい。」
「(近い)」
「採れた!」
「そうか」
「これで…石田様」
「何だ?」
「ちょっと止まってください…んー。この色も良いけど。こっちも捨てがたい」
「そうか」
「どちらが良いですか?」
「お前に任せる。私はこういうのに疎くてな」
「そうですか?んー…」
「(愛らしい)」






「刑部さん」
「何か?」
「おれ、今この世の奇跡を見てる気がします」
「奇遇よなぁ。我もよ」






そんな会話があったなど露しれない私はこのありがたい平和の日々を享受している。着物のも後は整えれば終いだ。少し根を詰めすぎたかなぁと思っていれば石田様が帰って…いや、休憩しに来たらしい。




「ご苦労様です」
「…」
「?」
「もう…出来たのか?」
「もう少しです」
「…そうか」
「今日は畑も雨で行けませんし。…石田様」
「ん?」
「濡れていますよ」
「あ、ああ」
「温かいお茶淹れてきますね」
「すまん」
「風邪を引いてはいけませんから」
「…」
「石田様?」
「お前は」
「はい」
「誰か…想うものはいないのか?」
「はぁ…」
「その、だ。役目といえ、私と、一つ屋根の下で…そのだ。寝食を」
「石田様!」
「っ?!」
「奥方様が嫌がっておいでなのですか?!」
「…は?」
「それならそうと…私荷物まとめて」
「違う!」
「?」
「私には妻子などいない…がお前は」
「以前行った通りいませんよ」
「許嫁ではなく」
「想い人も。些か恐縮なのですが…私は今の生活がここに来て一番好きです」
「は?」
「変ですか?」
「お前は私が恐ろしくないのか?」
「え?」
「どうなんだ」
「全然。あー…でもその気になれば私なんか一太刀なんでしょう?それは怖いですけど」
「しない!」
「しないでくださいね。」
「当たり前だ!」
「私にとって石田様は…何ていうんだろう?怖いとか恐ろしいとかでは無くて日々の何気ない優しさであったり穏やかさであったり。心地よさ!そう、心地良いんですよ」
「…」
「石田様?」
「私は、皆から好かれようと思ったことはない」
「はぁ」
「秀吉様の一兵として生きて死ねればいいと。そう思ってきた」
「知ってますよ」
「…だが、その」
「?」
「お前には恐れられたくない」
「はぁ」
「…」
「怖くないですよ」
「ずっとか?」
「たぶん」
「多分?!」
「えー…だって石田様」
「だってではない」
「んー…そうか。うん」
「?」
「石田様が怖くなったら逃げますから。」
「は?」
「あ、今のままなら大丈夫ですよ」
「…」
「出来た!」
「?」
「単」
「ああ」
「後で着てみてくださ」
「私の妻になってほしい」
「いね…え?!」
「結婚してくれ」












言えない三成 5






「で、どうするの?」
「どうもこうも!大体貴方のせいで!!!」
「まぁ、ね…言おうか?」
「…いや自分でいう」
「ふーん」
「で斬殺される!お咎めなしにしてね」
「はいはい」

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言えない三成 4

「…」
「あ、お早う御座います」
「お早う…早いな」
「そうですか?お食事用意しますね」
「いや、私は」
「駄目ですよ。少しでいいですから食べてください」
「…お前が作ったのか?」
「ええ」
「…」
「石田様?」
「なら、食べる」
「はい!」





そう言って粥を少しよそう。朝からいっぱい食べさせて太らす前に朝ご飯食べる癖をつけさせたほうがいいだろう。今までの習い事よりこの人の衣食住を保つ方が難しいらしい。どんな生活をしてたんだかと半兵衛様に聞いたとに頭を過ぎったが…昨日1日でよくわかった。食べない。寝ない。仕事の鬼ではなく、兄の狂信者。大谷様に頼むよと言われれば致し方ないけれども。すごく大変だ。





「石田様?」
「旨い」
「粥なんて誰が作っても同じですよ」
「いや」
「?」
「旨い」
「ふふふ」
「私は嘘はつかん」
「知っております」
「ならば素直に聞け」
「はい」
「…」
「着物」
「ん?」
「仕立てましょうか?」
「いや、いい」
「そうですか」
「…」
「…」
「…おい」
「?」
「お前は食べないのか?」
「侍女ですから」
「私は気にしない」
「外聞悪いですよ」
「いい。膳をもってこい」
「わかりました。」
「それと」
「?」
「着物」
「あ、はい。反物が沢山残っていらっしゃいましたから。」
「お前が繕うのか?」
「え?」
「いや!忘れてくれ」
「そのつもりでしたけど…縫い子に頼みますよ。心配なのなら」
「違う!…そのだ」
「???」
「平素の服を頼む」
「縫い子に」
「いや」
「ん?」
「お前に頼みたい」
「でも」
「作らないのならいらん」
「(久し振りに暇になったからやることないし…)分かりました」
「!そうか!!!」
「後で時間が取れましたら反物を見繕いましょう」
「ああ」
「採寸は?」
「?」
「どの縫い子に」
「刑部に頼んでいた」
「?!」
「奴がどこぞに頼んでいたかは知らんが…」
「あ、そういうことか。ならばそれも時間があるときに採らせてくださいね」
「ああ」
「もう一椀如何ですか?」
「いや、いい。行ってくる」
「はい。」
「…その、だ。」
「はい?」
「…」
「石田様?」
「…いや、いい。行ってくる」








言えない三成 4







「…」
「寝ておるな」
「…ああ」
「縁側で丸まって寝るとは。まさに猫のような娘よの」
「何?!」
「卑猥に取るな。愛玩よ愛玩」
「どちらも同じだ!!!」
「ん?」
「やれ、起きたではないか」
「寝てました?…んー…寝てましたね」
「いや…」
「疲れておったのよ」
「お茶淹れますね」
「いい」
「石田様?」
「疲れていたのだろう。寝ていろ。私が淹れる」
「?!」
「そうよな。久し振りにぬしの茶が飲みたい」
「お、大谷様?!」
「良いのよ。」
「寝て待っていろ。いいな」
「…行っちゃいました」
「良い良い。主にしてやりたいのだろう。」
「はぁ」
「ぬしは三成が怖いか?」
「いえ」
「ほう」
「どちらかというと優しいですよ。」
「ひひひ」
「大谷様も、優しいです」
「左様か」
「何の話だ?」
「いやなに。ぬしが怖くない娘がおろうとはな」
「?!」
「怖くないですよ。いや、お強いのは知っていますが…あれ?良いのですか???褒めていますよ!」
「う…あ…」
「???」
「三成」
「飲め」
「ありがとうございます」
「刑部もだ」
「わかったわかった」
「美味しい…」
「そうか」
「石田様はすごいですね!」
「…」
「(赤顔の凶惶など…冗談にもならない話よ)」

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言えない三成 3

「やれ賢人。失礼する」
「ああ。吉継君。如何したんだい?」
「ちと聞きたいことがあってなぁ」
「ん?」
「春よ、春」
「春…?」
「奥の。畑の」
「ああ。苦情なら受け付けないよ」
「苦情ではない。あの女の身内を聞きたい」
「…如何、して?」
「ぜひ妻にというておるものがいる」
「は…え?あの子を、かい?」
「やれ歯切れの悪い。」
「身内…はね。居ないんだよ。ここに上がった後流行病で、ね」
「左様か…なれば益々」
「まさか君の?!」
「我がもりするのは三成だけで良い。」
「じゃあ」
「その三成よ」
「?!」
「元々農民の子なれば我の養女にすれば良かろう」
「いや、ね」
「何か問題でも?」
「あの三成君が…本気かい?」
「日々足繁く通っておるよ」
「え?!」









今日は草むしりをしてから水やりをしていると石田様が現れる。また来たか!という気持ち半分。慣れてきたの半分。あの人意外に良い人だ。





「おい」
「今日も来たんですか?」
「…ここが私の部屋になった。」
「…は?」
「今日。半兵衛様からの偈ちで。私の部屋に…おい、聞いているのか?」
「酷すぎる…ようやく芽吹いてきたのに!畑を壊さなくてはいけないなんて!」
「…ん?まて」
「?」
「このままでいけないのか?」
「は?」
「今と変わらん。私が持ってくる荷物が減るだけだ。…私室だから刑部と左近くらいしか来ない。不服か?」
「…いえ」
「なら此の儘でいい。荷物も持ってきた」
「…」
「如何した?」
「私室とおっしゃいましたよね」
「ああ」
「服と寝具は?」
「…」
「…」
「?!」
「…忘れていたのですね」
「いや、その」
「ふふふ」
「!!!」
「石田様らしい」
「す、すまない。左近!」
「はいはいっと!」
「寝具と着物が政務室にある。此方に持ってきてくれ」
「は〜い…あれ?三成様付きの侍女?」
「い、え」
「俺島ぶへら!!!!」
「貴様…誰の許可を得て」
「石田様!」
「…仕置きは後だ。すぐにもってこい」
「はい!…ってあれ?」
「!!!!!!!!!!!!!」
「野菜?ぶーーーーーー!!!!!!!」
「首を垂れろ。すぐに楽にしてやろう」
「たったすけ!」
「石田様」
「…不服か?」
「地獄見せてやってください」









「ほらなぁ」
「左近君助けなくていいの?」
「躾よ躾」
「まぁ…んー…。ここまでとはねぇ。試しに竃を構えて世話させてみる?」
「それは良かろう」
「まぁ。いいか。そのつもりだったし」










言えない三成 3







「というわけで、君。三成君付きの侍女ね」
「は?」
「は、半兵衛様?!」
「お誂え向きに次ノ間あるし。いいね」
「え…と」
「君は今までの仕事を免除して三成君を支えて。衣食住を整えれば後は好きにしていいよ」
「!」
「お待ちください。嫁入り前に」
「やります!」
「な」
「秀吉もいいって言っていたから。頼むよ」

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言えない三成 2

頭でっかちと言われる姫の私は、確かに頭でっかちなのだ。四角四面の回答を述べて竹中様の問いを逃れながらそう思う。御簾越しに見る石田様は本当に私(姫)が嫌いらしい。声を出せば憎悪の塊で見られる。竹中様には羨望の眼差しを向けていらっしゃるのに。




「すごい顔色だね」
「ははは」
「習い事を詰めすぎたかな。」
「ふぁー…。ああそうだ。野菜食べます?」
「ああ。戴くよ。で、三成君は気づいたのかい?」
「いいえ。授業で知ってるでしょ?」
「まぁ、ね。」
「如何してこうなったのかしら?覚えてる?」
「そりゃ僕のせいだからね。」
「は?」
「覚えてない?僕が君を婢女の一人として紹介したんだよ。」
「…また半兵衛のせいか!」
「まぁ。僕のせいだけどね。」
「もう、いいわ。」
「ふふふ。君も大変なのに好かれたものだね。」
「はぁ…」
「ああ。今から畑?」
「着替えてね」
「気付かれないようにね」
「如何して?」
「彼は裏切りや嘘を嫌うからね。バレたら斬殺されてしまうよ。」
「?!」
「良い?ばれないように」
「…着替えますから出て行って」
「はい。よく出来ました」





嫌な大人の代表だと思う。鍬を片手に田に行くと石田様がいて心の臓が止まるかと思った。嫌な時に現れると思いつつも、それもまたいつものことかと思って声をかける。今日は長く居座る気だ。夕飯時まで畑にいると言ったのを漏らさず聞いていたらしい。




「竹筒までお持ちですか?」
「ああ。菓子もだ。」
「お餅?」
「恐れ多くも秀吉様に賜ったのだ。二つあったのを…おのれ…家康!」
「食べられたのですね」
「仕置きはしたが…気に入らん!一つはお前にやろうと思っていたのだ」
「は?」
「?」
「で、怒っているのですか?」
「ん?」
「…」
「い、え」
「食え」
「駄目ですよ!石田様が頂いたものですから!」
「だからだ。…婢女の仕事は大変だと聞いている。少しはマシになるはずだ」
「…石田様も激務ではありませんか」
「私はいい」
「で、も…あ!」
「如何した?」
「半分こにしましょ」
「いや、だが。」
「石田様も元気な方が良いではありませんか。はい、あーん」
「っ?!」
「?」
「…ん」
「私も。」
「よこせ!口を開けろ」
「え?あーん…?」
「っ!」
「石田様?」
「いや、いい。」
「おいし〜!」
「そうか」
「ありがとうございます。石田様」











言えない三成 2







「やれ」
「あれ、大谷様。」
「ひひひ。ぬしの親族は何処にある?」
「わ、たしのですか?」
「左様左様」
「ちょっと…竹中様に聞いてください。私はいきなり連れてこられた身ですから。でも、なんで?」
「いやはや。気になさるな。にしても」
「?」
「顔色が良くない。寝ておるか?」
「ええ!」
「ぬしには息災であっていただかなくてはなぁ。」
「はぁ。」
「なんとも気の抜けた声よの」
「いえ…私より大谷様が元気で居てくれればいいなぁと」
「ひひひ。良い子良い子」

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