言えない三成 2 言えない三成 2016年04月11日 頭でっかちと言われる姫の私は、確かに頭でっかちなのだ。四角四面の回答を述べて竹中様の問いを逃れながらそう思う。御簾越しに見る石田様は本当に私(姫)が嫌いらしい。声を出せば憎悪の塊で見られる。竹中様には羨望の眼差しを向けていらっしゃるのに。「すごい顔色だね」「ははは」「習い事を詰めすぎたかな。」「ふぁー…。ああそうだ。野菜食べます?」「ああ。戴くよ。で、三成君は気づいたのかい?」「いいえ。授業で知ってるでしょ?」「まぁ、ね。」「如何してこうなったのかしら?覚えてる?」「そりゃ僕のせいだからね。」「は?」「覚えてない?僕が君を婢女の一人として紹介したんだよ。」「…また半兵衛のせいか!」「まぁ。僕のせいだけどね。」「もう、いいわ。」「ふふふ。君も大変なのに好かれたものだね。」「はぁ…」「ああ。今から畑?」「着替えてね」「気付かれないようにね」「如何して?」「彼は裏切りや嘘を嫌うからね。バレたら斬殺されてしまうよ。」「?!」「良い?ばれないように」「…着替えますから出て行って」「はい。よく出来ました」嫌な大人の代表だと思う。鍬を片手に田に行くと石田様がいて心の臓が止まるかと思った。嫌な時に現れると思いつつも、それもまたいつものことかと思って声をかける。今日は長く居座る気だ。夕飯時まで畑にいると言ったのを漏らさず聞いていたらしい。「竹筒までお持ちですか?」「ああ。菓子もだ。」「お餅?」「恐れ多くも秀吉様に賜ったのだ。二つあったのを…おのれ…家康!」「食べられたのですね」「仕置きはしたが…気に入らん!一つはお前にやろうと思っていたのだ」「は?」「?」「で、怒っているのですか?」「ん?」「…」「い、え」「食え」「駄目ですよ!石田様が頂いたものですから!」「だからだ。…婢女の仕事は大変だと聞いている。少しはマシになるはずだ」「…石田様も激務ではありませんか」「私はいい」「で、も…あ!」「如何した?」「半分こにしましょ」「いや、だが。」「石田様も元気な方が良いではありませんか。はい、あーん」「っ?!」「?」「…ん」「私も。」「よこせ!口を開けろ」「え?あーん…?」「っ!」「石田様?」「いや、いい。」「おいし〜!」「そうか」「ありがとうございます。石田様」言えない三成 2「やれ」「あれ、大谷様。」「ひひひ。ぬしの親族は何処にある?」「わ、たしのですか?」「左様左様」「ちょっと…竹中様に聞いてください。私はいきなり連れてこられた身ですから。でも、なんで?」「いやはや。気になさるな。にしても」「?」「顔色が良くない。寝ておるか?」「ええ!」「ぬしには息災であっていただかなくてはなぁ。」「はぁ。」「なんとも気の抜けた声よの」「いえ…私より大谷様が元気で居てくれればいいなぁと」「ひひひ。良い子良い子」 PR