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変換なしの雑食夢

ran

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海色

「…」
「寝ておるな」
「爆睡だな」
「寝ておりますね。…どけてください。いい加減腰が」
「泣いて求婚して其の儘助けを求め寝るとは。いやはや我とて考えつかぬ所業よ」
「しかも素面でだぜ?!」
「ひひひひっ」
「にしても寝ていなかったのでしょうが…食事は?」
「あまりのう」
「何だ?くわねぇのかよ」
「餌付けは出来ておる」
「あれは餌付けだったのですか?」
「帰巣本能を根付かせただけよ」
「それを餌付けっつうんだよ」
「にしても」
「可愛くねぇ寝顔だな」
「眉間の皺が…何か悪夢を見ているのでしょうか?」
「ヒヒヒッ。童が見たら泣きよるわな。それこそこちらが悪夢を見よう。」
「ははは。言えてて妙だ」
「如何です?城の魔除けに」
「あー…遠慮する」
「にしても」
「ん?」
「良かった良かった。ようや肩の荷が降りるわ」
「本心はそこか」
「ヒヒヒッ」
「ん…」
「治部。起きなさい。」
「っ?!え?あ、!!!?」
「おうおう混乱してるぜ」
「私は!?なぜここに?!」
「昨日泣き疲れて寝てしまったのですよ。」
「っ!!!」
「真っ赤よの」
「きまんねぇなぁ」
「だだだだ黙れ!!!」
「痛い…治部。痛い、です」
「もももももも申し訳ありません!!!」
「初々しい」
「で、刑部は鳩飛ばしたのでしょ?」
「当たり前よ。返事ももう貰った」
「…真逆刑部貴様」
「幼少からちびちびと用意してきたものが無駄にならずに済みそうよ」
「刑部ーーー!!!!!」
「半兵衛は気の早い男ですから。…ダメだわ。頭が痛い」
「寝てねぇもんな。其の儘富嶽に乗せてやるから寝てろって」
「ん…」
「姫様?」
「…仕返しです」
「っ!!!!」
「可愛いなぁ」
「さっきと雲泥の差だぜ。」
「…」
「固まってやがるぜ」
「初心な男でもあるまいに」
「刑部!!!」
「あーそういうのは確かに別腹だけどよ。こういう好いた女子には頭を撫でてやんな」
「っ」
「うわっ蕩けた顔になっちまったな」
「愛い愛い」
「姫様…」








鬱金









「ん…」
「姫様?」
「治部?ここは?」
「今は雑賀に向かっております」
「ああ!富嶽」
「はい」
「ふぁ…」
「まだお休み遊ばされますか?」
「少し眠いけど…起きないと」
「まだ着きませんのでお休みになっても構いませんが」
「ん?」
「(かなり体調が悪そうだ)」
「ん…んー。」
「姫様?」
「刑部に薬もらってきます」
「は?」
「酔い止め」
「それなら」
「あ、ああ。流石ですね」
「お飲み下さい」
「ん」
「姫様」
「治部は大丈夫?」
「皆大丈夫です」
「慣れればいいのですが…無理かしら」
「いえ。きっと大丈夫です」
「ありがとう」
「此れを」
「?」
「帯をおかえください。出来るだけ体を縛り付けませんように」
「んー…帯が解けない」
「…失礼致します」
「ありがとう」
「い、え」
「苦し」
「(無我の境地。)申し訳ございません。」
「ん…」
「…」
「楽になったわ」
「いえ」
「治部も刑部もごめんなさいね。」
「…いえ」
「治部の手は不思議ね。撫でられると眠たくなる。」
「ではお休みになるまで」
「ありがとう」







海色






「着くまで寝よったか」
「二人ともなぁ」
「落ち込まれるな」
「だってよー」
「ほら見よ。…ん?帯が」
「おっ本当だ」
「…」
「…」
「…」
「…いや!あり得ぬ!!!」
「まーなー。」
「三成!起きよ!!!真逆劣情に流されて」
「あー。オカンが切れた」

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石竹色

ゆさゆさと体を揺すられて目が醒める。こんな子供のような起こし方をするのは一体誰だろうと私は眠い体に鞭打って起き上がる。顔を擦るのは許してほしい。何ですかという声は思いの外間が抜けている。きっと揺すった本人も思っているだろう。けど、何の反応も無い。
起こしたくせに無反応な犯人を見て私は瞠目する。



「じ、ぶ?」
「っ!」




何なのだろう。珍しく治部が横に座しているかと思うと無言のままで私に羽織をかけてくる。でも無言。終始、無言なのだ。気持ちよく寝ていたのにと腹は立っても怒れないのが惚れた弱みなのかもしれない。怒ってしまったら二度私の前に現れない危険がある。それは何としても避けたい。と、やはり私は彼の事が好きみたいだ。腹立たしいのに嬉しいが勝つ。が如何せん時間が時間なのだ。何かあったのかもしれない。




「何かあったのですか?」
「…」
「治部?」
「姫様」
「はい」
「誰かの元に嫁ぐのはお止めください」
「…は?」
「貴方が、誰かのものに」
「え?何事ですか???治部???なぜ泣いているの??????」
「私の、私だけの姫様が」
「え?何???少し待ちなさい。何か拭うものを」
「他の者の妻になるなど!!!我慢できません!!!」
「治部?何を言っているのですか???え?まず落ち着きなさい。」
「矢張り、誰かの」
「え?!何で号泣し始めたのです…うっ伏せて泣かないで!」
「うううう」
「落ち着いて、ね?治部。説明を」
「姫様が…私の姫様が」
「治部…」
「断じて…そのような」
「お願い、話を」
「許せるものか!!!」
「…」
「お願いでございます!姫様!!!」
「ですから。嗚咽混じりで叫ばれてもわからないのですよ」
「私の妻になってください!!!」
「は?」
「???」
「…」
「姫様?」
「酔っているのですか?」
「?!」
「でなければ」
「どうか、そのようなことを言わないでください。私の本心を吐露する、許可を」
「…」
「姫様」
「許可、します」
「っ!私がどれ程あなた様に恋い焦がれているか。ですが…厭われているこの身とはいえ戯れ事を申していると思われるのは、この身が引き裂かれるほど」
「ま、待って。厭いと?誰が???」
「姫様が私を」
「…」
「ですからその身でこの様な事を言っては憚れるのはわかっておりますがしかし…姫様?」
「っ…うぐ」
「?!???!!??」
「治部、が。私を厭うているのではありませんか」
「私は終生貴方だけに心惹かれております!」
「だっ、てあれからすごく」
「あれは!私が短慮なばかりに姫様の手を…何より涙を!!!」
「あれ、はじぶ、が」
「ひ、姫様!落ち着いてくださいませ。嗚咽で」
「ぶじで、でもわたしの…せい、でけがを」
「わたしは貴方に初めてお会いした時よりずっと貴方をお守りするのが使命と!」
「でも、ちが…う」
「姫様?」
「あなたを、きずつけた。うばがにくかった」
「は?」
「ころしてやりたいとおもうほどに。わたしの、じぶをぎずつけたあのひとが…わたしはきよらかでもじゅんぼくでもないの。ここにおにがすんでる」
「…」
「たとえあにさまでもわたしはゆるさない。わたしは、あなたをまもりたいの」
「っ!」
「もういいです。ごめんなさい。あなたのおもっているような…」
「姫様!!!」
「っ」
「貴方を一層深くお慕い致しております!!!後生でございます!!!私の妻に!!!」
「そのいいかた、やだ」
「っ」
「ふつうにいってごしょうとかしがらみとかぜんぶすてて」
「?」
「ひとりのおとことしてわたしをもとめて」
「…」
「?」
「結婚してくれ。終生私と共にあって欲しい。」
「あ、い」
「!!!」
「じぶ?」
「その、です」
「???」
「名を呼んで下さい」
「三成、様?」
「っ!!!」
「え?!何でまた号泣なのです???」
「姫様が、な!!!」
「…刑部!!!どこかに隠れているのでしょう?出てきて助けて!治部が血の涙を!!!」






石竹色





「かっこつかねぇなぁ」
「号泣合戦よのう。見よ、姫にペシペシと叩かれておるわ。」
「あーあー。可愛いねぇ」
「ひひひっそろそろよな」
「?」
「刑部!!!」
「ほれ」
「血の涙流してやがるぜ…」
「相愛ゆえ赦されることよの」

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薄色

「私があの方の前に馳せ参じた時。あの女はすでに弦に指掛けていた。弓の名手というだけで姫のそばに控え乳母として抜擢された女だ。外す事は無いと全身が凍る思いだったのを今でも忘れられずにいる。郎等はうだつの上がらん奴ばかりだったが女は邪ながら知恵と力があった。私の選択肢は姫様の盾になるしかなかったし、当たり前な事だから厭う気すら起きなかった。しかし愚かにも私は利き腕を射抜かれてしまいとどめをさす事が出来なかった。だが、深手は負わせたし腕そのものを落としたのだし事はなった。それより姫をと駆け寄ったのが間違えだった。」
「まだ、だったんだな。」
「…回避、出来なかった。姫様はそれを終始ご覧になっていた。私の為に、懐刀を抜き。…とどめを」
「…」
「座にお戻りになられて姫様は一筋涙された。彼の方は確かに慕っていたのだ。恐ろしく邪であったとしても、あの女を。…それを私の気の緩みで」
「そうか?そりゃあんたが無事で泣いてたんだろ?」
「…は?」
「はって、そりゃ…。…あんたってすこぶる真面目で面白い奴だな。普通、惚れた男が殺されかかってんだぜ。黙っていれるか?俺でも、きっとあんたでも無理だ。姫さんも無理だっただけだろ?」
「…」
「あいつは内に秘めたもんっつうのは冷たいものや朗らかなだけのものじゃねぇよ。普通の姫さんならわーきゃー言って終いだろうしあんた嫌いなら顔も見たくねぇっていうと思うぜ」
「それは…姫様は秀吉様の手前」
「あんたが気兼ねして嫌なのに来てくれてんじゃねぇかって」
「は?」
「可愛いよなぁ」
「なん、だ?どういう意味だ?」
「ここまでいわねぇとわかんねぇのかよ。野暮を通り越して唐変木だな。このスカタン!あんたが、太閤に気兼ねして、嫌々!、姫さんところに、行ってる!!!って思ってんだぜ」
「そんな訳あるか!!!私がどれ程、どれ程。」
「仕方ねぇだろ。俺にはそういうんだよ。可哀想にな。あんたの口癖。弱いものはいらないだろ?姫さん自分は弱いから目障りなのだろうとまで言ってたぜ。」
「彼の方は強い!!!目に見えぬ力を誰よりも持っていらっしゃる。秀吉様の力。半兵衛様の力。そして姫様の力があって今の豊臣があるのだと。」
「それ、姫さんに言ってやったのかよ」
「言えるものか…私などが。烏滸がましい」
「そう妙な他人行儀さが姫さんを傷つけてるって知ってっか?」
「っ」
「大体。そんだけ惚れてるくせに。姫さんが他人のものになってもいいのかよ」
「は?」
「他人の嫁になっていいのかって聞いてんだ」
「それ、は」
「女に変えるのが他の男でいいんだな。他の男の子を孕むんだぜ」
「っ!!!」
「ははは。そんだけ憎悪にまみれた顔になんだったら恥も柵も全部捨てて姫さんを愛してみちゃどうだ?」
「は?」
「相思相愛っつうのは気持ちのいいもんだぜ」
「…もし拒絶されたらどうすれば良い」
「されねぇされねぇ。大船に乗ったつもりで行ってこいって」
「ふん!泥舟の間違いだ」
「なにおっ!」
「だが」
「ん?」
「礼をいう」
「おうよ。姫さんはいつもの部屋だぜ」
「ああ」







薄色







「やれ助かった助かった」
「ん?あれで良いかい?」
「良い良い。我は二人に嫌われたく無い故言えぬからの」
「ひでぇ」
「にしても」
「良いじゃねぇか。あーあ。俺も会いたくなってきちまった」
「雑賀か?」
「知ってやがったか」
「ヒヒヒッ。実はこの後姫は雑賀に行くようにと言われておる。一緒に参ればよかろう」
「…」
「此処は姫傘下。豊臣は誰も出しせぬ。あの太閤ですら厭うからの。」
「そんじゃま。行こうかね」
「大事なかろう。此処には真の主人の吉良殿がおるからの」
「…マジで反論出来ねぇ」
「ヒヒッヒヒヒヒヒ」

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錫色

「何だかなぁ」
「我とてそう言いたいものよの」
「泣いたって…初夜に泣かれりゃどうする気だったのかねぇ」
「それは…それはそうよ。如何する気だったのか。気になる気になる」
「ははは。やめとけよ。あんたの気苦労が増えるだけだ。…ん。そうか」
「やれ横槍は」
「んなことしねぇよ。まぁあんたも一緒みたいだから言えるけどな。色恋じゃねぇんだな。不思議と。妹とか何というか。笑ったの可愛いけどよ。あー可愛いものを見てる感覚っていうのか?人間としてあいつはいいやつだろ?色恋になったら俺はあいつを普通の女にしちまうだろう。それが嫌だし勿体ねぇ」
「なんとのう分かる」
「だからどうこうしてェわけじゃねぇが…かといってこのままはよくねぇな。あいつと話していいか?」
「まぁなぁ。ぬしならやすやすと斬り殺されまい。5分持てば姫がこれよう。」
「助けてくれよ」
「はてさてわからぬ…と言いたいが此処は姫傘下の城故無碍にもできまい。」
「痛い目しそうだな」
「精進しやれ」





姫様のお身体だけを心配していればいい。それだけで良い。
そう思いながら月を見ると、気の抜けた声が聞こえる。長曾我部かと答える前に横に座って杯を渡してくる。今までにいない男だ。




「なんだ?」
「いやぁ。聞いた通りの面とちげぇ面と。面白い男だな」
「?」
「姫さんのことさ」
「…刑部か?」
「ん。まぁな。あんたも素直になったらどうだ」
「どこまで聞いた?」
「目の前で乳母を殺したところまでだ。」
「刑部の知る全部だな」
「刑部が?」
「…」
「なんだよ。違うのかよ?」
「貴様は姫様のなんだ?何故、秀吉様の傘下にならなかった?!」
「俺は姫さんに惚れた」
「…は?」
「あいつの盾となり剣となる。ただそれだけだよ」
「…くそっ!」
「っぷ!はははは!!!」
「な?!」
「腹がいてぇ。切った惚れたじゃねぇよ。人としてだ。くくく。勘違いしやがって。そんな人殺しそうな顔するくれぇならとっととものにしやがれ」
「貴様!!!偽りを」
「どっちかといえば俺は姫さんをどうこうしたいとは思ったことねぇな。妹みてぇなもんだ。さっき大谷とそれで盛り上がった」
「刑部と、か?」
「ああ。」
「…そうか。ならばひとつだけ訂正する。」
「何をだ」
「私の科はあの姫様に涙させただけでは無い。…あの無垢なお手を汚してしまった事だ。」
「は?」
「あの時」









錫色

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老竹色

あの頃の我は紀之介と呼ばれ、三成は佐吉と呼ばれていた。お互い太閤の側仕えでなぁ。姫とはその時に出会った。お互い今とさほど変わらぬ性格でな。ただ一つ違うのは三成は姫を姫は三成を表立って慈しんでいたことか。その頃より三成は対抗配下の武将の中より抜きんじておったし、何よりあの三成が姫の言うことだけは聞きしゃる。ぬしらはあまり見たことなかろうがあれは男だろうが女だろうが慇懃無礼でなぁ。自分の認めたもののみにだけ心を開く。太閤に賢人。我に…今はぬしらや真田が続くか。実力のあるものは認めはするが…心は開かぬ。本に面倒な男よ。
その面倒な男が唯一心を開き慈しんだ女が姫なのだ。
我とて理由はわからぬ。当の本人ですらわからぬであろう。出会った瞬間といえば軽々しいがそれ以外言いようがない。出会った折の印象が今の今まで変わらなかった。姫は三成の思い続けた姫であり三成は姫の思い続けた三成だったということよな。幼い、まだ髪もあげぬ折よりそうなのだから究極の青田買いよ。姫も三成も

太閤も賢人も。我とて姫が髪を上げたのち、早々と祝言を挙げようとよく話していたものよ。まだままごとの様だろうけども美しい女雛男雛になろうとなぁ。。





その歯車を狂わせたのは一人の女よ。ヒヒヒッ。あの堅物が浮気などしりゃるか。そう融通の利く男なればこうはならなかった故。




一人の女は姫の乳母。それとその一族郎等よ。
姫はこの者を実の母の様に慕っておったが、またこの女は虚栄心の強い女でなぁ。純粋な姫にはその裏の顔がわからぬ。姫を拐かし、内乱を起こそうとする其れの計画をいち早く知ったのは我よ。仲間にならぬかと打診しよった。後継者を三成に奪われて悔しくはないかとのう。ヒヒヒッ。笑を堪えるのに苦労したわ。よりによって我にそれを言う。我は何より、あの二人が夫婦になるのを楽しみにしておった。我の敵は我を害するものではなくてな。…それこそ我を厭うものはごまんとおる故きりがない。逆に我を厭わず。我を家族といってくれるものは少ない。それが三成と姫よ。故に我の敵はあの二人を害成すものよ。それからは早くてなぁ。姫を早々と奪還し、当時大阪で一番安全な座敷牢に入ってもらった。此処なれば、これ出すことはできぬでな。姫は非力故、苦渋の選択だった事を察してほしい。何よりあの姫に血溜まりを見せるのは、何より母の様に慕い仲良くしていた一族の躯を見せるのは太閤ですら憚られた。何より三成が厭うたのだ。姫も内乱を起こそうとするのなら話は別だろと気丈でな。さすが太閤の姫よと思ったものよ。


事は簡単に済んだ。元々武に長けた一族ではない上に我らの逆鱗に触れた故事は早かったのだがなその乳母は何故かその座敷牢の前にやって来てな恨みごとを散々言ったのち姫を射殺そうとしよった。
その時の姫は座って待っていろと太閤に言われた場所から一寸も動いておらんかったそうよ。そう、賢人に躾けられていたのを我らは知っていた故血が凍る心地だった。ただ、一人。三成が動いた。斬撃も間に合わぬ故に奴の体を盾にして。そしてそのままその女を殺した。姫の眼前で。


我も三成も賢人も。兄である太閤ですら物心のついた姫が泣くところは見たことなかった。色々な種類であるが姫は何時も笑んでおられた故。
姫が一筋の涙を流したのを見たのは後にも先にもその時だけよ。



三成はこの涙の意味を眼前を血で汚し、裏切ったとは言え大切な人を殺した悲しみと思い、即日婚約を破棄してほしいと願い出た。そして今の通り、必要時以外は声を出さず姿を見せず。眼前に侍るのを厭う。

姫の涙の真の理由は、己が力がない故皆の足手まといになり三成を傷付けてしまった事にある。日頃より力の無いものは不必要という男故その思考に拍車をかけたのだろう。婚約破棄もそれが理由と。すぐに受け入れた。そして姫として親しき臣下に接するが如くよ。昔の様に幸せそうに笑わなくなった。


これはただ純朴で面倒な二人の話よ。








老竹色

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