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変換なしの雑食夢

ran

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錫色

「何だかなぁ」
「我とてそう言いたいものよの」
「泣いたって…初夜に泣かれりゃどうする気だったのかねぇ」
「それは…それはそうよ。如何する気だったのか。気になる気になる」
「ははは。やめとけよ。あんたの気苦労が増えるだけだ。…ん。そうか」
「やれ横槍は」
「んなことしねぇよ。まぁあんたも一緒みたいだから言えるけどな。色恋じゃねぇんだな。不思議と。妹とか何というか。笑ったの可愛いけどよ。あー可愛いものを見てる感覚っていうのか?人間としてあいつはいいやつだろ?色恋になったら俺はあいつを普通の女にしちまうだろう。それが嫌だし勿体ねぇ」
「なんとのう分かる」
「だからどうこうしてェわけじゃねぇが…かといってこのままはよくねぇな。あいつと話していいか?」
「まぁなぁ。ぬしならやすやすと斬り殺されまい。5分持てば姫がこれよう。」
「助けてくれよ」
「はてさてわからぬ…と言いたいが此処は姫傘下の城故無碍にもできまい。」
「痛い目しそうだな」
「精進しやれ」





姫様のお身体だけを心配していればいい。それだけで良い。
そう思いながら月を見ると、気の抜けた声が聞こえる。長曾我部かと答える前に横に座って杯を渡してくる。今までにいない男だ。




「なんだ?」
「いやぁ。聞いた通りの面とちげぇ面と。面白い男だな」
「?」
「姫さんのことさ」
「…刑部か?」
「ん。まぁな。あんたも素直になったらどうだ」
「どこまで聞いた?」
「目の前で乳母を殺したところまでだ。」
「刑部の知る全部だな」
「刑部が?」
「…」
「なんだよ。違うのかよ?」
「貴様は姫様のなんだ?何故、秀吉様の傘下にならなかった?!」
「俺は姫さんに惚れた」
「…は?」
「あいつの盾となり剣となる。ただそれだけだよ」
「…くそっ!」
「っぷ!はははは!!!」
「な?!」
「腹がいてぇ。切った惚れたじゃねぇよ。人としてだ。くくく。勘違いしやがって。そんな人殺しそうな顔するくれぇならとっととものにしやがれ」
「貴様!!!偽りを」
「どっちかといえば俺は姫さんをどうこうしたいとは思ったことねぇな。妹みてぇなもんだ。さっき大谷とそれで盛り上がった」
「刑部と、か?」
「ああ。」
「…そうか。ならばひとつだけ訂正する。」
「何をだ」
「私の科はあの姫様に涙させただけでは無い。…あの無垢なお手を汚してしまった事だ。」
「は?」
「あの時」









錫色

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