忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

薄色

「私があの方の前に馳せ参じた時。あの女はすでに弦に指掛けていた。弓の名手というだけで姫のそばに控え乳母として抜擢された女だ。外す事は無いと全身が凍る思いだったのを今でも忘れられずにいる。郎等はうだつの上がらん奴ばかりだったが女は邪ながら知恵と力があった。私の選択肢は姫様の盾になるしかなかったし、当たり前な事だから厭う気すら起きなかった。しかし愚かにも私は利き腕を射抜かれてしまいとどめをさす事が出来なかった。だが、深手は負わせたし腕そのものを落としたのだし事はなった。それより姫をと駆け寄ったのが間違えだった。」
「まだ、だったんだな。」
「…回避、出来なかった。姫様はそれを終始ご覧になっていた。私の為に、懐刀を抜き。…とどめを」
「…」
「座にお戻りになられて姫様は一筋涙された。彼の方は確かに慕っていたのだ。恐ろしく邪であったとしても、あの女を。…それを私の気の緩みで」
「そうか?そりゃあんたが無事で泣いてたんだろ?」
「…は?」
「はって、そりゃ…。…あんたってすこぶる真面目で面白い奴だな。普通、惚れた男が殺されかかってんだぜ。黙っていれるか?俺でも、きっとあんたでも無理だ。姫さんも無理だっただけだろ?」
「…」
「あいつは内に秘めたもんっつうのは冷たいものや朗らかなだけのものじゃねぇよ。普通の姫さんならわーきゃー言って終いだろうしあんた嫌いなら顔も見たくねぇっていうと思うぜ」
「それは…姫様は秀吉様の手前」
「あんたが気兼ねして嫌なのに来てくれてんじゃねぇかって」
「は?」
「可愛いよなぁ」
「なん、だ?どういう意味だ?」
「ここまでいわねぇとわかんねぇのかよ。野暮を通り越して唐変木だな。このスカタン!あんたが、太閤に気兼ねして、嫌々!、姫さんところに、行ってる!!!って思ってんだぜ」
「そんな訳あるか!!!私がどれ程、どれ程。」
「仕方ねぇだろ。俺にはそういうんだよ。可哀想にな。あんたの口癖。弱いものはいらないだろ?姫さん自分は弱いから目障りなのだろうとまで言ってたぜ。」
「彼の方は強い!!!目に見えぬ力を誰よりも持っていらっしゃる。秀吉様の力。半兵衛様の力。そして姫様の力があって今の豊臣があるのだと。」
「それ、姫さんに言ってやったのかよ」
「言えるものか…私などが。烏滸がましい」
「そう妙な他人行儀さが姫さんを傷つけてるって知ってっか?」
「っ」
「大体。そんだけ惚れてるくせに。姫さんが他人のものになってもいいのかよ」
「は?」
「他人の嫁になっていいのかって聞いてんだ」
「それ、は」
「女に変えるのが他の男でいいんだな。他の男の子を孕むんだぜ」
「っ!!!」
「ははは。そんだけ憎悪にまみれた顔になんだったら恥も柵も全部捨てて姫さんを愛してみちゃどうだ?」
「は?」
「相思相愛っつうのは気持ちのいいもんだぜ」
「…もし拒絶されたらどうすれば良い」
「されねぇされねぇ。大船に乗ったつもりで行ってこいって」
「ふん!泥舟の間違いだ」
「なにおっ!」
「だが」
「ん?」
「礼をいう」
「おうよ。姫さんはいつもの部屋だぜ」
「ああ」







薄色







「やれ助かった助かった」
「ん?あれで良いかい?」
「良い良い。我は二人に嫌われたく無い故言えぬからの」
「ひでぇ」
「にしても」
「良いじゃねぇか。あーあ。俺も会いたくなってきちまった」
「雑賀か?」
「知ってやがったか」
「ヒヒヒッ。実はこの後姫は雑賀に行くようにと言われておる。一緒に参ればよかろう」
「…」
「此処は姫傘下。豊臣は誰も出しせぬ。あの太閤ですら厭うからの。」
「そんじゃま。行こうかね」
「大事なかろう。此処には真の主人の吉良殿がおるからの」
「…マジで反論出来ねぇ」
「ヒヒッヒヒヒヒヒ」

拍手

PR