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変換なしの雑食夢

ran

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石竹色

ゆさゆさと体を揺すられて目が醒める。こんな子供のような起こし方をするのは一体誰だろうと私は眠い体に鞭打って起き上がる。顔を擦るのは許してほしい。何ですかという声は思いの外間が抜けている。きっと揺すった本人も思っているだろう。けど、何の反応も無い。
起こしたくせに無反応な犯人を見て私は瞠目する。



「じ、ぶ?」
「っ!」




何なのだろう。珍しく治部が横に座しているかと思うと無言のままで私に羽織をかけてくる。でも無言。終始、無言なのだ。気持ちよく寝ていたのにと腹は立っても怒れないのが惚れた弱みなのかもしれない。怒ってしまったら二度私の前に現れない危険がある。それは何としても避けたい。と、やはり私は彼の事が好きみたいだ。腹立たしいのに嬉しいが勝つ。が如何せん時間が時間なのだ。何かあったのかもしれない。




「何かあったのですか?」
「…」
「治部?」
「姫様」
「はい」
「誰かの元に嫁ぐのはお止めください」
「…は?」
「貴方が、誰かのものに」
「え?何事ですか???治部???なぜ泣いているの??????」
「私の、私だけの姫様が」
「え?何???少し待ちなさい。何か拭うものを」
「他の者の妻になるなど!!!我慢できません!!!」
「治部?何を言っているのですか???え?まず落ち着きなさい。」
「矢張り、誰かの」
「え?!何で号泣し始めたのです…うっ伏せて泣かないで!」
「うううう」
「落ち着いて、ね?治部。説明を」
「姫様が…私の姫様が」
「治部…」
「断じて…そのような」
「お願い、話を」
「許せるものか!!!」
「…」
「お願いでございます!姫様!!!」
「ですから。嗚咽混じりで叫ばれてもわからないのですよ」
「私の妻になってください!!!」
「は?」
「???」
「…」
「姫様?」
「酔っているのですか?」
「?!」
「でなければ」
「どうか、そのようなことを言わないでください。私の本心を吐露する、許可を」
「…」
「姫様」
「許可、します」
「っ!私がどれ程あなた様に恋い焦がれているか。ですが…厭われているこの身とはいえ戯れ事を申していると思われるのは、この身が引き裂かれるほど」
「ま、待って。厭いと?誰が???」
「姫様が私を」
「…」
「ですからその身でこの様な事を言っては憚れるのはわかっておりますがしかし…姫様?」
「っ…うぐ」
「?!???!!??」
「治部、が。私を厭うているのではありませんか」
「私は終生貴方だけに心惹かれております!」
「だっ、てあれからすごく」
「あれは!私が短慮なばかりに姫様の手を…何より涙を!!!」
「あれ、はじぶ、が」
「ひ、姫様!落ち着いてくださいませ。嗚咽で」
「ぶじで、でもわたしの…せい、でけがを」
「わたしは貴方に初めてお会いした時よりずっと貴方をお守りするのが使命と!」
「でも、ちが…う」
「姫様?」
「あなたを、きずつけた。うばがにくかった」
「は?」
「ころしてやりたいとおもうほどに。わたしの、じぶをぎずつけたあのひとが…わたしはきよらかでもじゅんぼくでもないの。ここにおにがすんでる」
「…」
「たとえあにさまでもわたしはゆるさない。わたしは、あなたをまもりたいの」
「っ!」
「もういいです。ごめんなさい。あなたのおもっているような…」
「姫様!!!」
「っ」
「貴方を一層深くお慕い致しております!!!後生でございます!!!私の妻に!!!」
「そのいいかた、やだ」
「っ」
「ふつうにいってごしょうとかしがらみとかぜんぶすてて」
「?」
「ひとりのおとことしてわたしをもとめて」
「…」
「?」
「結婚してくれ。終生私と共にあって欲しい。」
「あ、い」
「!!!」
「じぶ?」
「その、です」
「???」
「名を呼んで下さい」
「三成、様?」
「っ!!!」
「え?!何でまた号泣なのです???」
「姫様が、な!!!」
「…刑部!!!どこかに隠れているのでしょう?出てきて助けて!治部が血の涙を!!!」






石竹色





「かっこつかねぇなぁ」
「号泣合戦よのう。見よ、姫にペシペシと叩かれておるわ。」
「あーあー。可愛いねぇ」
「ひひひっそろそろよな」
「?」
「刑部!!!」
「ほれ」
「血の涙流してやがるぜ…」
「相愛ゆえ赦されることよの」

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