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変換なしの雑食夢

ran

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8

白無垢を着た内侍様は死ぬ程綺麗でした。と言えば当たり前だと言って殴られる。仕方ない。殺されなかっただけで有難いと思わなくてはいけない。現に後ろの刑部様は死ぬ程怖い。




「やれ、冥土の土産にしては最良よな」
「ひぃ!」
「自業自得だ」
「吉継様…あら、取り込み中ですか?」
「いや、もうすぐ終わる。」
「三成様。良いのですか?」
「致し方ない。貴様の白無垢を見たのが運の尽きだ」
「ああ。そういうことか。吉継…もうそろそろ。左近殿が白目むいてる」
「ひひひ」
「で、どうした」
「名前決まったかなと」
「またか!」
「だって。」
「結婚義までまでと昨日もその前も言われておっただろう!」
「吉継様…」
「やれ諦めよ。ぬしの恐ろしい姉上の命とあれば。いたしかたない」
「むー…」
「ひひひ。仕事は終えた。茶でも致すか」
「はい。淹れましょうか?」
「主の茶も久しく飲んでいないな。やれ三成?如何した?」
「何で筆を出し始めるの?」
「いや、それは」
「三成らしくもない」
「二人で休んで来い」
「?」
「?」
「?」
「おい!何故貴様らがそのような顔をする?!」
「…三成よ」
「何だ!」
「三成様…私のお茶が飲めないと」
「悲しいなぁ。我はかなしい。我と同座の茶など飲めぬか」
「待て!誰もそういうことを言っては…」
「なら早く。吉継様。お菓子は」
「あるがな。我にはちと重い」
「三成様持ってきてください。私は茶器を持って行きますから」
「…」
「やれ三成」
「皆が邪魔するなというが?」
「そういう事か!」
「五月蝿い!」
「皆は皆。我らは我らよ」
「何を今更。茶会で大乱闘してこっ酷く怒られた仲ではありませんか。他人の言うことを一々。あっ!竹中様?」
「…」
「ひひひ。気を使う場所は違うところにしてもらいたいものよ」
「昨日竹中様に3人で昼、寝てるって言ったら蒼い顔になったのはそれかしら?」
「それよなぁ」
「…行ってもいいか?」
「行かぬのか?」
「早く行きましょう。」
「っ」
「気を使えたんですね。」
「何っ?!」
「やれ、内侍殿」
「だって家族みたいなものだから。うふふ。」
「…」
「やれ真っ赤よ。まっか」
「黙れ!」
「季節季節の行事には出れるんでしょ?」
「う」
「折々も」
「刑部」
「良い良い。むしろ来しゃれ」
「ならば」






はなのかんばせ







「何で三成君じゃないのかな?」
「何が言いたい?私の妹が選んだ相手に不服があるのか!」
「待て、敦。そうではない」
「ん?」
「…僕の可愛い内侍君が人妻。もう少し振袖着させたかったのに…」
「子離れができていないのだ」
「良いよ。大谷君でも三成君でも。僕はどちらかとと思っていたけどね…狒々爺…!!!」
「禄を取り下げると言って聞かん」
「あらまぁ」
「敦」
「何?」
「白無垢は僕が用意するよ。良いね。」
「はいはい」
「はぁ。」
「子が出来たらどうするのかしら?」
「…」
「いらぬ事を言うな!」
「秀吉」
「なんだ?」
「海が見える…ああ!長曾我部を落とすよ。良いね」
「はぁ」
「あなたも大変ね」

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7

「狒々爺の所にやるには豊臣として。勿体ないだけよ。」
「あ、ああ。そういう意味か」
「故に敦殿の納得いくまで」
「…私は」
「ヌシは気にせず居ればいい。何理由が理由。今まで通りでよしと便宜を図って下さる。」
「ん…」
「おい!刑部」
「どうした三成」
「いいのか?」
「ヌシらしくもない」
「…」
「内侍、貴様も」
「高長恭のようなものだな」
「何を言っている?はっきりした声で言え。聞こえん」
「ん。治部殿刑部殿。お二人にはおさないみぎりより大変お世話になり申した」
「は?」
「やれ」
「友と思っておりました。それだけが支えだった。ただ、」
「内侍」
「そう思っていたのは私だけでしたな。」
「何を!」
「…」
「ふふふ。では失礼仕る」
「!」
「やれ、待たぬか」
「離せ」
「我はヌシを友と見たことはない」
「!」
「我の友は三成だけよ。ヌシは」
「…」
「ヌシは、我がただ一人愛した女よ」
「な、にを!」
「やれ、三成」
「何かあったら言え。人払は済ませておく」




はなのかんばせ






「離してくれ」
「それは無理よの」
「こっ」
「痛っ」
「あ…大丈夫?ごめんなさい」
「くくく」
「っ?!」
「ヌシは誠優しい女よ」
「騙し」
「ヌシは優しい。三成は清廉過ぎる。故に我がいる。」
「離して」
「ヌシは美しい。才もある。どこまででも昇れる。」
「刑部…殿?」
「我はそれが見たかった。否、側にいればそれでよかったのに。何故」
「泣かないで」
「我はこんなにも醜い?」
「刑部殿」
「そなたの横にいては邪魔になる。なら一層と思ったらどこの馬の骨とも解らぬ男に…」
「…」
「見苦しいところを見せた。いかしゃれ」
「刑部殿は勘違いをしている!」
「?」
「私はあなたがずっと好き!」
「…それはヌシが優しい故。」
「私は博愛者じゃないもの!」
「ぬ…」
「あなたがずっと好き。私たちを守るために何でもしていることも知ってる。私より治部よりずっと優しく清廉なのを私は知っているから」
「…」
「今の言葉が嘘でもいい。私は」
「内侍」
「あなたの妻になりたい」

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「そこの男!」
「ん?俺っスか?…内侍様!?にしちゃ歳食って」
「失礼な男だが妹を知っているなら話が早い。私は敦。妹の所まであないせよ」
(性格が全然違うなぁ)




自室に帰ると侍童が客人がと呼びに来るのでついて行く。今日ほど後悔した日はない。姉上と義兄上が鎮座しているとは思わなかった。
開口一番で遅いと仰る姉上とそれを嗜める義兄上。侍童が怯えているがそれ以上に私が怯えている。気の弱くいい加減な父が姉上に似た勇猛果敢な母を早くに亡くして実質的に我が家の長になった姉上は最強だ。これ以上最強の人を私は知らない。口がたつのだ。それも尋常になく。義兄上が仏のような方だから夫婦で居られるのだろう。と罵倒を右から左へ聞き流していく。




「大体!このような歳になって名もきちんとつけずに!中の姫ではいけないのですよ。」
「それは父上に行ってください」
「あのバカ親父は…」
「これ」
「ですが!私がこの子の歳には子が居ました!いい加減あきらめて誰かを貰いなさい」
「犬の子や猫の子ではないのですから」
「あなた自分がそんな可愛いものだと思っているの?」
「わん」
「…」
「冷たい目ですねぇ」
「ああ逃げなさい」
「然らばごめん!」
「このバカ娘!!!!!!」






有難いかな運動神経は私の方がいい。
やっぱり結婚の話かと思いながら庭に逃げるといつもの定位置に行く。ここは私しか知らないから逃げるのに丁度いい。





結婚なんてしたくないけどそうも言っていられない。姉上も嫌がらせでしているわけではない。本当に腹をくくらなければいけない時が来たのかなぁ。







はなのかんばせ







「ぬ」
「すっげー!誰も見つけられなかったのに」
「やれ、左近」
「痛いっす!助けて三成様」
「無理だ。敦殿を連れ込んだお前が悪い!」
「だって!内侍様にそっくりだし」
「あれは半兵衛様の天敵だ!駆逐しろ!」
「無理っすよ。なんっすかあの人。めちゃ怖いっす!」
「当たり前だ!私も好かん!!!」
「やれ五月蝿い」
「いってぇ!!!!!」
「泣いていたぞ。何を言った」
「さてな」
「本気で嫁ぎ先を見つけられる前に素直に言え」
「…くくく。何の話か?にしても」
「ん?」
「少し痩せたか?寝ておらぬのだろう。寝させてたもれ」
「刑部。自分の行いは自分で償え。私は知らん」
「あら」
「「?!」」
「あっ!敦様!」
「こら、左近!」
「あらあらまあまあ。よくぞ見つけてくれました。…貴方は佐吉殿と紀之介殿か」
「今は元服して名を三成と改めました。刑部は吉継と」
「ひひひ。敦殿は相も変わらず美しゅう。」
「…」
「何か?」
「見つけたのは誰方かしら?」
「刑部さんっス」
「そう。なら大谷殿」
「…我は知らぬ」
「上には私が言っておきます。この子をもらってやってくれない?」
「…犬や猫の子でももっと丁重に扱おう。第一我と内侍殿は喧嘩中でな。ゼッコウ中よ」
「この子が妾奉公に出ていいの」
「は?」
「別棟殿からの話。聞いていないのですか?向こうで妾奉公の話が出てきていて。許嫁がいると言って断っていましたが…それも限界なのですよ」
「…」
「このバカは。殿下にも竹中殿にもいわずに…今日聞いたと驚いていました。筒井筒の仲なのですから。哀れだと思うなら」
「ぬ…」
「ええいっ!それでも武人か!!!」
「敦」
「ん…」
「もらうか否か!即答しなさい!!!」
「あね、う…?!刑部殿?!じ、治部殿。左近殿も?!!」
「落ち着け。内侍。貴様妾とはどういう」
「姉上!!!」
「あんな狒々爺いのもとに行く気ですか!」
「いや、何とかなると!」
「なるものか!矢の催促ですよ!!!しかも武勇に長けた女を妾にして箔をつけたいと…ああ!腹がたつ!!!」
「見世物のようなものですからねぇ」
「貴様はそれでいいのか!」
「いいも悪いも。いや、それより。姉上。私の自室に行きましょう。ここでは流石に」
「やれ、またしゃれ」
「っ!?」
「敦殿。妹御は我がもらいうけよう」
「は?」
「武士に二言は」
「ないない。」
「何の話だ?」
「刑部の妻に収まった」
「はぁ?!」
「何が不服か?!」
「いや…姉上!!!私事に他人を巻き込むのは」
「何、偽装よ。ぎそう」
「は?」
「敦殿の気がすむまで。それでよければ受けよう」
「ぎそう」
「それでいいわ。」
「なら決まりよ。内侍殿」
「え?」
「よろしゅうな」

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「あれ?なんっすかね?」
「…道を開けていろ。轢き殺されるぞ!」
「え?!」
「佐吉ぃぃぃぃ!!!!!」




恐皇並のスピードで三成様に突っ込んでいった強者があの内侍様で度肝を抜かれる。砂煙りの中慣れたようにその内侍様を捕まえて俵担ぎにしている三成様も三成様だが、全く気にせず佐吉と連呼して泣いている内侍様も内侍様だと思う。






「姦しい!耳元で泣くな!目障りだ!!!」
「紀之介殿に…」
「ええい!幼名で呼ぶな猪女!!!」
「うわぁぁぁん!」
「左近。一時席をはずす。」
「あ、はい」




行くぞと言って何処かに消えていってしまう二人を見て刑部さんを含めて幼馴染だということ戦慄を覚えるのはきっと俺だけではないはずだ。






「起きて早々騒がしい女だ。刑部は如何した?」
「もう…」
「はっきりいえ!」
「目の前に現れるなって言われた…」
「またろくでもないことをしたのだろう」
「寝ぼけてて抱きついてたみたい」
「それは昨日寝ていた時からだ。いや、童の時からか?」
「…じゃあずっと前から嫌われて…」
「泣くな!うるさい」
「…如何しよう。もう生きていけない…」
「うじうじと!いつもの威勢は如何した!!!」
「佐吉ど、うわぁぁぁん」
「はぁ」
「…そっかぁ。」
「ん?」
「そんな昔から嫌われてたか」
「待て、何を勘違いしている?」
「そっかそっか」
「おい!」
「泣いたら疲れた」
「当たり前だ。よく泣けるな」
「うん。ねぇ」
「?」
「紀之介殿…いや刑部殿は治部殿に任せた」
「何だ?藪から棒に」
「人一倍寂しがりやだから」
「…」
「治部殿と刑部殿は2人いて丁度いいもの。ね。」
「知るか」
「じゃあそろそろ行く。もう治部殿ともなかなか会えなくなるけど」
「?」
「然らばごめん」









はなのかんばせ






「泣いていたぞ」
「左様か」
「いいのか?」
「構わんよ」
「そうか」
「…」



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「ん」
「本によく寝ておる」
「が、離さんな」
「どうにかしりゃれ」
「無理やりしてみるか?いや…これは泣くな。いいか」
「ぬ…」
「貴様も寝ていなかったからちょうどいい。休んでいろ。昼には起きるだろう?」
「だがのう」
「何か問題でもあるのか?」
「外聞が」
「…?」
「我と同衾は外聞がわるかろう」
「気にする輩か。これが」
「いや、故にな」
「別に構わんだろ?寝ていろ。いいな」





パタリと閉まる音がして途方にくれる。
そうなのだ。こういう2人だから共に入れるのだが…幾分困ったことになったと思う。無理矢理離せば済む話なのだがこの手を離すのに戸惑う自分がいる。幼い折より可憐な花よと言われた顔は美しくならしゃれた。十人が十人振り向く容貌は芍薬とも芙蓉とも形容できよう。本に人の気も知らぬにと頬を撫でてやる。



「ん」
「やれ、離さぬか」
「…」
「内侍殿?」




花がほころぶ如く微笑まないではくれないか。その甘い声で私の名前を呼ばないでほしい。




「眠い」
「寝りゃしゃれ。我を離してのち」
「やだ」
「内侍殿」
「刑部殿」
「?」
「側に置いて」
「は?」
「す、き」
「っ?!」
「すぅ…」
「…」




この秘めた心を炙り出すようなことはしないでくれはしないか








はなのかんばせ






抱きしめたいが出来ぬ。
此の儘我が物にしたいといつの時より思っていたか。



然しながらこれが誠と誰かいえよう?




醜い我と美しいヌシがどうやって添え遂げよう。






「ん…」
「やれ、離したもう。暑い、あつい」
「っ?!私?あれ、日が高い?!!治部殿も?」
「もう昼よ。三成はとうに仕事よ。我も行かねばなるまいが…ヌシが離れぬでな。」
「す、すまない!いや、ごめんなさい。とんだ粗相を」
「なぁ内侍殿」
「私、そんなに寝ぼけていたのか?ああ。すまない。刑部殿。殿下や竹中様には私から」
「もうヌシは我の前に来るな」
「…え?」
「よいな」
「え?刑部殿?」
「…」
「…本当にすまなかった。刑部殿が怒るのも無理はない。仕事の時もできるだけ会わないようにする。」
「ひひひ。聞き分けがよい。宴は仕方ないとしてもう会うこともそうはあるまい」
「…」
「ではな」
「刑部殿」
「ん?」





今までありがとうと言った内侍殿の顔が忘れられぬ。
美しい顔を必死に保ちポロポロと溢れる涙もまた、美しいと知ったからだ。

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