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変換なしの雑食夢

ran

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3

ああいやだと思いながら廊下を歩く。できるだけ早く。
此処は勝鬨を上げた陣はある意味、狂気に満ちているものだと思いつつ目的の部屋の前に着く。そろりと中を伺うと大阪とさほど変わらない2人がいてホッとする。されど、声をかけて良いものかと思案しているとがらりと障子が開いて内侍かと言われる。治部殿となんとか返して入って良いかと聞くと何故いちいち聞くと首根っこを持って引きずり込まれた。



「やれ、またお転婆な猫を拾うてきたな」
「お転婆で片付くか?」
「にゃー」
「「…」」
「冷たい目だなぁ」
「で何の用だ?」
「避難と謝罪」
「ん?」
「やれ避難とは?」
「夜這いが凄い。」
「…物好きがいるものだな」
「と思うさ。どうしても衆道の気がないと女が欲しくなるのだろうけど…。本当にあの宴から…はぁ」
「ぬ…故の隈か」
「だから避難だ。流石にこの部屋にのこのこやってくる馬鹿はいないだろ?だが、貴方達が女を買ったりする気なら言って。他のところに行くから」
「…」
「いや、治部殿ではなく刑部殿が怖い!何で?!」
「知らん!それに買う予定もない!!!」
「ならいでいい?」
「刑部に聞け」
「…良いですか?」
「別に構わぬ。どうせ三成が寝ずの番よ。安心して寝りゃれ」
「よかったぁ」
「それより謝罪とは何だ?…まさか貴様?!裏切ったのか!!!???」
「いや、どうしてそう…。私の歩行衆に女ばかりのがいるだろ?」
「あ?ああ。いたな。女とは思えるほどの勇猛果敢な」
「その中に意中のものがいたそうでな。夜這いではないがこういう時しか会えんからと会いに来たらしいのだが。その粗忽者部屋を間違えて私の部屋に入ってきてなぁ。」
「ほう…」
「その粗忽者、すぐに気がついて平謝りに謝ってくれたんだが…ようやく寝たところでな…つい」
「?」
「うちの歩行衆の中にほりこんできてしまって…断末魔とも何とも言えん声だったから。精も根も吸い尽くされてなければ良いが」
「自業自得だ」
「で誰よ、その粗忽者。」
「…」
「何だ?何故私を見る?」
「左近殿だ」
「…そうかソウカ」
「左近…あの粗忽者…すまない」
「いや良い。ただ明日は使い物にはならんかもしれんが許してやってくれ。」




そう言うと何故か困った様な顔の治部殿と逆らってはならない笑顔の刑部殿がいて身震いをする。この顔はかなり怒っている時の顔だ。



「刑部殿?怒っているか?ごめん。」
「主に対してではない…三成」
「自業自得だ。好きにしろ。但し殺すなよ」
「ひひひ」
「なんか怖い話になってる?!治部殿も刑部殿も邪魔なら言ってくれ。」
「違う。貴様はおとなしく寝ていろ!」
「…2人は?」
「如何致すかなぁ」
「一緒に寝ないの?」
「…」
「刑部も休め。」
「治部殿もさっと布団を引くから川の字で!」
「はぁ」
「うふふ。早く早く!仕事は?」
「明日手伝え」
「うん刑部殿も早く」
「主は変わらぬなぁ」






はなのかんばせ





「ん…刑部殿?」
「やれ起こしたか?」
「起きたの?治部殿も?」
「珍しく横で寝ている。」
「うわっ歯ぎしり凄い。」
「寝ておれ。」
「刑部殿も」
「我は」
「刑部殿も!」
「…やれ帯を引っ張るでなっ?!」
「うふふ紀之介殿の匂いだ」
「抱きつくな。やれ、内侍」
「紀之介、殿?」
「はぁ人の気も知らぬでこのものは」
「ふふふ」
「かわいい顔しおって」
「おいしい…」
「さて諦めるか」

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2

「内侍?ぬしがか」
「ご安心を。別段京都に帰るも殿下の側女になるわけではありませんから。」
「当たり前だ!貴様の様なじゃじゃ馬!」
「失礼だなぁ。でも懐かしい」
「…しかし、なぜぬしが?」
「女子の抑止力みたいです。ああ。恐ろしい。化粧の下のドス黒さは内教坊にいた折嫌という程知りましたのに。別棟様に至っては無理だから辞退したほうがいいという有様。内侍は中宮の地位。私みたいなのには荷が重いのだがそうも言っておれんでしょ?」
「だがのう」
「どうにかなるかな?まぁこっちに帰って来られたし。2人に会えるからそれだけでも嬉しいなぁ」
「そうか」
「そうだよ。」


そう言ってお茶を飲む。此処は刑部殿の私室だからとても静かだ。いい気持ちだなと外を見ていると菓子を置いてくれる。ありがたいと言って笑うとぬしは笑う方が良いと言われる。刑部殿は優しい。治部殿も。あいも変わらず優しいなぁと言えば金吾の前で言ってくれと癖のある笑み付きで言われる。多分玩具にしているのだろう。可哀想にと合掌するものの私の中の2人はやはり優しいのだ。




「剣はどうなった」
「さて。治部殿程とはいかないけどね。役立たずにはならないようにします」
「やれ、ぬしは相も変わらず戦場に立つか?花の顔をわざわざ血に染めることはあるまいに」
「此れでも武家の棟梁だから。心配してくれてありがとう。刑部殿も、治部殿の制御ご苦労様です」
「おい!どういう意味だ」
「治部殿は自分の体を大事にしてくれということです。ああ。竹中様もそう言ってましたよ。刑部殿だけでは大変だろうから私の補佐に着くようにと」
「何?!」
「やれ。それは本当か?」
「え?嫌ですか???」
「そういうわけではない!半兵衛様が!!!」
「ああ。そっち?」
「我は違う…」




お守りが増えたと言われて納得する。そりゃそうねと言って菓子を食べると本当に美味しくて刑部殿の顔を見る。するとしたり顔でひひひと笑うものだから刑部殿の知っている中で一番美味しい菓子なのだろう。
美味しいと破顔するとはて、なんのことかと惚けるあたりやはり刑部殿だ。ちらりと治部殿を見ると無表情だ。こんなに美味しいのにと言えば凄い難しい顔をされてしまった。




「相も変わらずよ」
「だから細いんですよ」
「そういえば」
「?」
「三成となった」
「そういえば治部殿とだけ聞き及んでいた!刑部殿も?」
「紀之介のままではあまりにもなぁ。我は吉継となった」
「元服かぁ。佐吉殿と紀之介殿がいなくなってしまったのですね」
「貴様は?」
「私は…」
「やれ、裳着の儀を終えぬと名をつけられんと言っておったな。」
「有耶無耶になってしまって」
「「は?」」
「もう面倒だから通称で行けと父上が。どうせ内侍殿でいくだろうしと。幾分良い加減な父で、子に対する愛着があるのかないのか」
「…ぬしも哀れよな」
「ふふふ。致し方ない。だから私は好きに呼んでくれ。」
「そうよの。如何いたす。三成。」
「内侍は言いにくい。」
「ひどい言い方だなぁ」
「饅頭にでもしろ。よく食うだろ?」
「…」
「やれ怒るな。逆に美しい名をつけたらつけたで恐ろしいわ」
「!それもそうだ!」
「そうよな。ふむ。今は内侍でよかろ」
「?」
「結婚したらつけてもらえ」
「…」
「出来るのか?」
「わからない。…刑部殿の馬鹿」
「ひひひ」







はなのかんばせ









「内侍殿」
「竹中様」
「久し振りの大阪はどうだい?」
「懐かしくて涙が出そうです」
「そうかい。なら、」
「?」
「君の都仕込みの舞を見せてもらいたいんだけど」
「…はぁ」
「ではよろしく頼むよ。」







というわけで納曽利を舞って控えている。些か疲れたなぁとぐたりとしていると刑部殿の声がする。




「やれ、疲れたか?」
「帰ってきてすぐに踊らされるとは…流石は豊臣」
「ひひひ」
「明日は箏だし。私、何のために遊学したのか」
「あれ、拗ねるな拗ねるな」
「…」
「にしても薄化粧よな」
「女舞だから」
「そういうものか」
「うん」
「もっとひらひらしたものが良いなぁ」
「蝶みたいに?」
「ん」
「今度踊ってあげる」
「左様か」
「うん」
「内侍殿」
「何?」
「美しくならしゃれた」
「は?」
「では…何用か?輿を引っ張るでないわ」
「少し膝貸して?」
「かわいい顔で空恐ろしいことをいう」
「なら、手で良いから」
「?」
「少し眠たいの」
「ひひひ。童のようよの」

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01

「ああ、次は女武者か」
「知らぬとはいえ哀れなものよ。紀之介殿の次とは」
「まぁあの顔で泣く男どもが多いゆえ。それでも良いかもしれぬがな」



茶席の花は仇花かと内心で舌打ちをする。初参のこの者は知らなかったのであろうが、憐れなものよと茶器を回す。振りで良い振りでとぼそりというと男泣かせの顔を破顔させて忝ないと紡ぐのだ。
飲まずに済んで喜んでいようと思った瞬間、それはそれは美しい粗作で飲み干してしまう。
人々がざわりとしている間ケロっとした顔で佐吉に全て飲んだことを詫びている。



「さて、もう一服お点て願いますか?」
「は、はい!」
「早くしろ!貴様が全て飲んだせいだぞ!」
「ふふふ。申し訳ない。賢者ののちの椀でございましたからなあ。」
「作法を知らんのか?」
「まぁ、一通り」
「にしても女だてらに剛毅なものよ!」
「紀之介殿の椀を飲み干すなど…」
「そこまでして豊臣の末座が欲しいものか?流石さもしい女子よ」
「貴様ら…」
「ほれ、佐吉殿。お茶が参りましたよ。お飲みくだされ。」
「貴様!言わせたままでいいのか!」
「まぁ、あの様な腹黒い愚者の後ならふりをいたしましょうけど?」
「あ?!」
「そのさもしい女にただの一度も勝てぬ負け犬など相手になさいますな。ああ、でも」
「?!」
「私以外の悪言は聞き捨てなりませぬなぁ。さあ、佐吉殿。お好きに…あーあ。暴れてる。此れ小姓。椀とか避難させなさい。」
「は、はい」
「紀之介殿も巻き込まれぬうちにはよう。」
「…ヌシは?」
「取り敢えず参戦して参ります」
「は?」
「然らばごめん!」
「や、やれ!またしゃれ!」
「佐吉殿!助太刀致す!!!」









はなのかんばせ








「おい」
「あっ!治部殿。久方ぶりでございますな。ご出世おめでとうございます」
「?」
「あら、私をお忘れですか?猪女と言っておられたではないですか」
「ま、さか!」
「その真逆ですよ。勉学を終えてまた大阪城に戻れることとなりました。」
「ぎ、刑部!!!!」
「刑部殿もお元気ですか?」
「やれ、三成。ちと静かにいたせ。文を書きそん…?!」
「刑部殿!」
「そなた…如何致した?遊学して居ったはずでは」
「ええいっ!猪女!刑部から離れろ!!!」
「竹中様からようやっとお許しをいただけて。帰ってきました。ご出世おめでとうございます。」
「さよか。少し見ぬ間に女らしくなったな」
「はい」
「…おい」
「あ、此れ2人にお土産です。」
「ん?」
「なんだ?」
「必勝祈願のお札です。御武勇は聞き及んでいますが、あと、こちらは筆とあと。此れは何だったっけ?」
「やれ、」
「はい?」
「ちとこちに来い」
「はい」
「久しぶりよの」
「っ!」
「おい刑部何を抱きしめている?腕が折れるぞ」
「ひひひ。」
「治部殿も入りますか」
「…」
「羨ましければ早くきりゃれ」
「…」
「治部殿に刑部殿ただいま」
「よく帰ってきたな」
「無事で何より。なにより」

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