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変換なしの雑食夢

ran

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4

「ん」
「本によく寝ておる」
「が、離さんな」
「どうにかしりゃれ」
「無理やりしてみるか?いや…これは泣くな。いいか」
「ぬ…」
「貴様も寝ていなかったからちょうどいい。休んでいろ。昼には起きるだろう?」
「だがのう」
「何か問題でもあるのか?」
「外聞が」
「…?」
「我と同衾は外聞がわるかろう」
「気にする輩か。これが」
「いや、故にな」
「別に構わんだろ?寝ていろ。いいな」





パタリと閉まる音がして途方にくれる。
そうなのだ。こういう2人だから共に入れるのだが…幾分困ったことになったと思う。無理矢理離せば済む話なのだがこの手を離すのに戸惑う自分がいる。幼い折より可憐な花よと言われた顔は美しくならしゃれた。十人が十人振り向く容貌は芍薬とも芙蓉とも形容できよう。本に人の気も知らぬにと頬を撫でてやる。



「ん」
「やれ、離さぬか」
「…」
「内侍殿?」




花がほころぶ如く微笑まないではくれないか。その甘い声で私の名前を呼ばないでほしい。




「眠い」
「寝りゃしゃれ。我を離してのち」
「やだ」
「内侍殿」
「刑部殿」
「?」
「側に置いて」
「は?」
「す、き」
「っ?!」
「すぅ…」
「…」




この秘めた心を炙り出すようなことはしないでくれはしないか








はなのかんばせ






抱きしめたいが出来ぬ。
此の儘我が物にしたいといつの時より思っていたか。



然しながらこれが誠と誰かいえよう?




醜い我と美しいヌシがどうやって添え遂げよう。






「ん…」
「やれ、離したもう。暑い、あつい」
「っ?!私?あれ、日が高い?!!治部殿も?」
「もう昼よ。三成はとうに仕事よ。我も行かねばなるまいが…ヌシが離れぬでな。」
「す、すまない!いや、ごめんなさい。とんだ粗相を」
「なぁ内侍殿」
「私、そんなに寝ぼけていたのか?ああ。すまない。刑部殿。殿下や竹中様には私から」
「もうヌシは我の前に来るな」
「…え?」
「よいな」
「え?刑部殿?」
「…」
「…本当にすまなかった。刑部殿が怒るのも無理はない。仕事の時もできるだけ会わないようにする。」
「ひひひ。聞き分けがよい。宴は仕方ないとしてもう会うこともそうはあるまい」
「…」
「ではな」
「刑部殿」
「ん?」





今までありがとうと言った内侍殿の顔が忘れられぬ。
美しい顔を必死に保ちポロポロと溢れる涙もまた、美しいと知ったからだ。

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