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変換なしの雑食夢

ran

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蛍火

「病院のベットで寝てるの見るのって嫌だよね」
「仕方ないでしょ?ここ病院ですから」
「知ってるけど」
「一部の人間以外絡みにくいし、突っ込み入れにくいしで面倒くさい人ですよね。拾って助けるんじゃなかったかなぁ」
「出来ないくせに。」
「そうなんですけどね。最大の不幸ですよ」



眠る彼女を見て点滴を見る。変なもの混ざってないよねというので貴方にじゃないんですからと返しておく。この顔。ろくでなしのこの人をこんな顔に出来るのは世界で彼女唯一人だろう。祈る様に彼女の手を握る様なんて驚嘆を通り越して恐怖だし何より気持ち悪い。


「何考えてるの?」
「人の嫌がることを進んでするような人なのに。気持ち悪いなぁって」
「ねぇ」
「無視ですか?」
「…」
「睨まないでくださいよ。本当に唯の風邪ですよ」
「本当に?」
「疑うなら他所へどうぞ」
「君を一番信頼してるからね」
「ふふ」



そう言うと髪を梳きながら額にキスを落とす。
何これ。本当に気持ち悪い。




「本当に好きですね」
「当たり前のこと聞かないでくれる?」
「本人は信じてないけど」
「言わないでよ」
「伏木蔵が喜びそうだな」
「うふふ。そう言えばどこ?」
「二駅間違ったみたいですよ」
「不幸だねぇ」
「あなた違ってね」
「今は十分不幸だよ」
「そうですか?」
「そりゃね。無理させちゃたもの。」
「ふーん」
「ふーんって。ここは慰めるところじゃない?」
「あはは。僕のそう言うの女の子のためだけに使うものですから」
「ふふふ君らしいよね。」




蛍火




「ん…」
「大丈夫?」
「雑渡さん?」
「如何したの?」
「心配かけてごめんなさい」
「良いよ。早く治ってくれればなんだって」
「うん」
(やっぱり気持ち悪いなぁ)

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蛍火

「…」
「嬢…」
「…え?!」
「失礼します。」
「陣な…って何してるの?!」
「…」
「山本さん?」
「はぁ。少し待っていてください。高坂、体温計取ってこい」
「わかりました。」
「?」
「…体温計?」
「ひどい熱ですね。うちの下のが熱出した時の顔とよく似てます」
「嬢??!!!?」
「熱測れますか?尊!毛布持ってこい。それと高坂、善法寺にも連絡してくれ。」
「はい!」
「ポカリも持ってきます。冷えピタは有ったかな?」
「氷にしろ。かぶれたら殺されるぞ」



ぼーっとそのやりとりを見ていると機械音が聞こえる。取り出して渡す。おずおずと山本さんの顔を見ると怖い顔になっているので相当高かったのだろう。何度ありましたかと尋ねると39.5度らしい。そりゃ酷いと他人事のように言うと停止していた雑渡さんがすごい奇声をあげて動き始める。壊れたロボットみたい。
尊君が持ってきた毛布をぶんどってぐるぐる巻きにされる。息苦しいと言いたい所で山本さんが直してくれる。首を横に 振ると言うとオプション付きで。
そして高坂さんに電話をもたせて(通常モード)善法寺さんに何かを訴えている。煩いし、頭が痛い。



「直ぐ連れてくから。うん。頼むよ」
「山本さん、雑渡さんの午後からの」
「隅田のは代わりに行け。岡田は俺が行く。高坂は運転しろ。あの人が飛ばせといっても飛ばすな。雑渡さんも」
「なに?!」
「安全運転を厳守してください。あと声も。嬢の熱が上がりますから。」
「…」
「あたま、いたい」
「うん、うん。直ぐ伊作君の所に連れて行ってあげるから」
「う、ん。」
「辛くない?飲めそう?」
「欲しくない」
「陣左は?」
「車回してきています」
「あと頼んだよ」



そう言うと雑渡さんは私を抱き抱えて外へ向かう。減らず口も叩かず、終始焦っている。その理由がこのあいだの話なら少し嫌だなと思う。ずっーと昔の私に嫉妬しているだなんて、すごくバカらしいけど。





蛍火





点滴嫌だなと言えば、笑顔の善法寺さんに大人しく腕を出すのと羽交い締めで無理やりやられるのどっちが良いと言われたので大人しく腕を出す。この人顔の割に怖いんだよねと思えば、痛い方で良い?と尋ねられるので謝る。曰く顔に出ているらしい。
雑渡さんはと尋ねるとあの人はあなたに甘いから外で待たせているとのこと。甘いのかなといえば、注射を打つ時に銃口が向けられるらしい。甘いのでは無く過保護だねと笑いながら言う時には処置が終わっていた。



「前世」
「え?」
「信じます?」
「信じるも何も…」
「善法寺さんとも知り合いでしたか?」
「うん。ただ、あなたと違って因縁じみているけどね。」
「へー」
「君は?」
「どうだろ。覚えてないから」
「不安?」
「凄く」
「前の君は愛されていたからね」
「へー」
「会いに来るのもあなたの話をするためだもん。」
「幸せだったのね、昔の私に」
「如何だろうね。心の内まではわからないけど。今は?」
「延長的な?」
「ふふふ」
「善法寺さん?」
「あの極悪非道が服着て歩いている人が君が熱出たくらいで慌ててくるんだよ。延長的なものでは無くて君そのものが大切だって思わない?」



そう言って善法寺さんはパイプ椅子に座る。安心して、彼は君を愛しているよと言われても素直にうんと言えない。だって、と思案して頭が痛くなるのを感じる。


「無理しない」
「はい」
「あ、そうそう」
「?」
「雑渡さんね、君の名前呼んでたよ。すぐに治してくれっていいながら。」
「…」
「小さい時からよく熱出してて、最近油断してたって言いながら。私さ、ふと思って聞いたんだよね」
「何を?」
「昔の二の舞は嫌ですかって」
「…悪趣味」
「ふふふ、ならあの人如何なったと思う?一旦停止してそう言えば!って。笑ったよ。昔死に目に会えないって散々後悔したのに忘れてるんだもの」
「…」
「それ位に君が大切なんだよ」



そう言うと私のおでこに手を乗せて、うん。可愛いと言うと席を立つ。如何いうことだろうと再び思いながらドアを見ると心底心配してくれている雑渡さんの顔が見えて、より深く愛しくなってしまったのだ

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蛍火

前世って信じる?という雑渡さんの顔が信じられない程真面目で驚く。私越しに見ている人。きっと雑渡さんが一番好きな人を聞き出すために残ったのにと心のどこかで思ったものの怒るに怒れない。そんな顔ではない。 答如何でこの恋に終止符を打つつもりだ。
産まれて、ずっと雑渡さんが好きだ。小学校の時には父さんにも母さんにも雑渡さん以外と結婚するつもりないと言っていたくらいだから筋金入りだと思う。 芸能人のイケメンでもなければ隣の席のモテ男でもなく、このだらしなく背広を着こなして悪いことをする、雑渡さんが好きなのだ。涙が出るほどに。雑渡さんも優しい。山本さん曰く、私のこと以外は人でなしらしい。優しさなんてある男じゃない。そう言って私の頭を撫でてくれた、その言葉に騙されたのかもしれない。父の側近だから。ただそれだけかもしれない。そう思ってしまって、綺麗な人と歩いていたその姿を見た瞬間から疑いは確信になって、幸せは不幸に変わる。 だから断ち切らないといけないのだ。そう、思っていたのに

「前世の恋人?」
「そう」
「で、私が勝手に死んじゃったから」
「土葬が主流な時代に火葬させたからね。私なんて死に顔見れなかったし、なにより全部燃やすしね。本当に綺麗さっぱり君がいなくなった時の私の気持ちわかる?」
「知らないです。」
「狂うに狂えなくて。まぁ、人でなしだったからみんなにはわかんなかったかも?」
「じゃあ今と変わりませんね。」
「…ねぇ。それやめて」
「?」
「敬語」
「…」
「今も、昔も。君ほど愛した女はいないよ。産まれた時からの付き合いはどっちも同じだけど、愛しさは増したもんね。号泣してみんなドン引きさせたし。どんどん綺麗になっていって、他の男のとこに走って行かれたらどうしようって思ってたし。なに、より。」
「雑渡さん」
「また、君が」
「泣かないで」
「私の前からいなくなったら、その時」
「泣かないで」

自他共に認める人でなしの涙はこんなにも美しいのか?ポロポロとこぼれるそれにキスを落として抱きしめる。頭を撫でてやると背中に腕を回される。草臥れた背広はタバコとコロンの匂いがする。


「モテる癖に」
「うん。」
「否定して」
「いやだって。飲み屋のお姉ちゃんにはモテるよね。地位的にも、財布的にも」
「…」
「凄く疑ってるのがわかるわぁ。でもね、向こうも遊びかどうかくらいわかるし」
「朽ちろ!」
「口悪いねぇ。」
「雑渡さんは私越しに見てる昔の私が好きなんだよ。」
「ん?」
「愛情じゃなくて、執着だよ。」
「否定しないけど、違うね。」
「…」
「姫は裸馬に乗って敵を倒す人だったし、私は…まぁ変わりないか。人でなしな時代に見合った仕事してたかね。決して結ばれない、普通に愛してやることなんてできないもの。そんな中、二人っきりになるとあどけない女の子になる姫があの時の私はなによりも誇らしかったし愛していたよ。ただ、ね。それは昔の私たちの話だから。」
「…」
「今の私は、素直に可愛く育つ君が好き。恐る恐るここに来て私の名前を呼んで、甘い物頬張る君が好きだよ。」
「なんか慣れてる」
「慣れてないから。おじさんのことどう思ってんの?」
「高坂さんみたいな女の敵」
「…あいつと一緒かよ」


そう言うと顔を肩口に埋められる。あいつと一緒は嫌だなぁと言っている辺り本気だろう。本気で嫌がっている。

「ねぇ」
「ん?」
「今の私が間違いなく好きって言い切れる」
「うん」
「…返事が軽い」
「あのさ」
「?」
「嬢が見てる面は私の一番綺麗なところだからわかんないかもしれないけど、私が義理や人情に流されると思う?」
「…」
「悪いけどそこまで甘い男じゃないよ。昔の執着だけで一人の女に満足するわけない…ああ、違うから!泣かないでよ」
「満足してないからぁ」
「違うから!そう言うと斜め上の解釈やめて!!!」
「…」
「っていうか信じてる?」
「前世のくだりは…正直」
「まぁ逆ならそうだもんね。」
「でも今の人生の中でこんなに真面目な雑渡さんは初めて見た、から。信じたい」
「うん」
「私は雑渡さんが凄く好き。」
「本当に?」
「…」
「に、睨まないでよ」
「死ね」
「直接的?!」
「じゃないとこんなちゃらんぽらんな男を選ばないよ!」
「…褒めてる?」


蛍火



「付き合うなら結婚前提だよ」
「重い」
「なにそれ。」
「けけけけけけけ結婚だなんて」
「ん?」
「…余裕綽々なのがムカつく」
「何か言った?」
「…」
「嬢?」
「好きとは言ったけど雑渡さんのものになるとは言ってないよね」
「…は?」
「と言うわけで」
「ちょっ、待って!なに、え?!」

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蛍火 雑渡

「絶句してますよ」
「あれなら誰でも絶句する。」
「雑渡さんがああ迄酔われるとは…」
「そこですか?!」
「死ぬほどウイスキーのカラ瓶が転がっているからな」
「嬢は下戸だったはずですよ」
「お労しい…雑渡さん」
「匂いで酔うな。人間奈良漬だからな。」
「奈良漬…」



外野を無視して腰にへばりつくおじさんの旋毛を睨みつける。こんな人おじさんで十分だ。酒臭い。密かに腰撫でるし。鳥肌が出る。思いっきり頭を叩くと変な声がして腰に回された腕が退く。すくりと立つってその場を立ち去ると外野の元へ行く。



「何あれ?」
「嬢」
「ざざざざざざざ雑渡さん?!」
「忠犬め。」
「崇拝してますからね。手、大丈夫ですか?」
「ん?うん」
「いい笑顔っすね」
「いやーだって」
「まぁ、あれですからね」
「山本さん、これ」
「あ、うちのが喜びます」
「前から思ってたんですけどわざわざ服買ってるんですか?」
「うんん。作ってんの」
「すげっ!」
「男の子と女の子のお揃いって少ないでしょ?私の場合ストレス発散だし」
「…」



そう言って雑渡さんを見る。高坂さんが忠犬らしく毛布をかけている所を見ると寝たらしい。なんだあいつ。





蛍火




「あれ?」
「おはようございます。」
「なんでいるの?」
「いちゃ、悪いですか?」
「いや、その」
「酔っ払いの介護なんてするとは思いませんでした」
「すいません」
「高坂さんにお礼言っておいてくださいね。」
「は?」
「すごい勢いで土下座してくれたよ。雑渡さんを見捨てないでください、このまま捨てないでくださいって。まぁなんでもするっていうので許したけど」
「陣左…」
「で」
「?」
「高坂さんを締め上げて聞かれるのと、自分で吐くのとどっちがいい?」
「え、えぇー…」
「早く決めて」
「言います」

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蛍火 雑渡さん

ちなみに
雑渡さん 33歳 尊君 20歳 高坂さん 26歳
山本さん 49歳 私 22歳






ブティックのお姉さんの眩しい笑顔に手を振る。セールはいいわと思っていたら高坂さんを見つけて手を振るとカッと目が見開いて恐怖を感じる。何あれ?怖っ。

「お嬢様。やって見つけました。」
「何それ。私、失踪者リストに入ってた?」
「雑渡さんにすぐ連絡します!」
「あー過保護の方が。うん、貸して」
「あっお嬢様?!」
『もしもし?見つけた?』
「あはっ」
『どこに行ってたの?』
「大学の帰りセールに行くって言ってたじゃん。」
『…』
「思い出した?」



帰ってきてよと言われて私は嫌だよと返す。まだ買いたいのあるしと続ければ、高坂を護衛にと言われて高坂さんを見る。うん。困ってるな。

「わかった」
『ん?』
「高坂さんとデートしてくる」
『…』
「お、お嬢様?!」
『ちょと待ってなさい。すぐ行く』
『行ける訳ないでしょ?!』
「さて、雑渡さん」
『何?』
「お仕事頑張ってね。」
『早く終わらせてすぐ行くからね。陣左。わかってるよね』
「命に代えましてもお守りします!」



何か言っていたけど無視して電源ごと落とす。高坂さんが悲鳴をあげたものの私は無視する。
つかつかつかと歩いてランジェリーショップに入ったり、本屋に寄ったりしてかっわいらしい喫茶店に入ってやる。スペックが良過ぎて腹立つわ。店員さんにおまけまでしてもらって…とも思いながら向かい合わせに座る。



「スペックが宜しくて何の甚振りにもならないなんて!」
「はぁ。すいません」
「多分雑渡さん辺りも堂々と入ってくるだろうなぁ」
「あの人はそういう人ですから。」
「ふふふ、知ってる」
「お嬢様?」
「ねぇ。高坂さん」
「はい」
「雑渡さんに良い人いないの?」
「いないと思いますが」
「ふーん」
「お嬢様一筋ですから」
「高坂さんだから言うわね。」
「は?」




あの人が私越しに見ている人は誰?
そう尋ねると至極困った顔になる。気づかない訳ないでしょと内心舌打ちをして私はじっと高坂さんを見る。
答えられないのだろうか。私はくつくつ笑ってコーヒーを飲み干した



蛍火



「何してんの?」
「お茶してます。雑渡さん、お仕事は?」
「途中」
「そうですか。」
「何その話し方。」
「雑渡さん以外は年上にはこの話し方ですが?」
「そう。私以外はね。」
「高坂さんに送ってもらいます。」
「あいつも連れて行かないと」
「なら、他を呼びます。」
「信用出来ない」
「…」
「車乗って」
「はぁ」
「嬢?」
「どうしてそっとしてくれないの?」
「大切だからに決まってるでしょ?」
「…嘘つき。」
「心外だね。」
「好きな人のところ行けば良いでしょ!?」
「だから来てるじゃない」
「!」
「どう思ってるか知らないけど。君以上に大切な人いないよ。」
「私越しに」
「大人になった君を見てる。どんどん綺麗になるんだもん。おじさん必死よ」
「…」
「嬢」
「優しい嘘、付くようになったのね。」
「…」
「いいわ。そういう事にしましょう。」
「嬢?」
「車用意してください。乗ります。」
「…ごめんね。」
「謝らないでくれます?すごく惨めだわ」

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