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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成 6

目を覚ますと殿がいて驚く。声は出ない上体が動かせないのだが、殿は私の目が開いた途端刮目されて私の頬を撫でる。どうしたら良いのだろうか?と思案していたらよかったとだけ声をかけてくださった。

「あ…」
「声を出すな。まだ熱も下がっていない」
「と…の?」
「左近!っち!寝てるな。この大空け!!!」
「ってー!!!何事…あっ!奥方様!!!」
「叫ぶなやかましい!早く医師を呼んでこい!!!刑部は寝かしておけ。良いな」
「はい!」
「…起きたら峠は越したと思って良いと言っていた。…奥」
「?」
「よく頑張ったな。3日、生死の境を彷徨っていた。」
「と、のは?」
「ん?」
「寝て…ないの、ですか?」
「あ、ああ。怒るな。また後で寝る。」
「…」
「熱が高いな。水は?」
「いた、だきっ!ごほごほ」
「落ち着け。今は余計な事を考えたりしなくて良い。熱がまだ酷いのだからな」
「あい」
「っ!」
「?」
「と、の?」
「飲めるか?」
「あい」
「ゆっくり飲め。まだ飲めるか?」
「ん…」
「後で薬は飲め。また寝ればゆるゆると治るだろう」
「との」
「何だ?」
「手を」
「ん?ああ。すまない…」
「いえ、その」
「握っていたのも気づいていなかった…本当にすまない」
「手」
「ん?」
「もう少しだけ…」
「?!」
「駄目なら」
「駄目なことなどあるか!!!」
「ふふふ」
「もっとわがままを言え。聞けん事ははっきり言う」
「あい」
「…だからもうどこに行かないでくれ」
「…あい」
「泣くな…ああすまない。私のせいだ。だが…」
「…との?」
「お前は涙まで美しいな」
「?」
「…!いや、そのだ。泣かせたい訳ではない。酷い事をする気もない」
「???」
「…わからなければ其れで良い。今日はずっと横にいる。何かあったらすぐ言え」
「あい」
「…医師はまだか…刑部?!」
「入りにくいし、肝心をな事は言わぬし…本に主は!!!」





片思いの三成 6







「…ん」
「ヒヒヒッ」
「大谷様?」
「少し下がったか?やれ、手拭いを変える」
「殿は?」
「横を見りゃれ」
「…あら」
「流石の三成も4日寝ないのは堪えたらしい故、許しゃれ。」
「左近様に言いましてお部屋に」
「我もそういったがの。ぬしと約束した故ならぬと。意外と頑丈故気になさるな」
「ですが…」
「ん…」
「?!」
「やれ起きたか?」
「奥、は?」
「横よ」
「殿?お部屋にお戻りになってお休み…」
「まだ熱があるな」
「え?あの…」
「早く横になれ。私もそばにいる。拒否は許さない」
「う、あ…」
「明確に寝ぼけているな…致し方ない。そのままもうちと寝りゃれ」
「助けっ!」
「ヒヒヒッ。諦めも肝心よ。なぁに。寝ぼけて何かしたら鉄球ですり潰す故安心いたせ」

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片思いの三成 5

奥方が居なくなり急いで探していると城下外れの森で倒れているところ農民によって保護された。直ぐに城へという三成によって西の離れではなく東の離れに運びこまれた。一旦、下屋敷で療養しようと言ったが三成は頑として受け入れなかった。戸板で長々運ばれたのだ。それだけで十分晒し者としたことや病気を重くした事など一切気がついていないのだろう。




「大谷様?」
「ん?目が覚めたか?」
「此処は?」
「東の離れよ。すまぬなぁ。主がいなくなって彼方は三成が」
「あら、片付けが大変ですね」
「ヒヒヒッ。そう来たか。そんなことより体の具合は如何か?」
「適度に」
「高熱よ。後、ぬしは食べておらなんだのか?」
「いいえ。吐いてしまって」
「医師も心労と言っておったな…」
「恥ずかしい限りです」
「いや、主には辛い環境よ。妹御も。三成は辞退したが…」
「いいえ。子を成せぬ私が悪いのです。石女に次をというのは当たり前のことですから。ただ」
「?」
「何故、私は此処にいるのかと考え始めると…栓無きことですね。」
「いや…」
「ふふふ。もう二度としませんわ。というか発作的で。私もよく覚えていないのです」
「奥方」
「気がつけば農夫の顔で。私の着物の紋を見て此処に知らせてくださったのでしょう。礼を言わなければなりませんね」
「ああ」
「後側室は?お身体に障っておられませんか?」
「大事ない。心配しているようだ。皆も」
「左様で御座いますか。ああ、そうです」
「?!起きしゃるな」
「繕い物。直しておきました。殿と大谷様のを。きっと殿とはもう相見えませんでしょうから、お渡しくださいませ」
「何を言う」
「?」
「気を強く」
「違いますよ。ではなく、私は此処から逃げた女子です。何より里に返そうとなかったくらいですから。体が治れば…里に帰されましょう。大谷様にももうなかなか会えませんね。」
「馬鹿を言うな」
「随分親切にしてくださいました。なんとお礼を申しましたら良いのか」
「奥方!」
「嫁ぐ折恐ろしく方ばかりと聞いていましたが皆様親切にしてくださいました。殿も優しい方でした 。口煩い私を何度も追い出したかったでしょうに…」
「あれは上手く己を…主を厭うてはおらんよ」
「でももう過ぎたことですわ。私は此処に居るべきでは有りません。大谷様」
「ん」
「殿をよろしくお願い申し上げます」
「…今は体をなおしゃれ。それが主の仕事よ」








片思いの三成 5






「奥…」




声をかけても魘されているだけで反応はない。熱がまた上がったのだ。それを聞いて三成が横に座っているのだが…やはり反応はない。危篤状態ですねと医師が小さく呟く。見てわかる程度に奥は弱っていた。




「襷を」
「やれ三成」
「これがこうまでなったのは…私のせいだ。」
「三成様」
「左近、水を張ってもってこい。白湯と砂糖と。」
「はいっ!」
「…やれ三成。」
「今日は此処に詰める。刑部。貴様の医師を呼べ。」
「我のか?」
「貴様を一番信用している。」
「ヒヒヒッ。左様か」
「う…」
「?!」
「奥!苦しいか?安心しろ」
「…熱が高いのう。やれ、三成。我は医師を連れてまいる。ようよう目を離すでないぞ」
「当たり前だ。奥…額を冷やすぞ」
「ん…」
「匙を持ってこいと左近に言ってくれ。」
「あいわかった」
「奥…死ぬな。私を置いていくな!其れだけは許さんぞ」

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片思いの三成 4

「何をしている?」
「い、や。奥に、と」
「いつもいつも買っては渡せぬ終いよな」
「言うな…」
「無欲で欲しいものがはっきりしている割には…側が増えるばかりよな」
「…」
「妹御は全然似ておらぬなぁ。顔だけよ。」
「はぁ」
「これを預かった。」
「奥にか?!」
「側によな。これは産着。妹御には文と侍女を」
「侍女だと?!あれの周りは如何なる?!」
「致し方ない。里に返されるのが普通故。大体一年の殆どを大阪と戦場にいる主の室は佐和山ではなく大阪屋敷の方になるのを分かっているのか?」
「?!」
「いやはや。主は糞真面目というか馬鹿というか…」
「私の室は奥だけだ!」
「左様か。主には薬と菓子を。本にできた女子よ。泣きもせずに居るわ」
「…」
「ヒヒヒッ」







殿のお帰りらしく城が俄かに活気付く。私は如何したものかと思いながら門まで行くと騎乗した殿が見えてきて一礼すると顔を顰められる。まだ居たのかと言わんばかりに。よく顔に出る人だ。と苦笑していると左近様に手を振られる。相も変わらず、明るい方だ。




「奥方様ぁ!」
「左近様。お帰りなさい。」
「只今帰り、ぶへら!」
「ヒヒヒッ」
「大谷様もおかえりなさいませ。」
「元気そうと言いたいが。如何した?」
「?」
「顔色悪いっすよ」
「あら?そうですか」
「熱が…ないか。」
「それで…」
「「?」」
「殿のお顔が。」
「あ、ああ。それはのう。」
「お、俺。無事かなぁ。」
「死なぬようになぁ」
「刑部さん?!」
「後で部屋に行くのはやめておきます。どうぞよろしくお伝えくださいませ。あと」
「部屋も言っておくが…良いのか?」
「変わりましたけど以外と心地よいものですよ。」
「左様か」
「部屋って…三成様の近くでしたよね?手狭になったんすか?」
「逆よ逆」
「こちらの側室も懐妊いたしましたから。部屋が手狭になってしまいましてね。私の部屋も使ってもらうことにしたのですよ。」
「は?!なら奥方様は?」
「西の離れが空いていましたから。そこに。」
「彼処は暗い故やはり東の離れの方が」
「彼処は若様に。本当は城下の下屋敷と思っていたのですが大谷様にもこちらの方にも大反対されて…」
「それはなぁ。主は格式とかに疎い故…どこの国に下屋敷に室を入れるものか」
「名だけですから…っと」
「奥方様?!」
「大事ないか?やはり医師に」
「大袈裟ですわ。大丈夫。少し横になれば治るものですから」
「だけど…刑部さん」
「一応なぁ」
「ふふふ。長の旅の後私事にお手を煩わせるのは些か。ほらお休みになって。お湯を用意させていますから」
「ぬ…ん」
「何かあったら言ってくださいよ?」
「はいはい。」






こちらを心配げに見つつも2人は行ってしまう。手を振って私は一息をつく。お湯と食事の支度と。後は皆に任しておけばいい。側には挨拶しておいたし、少し休もうかと思いながら部屋に行く。
すると、なぜか部屋の前が騒がしい。如何したものかと思っていたら殿が居て驚いてしまう。




「殿?」
「何故こちらにいる?!」
「文に書いた通りです」
「文に?」
「大谷様に」
「あ、ああ。そう言えば」
「…私の荷物を出したのですか?」
「あ、ああ」
「打ち出されるのなれば御心替わりですね」
「は?」
「…里に帰る支度を致します。」
「な?!待て!!!」
「?」
「誰も帰れとは」
「ですが、それもこれも嫁入り支度でございます。それを壊すのですから」
「は?え!?」
「さて、と。片付け致します。誰か。長持を」
「ま、待て」
「殿も。皆様も。屋敷に食事を用意しておりますので。お体お休みさせてくださいませ」
「奥!なっ?!」
「…申し訳ありません」
「な、何故泣く?!」
「…これは母から頂いたものです。」
「あ…」
「形ある物はいつかはなくなるものですから。気になさらないで」
「お、く」
「さぁ、早く。殿が居ないと皆食事が出来ませんわ」
「…すまない」
「ふふふ。それでは」







片思いの三成 4











『辛いことがあっても辛抱しなさい。恐ろしい方と聞いておりますから…このお守りを』




犬の陶器で出来たお守りは粉々に砕けていて今の私のようねと笑ってしまった。父様母様にご迷惑をおかけしていると改めて思い知らされる。
父様の文には私を哀れんで早く帰ってくるようにと書かれていた。外聞的には恐ろしい武将だが家族には優しい面もあった。御怒りしていたのが飼い殺しになっている今の現状は憐れみの情に触れるらしい。帰ってきなさいという言葉をそのまま聞いていいものか否かわからないけども。今の状態は帰らざる得れない。




「父様。母様」





ふらりと立ち上がる。そして私は歩き始める。



もう此処にはいられない。居てはならないのだ。

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片思いの三成 3

嫁などいらんと散々に駄々をこね刑部を困らせた。私には秀吉様さえいればいいと言っていた。のに、刑部は秀吉様と半兵衛様に相談をして私の嫁取りを命として。実行したのだ。豊臣恩顧の武将で私もその者の働きぶりをよく知っている。人間的にも忠臣的にも申し分無い家だったので渋々ながら是したのだ。同時に、一地方なれども有力な武将の子を側に入れ、両方に子が出来ればそれで良いとおっしゃってくださった。慈しむ必要はない、これも仕事よと。私もそう、思っていたのだ。抱いてほっておけば良い。子息教育は半兵衛様がしてくださると仰せだったし、私自身やることと言えばそれ位だ。ならば別段負担にはならない。そう、あの奥を見るまでは。馬鹿馬鹿しい話だ。結婚の儀の時、白無垢に身を包んだ奥を見て私は恋に落ちてしまった。





「…」
「離縁しないんだね」
「はい」
「秀吉」
「あちらが、妹をと言っている。」
「なっ?!」
「2年子が出来なかった上に側室に産まれるんだ。そりゃそうなるだろうね。」
「三成」
「私は、」
「弁えろ」
「!」
「貴様は、子を作らねばなるまい。故の縁組で子を成せずにいたら里に返されるのは当たり前だ」
「しかし…」
「そんな悲しそうな顔をしなくても良いよ。妹だからよく似ているみたいだし。逆に明るくて気立ての良い子だ。年の頃合いで姉の方にしたけど、妹のほうがよかったねと言っていたくらいだよ。あちらは元々妹をと言っていたくらいだ。」
「ですが」
「…歯切れが良くないなぁ。他に何かあるというのかい?吉継君。笑ってないでなにかいってくれないかや?」
「ひひひ。三成の室は代えれぬよ」
「何故だい?吉継君」
「あれなら此奴も衣食住の言う事を聞く」
「「?!」」
「故に…ヒヒヒッ」
「そういうことなら仕方がない。けど、妹君を大阪屋敷に入れるよ。いいね」
「…はい」
「はぁ。女性らしくないからそういう相手にならなかった?。」
「そ、の」
「逆よ。逆」
「え?!ああ。そういう事か」
「…まぁいい。次の戦の話を。半兵衛」
「ん。そうだね」









奥に手紙を書く。今回の。側室の話を書き報告をしなければならないが。あの時の顔を思い出してしまう。あの、無表情を。きっと私のことを軽蔑しているのだろう。





「殿からお手紙とは何が書いていたのですか?」
「…読みますか?」
「いっ!いえ、ご夫婦の手紙…何ですかこれ?」
「何か?」
「い、え。」
「すごく短いでしょ?いつもの事よ。大阪屋敷に下の妹を迎えるそうよ。」
「な?!」
「そこでお願いがあるの。父上からもお叱りを受けました。妹の支度は良いとして侍女たちはあちらに半分回すようにと。」
「殿様が?」
「あなたたちのような優秀な侍女はなかなかいないということね。私の方は良いですから。雑務をこなして下さる人を2人残してあとは全員大阪に行きなさい」
「では私が残ります!私と花が」
「あなた達姉妹は名指しであちらへ行けとのご達しよ。」
「…では殿様に」
「あの人が血の通ったことを致しますか。ふふふ。妹を頼みます。」
「奥方様…」
「あなた達姉妹は実の妹以上に共にいましたから…寂しくなるわね。時折、文を書いて頂戴」
「っ」
「それと。これは私からあなた達に。」
「これは奥方様の衣装ではございませんか!」
「ふふふ。あなた達に。彼方では太閤殿下の前に侍ることも多いでしょうから。衣装には重々気をつけて。これはその金子です」
「!」
「妹にしている気でいますから。受け取って下さい。花にも。あの子、すぐ泣いてしまうから」
「私だって泣きそうです」
「泣かないで頂戴。…ごめんなさいね。私が、至らないばかりに」
「う…っ!」
「ふふふ。元気でね」






片思いの三成 3







「おお!奥」
「あら、大谷様?」
「我だけ一時的にな。」
「大阪屋敷に妹が入るとの由、御面倒をおかけ致します。」
「知っておったか?」
「殿から手紙を…私はいつ里に?」
「帰らぬ帰らぬ。主はここの女主人のままよ」
「…戻してくださって結構なのですよ」
「お父上には我と三成が願い出ている。まだ返事は貰っておらんが…何という返事があってもここにいりゃれ。良いか」
「…わかりました」
「にしても」
「?」
「いつもの侍女は?随分静かになっている」
「殆ど大阪にやりました。」
「は?」
「里からの要請です。太閤殿下のそば近くにある大阪屋敷に共に入れる侍女は才女でなくてはならないので。」
「!」
「父上の太閤殿下好きは周知の事実でございましたね」
「…主は如何する気だ?」
「正室といえども。本来彼方の方の方が正室となりますれば。側となりますか?」
「三成がそれを許しはしなかった…主は正室のままよ」
「では」
「奥」
「ひっそりと。生きていくことにいたしましょう」

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片思いの三成 2

「明日より行ってくる」
「道中お気をつけくださいませ」
「あ、ああ」
「殿、箸」
「分かっている」
「彼方の方に滋養の良いものを集めておきました。お持ちくださるよに左近様に手配をお願い致しました。お渡しください」
「すまない」
「室の務めでございますれば…産着は次の機会にお渡しします。」
「ああ」
「まだ寒うございますれば綿入れをお作りいたしましたので、夜半はそれを掛けてお励みくださいませ」
「は?」
「何か?」
「作ったと?」
「ええ。」
「貴方が私にか?」
「そうですが?」
「…」
「いや着ていらっしゃるお召し物。大谷様の物も私が繕うております。何か不具合でもございますか?」
「い、や。」
「此れからは針子か側に頼みましょうか?」
「何故だ?!」
「眉間の皺が。お気に召さないのなら、そう致しましょう」
「それは、そのだ…。このままでいい」
「…なにか有りましたらおっしゃってくださいませ」
「あ、ああ」
「やれ、三成…ああ、まだ朝餉の途中か。すまぬなぁ。」
「おはようございます、大谷様。あ、そうです。大谷様の分も綿入れ入れておりますればお使いくださいませ。」
「相済まぬなぁ。」
「いいえ。では失礼いたします」
「いや、良い。急ぎでない故。朝餉の途中で邪魔をした。三成」
「何だ?」
「箸」
「貴様は小舅か」
「あら、なれば私は小姑でございますな」
「?!」
「丁度言おうと思って…殿?」
「お前は…私の正室だ」
「そうでございますよ」
「冗談でも言うな」
「…」
「…不愉快だ」
「あいわかりました」
「!」
「…」
「やれ、奥」
「?」
「…やはり、失礼いたします」
「待て!おい…」
「…」
「行ってしまった…」
「主の言い方が悪い」
「何故だ?!あれでは刑部の妻のようではないか!!!」
「不愉快というのが其処だと思わなんだのだろうよ。」
「?」
「しゃべるなと取られたな。あれは」
「な、何故だ!」
「ヒヒヒッ。主が奥に懸想しているは我はわかる。が、奥にとってみれば2年も手を出さず、他の女子を腹ます輩よ。己に興味がないと思おう。」
「な?!」
「しかし…」
「…」
「熟、言葉の足らぬ男よなぁ。」









部屋に帰ると侍女がいるので打掛を渡す。少し頭痛がする。そう告げて休みますのでと言えば医師を呼びましょうかと言われて首を横に振る。必要ないだろう。ただの頭痛だ。少し根を詰めすぎたのだろうと言えば破顔されて喜ばれましたか?言われる。うん、と言えずに困ってしまう。そういう事を考えると頭が痛くなるので休むと、もう一度告げて床に入る。障子を閉めておいてと言うと部屋が暗くなって眠くなる。
うとうととしてしていると奥はという声が聞こえる。殿の声だ。何の用だと思っていると「頭痛がしてお休み中です」と侍女が言う。「そうか」といって帰って行ったのだろう静寂の中で私は今度こそ意識を手放す。





夢を見た。白無垢を着て、誰かが手を引いてくれる。顔もわからないもののこの人は優しい人だと心で思う。優しく強い人。きっとこの子共々幸せにしてくださるだろうと思って目がさめる。最悪の目覚め。夢見が悪い。いや、現実の方がもっと悪い。





「奥方様」
「何?」
「頭痛如何ですか?」
「もっとひどくなりました」
「顔色も優れませんね…もう少しお休みなされますか?」
「そうね…」
「お起きしたら殿が来るようにと言っていたのですが」
「行って休みましょうか。」
「大丈夫ですか?」
「ええ」



そう言って打掛を取ると障子がゆっくり開かれる。すごく眩しい。見ていると頭痛がひどくなるようだ。
できるだけ背筋を伸ばして殿の部屋に行く。何の、用だろうか?明日から大阪に行かれるから、その話だろうかと思って歩いて行くと声がする。
殿と側の声。庭先だからよく聞こえるそれは私の頭痛をさらに痛くする。




「ああっ!」
「おい、気をやるな」
「はんっ。」
「っ!」
「奥に!下さいませ」
「分かっている…っ」
「殿!殿!!!…三成様!」
「はぁ…?!」
「っ奥方様!」
「申し訳ございません。お呼びとのことでしたのですが。ご無礼ご容赦くださいませ」
「待!」
「失礼いたします」





いっそうのこと寝ていればよかったとひどくなる頭痛を抑えながら、自室へと踵を返す。何ともまぁ、元気なことよと思いながら私の頭は痛くなっていくのだった







片思いの三成 2








「お、く」
「何か忘れ物ですか?」
「いや、昨日の」
「取り敢えず」
「!」
「障子を閉めて下さいませ。侍女始め他の者が困りますから」
「っ!」
「何の話よ」
「何の話でもありませんよ。刑部様もお気をつけて」
「やれ、三成」
「…」
「(いったい何をしよった)」
「さて、支度整いました。お気をつけて」
「行ってくる」
「あちらの方によろしくお伝えくださいませ」

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