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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成 5

奥方が居なくなり急いで探していると城下外れの森で倒れているところ農民によって保護された。直ぐに城へという三成によって西の離れではなく東の離れに運びこまれた。一旦、下屋敷で療養しようと言ったが三成は頑として受け入れなかった。戸板で長々運ばれたのだ。それだけで十分晒し者としたことや病気を重くした事など一切気がついていないのだろう。




「大谷様?」
「ん?目が覚めたか?」
「此処は?」
「東の離れよ。すまぬなぁ。主がいなくなって彼方は三成が」
「あら、片付けが大変ですね」
「ヒヒヒッ。そう来たか。そんなことより体の具合は如何か?」
「適度に」
「高熱よ。後、ぬしは食べておらなんだのか?」
「いいえ。吐いてしまって」
「医師も心労と言っておったな…」
「恥ずかしい限りです」
「いや、主には辛い環境よ。妹御も。三成は辞退したが…」
「いいえ。子を成せぬ私が悪いのです。石女に次をというのは当たり前のことですから。ただ」
「?」
「何故、私は此処にいるのかと考え始めると…栓無きことですね。」
「いや…」
「ふふふ。もう二度としませんわ。というか発作的で。私もよく覚えていないのです」
「奥方」
「気がつけば農夫の顔で。私の着物の紋を見て此処に知らせてくださったのでしょう。礼を言わなければなりませんね」
「ああ」
「後側室は?お身体に障っておられませんか?」
「大事ない。心配しているようだ。皆も」
「左様で御座いますか。ああ、そうです」
「?!起きしゃるな」
「繕い物。直しておきました。殿と大谷様のを。きっと殿とはもう相見えませんでしょうから、お渡しくださいませ」
「何を言う」
「?」
「気を強く」
「違いますよ。ではなく、私は此処から逃げた女子です。何より里に返そうとなかったくらいですから。体が治れば…里に帰されましょう。大谷様にももうなかなか会えませんね。」
「馬鹿を言うな」
「随分親切にしてくださいました。なんとお礼を申しましたら良いのか」
「奥方!」
「嫁ぐ折恐ろしく方ばかりと聞いていましたが皆様親切にしてくださいました。殿も優しい方でした 。口煩い私を何度も追い出したかったでしょうに…」
「あれは上手く己を…主を厭うてはおらんよ」
「でももう過ぎたことですわ。私は此処に居るべきでは有りません。大谷様」
「ん」
「殿をよろしくお願い申し上げます」
「…今は体をなおしゃれ。それが主の仕事よ」








片思いの三成 5






「奥…」




声をかけても魘されているだけで反応はない。熱がまた上がったのだ。それを聞いて三成が横に座っているのだが…やはり反応はない。危篤状態ですねと医師が小さく呟く。見てわかる程度に奥は弱っていた。




「襷を」
「やれ三成」
「これがこうまでなったのは…私のせいだ。」
「三成様」
「左近、水を張ってもってこい。白湯と砂糖と。」
「はいっ!」
「…やれ三成。」
「今日は此処に詰める。刑部。貴様の医師を呼べ。」
「我のか?」
「貴様を一番信用している。」
「ヒヒヒッ。左様か」
「う…」
「?!」
「奥!苦しいか?安心しろ」
「…熱が高いのう。やれ、三成。我は医師を連れてまいる。ようよう目を離すでないぞ」
「当たり前だ。奥…額を冷やすぞ」
「ん…」
「匙を持ってこいと左近に言ってくれ。」
「あいわかった」
「奥…死ぬな。私を置いていくな!其れだけは許さんぞ」

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