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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成 3

嫁などいらんと散々に駄々をこね刑部を困らせた。私には秀吉様さえいればいいと言っていた。のに、刑部は秀吉様と半兵衛様に相談をして私の嫁取りを命として。実行したのだ。豊臣恩顧の武将で私もその者の働きぶりをよく知っている。人間的にも忠臣的にも申し分無い家だったので渋々ながら是したのだ。同時に、一地方なれども有力な武将の子を側に入れ、両方に子が出来ればそれで良いとおっしゃってくださった。慈しむ必要はない、これも仕事よと。私もそう、思っていたのだ。抱いてほっておけば良い。子息教育は半兵衛様がしてくださると仰せだったし、私自身やることと言えばそれ位だ。ならば別段負担にはならない。そう、あの奥を見るまでは。馬鹿馬鹿しい話だ。結婚の儀の時、白無垢に身を包んだ奥を見て私は恋に落ちてしまった。





「…」
「離縁しないんだね」
「はい」
「秀吉」
「あちらが、妹をと言っている。」
「なっ?!」
「2年子が出来なかった上に側室に産まれるんだ。そりゃそうなるだろうね。」
「三成」
「私は、」
「弁えろ」
「!」
「貴様は、子を作らねばなるまい。故の縁組で子を成せずにいたら里に返されるのは当たり前だ」
「しかし…」
「そんな悲しそうな顔をしなくても良いよ。妹だからよく似ているみたいだし。逆に明るくて気立ての良い子だ。年の頃合いで姉の方にしたけど、妹のほうがよかったねと言っていたくらいだよ。あちらは元々妹をと言っていたくらいだ。」
「ですが」
「…歯切れが良くないなぁ。他に何かあるというのかい?吉継君。笑ってないでなにかいってくれないかや?」
「ひひひ。三成の室は代えれぬよ」
「何故だい?吉継君」
「あれなら此奴も衣食住の言う事を聞く」
「「?!」」
「故に…ヒヒヒッ」
「そういうことなら仕方がない。けど、妹君を大阪屋敷に入れるよ。いいね」
「…はい」
「はぁ。女性らしくないからそういう相手にならなかった?。」
「そ、の」
「逆よ。逆」
「え?!ああ。そういう事か」
「…まぁいい。次の戦の話を。半兵衛」
「ん。そうだね」









奥に手紙を書く。今回の。側室の話を書き報告をしなければならないが。あの時の顔を思い出してしまう。あの、無表情を。きっと私のことを軽蔑しているのだろう。





「殿からお手紙とは何が書いていたのですか?」
「…読みますか?」
「いっ!いえ、ご夫婦の手紙…何ですかこれ?」
「何か?」
「い、え。」
「すごく短いでしょ?いつもの事よ。大阪屋敷に下の妹を迎えるそうよ。」
「な?!」
「そこでお願いがあるの。父上からもお叱りを受けました。妹の支度は良いとして侍女たちはあちらに半分回すようにと。」
「殿様が?」
「あなたたちのような優秀な侍女はなかなかいないということね。私の方は良いですから。雑務をこなして下さる人を2人残してあとは全員大阪に行きなさい」
「では私が残ります!私と花が」
「あなた達姉妹は名指しであちらへ行けとのご達しよ。」
「…では殿様に」
「あの人が血の通ったことを致しますか。ふふふ。妹を頼みます。」
「奥方様…」
「あなた達姉妹は実の妹以上に共にいましたから…寂しくなるわね。時折、文を書いて頂戴」
「っ」
「それと。これは私からあなた達に。」
「これは奥方様の衣装ではございませんか!」
「ふふふ。あなた達に。彼方では太閤殿下の前に侍ることも多いでしょうから。衣装には重々気をつけて。これはその金子です」
「!」
「妹にしている気でいますから。受け取って下さい。花にも。あの子、すぐ泣いてしまうから」
「私だって泣きそうです」
「泣かないで頂戴。…ごめんなさいね。私が、至らないばかりに」
「う…っ!」
「ふふふ。元気でね」






片思いの三成 3







「おお!奥」
「あら、大谷様?」
「我だけ一時的にな。」
「大阪屋敷に妹が入るとの由、御面倒をおかけ致します。」
「知っておったか?」
「殿から手紙を…私はいつ里に?」
「帰らぬ帰らぬ。主はここの女主人のままよ」
「…戻してくださって結構なのですよ」
「お父上には我と三成が願い出ている。まだ返事は貰っておらんが…何という返事があってもここにいりゃれ。良いか」
「…わかりました」
「にしても」
「?」
「いつもの侍女は?随分静かになっている」
「殆ど大阪にやりました。」
「は?」
「里からの要請です。太閤殿下のそば近くにある大阪屋敷に共に入れる侍女は才女でなくてはならないので。」
「!」
「父上の太閤殿下好きは周知の事実でございましたね」
「…主は如何する気だ?」
「正室といえども。本来彼方の方の方が正室となりますれば。側となりますか?」
「三成がそれを許しはしなかった…主は正室のままよ」
「では」
「奥」
「ひっそりと。生きていくことにいたしましょう」

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